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需給動向 野菜情報 2025年1月号

1 東京都・大阪市中央卸売市場の需給動向(令和6年11月)

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野菜振興部・調査情報部

【要約】

⃝東京都中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は10万8005トン、前年同月比94.9%、価格は1キログラム当たり306円、同125.8%となった。
⃝大阪市中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は3万5295トン、前年同月比94.0%、価格は1キログラム当たり290円、同122.9%となった。
⃝2024年9~11月までは、記録的な気温高となった。野菜全般として、今後も年明けから3月まで出回り不足が続き、引き続き高値で推移することが見込まれる。

(1)気象概況

 上旬の旬平均気温は、沖縄・奄美でかなり高く、東・西日本で高かった。沖縄・奄美では旬平均気温平年差が+1.9℃となり、1946年の統計開始以降11月上旬として1位タイの高温となった。旬降水量は、期間初めに記録的な大雨となった所があり、東・西日本ではかなり多かった。西日本日本海側では旬降水量平年比が536%となり、1946年の統計開始以降、11月上旬として1位の多雨となった。沖縄・奄美では、期間末に記録的な大雨となった所があった。旬間日照時間は、北日本太平洋側、東日本日本海側では多く、北日本日本海側、沖縄・奄美では少なかった。
 中旬は、全国的に平年に比べ暖かい空気に覆われ、旬平均気温は、東・西日本と沖縄・奄美でかなり高く、特に沖縄・奄美では旬平均気温平年差が+2.6℃となり、1946年の統計開始以降11月中旬として1位の高温となった。旬降水量は、東・西日本日本海側でかなり少なく、北日本日本海側と北・西日本太平洋側で少なかった。旬間日照時間は、北日本でかなり多く、東・西日本日本海側で多かった一方、東日本太平洋側では少なかった。
 下旬は、天気は数日の周期で変わり、旬平均気温は期間の後半に北日本を中心に南から暖かい空気が流れ込んだため、北日本で高かった一方、沖縄・奄美は寒気の影響を受け低かった。旬降水量は、東日本日本海側でかなり多く、北・西日本日本海側と北・東・西日本太平洋側で多かった一方、沖縄・奄美では少なかった。旬間日照時間は北日本日本海側と北・東日本太平洋側で多かった一方、東日本日本海側で少なかった。
旬別の平均気温、降水量、日照時間は図1の通り。
 
タイトル: p007

(2)東京都中央卸売市場

 東京都中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は10万8005トン、前年同月比94.9%、価格は1キログラム当たり306円、同125.8%となった(表1)。
 
タイトル: p008a
 
 根菜類は、だいこんの価格が、絶対量不足から堅調な価格で推移し、前年、平年ともに6割以上上回った(図2)。
 葉茎菜類は、キャベツの価格が絶対量不足から堅調に推移し、中旬に高騰した。高値で推移した前年の2倍近い価格となり、平年の2.6倍以上の価格となった(図3)。
 果菜類は、ピーマンの価格が、絶対量不足により堅調に推移し、さらに下旬には、前年を7割近く上回るまで上昇し、平年を7割強上回った(図4)。
 土物類は、たまねぎの価格が暴騰した前年からは3割以上下回ったものの、平年をやや上回った(図5)。
 なお、品目別の詳細については表2の通り。
 
タイトル: p008b
タイトル: p009a

タイトル: p009b
タイトル: p010

(3)大阪市中央卸売市場

 大阪市中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は3万5295トン、前年同月比94.0%、価格は1キログラム当たり290円、同122.9%となった(表3)。
 品目別の詳細については表4の通り。
 
タイトル: p011a
 
タイトル: p011b
タイトル: p012

(4)首都圏の需要を中心とした1月の見通し

 2024年9~11月まで記録的な気温高となり、直近2年を毎年更新する状況であった。11月前半は雨が多く、秋冬野菜の播種(はしゅ)と重なったため、作型によっては根の活着が悪かった。果菜類は病気の発生も多く、夜温が高く実に栄養が回らず、木ボケ(茎葉が茂り、着果が悪い状態)になりがちであった。比較的気象災害に強いとされる土物のいも類は、仕上がりにばらつきが出ている。野菜全般として、今後も苗半作(苗の出来により作柄の半分が決まるという意味)の影響を受け、年明けから3月まで出回り不足は続き、引き続き高値で推移することが見込まれる。

