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需給動向 野菜情報 2024年2月号

1 東京都・大阪市中央卸売市場の需給動向(令和5年12月)

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野菜振興部・調査情報部

【要約】

⃝東京都中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は12万678トン、前年同月比96.2%、価格は1キログラム当たり257円、同108.1%となった。
⃝大阪市中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は3万9555トン、前年同月比93.8%、価格は1キログラム当たり234円、同111.4%となった。
⃝2月は、各産地、各品目とも潤沢な出荷を維持し、平年並みかやや下回る価格になると予想される。

(1)気象概況

 上旬は、全国的に天気は数日の周期で変わり、本州付近は高気圧に覆われる日が多かったため、旬降水量は、北・西日本日本海側と東日本太平洋側でかなり少なく、北・西日本太平洋側と東日本日本海側で少なかった。旬間日照時間は、北・東・西日本太平洋側でかなり多く、北・東・西日本日本海側で多かった。旬平均気温は、期間の後半を中心に大陸からの寒気の流れ込みが弱く、日本の北を低気圧が通過して暖かい空気が流れ込んだ日もあったため、北日本で高く、東・西日本では平年並だった。
 中旬は、本州付近を中心に、16日頃までは前線を伴った低気圧が繰り返し通過したため、曇りや雨または雪の日が多く、気温は平年を大きく上回る日が続いた。一方、17日頃からは冬型の気圧配置が強まったため、48時間降雪量の日最大値が、北海道留萌(るもい)(19日に105センチメートル)で観測史上1位の値を更新するなど、北・東日本日本海側を中心に大雪となった所もあり、強い寒気の影響で全国的に気温が平年を下回る日が多かった。旬降水量は、西日本でかなり多く、北日本と東日本で多かった。旬間日照時間は、北日本・西日本と東日本太平洋側でかなり少なく、西日本日本海側の旬間日照時間平年比は47%で、1961年の統計開始以降、12月中旬として1位の寡照となった。東日本日本海側では平年並だった。また、旬平均気温は、東日本・西日本でかなり高く、北日本では平年並だった。
 下旬は、期間の前半は、冬型の気圧配置に伴って強い寒気が流れ込んだため、全国的に気温が低く、48時間降雪量の日最大値が石川県輪島で観測史上1位(23日に60センチメートル)の値を更新するなど、北・東・西日本日本海側で大雪となった所があった。期間の後半は、冬型の気圧配置が緩み、北・東日本太平洋側を中心に高気圧に覆われて晴れて気温の高い日が多かった。旬降水量は、東日本日本海側でかなり多かった。一方、西日本と北日本太平洋側で少なく、北日本日本海側と東日本太平洋側では平年並だった。旬間日照時間は、北・東日本太平洋側でかなり多く、東日本日本海側と西日本で多かった。一方、北日本日本海側では平年並だった。旬平均気温は、北・西日本で低く、東日本では平年並だった。
   旬別の平均気温、降水量、日照時間は以下の通り(図1)。

タイトル: p011a

(2)東京都中央卸売市場

 東京都中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は12万678トン、前年同月比96.2%、価格は1キログラム当たり257円、同108.1%となった(表1)。

タイトル: p011b
 
 根菜類は、にんじんの価格が堅調な動きとなり、前年、平年とも2割近く上回った(図2)。
 葉茎菜類は、ねぎの価格が、関東産の出荷が追い付いてきた中旬以降落ち着いたものの、それまでの高値が残る展開となり、前年、平年とも2割以上上回った(図3)。
 果菜類は、ピーマンの価格が、中旬以降底上げとなったものの、高めに推移した前年を2割近く下回り、平年をわずかに下回った(図4)。
 土物類は、たまねぎの価格が、数量不足から堅調な推移となり、前年を8割近く上回り、平年を7割以上上回った(図5)。
 なお、品目別の詳細については表2の通り。
 
