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需給動向 野菜情報 2023年11月号

1 東京都・大阪市中央卸売市場の需給動向(令和5年9月)

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野菜振興部・調査情報部

【要約】

⃝東京都中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は11万691トン、前年同月比91.6%、価格は1キログラム当たり309円、同116.4%となった
⃝大阪市中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は3万8506トン、前年同月比96.0%、価格は1キログラム当たり267円、同110.8%となった。
⃝11月は、10月までの品薄による高値推移から、平年並みの価格に落ち着くと予想される。

(1)気象概況

 上旬は、北・東・西日本では、太平洋高気圧に覆われて晴れた日もあったが、熱帯低気圧や台風、前線の影響で曇りや雨の日もあった。特に、台風第13号の影響で記録的な大雨や線状降水帯が発生した所もあったため、旬降水量は、北日本太平洋側でかなり多く、東日本太平洋側で多かった。一方、北・東・西日本日本海側と西日本太平洋側では平均並だった。旬平均気温は、北日本を中心に暖かい空気に覆われやすかったため、北・東日本でかなり高く、西日本と沖縄・奄美で高かった。旬間日照時間は、全国で平年並だった。
 中旬は、北日本では、気圧の谷や前線、湿った空気の影響を受けやすかったため、旬降水量は、北日本日本海側でかなり多く、旬間日照時間は少なかった。東・西日本では、太平洋側を中心に高気圧に覆われて晴れた日が多かったため、旬間日照時間は多く降水量は少なかった。一方、西日本日本海側においては、前線や湿った空気の影響を受けやすかったため、旬降水量は多かった。旬平均気温は、暖かい空気に覆われやすく、また南から暖かい空気が流れ込みやすかったため、北・東・西日本でかなり高かった。1946年の統計開始以降、9月中旬として、東日本(平年差+4.0℃)で1位、西日本(平年差+2.5℃)で1位タイの高温となった。旬間日照時間は、北日本太平洋側と東・西日本日本海側では平年並だった。旬降水量は、北日本太平洋側、東日本日本海側では平年並だった。
 下旬は、北日本と東・西日本日本海側では、旬の前半は、高気圧に覆われて晴れた日が多かったが、後半は、低気圧や前線の影響で曇りや雨の日が多く、旬降水量は西日本日本海側で少なく、北・東日本日本海側で平年並みだった。旬間日照時間は、東日本日本海側で少なく、北・西日本日本海側と北日本太平洋側では平年並みだった。東・西日本太平洋側では、旬の前半は、秋雨前線の影響を受けて曇りの日が多く大雨となった所もあったが、後半は、上空の気圧の尾根の影響で晴れた所が多かったため、旬間日照時間は多かった。旬降水量は、西日本太平洋側でかなり少なく、東日本太平洋側で少なかった。北日本太平洋側で多かった。旬平均気温は、旬の後半を中心に暖かい空気に覆われやすかったため、全国的にかなり高かった。1946年の統計開始以降、9月下旬として、東日本(平年差+3.2℃)と西日本(平年差+2.9℃)で1位の高温となった。
 旬別の平均気温、降水量、日照時間は以下の通り(図1)。

タイトル: p010a

(2)東京都中央卸売市場

 東京都中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は11万691トン、前年同月比91.6%、価格は1キログラム当たり309円、同116.4%となった(表1)。

タイトル: p010b

 根菜類は、にんじんの価格が数量減から堅調な動きとなり、大幅な高値で推移した前年をかなりの程度上回り、平年を5割以上上回った(図2)。
 葉茎菜類は、ねぎが給食需要などが回復したことにより太物が少ない中で引き合いが強まり、さらに降雨や稲刈りなどの作業も重なって出荷量が減少したため、下旬に向けて価格を上げ、高めに推移した前年を3割以上上回り、平年を4割以上上回った(図3)。
 果菜類は、トマトの価格が中旬以降高騰し、前年を3割近く上回り、平年を3割以上上回った(図4)。
 土物類は、たまねぎの価格が、暑さが続いたことにより需要が芳しくなく、高めに推移した前年を1割強下回り、平年をやや上回った(図5)。
 なお、品目別の詳細については表2のとおり。

