各産地とも2月の天候が悪く、特に関東産の露地ものの秋冬作が減少する時期や、春作との端境期の有無の予想がつかないといった声が多いが、4月の春作は順調に入荷する見込みである。また、果菜類は寒暖差が激しかったことにより施設の温度管理が難しく、理想的な生育環境とはならなかった。
4月の価格は、全国的な出回り不足から平年を上回ると予想される。
だいこんは、千葉産(東葛)の出荷は内陸の産地からとなり、若干前進気味で、3月下旬頃から始まり、4月中旬から連休にかけてがピークと予想される。出荷は5月いっぱいまでで、作付面積の減少によりやや前年を下回る可能性もある。肥大は問題なく、サイズは2L、L中心の見込みである。千葉産(ちばみどり)は、秋冬作は2週間程の前進となったが、春作も順調で3月中旬からピークとなると予想される。4月もピークが続き、少なくなるのは5月20日頃からと予想される。2Lサイズ中心で、肥大も良好である。
にんじんは、徳島産はほぼ例年と同じ3月10日前後から始まり、20日頃に出揃って4月20日頃まで横ばいで推移し、その後減りながら5月10日前後に切り上がると予想される。2月の降雨により肥大は問題なく、Lサイズ中心で、作柄は平年並みである。静岡産は、例年どおり4月初めから出荷が始まるが、現状は若干の前進傾向と予想している。ピークは4月中下旬で、連休明けには切り上がると予想される。作付けは前年の90%と減っている。Lサイズ中心で、品種は栽培が難しい「ベーターリッチ」である。
キャベツは、神奈川産は出荷がすでに始まっており、現状は3週間程前進している。ピークは3月終わりごろから4月中旬で、5月の連休時期には少なくなると予想される。3月は前年を上回る出荷となり、4月は少なくなると予想される。千葉産は3月に入り端境期となって少なめの出荷が続き、4月10日頃に増え、最大のピークは5月中下旬と予想している。4月の出荷は前進の影響によりやや少ない見込み。愛知産の現状は春ものが増えてきている。2月末の段階では冬ものは60%の進捗率で、今後4月上中旬まで「冬のぼり」などの品種は出荷できると予想している。肥大は問題なく、6玉サイズが中心と予想される。4月の出荷量は、現状までの出荷実績から判断してほぼ前年並みと予想している。
はくさいは、茨城産の春ものは、前年より2週間程度早く、3月に入ってすぐの出荷開始と予想される。秋冬ものは3月上旬まで残る見込みである。春もののピークは例年3月末から4月であるが、今年は3月中旬がピークと予想される。現状は定植中でもあり、トンネルものと露地ものの端境期があると予想される。出荷は6月中旬までの見込みである。
ほうれんそうは、岩手産は2月27日に40センチメートルの積雪があり、当初の前進はやや抑えられると予想している。出荷は一部の生産者から3月中旬後半頃から始まり、4月は特別増えることなくほぼ一定ペースで出荷されると予想される。生産者が年々減少しているため、例年を下回る出荷と予想される。群馬産は暖冬の影響により葉が黄変するなどの品質低下がみられ、収量は少なくなっている。ピークは過ぎているが、引き続き平年を下回る出荷が続くと予想している。露地ものは4月上旬まで、ハウスものは6~7月と続き、4月としては前年を下回ると予想される。
ねぎは、千葉産は3月20日頃から春ものの出荷となるが、昨年の猛暑・干ばつの影響がなく、平年並みを予想している。春ものは5月20日までで、4月20日には夏ねぎも出始めると予想される。全体の作付けはやや減少傾向だが生育は順調で、前年を上回る出荷が予想される。埼玉産は3月中下旬に目揃え会を実施した後、春ねぎの販売開始となる予定である。出荷は5月いっぱいとなるが、昨年の猛暑・干ばつの影響が残り、例年よりも少なめの出荷が予想される。
レタスは、茨城産は平年より10日程度前進しており、端境期の時期の予想がつきにくい。3月下旬には出荷量が減り、4月には通常通り露地ものが増えると予想している。5月の連休までは出荷が多く、中旬には少なくなると予想される。兵庫産は、春に向かって暖かくなるに連れ生育スピードが増し、4月に入ってピークとなると予想される。この状態が続けば豊作傾向だが、作付けの減少もあり前年並みかやや減ると予想される。5月中旬以降は減少すると予想される。サイズはL(19玉)中心と、例年並みである。香川産は温暖な天候が続いて現状は出荷が増えてきており、肥大も良好である。3月までこのペースが続き、4月に入り減りながら推移すると予想される。4月としては例年よりも少なく、5月下旬には切り上がると予想している。長崎産は気温が高く、現状7日以上前進しており、3月の中旬に出る物が2月末頃に出始めた。そのため3月中旬以降に減ってくるが、4月に入り再び増え、5月には減ってきて、月末頃には切り上がると予想される。