タイトル: p012

タイトル: p013
タイトル: p014a

(3)大阪市中央卸売市場

 大阪市中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は3万9555トン、前年同月比93.8%、価格は1キログラム当たり234円、同111.4%となった(表3)。
 品目別の詳細については表4の通り。

タイトル: p014b
 
タイトル: p015
タイトル: p016

(4)首都圏の需要を中心とした2月の見通し

 10月以降、全国的に気温高で推移したことにより、重量野菜を中心に大幅に生育が前進して収穫が追い付かない状況が続いている。年内の在庫が完全にはけなかったため、年明けに果菜類を中心に価格は大幅に下がった。「クリスマスや正月商材の消費が以前ほどない。」との小売商の声もあった。
 2月は、各産地、各品目とも潤沢な出荷を維持し、平年並みかやや下回る価格になると予想される。

タイトル: p017a
 だいこんは、千葉産はキャベツと同様に1カ月程度前進している。トンネル物も例年より早く、1月下旬には出荷が揃い、2月は前年を上回る出荷が予想される。Lサイズ中心で、2Lも増えると予想している。徳島産の生育は順調で、早めに出荷が始まり12月下旬にピークとなった。年明けは年末よりも減るが、2月中旬まではまとまった量が出荷され、前進の影響により2月としては平年を下回ると予想される。2Lサイズ中心で、肥大は問題ない。神奈川産は11月のまとまった降雨の影響により大幅に前進した。年末年始の高温によりさらに前進する懸念が残る。2月までは年内と同様2Lサイズを中心に順調に出荷されると予想される。静岡産の出荷のピークは1月中下旬から2月中旬までで、現状はやや遅れている。作付けは前年並みで、サイズは2L中心と予想される。
 にんじんは、千葉産は霜が降りていないこともあり、収穫作業が進んで2週間ほど前進しており、出荷は2月いっぱいでほぼ終了すると予想される。2月としては例年の80%程度の出荷と予想される。肥大も問題なく、引き続き2Lサイズ中心と予想される。徳島産の出荷は3月に入ってからで、ピークは中旬からと予想される。初期の干ばつで()き直しした部分もあるが、現状はほぼ平年並みの状況である。6月中旬まで出荷できると予想される。

タイトル: p017b
 キャベツは、愛知産の生育は順調で、2~3週間の前進となっている。後続の作も前進しており、出荷の谷間は生じない見込みである。大きさは8玉サイズで、1月に続き2月の出荷も前年を上回るが、天候では少々干ばつ気味である。千葉産の現状は順調で、豊作となっている。1月に入り気温が下がれば出荷は一旦減り、2月には再び増えると予想している。神奈川産は乾燥が続いたが、11月の降雨により前進傾向となっている。豊作基調で品質も良く、引き続き2月も問題なく潤沢な出荷と予想される。
 はくさいは、茨城産は春作の準備のため12月下旬に入り少なめとなった。11月に急増した影響により価格が低迷し、12月に入って出荷調整を行った。圃場(ほじょう)に十分残っているため1~2月は問題なく出荷できるが、2~3月の切り上がりは例年より早めと予想している。兵庫産は9月下旬から10月上旬に定植したため、特別猛暑の影響はない。12月に出荷が始まり下旬にピークとなり、1月中旬まで続いて2月10日頃まで多い見込みである。冷蔵品の出荷は3月20日頃まで。4玉サイズを中心に、作付けは平年並みである。
 ほうれんそうは、埼玉産の生育は順調で前進している。1月中下旬に少なくなり、2月に入り前年並みに追いつくと予想している。栃木産の現状はほぼ平年並みで、1月後半から2月も天候が安定すれば順調な出荷と予想される。作付けの減少はあるものの、量的には前年並みと予想される。「縮みほうれんそう」は播種(はしゅ)後、10~12月が高温傾向だったことにより正品率が低く、当面少ない予想である。
 ねぎは、茨城産は12月から平年並みの出荷に回復し、引き続き2~3月も潤沢な出荷ペースを維持できると予想される。Lサイズ中心でやや細めである。千葉産は遅れていたが、12月には回復し、2月も例年通りの出荷と予想している。肥大はあまり順調でなく、やや細めと予想される。3月は春ねぎの出荷が始まるため量的に減るのは4月に入ってからと予想される。
 レタスは、静岡産は1月に続き2月も順調な出荷が続き、下旬はシーズンの終盤に近付くため減少すると予想される。適度な雨があるため生育環境は良い。長崎産は12月下旬の寒波による降雪や寒害もなく順調である。年明けに増えて1月下旬から減少する例年並みの展開と予想される。2月に入りやや前倒し気味となり、3Lの12玉サイズ中心と予想される。茨城産はトンネル物で、例年より1旬以上前進し、2月に入り活発に出回ると予想している。ただ全般に干ばつ気味で、その分の前進は抑えられると予想される。