タイトル: p011

タイトル: p012
タイトル: p013

(3)大阪市中央卸売市場

 大阪市中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は3万8506トン、前年同月比96.0%、価格は1キログラム当たり267円、同110.8%となった。(表3)。
 品目別の詳細については表4の通り。

タイトル: p014a

タイトル: p014b
タイトル: p015
タイトル: p016

(4)首都圏の需要を中心とした11月の見通し

 北海道産、東北産の夏秋野菜の切り上がりが全般に早く、特に果菜類はかなり少なくなった。暖冬となれば11月いっぱいくらいは出荷できると予想される。葉物野菜は、9月いっぱい続いた気温高による影響は10月までで、11月には急回復すると予想される。西南暖地の果菜類は、ほぼ平年並みに10月から始まり、11月に急増する可能性もある。果菜類は、高温下で育苗すると定植後に作柄が乱れやすいと言われるが、生産者の技術が進歩しているためかつてのような減収はないと予想される。重量野菜は総じて干ばつ気味の中での定植であったことから、根張りはかなりしっかりしていると推測される。10月までの品不足から、年末に向けて急速に回復するとも予想される。
 11月は、10月までの品薄による高値推移から、平年並みの価格に落ち着くと予想される。

タイトル: p017a
 だいこんは、千葉産(ちばみどり)は中旬からある程度のピークは来るが、生育全般は必ずしも順調でない。特に早く()いた物が遅れており、さらに欠株も見られる。暖冬であれば前進する可能性もあり、11月としては例年並みの出荷になる可能性もある。出荷開始時期のものは短めで、肌(表面)の仕上がりが悪いと予想される。千葉産(ちば東葛)の鎌ヶ谷市周辺の産地は、10月中旬から始まり、下旬から11月いっぱいがピークと予想される。今年は一斉に定植されたが、芯食い虫の発生が懸念される。出荷のペースは平年並みで、L中心でスタートし、徐々に2Lの比率が増えると予想される。青森産は高温・干ばつの影響により短根に仕上がり、さらに虫害などで正品率が低下している。10月中旬頃からほぼ元通りに回復してくると予想しているが、9月末の段階では出荷のピークには至っていない。このまま例年の70%程度と少ないまま11月上旬に早めに切り上がるといった展開も予想される。
 にんじんは、千葉産の早い作型の物が例年と同様に10月末頃から出荷が始まると予想される。播種(はしゅ)後に台風による強風の影響で一部欠株もみられる。本来は11月10日~15日に本格化してくるが、今年のピークは20日過ぎと予想される。全体では大きな減収はないが、若干遅れる展開が予想される。北海道産は例年通り11月5日までの出荷と予想される。圃場で品質の悪い物をはじいているため、収量は例年の70~80%と少ない。M・Lサイズ中心のやや小ぶりの仕上がりである。

