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需給動向 野菜情報 2024年6月号

1 東京都・大阪市中央卸売市場の需給動向(令和6年4月)

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野菜振興部・調査情報部

【要約】

⃝東京都中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は11万253トン、前年同月比99.6%、価格は1キログラム当たり321円、同116.7%となった。
⃝大阪市中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は3万5622トン、前年同月比101.3%、価格は1キログラム当たり287円、同114.3%となった。
⃝6月は、西南暖地産が終盤を迎え、高原物や東北産に産地が切り替わる時期である。ここ数年中間の産地の規模が縮小傾向であるため、4~5月の高値基調は6月も引き継がれ、市場価格は堅調に推移すると予想される。

(1)気象概況

 上旬は、暖かい空気に覆われやすかったため、旬平均気温は、北・西日本と沖縄・奄美でかなり高く、東日本で高かった。旬間日照時間は、北日本を中心に移動性高気圧に覆われて晴れた日が多かったため、北日本で多く、特に北日本日本海側では平年比148%とかなり多く、1961年の統計開始以降、4月上旬として1位の多照となった。一方、東日本太平洋側と西日本で少なく、東日本日本海側、沖縄・奄美では平年並だった。旬降水量は、東日本以西では本州南岸付近に停滞した前線や低気圧の影響を受けやすく、3日頃と9日頃は大雨となった所もあり、9日頃は東日本で荒れた天気となったため、旬降水量は、東日本日本海側、西日本太平洋側、沖縄・奄美でかなり多く、北・東日本太平洋側と西日本日本海側で多かった。一方、北日本日本海側は少なかった。
 中旬は、期間を通して暖かい空気に覆われやすかったため、旬平均気温は全国的にかなり高かった。特に、北日本では平年差+4.3℃となり、1946年の統計開始以降、4月中旬として1位の高温となった。旬降水量は、低気圧などの影響を受けにくかったため、北日本でかなり少なく、東日本・西日本で少なかった。一方、沖縄・奄美では、前線や湿った空気の影響で13日から15日にかけて大雨となり、15日頃を中心に4月として記録的な大雨となった所もあったため、かなり多かった。また、東日本を中心に高気圧に覆われやすかったため、旬間日照時間は、東日本日本海側でかなり多く、東日本太平洋側で多かった。沖縄・奄美では高気圧に覆われて晴れた日もあったため多く、北日本・西日本では平年並だった。
 下旬は、期間を通して暖かい空気に覆われやすかったため、旬平均気温は全国的にかなり高くなり、下旬の後半を中心に多くの地点で、4月として日最高気温の歴代1位の記録を更新した。特に、沖縄・奄美では平年差+3.0℃となり、1946年の統計開始以降、4月下旬として1位の高温となった。旬降水量は、全国的に天気が数日の周期で変化し、西日本と沖縄・奄美を中心に、低気圧や前線の影響を受けやすかったため、西日本と沖縄・奄美で多かった。一方、低気圧の影響を受けにくかった東日本日本海側で少なく、北日本・東日本太平洋側では平年並だった。旬間日照時間は東日本太平洋側と西日本でかなり少なく、東日本日本海側で少なかった。北日本と沖縄・奄美では平年並だった。
 旬別の平均気温、降水量、日照時間は以下の通り(図1)。

タイトル: p009a

(2)東京都中央卸売市場


 東京都中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は11万253トン、前年同月比99.6%、価格は1キログラム当たり321円、同116.7%となった(表1)。

タイトル: p009b
 
 根菜類は、にんじんの価格が絶対量不足から堅調な動きが続き、前年を6割近く上回り、平年を8割以上上回った(図2)。
 葉茎菜類は、レタスの価格が中旬以降落ち着いたものの、やや高めに推移した前年を4割以上上回り、平年を5割以上上回った(図3)。
 果菜類は、きゅうりの価格が下旬に向けやや落ち着いたものの、高めに推移した前年を2割以上上回り、平年を4割以上上回った(図4)。
 土物類は、たまねぎの価格が堅調な推移となり前年を3割近く上回り、平年を1割近く上回った。(図5)。
 なお、品目別の詳細については表2の通り。