タイトル: p018a
 きゅうりは、高知産が年末に出荷のピークとなったが、暖冬の影響もあって1~2月もそのままピークが続くと予想している。今年も寒暖差が大きいため、出荷の変動はあると予想される。積雪の影響によりかなり少ない時期があった前年を上回ると予想している。群馬産は寒波の影響もなく生育は順調で、2月に入り量的にまとまってくると予想される。全生産者の出荷が揃うのは3月の初めから。
 なすは、岡山産は11月にピークが来てその後の寒さで減少している。作付面積は若干減少しているが、生育は順調で、単収が上がって量的には前年並みの出荷となっている。1月に少なくなり、3月には日照が増えて出荷も増加し始めると予想される。最大のピークは5月で、品種は例年と同様の「千両」である。福岡産は年内の成り疲れにより年明けの出荷は減少した。1月末頃から再び増え始めて4~5月が最大のピークと予想される。年内の出荷は前年を上回り、樹勢は良好である。
 トマトは、熊本産の12月は生育の遅れにより平年より少なかった。その分、年明けが多くなり、2月中下旬は着花が良くないこともあり平年を下回る可能性もある。天候に特別問題がないことから、全体的には平年並みの展開を予想している。M・Lサイズ中心で、品質は充実している。愛知産は促成物で植え替えの時期となるため1~3月の出荷量は少ないが、量的は平年並みの見込みである。ミニトマトは1月初め頃に大きなピークが来て、その後は平年並みに少なくなってくる。この後の最大のピークは4~5月と予想される。佐賀産の「光樹とまと」は例年と同様1月13日からのスタートである。当面のピークは3~4月で、2月は増えながら推移すると予想される。作付けは前年並みである。
 ピーマンは、茨城産は2月1日から半促成物の春ピーマンの出荷が始まるが、現状の苗の状況は進んでいる。量的には期待できるが、作付面積の減少と作が後ろにずれていることから、前年を上回ることはないと予想している。高知産の現状は出荷の山谷の発生もなく、順調に推移している。天候が安定していることから病気の発生もない。2~3月は徐々に増えながら例年と同様のペースで推移すると予想される。鹿児島産の現状は天候が良すぎたことや激しい寒暖差により成り疲れや病害が見られる。そのため1~2月はやや少なく、2月後半には増えてくると予想される。