タイトル: p017b
 キャベツは、千葉産は11月中旬から出荷のピークと予想している。現状は欠株がみられるなど、例年を下回ると予想している。また、出荷開始時期はやや小ぶりの仕上がりと予想される。愛知産は前年同様、10月4~5日から始まる。高温・干ばつの影響はさほどなく、生育は順調である。11月から年明け2月までがピークと予想される。サイズは今後の出来次第だが、例年通り潤沢に出荷できると予想される。
 はくさいは、茨城産は10月末頃から始まるが、干ばつ気味だったことから定植が遅れ気味だったため、本格的に増えるのは11月中旬からで、12月がピークと予想される。長野産の出荷は、10月初めの段階で日量8000~9000ケースだが、11月初めには同2000~3000ケースに減り、その後も徐々に減りながら20日前後まで出荷できると予想している。暖冬であれば、切り上がりが早まる可能性もある。
 ほうれんそうは、群馬産はようやく出荷量が増えてきたが、それでも例年より少なく、猛暑の影響により伸びが鈍い(圃場での傷みも散見される)。10月中下旬には回復し、11月は例年並みの出荷に戻ると予想している。年内のピークも11月と予想される。
 ねぎは、青森産の収穫のピークが10月いっぱいで、11月には減ってくると予想される。相場にもよるが、12月までは出荷できると予想される。トータルの出荷量は例年の80%と少ない見込み。茨城産の現状の作柄は悪く、8~9月の高温により圃場でとろけがみられる。2019年、20年にも同様の被害が出て対策を講じているが、想定を上回る高温であった。9月上旬の降雨により傷みが拡大したため10月の出荷が底となり、11月には回復に向かうと予想される。中旬にはなんとか平年並みの物が出荷されると予想しているが、平年比では70~80%程度と予想している。千葉産の秋冬ねぎは遅れており、例年10月には本格的に始まるが、今年は11月中旬にずれ込むと予想している。12月には例年並みに回復してくると予想している。現状は夜盗(よとう)(むし)(夜行性の蛾の幼虫で植物の葉や実を食べる)の発生や病気も見られる。11月の出荷量としては例年の70~80%程度と予想している。
 レタスは、茨城産は暑さの影響によりとう立ち気味である。作柄としては豊作基調を予想しており、11月としては平年並みと予想している。香川産の出荷は10月10日過ぎから始まるが、猛暑により、少なめでのスタートと予想される。11月に入ってからがピークと予想される。兵庫産の出荷は10月10日頃から例年並みかやや遅い始まりを予想している。高温下であったが生育は順調である。11月にはピークとなり、12月も引き続き多いと予想される。

タイトル: p018
 きゅうりは、高知産は9月末の段階では出始めであるが、全体の5%程度と特別多くない。現状は定植中でもあり、11月に入ってからがピークとなるが、猛暑の影響や大きな自然災害もなく順調である。埼玉産の抑制物は、9月下旬にピークが来て12月までとなるが、不作気味である。正品率が低く、数量的には80~90%で、今後も80%程度と回復は期待できない。加温物は当面10月中旬にピークが来て、11月も例年並みに多いと予想している。トータルでは前年の90%程度と予想される。
 なすは、高知産は生育順調で、当面のピークは10月下旬から11月いっぱいまで続く可能性がある。農協出荷の人が増えており、前作から導入されている単為結果性の品種にほぼ切り換わっている。これにより受粉のためのハチのコストが軽減されている。福岡産の冬春なすは例年と同様10月2日から販売が始まる。離農者がいるため、今年の作付けは前年の97%となっている。年内のピークは平年と同様11月と予想される。台風などの自然災害の影響はなかったが、圃場によるばらつきが大きく、害虫の発生も多い。11月としては前年並みかやや下回る出荷となる可能性もある。
 トマトは、青森産のピークは終わり、10月以降は安定した出荷が続こう。12月までは出荷できるが、例年より少ないと予想される。群馬産の出荷は標高350~800メートル地帯の圃場からで、年内の暖冬予報により遅くまで出荷できるような体制としている。標高の高い地域は11月上旬までだが、ほとんどの圃場は11月中旬までと予想している。11月としては前年並みかやや下回る出荷と予想され、シーズンの中盤を迎えてサイズはS・M中心の見込み。熊本産は10月に入ってからの出荷となるが、高温の影響により裂果の発生が懸念される。例年は11月末頃から増えて12月中旬まで多いが、暖冬により今年は成熟が早くなる可能性があるため、11月は例年を上回ると予想される。愛知産は若干少なめであるが出荷は始まっており、10月下旬から増えて11~12月がピークと予想される。数量的には前年並みを見込んでおり、サイズは若干小さめで、M中心の見込みである。
 ピーマンは、茨城産の抑制物の現状は7~8月の着果が悪く、例年の80~90%と少なめである。今後気温も下がって着果が順調となり、10月中旬頃から増えてきて、11月中下旬には例年並みに回復すると予想される。福島産は高温・干ばつの影響により、果実にひび割れや赤い変色、軟腐病も散見されるが、出荷実績はほぼ平年並みである。現状は減少傾向で、10~11月に増えることはないと予想される。岩手産は今年、出荷のピークがなかった。ハウス物は11月上旬までで、露地物は10月いっぱいで切り上がると予想される。8月の猛暑のダメージが強く、今後暖冬となっても11月の出荷は見込めない。出荷実績は8月末までで95%だったが、9月に減少し、全体では80%程度となっている。宮崎産は8~9月の高温により、一部定植後の苗に影響があったが、大きな被害なく生育は順調である。当面のピークは11月20日前後で、年内に2度目のピークが来ると予想している。「中型カラーピーマン」が11月から始まり、年末年始にピークが来ると予想され、作付面積は前年並みである。

