3月には全国的に降雨があり、露地の大型野菜は遅れを取り戻しつつあるが、それでも全国的には干ばつ傾向と報告されている。好天が続き寒暖差があり、果菜類は生殖成長が旺盛であり、きゅうりを中心に果菜類も潤沢な出荷を取り戻すと予想される。この時期から夜温が高くなると、木ぼけ(茎葉ばかりが茂り、着果が悪くなること)になりやすいことや、5月末に梅雨が早めに始まるか空梅雨で推移するかなどにより、湿潤であれば、えだまめはいいスタートを切り、干ばつであれば高原キャベツが遅れるなど、展開が異なってくる見込みである。秋冬物の野菜出荷量は悪かったが、春野菜は順調にスタートし、市場価格は落ち着き、平年並みかやや高い水準で推移すると予想される。

だいこんは、千葉産は11月下旬に
播種したものの出荷が4月初旬から開始し、ピークは4月上旬から5月の大型連休頃まで、その後6月中旬まで続くと見込まれる。寒さと干ばつの影響でLサイズ中心の仕上がりとなっており、作付けは減少傾向である。青森産の春だいこんは5月中旬から共選が開始し、東京市場への出荷が始まる。盛夏期に減少するが、11月上旬まで出荷が続く見込みである。ほぼ前年と同じ3月26日に播種が始まったが、強風や降雨があり、当面の出荷のピークは6月初め頃と予想される。Lサイズ中心と見込まれる。
にんじんは、静岡産が4月7日から東京市場への出荷が開始した。11月前半に播種した分は問題なかったが、後半に播種した分は寒さでやや停滞し、ピークは4月10~20日と見込まれる。5月は例年より少なく、早めに切り上がると予想される。徳島産の出荷のピークは4月中旬から5月上旬までで、5月いっぱいの出荷が見込まれる。現状はMサイズ中心のSだが、4月中旬からMサイズ中心のLと肥大が予想される。前年がやや不作気味であったため今年の出荷量は前年を上回るが、平年並みと予想される。

キャベツは、愛知産は、降雨により肥大が回復し、1箱8玉入りと6玉入りの占める割合がそれぞれ40%となってきた。出荷量がこれまで70~80%ペースで来たのは、小玉が中心であったことによるが、今後の出荷量は回復が見込まれる。4月までは冬系が70%、春系が30%であったが、5月には春系も終わり初夏キャベツが中心になって、平年並みに追いつくと予想される。千葉産は2月に収穫される分が遅れて3月下旬に出荷されている。「金系201号」は4月15日頃までは少なめで、その後は増量し5月15~20日がピークとなる見込みである。その後減少するものの、20日過ぎからは中間タイプの品種が始まり、6月20日頃までの出荷が見込まれる。生育は順調で、5月は前年並みかやや多いと予想される。茨城産は例年どおり5月中旬から開始し、ピークは6月で、出荷は7月上旬までと見込まれる。現状までの生育は順調で、作付けも前年並みとなっており、品種は寒玉タイプである。
はくさいは、茨城産の5月の出荷量は4月より減少し、6月中旬をめどに終了する見込みである。春はくさいは3月下旬から順調に増え、品不足といった一時のひっ迫感はない。玉の肥大は順調で、平箱中心に4月上中旬がピークとなり、5月も例年並みの出荷が予想される。
ほうれんそうは、岩手産は気温の低さに加え強風が影響し、前年より遅れ4月20日過ぎから開始する。当面のピークは5月中旬から6月となり、作付けも出荷量もほぼ前年並みと予想される。群馬産は、低温と降雪で播種が遅れた。出荷は4月下旬から開始し5月後半に増えて来る見込みであるが、この露地作は不作傾向と予想される。本格的に出荷が増えるのは、6月の雨除け物からとなると見込まれる。埼玉産は、3月19日に降雪や降雹、あられなどがあり、トンネルを開けた状態であったため、葉の損傷などの被害があった。4~5月の出荷は例年より少なめの90%程度と予想され、5月中下旬から減少してくると見込まれる。
ねぎは、茨城産の冬ねぎは、高温・干ばつの影響により生育不良であったが、4月下旬からは12月初めに定植したトンネル物に代わり、潤沢な出荷ができると見込まれる。前年は3月に入っても低温が続いたことから、5月の出荷物の肥大が足らずに出荷量が伸びなかった。このため、今年はトンネル物を昨年より10日程度長くかけて保温したため、順調に肥大し、前年を上回る出荷量が予想され、特に5月中旬から急増する見込みである。埼玉産は4月に入り春ねぎとなるが、生育は順調である。ピークは4月上中旬で、5月には減少し4月の70~80%程度となると予想されるが、5月としてはほぼ平年並みかやや多い見込みである。6月に入ると夏ねぎになる。
レタスは、茨城産は、3月の降雨により肥大も良好で、4月初旬時点が出荷のピークとなっている。トンネル物と露地物の境目となっているが、4月下旬から減少してくるものの、5月いっぱいは出荷量がしっかりとあり、4~5月を平均すると平年並みとなる見込みである。群馬産の準高冷地物は4月10日過ぎから始まり、べたがけ物(保温・ 防霜などを目的に通気性のある資材をかけたもの)は、2月の降雪が多く定植が遅れた影響により、昨年より7日程度の遅れが生じている。当面のピークは5月の大型連休頃に1回目のピークとなり、その後一度減少し、5月下旬に再び増加が見込まれる。作付けは前年より増加している。長野産は3月に積雪したが、前年と同時期の4月20~25日に出荷が開始する見込みである。2月までの干ばつの頃は、圃場の準備が進んでいたため問題なく、非結球物は4月末から5月の大型連休にかけて本格出荷となり、結球物は連休頃から開始すると見込まれる。