きゅうりは、宮城産が3月10日頃から収穫が始まり、4月10日過ぎに出揃い、5月のピークに向けて増えていくと予想される。順調に推移してきたが2月下旬の天候不順により、3月の出荷に多少の影響が出ると予想される。作付けは前年を下回っている。宮崎産は、例年は3月後半からピークになるが、2月の初めから天候が崩れ始めたため、3月の天候も良くなければ4月の出荷は増えにくくなると予想される。樹勢が回復しなければ、4月は前年を下回ると予想している。例年の切り上がりは6月であるが、入梅の状況次第では早めに切り上がることが予想される。群馬産は生育期間中の寒暖の差が激し過ぎたことにより、生育に時間がかかっている。曇雨天や高温など、温室の管理が非常に難しい状況である。4月の出荷は3月より増量してピークとなり、量を維持できると予想される。
なすは、高知産は2月の天候不順の影響により出荷が減少している。暖冬の影響により3月に増えて、4月は前年並みと予想している。岡山産の現状の生育は順調である。天候は暖かく、平年並みの収穫量を予想している。高齢化により作付けは前年の92%と減っている。3月15日頃から増えてピークは長く続き、例年のパターンでは4月中旬に特に多く、5月中旬に再び多くなると予想される。品種は「千両2号」である。福岡産は2月の天候不順の影響により、実が軽く細かった。3月に増えて、4月がピークとなり、6月に切り上がる見込みである。
トマトは、福岡産は4~5月がピークで、徐々に増えると予想される。全体的に順調であるが、灰色カビ病や粉シラミといった病害虫も散見される。栽培面積は年々減少し、ピーク時の70%程度である。Sサイズ中心で、6個入りパックで出荷される見込みである。このほか、中玉の「フルティカ」の出荷もあり、順調である。栃木産は暖冬により生育は順調で、3~4月と横ばいで推移し、5月がピークとなる見込み。品種は「桃太郎系」を中心に「カレン」である。4月の出荷は前年並みを予想している。熊本産の現状は着果の悪かった段の出荷となっており、3月は一定のペースでの出荷が見込まれるが、下旬から回復してきて4月中下旬からピークになると予想している。日照が少なく、湿度も高い状態が続いている。千葉産の生育は順調であり、7月まで続く越冬物の着果に問題はなく、出荷に大きなピークはないと予想される。品種は「カレン」で、4月はMサイズを中心に平年並みの出荷を予想している。
ピーマンは、宮崎産は天候に恵まれて昨年内に多く出荷された影響により、1~2月は少なめとなった。3月には回復して5月まで多いが、当面は4月中下旬がピークと予想される。カラーピーマンは3月がピークで、4月から徐々に減り始め7月上旬までと予想される。茨城産の春ものの出荷は2月に始まり、天候に恵まれ生育は順調である。2月下旬に曇雨天が続いたが、花付きは問題ない。ピークは5月の連休明けから6月までと予想される。そのほか温室ものの生育も順調で、4月としては前年を上回る出荷と予想される。
ばれいしょは、鹿児島産の早春ものは例年と同様3月上旬で終了すると予想される。春ものはやや間をおいて、3月20日過ぎに例年よりやや早いタイミングで出荷が始まる見込みである。特に気象の影響はなく生育は順調で、4月中下旬にピークとなると予想される。5月に減り始めるが、量的には前年を上回ると予想される。品種は引き続き「ニシユタカ」であり、そのほか「メークイン」もある。長崎産の春ものは例年と同様、4月下旬に出荷が出揃う見込みであり、月初には走り物の出荷があると予想される。生育は順調で、5月の連休明けがピークとなり、平年作を予想している。引き続き「ニシユタカ」を中心に「アイマサリ」なども出荷される見込みである。
たまねぎは、佐賀産は3月初めの段階では
極早生の出荷となっており、ほぼ例年並みのペースである。早生に切り換わるのは4月中旬以降と予想される。現状の降雨量は平年よりも多めで、生育は順調である。兵庫産の現状は、少量ではあるが極早生の出荷が始まった。生育は順調で、東京市場への出荷は4月末頃から始まると見込まれる。3月に入っての病気の発生にも留意したい。香川産は全体の10%を占める早生が4月20日頃から始まり、メインの中早生・中晩生は5月に入ってからと予想される。作付けは前年並みである。千葉産は4月中旬から出荷が始まり、5月上中旬ピークと予想される。生育は順調である。輸入の中国産のむきたまねぎは、引き続き定量で入荷すると予想される。現地の作付けが増えて価格は安くなっている。そのほかNZ産の入荷も計画されるが、前年並みかやや少ないと予想している。船賃が下がっているため価格も下がっている。さらに、オランダからサンプルも到着しているが、実際の入荷は国内の価格次第である。
