東北産が全般的に早く切り上がり、関東産や西南暖地産が中心となってきている。果菜類は10月の底の時期を脱して11月は増えながら推移し、12月には平年並みに回復してくると予想される。キャベツやだいこんは暖冬により大幅に前進し、今後は採り遅れが懸念されるところである。この前進によって、年明けの2~3月の出荷が大幅に少なくなることも心配しなければならない。葉物野菜は、10月後半から11月にかけての晴天により生育は順調で、年末年始に大幅な値上がりはないと予想される。しかしながら、暖冬による前進により品薄となる不安があるため、価格は平年より堅調な展開が予想される。
だいこんは、千葉産の現状はかなり遅れているが、年末には回復してくると予想される。時期をずらして
蒔いており、欠株(発芽不良)した分は11月上旬には回復すると予想される。現状では雨が少ないが、肥大は問題ない。今後、価格が回復すれば、Lサイズ中心で出荷は進むと予想している。神奈川産の10月の早い作型の物はそれほど良くなかったが、11月の出荷物から回復すると予想している。12月はピークとなり、例年並みの出荷を予想している。当面は暖秋さらに暖冬予想から肥大は良く、2Lサイズが多くなると予想される。「三浦大根」は12月25・26・27日の販売を予定しており、作付けは前年を下回っている。静岡産はほぼ例年同様に12月から出荷が開始し、ピークは1~2月で、年内はそれほど増えることはないと予想している。作付けは前年並みである。
にんじんは、千葉産は
播種時期の高温・干ばつによる遅れや、9月の降雨による蒔き直しの影響で少なめの出荷となっている。それでも11月20日過ぎから12月上旬に1回目のピークが来ると予想される。低温になると葉が枯れてしまい、機械掘りができなくなるため、年明けは少なくなると予想される。3月上旬まではまとまって出荷でき、切り上がるのは4月上旬と予想される。埼玉産の出荷は例年と同様に11月中旬から始まるが、今年は干ばつのため発芽に苦労し、少ないと予想される。猛暑の影響により、期間を通して平年作を下回る可能性がある。出荷は1月まで続き、ピークは12月で、サイズはM・L中心と予想される。香川産は11月30日からの例年どおりのスタートと予想している(5キログラム箱は10月末から始まっている)。欠株(発芽不良)により作付けは59ヘクタールと前年の98%に減少している。12月25日売りで年内は終了し、年明けは全体の10%もなく、ほとんど年内販売が中心となる。高温下で肥大も良好で、サイズは2L・Lが中心である(品種は「金時人参」)。
キャベツは、愛知産の現状は平年並みまで回復してきており、生育は順調である。秋以降も高温が予想されているが、特別前進することはないと予想している。12月は相場を見ながらの出荷となり、サイズは引き続き8玉サイズ中心の前年並みと予想している。千葉産の現状は例年を下回る出荷となっているが、11月5日~10日頃には増え始め、平年並みに追いつくと予想される。12月は今後の気温次第であるが、雨が多ければ前進すると予想される。前年は前進により12月中旬から1月中旬まで少なかった。神奈川産は、干ばつの影響により定植が遅れ、11月までは欠株も見られた。その後蒔き直ししたことから、12月は平年並みで少なくなることはないと予想される。出荷開始時は小振りだが、肥大は徐々に回復すると予想される。
はくさいは、茨城産は11月中旬から例年並みに増えて来るが、定植時期に1カ月間雨が降らなかったこともあり、生育は10日程度遅れている。12月には前年並みとなり、4玉サイズが中心と予想される。
ほうれんそうは、埼玉産の播種作業は順調に行われ、気温も徐々に下がってきて平年並みの出荷となっている。11~12月の出荷はおおむね平準化されるが、12月上旬にやや減り気味となり、下旬にややピークが来ると予想している。群馬産の9月の出荷はかなり少なかったが、10月に入り平年並みとなった。11~12月は例年と同様の出荷となり、播種作業も順調に行われている。12月は寒さに伴い減少傾向となり、ピークは11月下旬と予想される。