きゅうりは、埼玉産は4~5月に加温物が増えてくるが、無加温物は遅れている。5月の大型連休頃にピークが来て、その後は徐々に減少して推移すると予想される。5月としては前年並みかやや多い見込みである。群馬産は、気象変動による多少の出荷量のばらつきは予想されるものの、おおむね順調で4~5月も引き続き安定した出荷が見込まれる。宮城産は、加温の促成物は地元市場への出荷が3月10日から開始し、東京市場へは4月中旬から開始すると見込まれる。1回目のピークは4月下旬から5月上旬で、2回目は6月に入ってからと見込まれ、促成物は7月の1週目までで、その後露地物も始まる。干ばつで実が着くのが早く、今のところ生殖成長が旺盛である。
なすは、高知産は定植初期の高温や10月に花が多く咲いて樹勢が弱く、さらに11月には曇雨天が続いたことなどの影響により少なめの出荷が続いている。4月に入り回復しピークとなるが、その後いったん減少し、5月に入り再び増え、6月末頃に出荷が終了すると予想される。岡山産は、長期物は燃料代の高騰により理想通りの温度設定にできなかったことが影響し80%強の出荷となっている。4月に入ると増え、当面のピークは4月20日から5月で、さらに6月も多めの出荷が予想される。福岡産は長なすとなるが、現状は前年の出荷水準に届いていない。4~5月は増量期に入り、前年並みまで追いつき7月10日までの出荷となると予想される。栃木産は、加温の促成物は4月20日以降がピークとなり、6月下旬まで多いと予想される。無加温物は5月の大型連休頃から増えて11月まで続き、露地物も始まる7月の海の日(21日)頃が最大のピークになると見込まれる。3月までの出荷実績は前年を上回っている。
トマトは、熊本産は3月までは一定のペースで出荷され、大きなピークはなかった。例年の80~90%程度とやや不作傾向であるが、4月20日から増え、6月上旬から減少してくると予想される。愛知産は、例年並みの出荷となっており、当初の遅れは回復している。基本的に干ばつ傾向で、現状の着果については問題ない。4月中旬から本格的に増えて5月いっぱいまでピークとなり、出荷は6月20日頃まで続くと予想される。サイズはM・S中心となる見込みである。千葉産は、越冬物は7月に入り切り上がるが、前半は病気の発生もあり少なめで、5月も例年を下回ると予想される。春トマトは5月の大型連休頃から始まる見込みである。
ミニトマトは、熊本産は当初の遅れから回復し前年並みの出荷となっている。着果も問題なく、3月下旬から増加傾向となり、4~5月がピークとなり、7月10日頃までに切り上がると見込まれる。千葉産は、4月以降が作の後半となるが、6月までピークはない見込みで出荷量は前年の80~90%程度となると予想される。
ピーマンは、茨城産の春ピーマンは5月が一番のピークで、7月中旬までと予想される。温室ピーマンは6月いっぱいまでがピークとなり、低温傾向により肥大が遅れ前年の90~95%で推移すると予想される。宮崎産は前年並みの出荷となっている。2~3月が少なかったのは1月までの成り疲れによるもので、5月に年間最大のピークとなると予想される。6月には減少してくるが、例年並みの見込みである。