タイトル: p030a
 だいこんは、千葉産は12月上旬までは例年の80%程度の出荷と。徐々に回復し、1月は例年並なっているみの出荷と予想している。11月の天候は安定しており、生育の前進などはなかった。神奈川産は、生育時期に高温かつ土壌中の水分が多かったことにより、葉ばかり茂り、肥大が遅れた。12月上旬は箱数が伸びない状況が続き、平年並みの大きさに切り替わるのは年明け以降と予想される。徳島産は11月上旬から本格開始し、前年並みの出荷が続いている。若干小ぶりの物の出荷が続いたが、ここに来て肥大し、Lサイズ中心になってきた。引き続き1月も前年並みの潤沢なペースが続くと見込まれる。静岡産は例年並みの12月5日から開始し、ピークは年明けから2月まで続くと見込まれるが、その後は多少減少しながら4月まで推移すると予想される。生育は順調で、2Lサイズ中心である。大分産は10月に雨が多く、播種が思うように進まなかったため、2~3月に少なくなることが見込まれる。12月上旬時点では順調に生育しており、1月までは前年並みと予想される。
 にんじんは、千葉産は11月下旬の降雨の影響により12月上旬時点での出荷は少なめである。12月末頃には平年並みに回復しピークとなり、翌2月までは多いものの全体的に小ぶりの仕上がりで、出荷量は前年比減と予想される。

タイトル: p030b
 キャベツは、愛知産は11月下旬時点では前年比56%と大幅に少なかった。初期の外葉展開期が猛暑の時期に当たり外葉が大きくなれず、肥大せず小玉に仕上がったことが要因である。年内いっぱいは少なく、1月以降は回復が見込まれる。春系は順調であり、問題なく出荷される見込みである。千葉産は12月上旬までは例年の70%と少なかった。病害で収穫量の減が主要な要因である。12月10日過ぎから増えて、1月は例年並みと見込まれる。中心サイズはLであるがMも多く、前年比90%程度と予想される。神奈川産は8月10日までの播種物は気温高と乾燥の影響によりかなり少なかった。12月に入り8月の盆明け頃の播種物の出荷となるが、外葉が小さく小ぶりに仕上がっている。年明けは低温に強い品種が増え、12月上旬よりも良くなってくると見込まれる。静岡産の「キャンディーキャベツ」は例年通り1~2月を中心に出回るが、夏の暑さの影響を受け、例年の60%程度と予想される。
 はくさいは、茨城産は順調で12月のピークに入っている。寒さが本格的でないためわずかに締まりが悪いものの、例年どおりの良好な仕上がりになっており、1月も前年並みに順調に出荷されることが見込まれる。
 ほうれんそうは、群馬産の生育は順調で、年明けも年内同様の出荷が予想される。11月までの気温高により12月上旬は例年よりやや伸びが足りない。栃木産は年末に向けて増えるが、1月には露地やハウスの他にトンネル物も開始する見込みである。前年の5%程度増と順調な入荷が見込まれる。ちぢみほうれん草も開始するが、10月に播種した物の発芽率が悪く、例年より大幅に少ないと予想される。埼玉産は前年の価格安の影響による作付け減により12月上旬の出荷は少なく、12月後半に増えるが、1月は前年を下回ると予想される。
 ねぎは、茨城産の秋冬物が本格的に開始したが、夏の猛暑を受け前年と同様に少なめであった。11月下旬までは、病気の発生による遅れや、肥大不足などにより少なかったが、12月上旬時点では回復してきている。平年並みの量となるのは1月に入ってからの見込みである。千葉産は12月上旬時点で平年比70%程度の出荷実績と、遅れて少なかった前年よりもさらに遅れている。12月中旬には肥大し平年並みに追いつき、年末から2月までピークとなる見込みである。
 レタスは、兵庫産は12月上旬時点で例年の60~70%と出荷が少ないが、年明けから回復に向かう見込みである。本来のピークは1~2月であるが、この時期に出荷されるものの作付けを減らしており、3月となる可能性もある。香川産は12月に入り平年並みの出荷となっているが、11月までは虫害の発生などで少なかった。1月も引き続きピークで、例年並みの出荷となるが、2月には減ってくると見通している。静岡産は高温傾向の中での生育で、特に虫害が影響し出荷が少なめとなっている。12月10日前後から例年並みに回復し、1月も引き続きピークとなり、2L・Lサイズを中心とし、例年並みの出荷が予想される。長崎産は11月末の時点で、生育の遅れはないが作付けを後半にずらしたため、前年を下回る出荷となっており、12~翌1月は前年並みの出荷と見込まれる。