タイトル: p010
 
タイトル: p011
タイトル: p012

(3)大阪市中央卸売市場

 大阪市中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は3万5622トン、前年同月比101.3%、価格は1キログラム当たり287円、同114.3%となった(表3)。
 品目別の詳細については表4の通り。

タイトル: p013a
 
タイトル: p013b
タイトル: p014
タイトル: p015

(4)首都圏の需要を中心とした6月の見通し

 6月は西南暖地産が終盤を迎えるが、やや早めに切り上がる見込みである。本格化してくる高原物や東北産は降雪や積雪の影響を受けたものの、4月の高温の影響もあって順調に回復し、遅れは生じていない。4月の高温が全般的に出荷進度を早めたのは確かであるが、豊作で市場に荷物がだぶつくことはないと予想される。
 4月までの高値基調は、5~6月も続くと予想している。産地の切り替わり時期である6月は、20年ほど前までは梅雨の影響を受ければ品薄で高くなったが、ここ数年は高温を恐れてか、中間の産地の規模が縮小し市場に出荷しなくなったため、夏秋の産地である青森産や北海道産の出荷が頼りとなる。
 6月の市場価格は堅調に推移すると予想している。

タイトル: p016a
 だいこんは、青森産は5月末から11月までの長いシーズンの出荷となる。8月は量が少なくなるが、今のところ順調な出荷が続く見込みである。Lサイズ中心の出荷を想定しており、作付けは前年並みである。千葉産の出荷は5月連休頃にピークとなり、6月の出荷は例年を下回ると予想している。中心サイズは2Lである。大分や鹿児島、長崎の産地は高温障害により全般的に生産量が減少している。大分の高原産地は3~4月の降雨により播種(はしゅ)のタイミングが失われ、また獣害で作付けをやめる生産者も見られるため、5~6月の出荷は例年の90%程度と予想している。
 にんじんは、千葉産は5月下旬から6月までの出荷を予想している。ほぼ例年並みと予想されるが、一部休耕地があるため、例年を下回る出荷となる見込み。生育そのものは順調で、6月中旬がピークと予想している。青森産は例年と同様、6月20日過ぎ頃から出荷が始まり、ピークは8月の1週目と予想される。作付けは前年並みで、品種は「(あや)(ほまれ)」「(こう)()」である。

タイトル: p016b
 キャベツは、千葉産は畑での痛みと前進出荷により、例年の半分程度の出荷となっている。5月から出荷が始まる(なか)早生(わせ)のキャベツは中旬に入り本格化し、ほぼ例年並みの出荷が予想される。中心サイズはLで、7月10日頃まで出荷が見込まれる。群馬産は3月の降雪の影響が心配されたが、霜の被害もなく適度な降雨もあり、定植作業も順調に行われているため、例年どおり6月10日過ぎから出荷が始まると見込まれる。6月はほぼ平年並みの出荷と予想している。岩手産の出荷は、早くて6月下旬から始まり、ピークは7月10日頃からと予想している。出荷は10月まで続くが、前年は9月に入ってから病気が目立った。作付けは前年並みである。
 はくさいは、長野産は前年より若干遅い5月15日頃から出荷が始まると予想している。6月下旬から10月までピークが続く見込み。作付けは前年並みで出荷量は平年並みと予想される。
 ほうれんそうは、群馬産の出荷の現状は、3月の降雨の影響により露地物の量は少なくなっており、回復は見込めないと予想している。ハウス物は6月中~下旬から本格化し、7月上旬にピークとなる見込み。岐阜産は3月の積雪の影響により、出荷は例年の30~40%に減少している。5月の連休明けから増え、5月下旬にピークとなる見込み。6月は減少傾向に推移し、出荷量は平年を下回ると予想している。
 ねぎは、茨城産は物の夏ねぎに切り替わる。3月の強風により生育に影響が出る心配があったが、現時点で肥大に問題はない。引き続き順調に生育し、Lサイズ中心の出荷となると予想される。埼玉産の出荷は、6月に入ると春ねぎの出荷から夏ねぎに切り替わるが、一部に病気が見られる。6月中旬から7月中旬がピークと予想している。6月の出荷は前年並みかやや少なめになると予想される。
 レタスは、長野産は平年と同様5月28日頃から始まると予想される。3月の降雪の影響を受け生育が遅れていたが、回復傾向であり、当面のピークは6月20日~7月の初め頃までと予想している。群馬産の出荷はやや遅れ気味であるが、まずまずの出荷となっている。ピークは5月中旬と見込まれ、20日過ぎから減少傾向となり、6月に入り再びピークを迎え7月が最大のピークになると予想される。
 