ブロッコリーは、愛知産は4月にはトンネル物の春ブロッコリーが始まり、秋冬物も残るため端境のない出荷が続くと予想される。「
恵麟」などの春ブロッコリーが前進しており、4~5月の連休明けまでピークが続き、5月下旬後半に急減すると予想される。茨城産の春ブロッコリーは4月末から始まり、ピークは5月で、量的には前年を下回ると予想している。生産者の高齢化により春作を止めて秋冬作だけにしていることもあるが、秋作は不作で大幅に少なかった。香川産の現状は出荷のピークを迎えているが、3月下旬から4月に入り一旦減る見込みである。5月連休前後から再びピークが来て、切り上がりは5月末頃と予想される。作付けは前年並みである。埼玉産の現状は秋冬作の終盤で、3月に入り減少して出荷の谷間に入ると予想される。3月20日頃に春作が出荷され、4月に入り本格化して中旬がピークとなり、5月の連休が始まる前頃には切り上がると予想される。
アスパラガスは、新潟産は珍しく積雪量が少なく、4月初め頃には積雪がなくなると予想され、例年5月連休明けに始まる出荷が、今年は4月最終週から始まる見込みである。ハウス物はなくすべて露地物で、株は昨夏の猛暑による病気の発生もなく、充実している。
かぼちゃは、沖縄産は昨年内から天候に恵まれて順調に推移し、3月に出荷のピークとなった。しかし、一部産地が干ばつの影響を受けている。4月は3月よりも減ってくるがまだまだ多く、5月に入りかなり少なくなると予想される。
スイートコーンは、沖縄産は4月15日頃から出荷が始まり、生育は順調で、4月25日前後をピークに、5月上旬に切り上がると予想される。品種はバイカラーの「グラビス」である。宮崎産のハウス物は4月初めから出荷が始まり、5月にはトンネル物が始まると予想される。6月には露地物も始まる予定で、作付けは前年並みかやや減である。品種は「ゴールドラッシュ」である。
そらまめは、鹿児島産は3月下旬から始まり、4月15日~20日をピークに連休前頃に切り上がると予想される。作付けは若干減少しているが、生育は順調で、出荷は前年を上回ると予想している。
グリーンピースは、鹿児島産の出荷は2週間ほど早まり、3月下旬がピークで、4月に入り徐々に減り始めると予想される。5月の連休にはかなり少なくなると予想している。
いんげんは、沖縄産の出荷は3月18日から4月20日までがピークと予想される。その後緩やかに減少し、5月10日頃に切り上がると予想される。
えだまめは、千葉産のハウス物は4月20日から始まる予定で、高齢化により作付けは前年をやや下回っている。沖縄産は4月20日頃から東京市場で販売が始まり、5月上旬をピークに下旬までと予想される。
かんしょは、徳島産は昨年内の収穫作業が遅れたことや収量が多いことにより、現状の在庫は前年より多い。京浜市場への出荷は4月いっぱいで、関西市場には6月いっぱいの出荷を計画している。前年より土壌条件が良く、出荷は前年を上回る見込み。
にらは、高知産は昨夏の高温の影響により、例年ほど生育が良くない。このため1~2月は量的には減っていないが、この先3~4月は丈が短めで、出荷が減少すると予想される。
たけのこは、千葉産の出荷は例年2月20日頃からであるが、今年はやや遅れて3月初めからで、ピークは3月末頃から4月の初めで、4月末には切り上がると予想される。今年は裏年であり前年を下回る見込みである。福岡産は今年は
表年であるが、前年の秋口に降雨が少なかったことや、高齢化により多く収穫できないと予想される。雨が多くなれば3月30日頃から出荷のピークが始まり、例年通りであれば4月10日頃までと予想される。終盤は4月25日頃であるが、缶詰業界からの引き合いが強まると市場出荷は早く切り上がると予想される。
メロンは、茨城産の「オトメメロン」の出荷は4月上旬に始まり、5月上旬までと予想される。「アンデスメロン」は4月20日前後から始まり、5月中下旬にピークとなり、6月上旬に切り上がると予想される。「クインシーメロン」は早い物が4月下旬から始まり、多くなるのは5月中旬で、6月中旬には切り上がると予想される。作付けは前年並みだが、20年以上前のピーク時から比べると、部会の人数が三分の一まで減っている。またセンサー選果のため、味のばらつきはなく、糖度も高い。
こだますいかは、茨城産は3月1日から出荷が始まり、ピークは5月下旬から6月までと予想される。2月後半の天候不順により、4月中旬の出荷物に影響が出て、少なくなると予想している。つるの伸長は非常に良好であることから、そのほかの時期は着実に出荷できると予想している。
(執筆者:千葉県立農業大学校 講師 加藤 宏一)