タイトル: p031
 きゅうりは、宮崎産は12月上旬は回復過程にあり、年末から1月は例年どおりの出荷が予想される。長期一作の作型となっているが、作付けの減少もあり前年比でやや少なめとなる見込みである。群馬産は12月10日から定植した物の出荷が1月20日過ぎから開始し、年明け定植の物が2月20~25日に開始し、促成作が出そろうことになり、ほぼ前年並みが予想される。高知産は12月初め頃までは出遅れ、例年の70%と少なかった。10~11月の気温高と多雨により12月初め頃までは出遅れ、例年の70%と少なかった。今後は本稼働して、1月は平年並みに出荷されることが見込まれる。
 なすは、高知産は10月の気温高で花落ちし、12月上旬の出荷は少なかった。12月中旬には回復し、1月は増量して平年を上回ると予想される。茎の作りが例年より弱いが、厳寒期は問題なく、春先に影響が出てくる可能性がある。福岡産は年末は12月上旬よりも少なく、1月も前年と同様に少なくなり、2月に入って増え始めると予想される。作付けは前年の98%である。
 トマトは、愛知産は高温障害で花落ちしたことにより、例年の80%の出荷実績となっている。12月後半には例年に近い数量に回復し、1月は前年並みと予想される。当面はMサイズ中心である。熊本産は12月上旬は冷えこんできて暖房効果も発揮できず、少なめで推移する見込みである。12月中旬以降は、少し増加すると予想されるが、状況としては不作年の傾向であり、1月も例年を下回ると予想される。佐賀産は12月に入っても夜温が高く木が伸びすぎて、3段目が着果しておらず、さらにコナジラミの発生でウイルス病も見られ、株ごとダメージを受けているところもある。今後の作柄は良くなってくるが、例年を下回り小玉傾向と予想される。
 ピーマンは、茨城産は12月に入り少なめの出荷が続いているが、秋ピーマンは切り上がり時期を迎えている。年明けは温室物のみとなり、資材費の高騰により作付けは減っている。温室物は根の張りが悪く、収量が上がっていない。12月に晴天が続けば、着果したものが1月には間に合うものの、前年を下回ることが予想される。高知産は11月までは少なかったが、12月には平年並みに回復し、年末にやや減り、1月には再び増えてくる見込みである。作付けは前年並みである。宮崎産は10月の天候不順で着果が少なく、樹勢が旺盛となった。年末から翌1月にかけて増えて来るが、3月に入ってから出荷が大きく伸びると予想されるものの、全体的にはやや不作傾向と見込まれる。

タイトル: p032a
 さといもは、埼玉産は12月上旬時点で前年の110~120%と多く出荷されている。年明けは例年通りに落ち着くが、引き続き前年より多い出荷が予想される。貯蔵物は4月までの出荷と見込まれる。宮崎産の京芋は年内に多く、1月には減り1月末には切り上がる見込みである。曇天が続き害虫の発生もあり、M・Lサイズ中心の小ぶりの仕上がりである。
 ばれいしょは、北海道産(道北)の収穫量は、例年並みかやや多く、肥大は圃場(ほじょう)によるばらつきが大きいものの、Lサイズ中心である。品種は「男爵」を中心に「きたあかり」と「きたかむい」があり、年明けから2月までの出荷で「きたあかり」は年内で切り上がると予想される。北海道産(十勝)のメークインは、12月上旬までの収穫量は例年並みであるが、変形果などが多く正品にならないため、全体としては平年比20~30%程度減少する見込みである。1月に入ると年内より大幅に出荷を絞り込み、例年より1カ月以上早く1月中旬に切り上がる見込みである。「とうや」も「男爵」も1月中旬までで、「マチルダ」は契約のみである。北海道産(道南)の「今金男爵」は、2024年産は平年よりやや多いが、中心サイズはLまたはLMで、2Lの大きめの物が少ない。市場出荷は2月初めまでの計画とのことである。
 たまねぎは、北海道産(道北)は中生(なかて)品種中心の産地であるが、大玉傾向で平年作を上回っており、サイズはL大中心で1月で切り上がる見込みである。北海道産(道東)の生産量は前年並みで、年明け販売は年内よりは減るが、5月初め頃まで続き、ほぼ例年と変わらない。サイズは、L大・L中心となっている。静岡産の新たまねぎは「ホワイト」「黄玉」ともに1月4日の出荷からとなる。ほぼ例年同様「ホワイト」のピークは1月で、2月に少なくなってくる見込みであり、「黄玉」は2月がピークである。生育時期の多雨が影響し、全体的に出遅れ傾向にあるが、作付けは前年並みである。