タイトル: p017a
 きゅうりは、埼玉産は天候不順の影響により少なめとなっている。5月20日から6月にかけてピークになるが、6月10日には加温物が終わり無加温も7月10日頃には切り上がり、出荷量は平年を下回ると予想している。福島産は無加温物の出荷となっているが、出荷のピークは7~8月と予想している。露地物は6月に定植、7月に入って出荷となる見込み。生育は順調で、作付けも前年並みである。宮崎産は3月までは前年の95%の出荷となったが、4月に入り3月の天候不順の影響により減少傾向となっている。5月についても大きな変動はなく、月末頃には切り上がる生産者も出てくる見込み。6月いっぱいまで出荷が続くが、例年を下回ると予想している。
 なすは、高知産の出荷の現状は、4月下旬の天候不順で例年より5~10%程度少ない。特に4月後半は実太りが悪く、出荷に影響が出ている。6月初め頃にピークとなり、その後減少し7月10日までと見込まれる。今後、回復は期待できるものの、やや例年を下回る出荷と予想される。群馬産はハウス物のピークを迎えているが、7日程度の遅れとなっている。露地物は6月初めから出荷が見込まれ、6月はハウス物を中心に併売されると見込まれる。作付けは前年並みで、現状着果の問題は見られない。福岡産は長なすが4月下旬に入りピークを迎えている。5月上旬もピークが続くが大きな変動はない。6月いっぱいでほぼ切り上がるが、7月10日頃まで出荷が続くことも予想される。
 トマトは、山形産は5月24日から出荷が始まり、7月いっぱいまで続くと見込まれる。作付けは前年から若干減少している。当初の低温の影響により節間が若干短いが、そのほかは生育は順調であり、当面はLサイズ中心と予想される。熊本産は、「アニモ」の出荷が順調で平年並みの出荷となっており、5月いっぱいがピークとなる見込み。6月に入り減少傾向で小玉サイズが多くなり、25日の選果で終了すると予想される。作付けは前年並みである。ミニトマトは「千果」「小鈴」で、現状は少なめの出荷である。北海道産は、前年より7日程度早く出荷が始まっている。出荷のピークは例年と同様に7月下旬から8月と予想され、作付面積は前年を下回っている。
 ピーマンは、茨城産は天候不順の影響により少なめとなっている。花落ちなど3月の天候不順の影響が1カ月後に現れると予想される。今月には回復すると予想されるが、例年の90~95%とやや少なめとなる見込み。春作は6月いっぱいでほぼ切り上がり、7月には秋作の準備に取り掛かる。岩手産の出荷は、東京市場へは6月1日から始まる計画となっている。生育は、現時点では天候に恵まれ順調であり、ハウス物のピークは7月15日前後と予想される。露地物は全体の60%を占めるが、5月から定植が始まり出荷は6月中旬から始まる見込み。ハウス物は「(きょう)(すず)」、露地物は「京ひかり」である。
 
タイトル: p017b
 ばれいしょは、静岡産(とぴあ浜松湖西)の「湖西の男爵」は、5月20日から出荷が始まり、6月は徐々に増えて7月上旬にピークを迎え、7月いっぱいで切り上がると予想している。作付けは前年を下回っており、生育は順調である。静岡産(三島函南)の「三島のメークイン」は、例年と同じ6月中旬から出荷が始まり、7月上旬にピークを迎え7月いっぱいとなる見込み。作付けの減少もあり、出荷量は前年を下回ると予想している。千葉産の「栗源(くりもと)のメークイン」は、6月16日頃から出荷が始まり、7月10日~20日にピークを迎え、盆前に切り上がると予想される。作付けは10~20%減少している。
 たまねぎは、佐賀産は3月後半に雨が続き、収穫ができなかった影響により、4月に入っても例年の70~80%の出荷となっているが、生育は良好である。6月は田植え作業の時期と重なるため出荷は減るが、特に6月15日頃から6月末までは少なく、7月には再び増えてくると予想している。玉肥大についてはLサイズよりも大きくなると予想している。兵庫産は5月に入り早生(わせ)の出荷となるが、平年並みのペースで遅れは生じていない。6月に入り一旦出荷は減るが、20日頃から月末にピークになると予想している。冷蔵物は年明けの2月までの出荷が見込まれる。
 