タイトル: p018b
 さといもは、愛媛産の「女早生」は夏の高温・干ばつにより2023年産は例年の80%と少なかった。年内は前年並みに出荷し、現状の残量は少なく、4月初め頃まで前年の60%程度の出荷と予想される。Lサイズ中心である。
 ばれいしょは、北海道産の2023年は豊作年であった。市場出荷は2月いっぱいで前年を上回る出荷と予想され、3月は加工向けのみとなる。引き続き2L・Lサイズ中心である。鹿児島産は種いもの入手が遅れたことにより植え付けが例年より2週間程度遅れた。その影響により出荷は1月末からと予想している。出荷のピークは3月の初め頃で、2月は例年より少なめを予想している。出荷は4月いっぱいを予想している。
 たまねぎは、北海道産(きたみらい)の2021年は不作、22年は豊作気味と平年値が難しいが、現状は平年より少なめの出荷となっている。23年の収穫量は前年の91%となっている。貯蔵庫の規模が変わらないため、年明けは平年と同様の出荷と予想される。中心サイズはL大・Lである。北海道産(岩見沢)の現状は平年並みの出荷となっているが、年明けは減少し3月下旬で切り上がると予想される。1~2月は前年の80~90%で、サイズはL中心であるがMも多い見込みである。静岡産の黄たまねぎは1月初めからで2月が出荷のピークと予想される。白たまねぎは2月に入ってかなり少なくなると予想される。1月の出荷が前進気味になると、3月はかなり減少すると予想している。熊本産の葉付きたま ねぎは例年通り1月下旬から始まると予想される。2月にピークとなり、同月末頃に終了すると予想される。3月は通常のたまねぎの出荷となるが、生育は順調である。葉付きたまねぎは不作気味であった前年を上回ると予想される。

タイトル: p019
 ブロッコリーは、愛知産は12月下旬の冷え込みにより一時少なくなったが、生育は順調で、1~2月まで引き続きピークが続き、3月に減少すると予想される。
 
 アスパラガスは、佐賀産のハウス物は2月に入って本格的にスタートすると予想している。ピーク時に比べると作付面積は減り、さらに株も古くなり単収は落ちている。当面の春のピークは2月の終わり頃から3月初めにかけてで、夏のピークは6月下旬から7月である。
 
 かんしょは、徳島産は収穫の遅れから少なめの出荷であったが、12月から平年並みに回復した。1~3月は徐々に減ると予想される。千葉産の品種は「紅はるか」「紅あずま」で、貯蔵物で例年並みの出荷と予想される。夏の干ばつの影響はなく、品質も例年と同様で問題ない。
 
 ながいもは、北海道産は豊作で、例年より長いサイズに仕上がっている。そのため収穫時に折れやすく、カット品などのB品が多くなっている。気温高により例年より粘りが少ない。収量は平年より10~20%多い見込み。
 
 ごぼうは、宮崎産の新ごぼうは11月から始まって現状ピークで、2月に入り徐々に減り、3月にはさらに少なくなると予想される。現状は例年を上回る出荷になっているが、病気の発生もなく自然災害もない。出荷形態は150グラム袋の1本入り、200グラム袋は2~10本入りの二つで、いずれも洗いごぼうである。
 
 かぼちゃは、沖縄産は若干遅れてはいるが、1月下旬から出荷が始まると予想される。生育は順調で、県外へは週1回ペースで出荷が始まる。出揃うのは3~4月で2月は徐々に増えながら推移すると予想される。品種は「えびす」と「栗五郎」である。輸入のニュージーランド産は2~5月まで大きな問題もなく順調に入荷すると予想している。前年はハリケーンの影響で少なかった。品種は日本の消費者にも馴染みのある「えびす」中心である。
 
 きぬさやえんどうは、沖縄産は10~11月の高温の影響により遅れているが、不作だった前年より順調で、2月は前年を上回る出荷と予想され、ピークは3月中旬である。
 
 スナップえんどうは、鹿児島産は例年12月から2月までは横ばいで推移するが、寒波の影響もなく引き続き順調である。
 
 そらまめは、鹿児島産の1~2月は順調で横ばいで推移し、3月に入り少なくなってくると予想される。
 
 たけのこは、福岡産の「合(お)馬(うま)の筍」は表年(おもてどし)ではあるが、年内の出荷は例年より少なかった。雨が少なく肥大が悪かったためだが、3~4月には回復すると予想される。大阪と京都市場への出荷であり、鮮度重視のため朝採りした同日深夜市場着の出荷体制となっている。
 
 ナバナは、千葉産は12月中旬まで続いた高温により2週間程度の前進となっている。年明けに少なくなる可能性もあるが、基本的に生育は順調であり、3月の節句の時期の出荷に向けて増加すると予想される。
 
(執筆者:千葉県立農業大学校 講師 加藤 宏一)
 
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