ねぎは、埼玉産は猛暑の影響により
圃場によってはものが出来ていないところがあるが、11月中旬からは、太物が増えて品質も良くなり、12月には前年の90%程度まで回復すると予想される。千葉産の冬ねぎは、7~8月の高温や病気の発生により定植が遅れた。そのため例年より1カ月以上遅れて11月20日過ぎから出荷が始まると予想される。12月は前年をかなり下回ると予想される。茨城産は9月上旬まで続いた猛暑の影響により、現状は平年を下回る出荷となっている。11月下旬から回復に向かい、12月には平年並みに近づくと予想される。群馬産の「下仁田ねぎ」は平年並みに出荷が始まっているが、葉の損傷が見られ、肥大が例年より遅れている。出荷のピークは12月であるが、平年を下回ると予想している。
レタスは、静岡産の現状は夏の高温・干ばつの影響はなく、平年並みである。干ばつ傾向により、生育は順調であるが小玉傾向になる可能性がある。12月~翌1月がピークで、2月には減ると予想される。12月は暖冬で推移すれば例年より増加すると予想される。香川産は10月6日から始まったが、昨年より若干遅れている。現状は夜温が下がってきたため、全体としては大きな問題はない。それでも干ばつが続き過ぎたことにより、リーフ系を中心に葉が枯れて廃棄したものもあった。12月は前倒しも予想され、前年を下回る出荷の可能性もある。
きゅうりは、宮崎産の現状は生育順調である。好天のため11月中旬から量が増えて、12月にピークが来ると予想される。11月に天候が崩れて12月の出荷が伸び悩んだ前年よりは、今年は上回る出荷と予想している。埼玉産の現状は害虫の影響が多いなど、例年を下回る出荷となった。11~12月は高温が予想されていることから、ある程度回復しても、樹勢の衰えから例年を下回ると予想している。
なすは、高知産の現状は順調で、前年より多く出荷されている。新規就農者がいることから作付けが増えており、天候にも恵まれている。当面は11月中旬にピークを迎え、12月に入り少し減少するが、前年を上回ると予想している。福岡産の長なすは、現状は生育順調で平年をやや上回る出荷となっている。11月にピークが来て、12月はやや減るといった平年並みの推移が予想される。生産者は減少しているが作付けは減っていない。
トマトは、愛知産は11月中旬になってようやく平年並みに回復し、11月下旬にピークが来て、12月上旬にいったん減ると予想される。その後、中下旬には増えながら推移すると予想され、サイズはM中心の見込みである。熊本産の出荷の始まりは平年並みであったが、裂果の発生があるなど、売り物になるものが少なかった。現状は前進気味だが、今後は平年並みに回復すると予想される。11月10日頃まで増量し、中旬からは一定のペースとなり、20日過ぎには再び増えて12月には前年並みか上回る水準まで回復すると予想される。品種は「かれん」中心で、サイズはM・S中心と予想される。福岡産の現状は出荷開始時期だが、猛暑の影響により害虫の発生が多かった。品種は「桃太郎ホープ」で、12月に増えて1月まで多く、生育順調を予想している。M・Sサイズが中心で、平年を若干下回る出荷を予想している。
ピーマンは、宮崎産の現状は平年並みの出荷だが、今後は着果状況から判断すると例年より多くなると予想している。12月の出荷は天候次第ではあるが、平年を上回ると予想している。茨城産は抑制ものの秋ピーマンが中心である。8~9月は猛暑で花が落ちたり、変形果が発生したりしたために出荷量が減ったが、10月には気温が下がり平年並みに回復してきた。11~12月は日中の気温が高いと予報されていることから、着果も問題なく平年並みの出荷を予想している。
さといもは、埼玉産の今年は雨が少なく、やや生育環境が悪かったが、潅水できる圃場は生育順調である。豊作であった前年の80~90%程度の出荷と予想される。出荷は10月から始まっており、12月がピークと予想される。Lサイズ中心で、それより大きいサイズのものが少ない。