タイトル: p018
 ブロッコリーは、青森産は例年通り6月の1週目から出荷が始まる見込みである。ピークは中~下旬頃と予想され、現状生育は順調であり作付けは前年並みである。長野産の出荷は3月下旬から始まり生育は順調である。6月中旬から量が増えて7月上旬までピークとなり、その後一時的に少なくなるが途切れることなく出荷され、9月に再びピークを迎えると予想される。北海道産の出荷は6月初めから始まるが、例年よりやや早まると予想される。6月20日前後に一回目のピークを迎え、7月中旬も多くなると予想している。作付けは前年の90%と減少している。
 
 アスパラガスは、福島産の出荷の現状は、ハウス物のピークを迎えている。露地物は5月の連休明けから始まり、以後露地物が中心となり7月中旬まで量的にまとまると予想される。10月上旬までの出荷となる見込み。株の充実については、昨年の高温の影響を受けている可能性がある。新潟産はすべて露地物で、出荷は始まっており、本格化するのは5月の連休明けで、6月上旬にピークとなって中旬には切り上がる見込み。株の充実については、昨秋の調査時点では良好である。
 
 かぶは、青森産は5月20日頃から出荷が始まるが、3月の積雪の影響により発芽不良となったため、前年より7~10日程度遅れている。6月に入り回復すると予想されるが、出荷量は前年を下回る見込みである。7月に出荷のピークを迎え、8月は一旦減少傾向に推移するものの、10月まで出荷が見込まれる。
 
 かぼちゃは、神奈川産の「みやこ南瓜(かぼちゃ)」は、4月下旬に着果が始まり、6月上旬から出荷開始となる見込み。出荷のピークは6月末から7月上旬と予想される。作付けはほぼ例年並みである。茨城産は5月20日前後から出荷が始まるが、ほぼ例年並みの出荷を予想している。出荷のピークは6月中旬から6月末までの見込み。作付けは若干減少している。品種は「栗将軍」である。
 
 スイートコーンは、山梨産は3月の低温の影響により生育が1週間程度遅れていたが、現時点では回復し、5月20日前後から出荷が始まる見込み。二重トンネル物から露地物まであるが、全体のピークは6月3日の週からと予想している。品種は「ゴールドラッシュ」である。
 
 えだまめは、群馬産のうち中山間地の「天狗の枝豆」は例年と同じ時期から出荷が始まるが、播種(はしゅ)時期の3月の天候不順の影響により発芽不良が発生しため、始まりの6月上旬はやや少なめとなり、例年より出荷動向に変化がみられると予想される。6月20日頃からは急増する見込み。昨年は全国的に猛暑の影響により後半は急減したが、群馬県の中山間地は猛暑の影響が少なく、ほぼ前年並みの出荷となった。今年も猛暑の予報であり、品質保持など輸送問題にも影響してくる可能性があると予想している。
 
 セルリー(セロリ)は、長野産の加温物は5月10日から例年並みの出荷で始まり、ピークは5月末頃から6月と予想される。無加温物は6月初め頃から出荷が始まり、中旬から本格化してくる見込み。露地物の始まりは6月末頃であると予想している。
 
 すいかは、鳥取産は6月初めから出荷が始まるが、ハウス物のピークは6月10日から、トンネル物のピークは6月下旬となる見込み。7月10日過ぎには量が減り、20日頃には切り上がる見込みである。現在は着果時期を迎えているが、生育順調である。倉吉地区の品種は「祭ばやし」、大栄地区の品種は「春のだんらん」である。
 
 メロンは、千葉産の「貴味(たかみ)」は、出荷が例年よりやや遅く、6月中旬から始まりピークは6月下旬から7月上旬の見込み。作付けは前年並みである。
 
(執筆者:千葉県立農業大学校 講師 加藤 宏一)

 
タイトル: p020a