タイトル: p032b
 ブロッコリーは、愛知産は定植時期の猛暑、その後の長雨で腐りが発生したため、12月上旬時点で例年の30~40%と出荷が少ない。引き続き12月いっぱいは少なく、1月に入り回復して例年並みに追いつくと予想される。香川産は盆明けの定植物は一部で苗が暑さの影響を受けたが、12月上旬時点では順調に生育しており、1~2月がピークになると見込まれる。群馬産は12月上旬時点では定植時期の暑さが影響し、小ぶりの仕上がりとなっているが、1月には前年並みに回復すると予想される。
 カリフラワーは、福岡産は11月2日の大雨と満潮が重なり排水できず、浸水の影響により大幅に遅れており、例年のピークは12~翌2月であるが、例年の30%程度の出荷と予想される。
 ごぼうは、青森産の収穫はほぼ終わり、今後は冷蔵物の出荷になり雪解けの4月から春掘りとなる。収穫量は長さはあるが太くないため前年ほど多くないが、1月の出荷はL・Mサイズを中心に平年並みと予想される。
 れんこんは、茨城産は11月までの実績は前年比90%と少なめで、ピークは12月で年明けは落ち着く見込みであるが、猛暑の影響で傷みが早く、切り落として出荷しており、さらに本数も少ない傾向にあり、前年を下回ると予想される。太さは問題なく、Mサイズが中心である。
 かんしょは、千葉産は年明けも12月と同様の出荷ペースと予想される。年内は「シルクスイート」中心で、4月までは「べにはるか」が中心となり、いずれも平年並みの見通しである。徳島産は9~10月は少なめの出荷であったが、年明けは平年並みでLサイズ中心の出荷が見込まれる。
 やまのいもは、北海道産の収穫量は前年より少なく平年より多い。11月中旬まで計画的に出荷されるが、干ばつの影響により細くて大ぶりの物が中心となる見込みである。
 いちごは、栃木産は「とちあいか」が80%を占め、1番果(頂果房(ちょうかぼう))は12月上中旬がピークとなり平年並みである。1月には2番果((えき)果房(かぼう))に替わるが、谷間はない見込み。福岡産の早期作は12月上中旬で終わるが、例年より進んでおり、その後、普通ポット物の頂果房が12月上旬頃から始まりクリスマス頃にピークとなる。大玉でとさか型の物が多くケーキには適さない。年末年始は少なく、早期物の2番果が1月10日前後から始まり、1月下旬頃にピークを迎えると予想される。例年と比べて頂果房と腋果房の間の葉が2枚程多く、出荷の谷間が大きくなると見込まれる。
 スナップえんどうは、鹿児島産は、やや後ろにずれているが、12月に1回目のピークが来て、1月は平年並みの出荷が見込まれる。そらまめは通常年内にある程度出荷されるが、今年はほとんど期待できない。年明けから開始するが、作柄そのものは順調である。グリーンピースは12月は少ないが、1~4月まで安定出荷が見込まれる。
 ナバナは、千葉産は3月の節句需要の出荷の充実のため品種を変えたことから年末から1月は前年を下回ると予想される。結束タイプは減って、100グラム詰めFGパック(ビニール袋)物が主体となり、その他バラ詰めの5キログラム箱も出荷されると見込まれる。
 
(執筆者:千葉県立農業大学校 講師 加藤 宏一)

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