ばれいしょは、北海道産(今金町)の収量は前年より多く、豊作基調であるが、高温の影響により土壌中の発芽や腐りが見られる。サイズはL中心である。北海道産(めむろ)の主力の「メークイン」は平年作である。2月末までLサイズを中心に、平準ペースで出荷されると予想される。その他「マチルダ」「とうや」もある。長崎産の生育期は干ばつであったが、適度の降雨もあり、出荷は例年と同様12月に始まると予想される。干ばつが続くと、小玉傾向で形状も悪くなると予想される。作付けは前年並みで、品種は「ニシユタカ」を中心に「デジマ」「さんじゅう丸」「あいまさり」である。
たまねぎは、北海道産(きたみらい)は肥大不足の影響により例年よりも収量は少ない。Lサイズ中心であるが、12月の出荷は平年を下回ると予想される。北海道産(いわみざわ)は高温と雨不足の影響により、小振りの仕上がりとなっている。例年と同様に年明け3月までの出荷となるが、12月は例年を下回ると予想される。
ブロッコリーは、埼玉産の現状は平年並みの出荷となっているが、11月中旬に一度ピークが来ると予想される。12月は平年並みの出荷を予想しているが、11月上旬前半に25度を超える気温高になったことで、12月出荷分が大幅に前進する可能性がある。
ごぼうは、熊本産の新ごぼうは生育初期の高温と少雨が影響し、例年の11月20日頃の出荷開始より7~10日遅れており、12月に入ってからと予想される。出荷のピークを年末に調整したいところであるが、少し後ろにずれて年明けもやや多い見込みである。
れんこんは、茨城産は大きめの仕上がりで、やや豊作傾向である。12月29日までピークが続き、12月は前年並みの出荷と予想している。夏の猛暑の影響はない。
かぼちゃは、輸入のメキシコ産が年末を迎え出回りのメインになる。最初のコンテナは11月末か12月初め頃入港すると予想される。入荷は12月中下旬がメインになり、輸入量は前年並みを予想している。産地はメキシコの太平洋岸ソノラ州にあるが、今年の生育は順調である。品種は栗系の「007」で国内の品種ではない。サイズは一般的な5玉中心と予想される。円安の影響のほか国内産が少ないことにより、価格は例年より高めと予想される。
かんしょは、千葉産の収穫はほぼ終了した。猛暑・干ばつの影響はなく、平年作である。Lサイズ中心の肥大は平年並みで、年内は「シルクスイート」中心が予想される。徳島産の収穫量は平年並みで、前半の出荷は少なめであったが、後半に入り落ち着いてきた。12月が出荷のピークで、12月22日で出荷が終了する予定である。
いちごは、福岡産は現状までのところ、干ばつの影響により定植した苗の活着が悪く生育が遅れている。さらに病気の発生により苗が足りなくなったが、何とか回復している。12月中下旬の需要期には問題なく対応できると予想される。品種は「あまおう」のみで、作付けは前年並みである。栃木産は今年から、県下の品種構成が「とちあいか」が60%、「とちおとめ」が40%とこれまでと比率が逆転し、12月の出荷予想が難しい。早いものは10月5日から出荷が始まったが、12月の出荷は予断を許さない。全体の作付けは前年並みである。
くわいは、広島産は11月7日から全国出荷を開始する。試し掘りはまだであるが、地上部の葉の様子を見る限り順調で、高温障害もないと予想される。作付けは11ヘクタールと前年並みで、12月20日には販売終了すると予想される。
柚子は、高知産は12月に出荷が始まり、上旬にピークを迎えると予想される。22日を過ぎると業務用の出荷となる。台風による減収もなく、順調である。特に東京市場に多く出荷され、スーパーなど一般の家庭向けが中心である。
ナバナは、千葉産の現状は例年と同様に始まっている。最大のピークは年明け2月であるが、12月は200グラム結束物と、100グラムパック物の出荷である。量的には例年を下回るが、正月商材としてまとまった出荷ができると予想される。
七草は、佐賀産は12月30日から出荷が始まり、東京市場では1月2日から売りが始まる。1月5日にパック詰め作業し、6日出荷で終了の計画である。現状七つの野菜の生育は順調である。
(執筆者:千葉県立農業大学校 講師 加藤 宏一)