タイトル: p019a
 さといもは、新潟産の東京方面への出荷はほぼ例年並みに10月中旬から開始予定である。10~11月の出荷は一定で、ピークは12月と予想している。例年通り2Lサイズ中心である。
 ばれいしょは、北海道産(ようてい)は8月の高温と少雨により、「男爵」はやや小玉に仕上がっている。そうか病(いもの表面にかさぶたのような斑が出る病気)も見られ、収量はダウンしている。貯蔵して来年の4月まで計画的に出荷していくが、平年を下回る出荷量と予想している。Mサイズ寄りのLサイズ中心である。北海道産(めむろ)の「メークイン」の収穫は、10月初め現在にはほぼ終了した。収量は例年並みで、作柄はやや良であり、出荷は年内から2月まで多いと予想され、Lサイズ中心に仕上がっている。
 たまねぎは、北海道産(岩見沢)の収穫作業は続いているが、高温と干ばつの影響により前年よりやや少なめと予想している。全般に小玉傾向で、年内から年明けも計画出荷していくと予想される。北海道産(きたみらい)も収穫は続いており、ほぼ平年作で前年並みである。肥大も問題なく、Lサイズ中心である。引き続き年明け4月いっぱいまでは通常通りの出荷と予想される。

タイトル: p019b
 ブロッコリーは、愛知産の出荷の開始は10月20日頃と予想され、ほぼ例年と同様である。11月にピークとなり、一部で苗の病気も報告されているが、前年並みの出荷と予想している。群馬産は定植作業が遅れていることもあり、出荷開始は11月に入ってからと予想される。作付面積の減少もあり、量的には前年の90%程度と少ない見込み。香川産は9月まで猛暑であったが、生育は順調で特別前進はみられない。例年同様10月20日過ぎから出荷が始まり、年内のピークは12月で、年明け1月に一旦減って、2月に最大のピークが来ると予想される。
 ごぼうは、青森産は例年より大幅に早く9月初めから新ごぼうの出荷が始まった。春先の雪解けが早く、作業開始が早かったためである。11月初めから出荷が始まる秋ごぼうの収穫作業は10月中旬からピークに入り、11月上旬で掘り採りが終わる。12月からは冷蔵庫で保管した物の販売となり、豊作のため前年を上回ると予想している。
 れんこんは、茨城産は猛暑と干ばつであったが、作柄には問題なく、台風の直撃もなかった。ピークは12月になるが、11月の出荷も順調で多いと予想している。
 かんしょは、徳島産は10月の出荷が落ち込むことはなく、11月はさらに増えると予想される。出荷開始時期は小振りの物が多かったが、現状は平年並みの大きさになっており、L・2Lサイズを中心に前年並みの出荷を予想している。茨城産の貯蔵作業は10月中旬から始まり、現状の出荷は「紅はるか(紅ゆうか)」中心となっている。生育は順調で、豊作傾向である。高温・干ばつの影響により、圃場によってはやや形状に乱れがある。石川産は「五郎島金時」の出荷が始まっており、最大のピークは年明け1月後半から3月と予想される。まだ収穫が始まったところで全体の作柄については把握できていないが、現状では、例年ほど形が良くない。年内の出荷量は平年並みと予想している。
 ながいもは、青森産の新芋は11月中旬から収穫を開始し、洗浄して11月20日過ぎから出荷開始予定である。現状は高温・干ばつにより肥大が足りない。品質の良い種芋が入手できなかったため、作付けは前年の90%となっている。
 
(執筆者:千葉県立農業大学校 講師 加藤 宏一)
 
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