ばれいしょは、静岡産の「
三方ヶ原男爵」は例年と同様に5月の連休明けから販売が始まる。天候上の問題なく順調で、6月上旬にピークになり、7月いっぱいの出荷が予想される。長崎産は4月10日から出荷を開始するが、寒さと干ばつの影響で7~10日の遅れになっている。当面のピークは5月の連休明けからで、6月いっぱいは掘り取りする計画である。面積はやや減少気味で、前半物はやや小ぶりと予想される。
たまねぎは、佐賀産の
早生物は4月15日から始まり5月中旬まで、
中生は4月25日から6月初旬までとなる見込みで、気温の上昇により遅れは回復してきている。5月としては前年よりやや少なめが予想され、6月には田植えの作業が繁忙となるため、いったん出荷が減少すると見込まれる。Lサイズ中心と予想される。兵庫産は4月下旬から5月の初めにかけて出荷が始まるが、ほぼ平年並みのスタートである。早生のピークは5月の連休明けから5月いっぱいで、中生は5月末頃から始まり7月にピークとなると予想される。千葉産は前年より7日程度遅く4月20日頃から始まる見込みである。3月下旬の試し掘りではMSサイズが中心であったが、4月初旬の雨によりさらに肥大し平年並みに追いつき、出荷のピークは5月の連休明け頃と予想される。

ブロッコリーは、福島産は5月連休明けから始まり、5月中下旬がピークとなり、6月いっぱいで切り上がると予想される。作付けは前年並みである。愛知産は2月まで続いた干ばつにより前半の作が遅れ、2~3週間遅れたものが集中してきている。4月初旬頃にはその流れが一段落し、4月中旬から再度増え、5月に入りかなりの程度減少しながら切り上がると見込まれる。昨年の春ブロッコリーは病気により出荷が半減したため、今年は春作の作付けが減っているものの、少なかった前年を上回ると予想される。熊本産は3月初めにピークが来て、4月に入り端境を迎えている。春ブロッコリーは4月13日の週から始まり、5月の連休前までがピークで、5月中には終了に向かうと予想される。
カリフラワーは、茨城産の出荷は4月中旬から開始し、ほぼ例年どおりとなっている。作付けは前年並みで、生育は順調であり、ピークは5月下旬から6月初め頃までとなり、6月いっぱいで切り上がる見込みである。
かぼちゃは、鹿児島産は2月下旬に交配が始まったが、交配前の低温と降雪により花落ちするなど10日程度遅れている。出荷は5月15日頃から始まり、ハウス物、小型ハウス物、主力のトンネル物となり、ピークは6月10日頃と予想される。品種は「えびす」中心である。
アスパラガスは、福島産は例年より7日程度遅れて4月から開始する見込みである。ピークは4月20日頃からの1週間で、5月の連休明けには切り上がる見込みである。作付けは前年の93%と減っている。夏芽は6月下旬から始まる見込みである。長野産は今年は積雪が多く、4月15日頃に始まった前年より、1週間以上遅れると予想される。ピークは5月の連休明けから5月いっぱいであり、前年作から判断すると株は充実していると見込まれる。夏芽は6月下旬から出荷開始が予想される。
スイートコーンは、沖縄産は4月中旬から始まりピークは4月下旬となり、5月初旬に切り上がると予想される。作付けは例年よりも微増となっており、生育は若干の遅れがあるものの基本的に順調である。山梨産は、寒さの影響により前年より遅れているが、5月25日頃から始まると予想され、ピークは5月下旬から6月上旬である。今後の天候次第では前進することも見込まれる。作付けは微増であり、品種は「ゴールドラッシュ」である。宮崎産は4月に入り出荷を開始したが、東京市場での販売は5月中旬以降と予想される。作付けは減少している。年明け以降、干ばつ気味で水不足であるが、生育は順調である。品種は「ゴールドラッシュ」である。
えだまめは、静岡産は周年出荷の産地であるが、4~6月がハイシーズンである。基本的には、ハウス栽培で一部露地物がある。4月までは少なめで推移したが、今後は平年並みの出荷が予想される。埼玉産はトンネル物が、5月20日から始まりピークは6月に入ってからと見込まれ、作付けは前年並みである。千葉産はハウス物が早い生産者で4月20日過ぎから始まると見込まれる。露地物は5月の連休明けから開始し、6~7月がピークになると予想されるが、出だしのものは発芽率が悪かったためやや遅れている。
スナップエンドウ・絹さやえんどうは、福島産は、今年は積雪が多く雪解けの遅れから見通しづらいが、前年のスナップエンドウは5月25日、絹さやえんどうは5月20日から開始した。
そらまめは、愛媛産は10日程度遅れており、4月24日頃から開始し、ピークは5月3~5日頃と見込まれる。作付けは前年並みで、寒波があったものの大きな影響はなく、不作であった前年を上回ると予想される。
メロンは、茨城産は連休明けから「プリンス」が始まり、5月初旬はハウス物で、5月15~20日頃から露地物となり、ピークは5月下旬と予想される。「貴味」は早い生産者でも5月15日頃からで、ピークは6月10日から6月いっぱいと見込まれる。作付けは前年の95%程度と若干減少しており、全体として7日程度遅れているが、着果そのものは順調である。
(執筆者:千葉県立農業大学校 講師 加藤 宏一)
