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需給動向 野菜情報 2023年9月号

1 東京都・大阪市中央卸売市場の需給動向(令和5年7月)

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野菜振興部・調査情報部

【要約】

⃝東京都中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は11万598トン、前年同月比100.4%、価格は1キログラム当たり271円、同107.6%となった。
⃝大阪市中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は3万6488トン、前年同月比102.5%、価格は1キログラム当たり244円、同108.4%となった。
⃝9月は、8月の夏休み期間の比較的落ち着いた需要に区切りがつき、8月の盆前まで潤沢であった果菜類の出荷が減少すれば、価格高騰の場面も想定され、全体の価格は平年を上回ると予想される。

(1)気象概況

 上旬は、北日本では、低気圧や前線の影響を受けにくく、まとまった雨の降った日が少なかったため、旬降水量は、北日本日本海側と北日本太平洋側で少なかった。旬間日照時間は、北日本日本海側と北日本太平洋側で多かった。東日本では、梅雨前線の影響で曇りや雨の日もあったが、太平洋側を中心に高気圧に覆われ晴れた日もあったため、旬間日照時間は東日本太平洋側で多かった。また西日本では、期間を通して梅雨前線の影響を受けやすく、線状降水帯が発生して記録的な大雨となった所もあり、10日には福岡県と大分県に大雨特別警報が発表されるなど、各地で河川の氾濫や土砂災害が発生した。旬降水量は、西日本日本海側と西日本太平洋側で多かった。旬平均気温は、北・東日本では暖かい空気が流れ込みやすかったため、北日本でかなり高く、東日本で高かった。
 中旬は、北日本では、日本海側を中心に前線や気圧の谷の影響を受けやすかったため、曇りや雨の日が多く、東北北部を中心に記録的な大雨となり、河川の氾濫や低地の浸水、土砂災害が発生した所があった。このため、旬降水量は北日本日本海側でかなり多く、北日本太平洋側で多かった。また、旬間日照時間は、北日本日本海側でかなり少なかった。東・西日本では、日本海側は、梅雨前線や湿った空気の影響で曇りや雨の日が多く、東日本では、線状降水帯が発生して記録的な大雨となった所もあったため、旬降水量は、東日本日本海側で多かった。一方、太平洋側は高気圧に覆われて晴れた日が多かったため、旬間日照時間は、東・西日本太平洋側で多く、旬降水量は、東・西日本太平洋側で少なかった。中国地方、近畿地方、東海地方では、20日ごろに梅雨明けしたと見られる。旬平均気温は、北日本を中心に暖かい空気が流れ込みやすく、東・西日本太平洋側と沖縄・奄美を中心に太平洋高気圧に覆われて晴れた日が多く、暖かい空気に覆われやすかったため、北・東日本でかなり高く、西日本と沖縄・奄美で高かった。
 下旬は、北日本では、期間の前半は高気圧に覆われ晴れた日が多かったため、旬間日照時間は、北日本太平洋側でかなり多く、北日本日本海側で多かった。また、旬降水量は北日本太平洋側でかなり少なく、北日本日本海側で少なかった。東・西日本では、太平洋高気圧に覆われ晴れた日が多かったため、旬間日照時間は、東日本日本海側と東日本太平洋側でかなり多く、西日本日本海側と西日本太平洋側で多かった。旬間日照時間平年比は東日本日本海側で187%、東日本太平洋側で175%となり、それぞれ1961年の統計開始以降で7月下旬として1位の多照となった。また、旬降水量は、東日本日本海側と東日本太平洋側でかなり少なく、西日本日本海側と西日本太平洋側で少なかった。四国地方と北陸地方では21日ごろ、関東甲信地方と東北南部、東北北部では22日ごろ、九州南部では23日ごろ、九州北部地方では25日ごろに梅雨明けしたと見られる。旬平均気温は、太平洋高気圧が日本付近に張り出し、暖かい空気に覆われたため、北・東日本でかなり高く、西日本と沖縄・奄美で高かった。旬平均気温平年差は、北日本では+3.9℃で、1946年の統計開始以降で7月下旬として1位の高温となった。
 旬別の平均気温、降水量、日照時間は以下の通り(図1)。
 
タイトル: p011a

(2)東京都中央卸売市場

 東京都中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は11万598トン、前年同月比100.4%、価格は1キログラム当たり271円、同107.6%となった(表1)。

タイトル: p011b

 根菜類は、だいこんが中旬以降価格を下げ、高めに推移した前年を3割以上下回り、平年を1割以上下回った(図2)。
 葉茎菜類は、ほうれんそうの価格が、数量の減少に伴い徐々に上がり、前年、平年ともわずかに上回った(図3)。
 果菜類は、トマトの価格が中旬以降底上がりし、前年、平年とも1割以上上回った(図4)。
 土物類は、ばれいしょの価格が、長崎産、静岡産の残量が少なかったことから月間を通して堅調に推移し、大幅な安値で推移した前年を8割近く上回り、平年を1割近く上回った(図5)。
 なお、品目別の詳細については表2のとおり。
 
タイトル: p012

タイトル: p013
タイトル: p014a

(3)大阪市中央卸売市場

 大阪市中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は3万6488トン、前年同月比102.5%、価格は1キログラム当たり244円、同108.4%となった(表3)。
 品目別の詳細については表4の通り。
 
タイトル: p014b
 
タイトル: p015
タイトル: p016

(4)首都圏の需要を中心とした9月の見通し

 7月上中旬の梅雨終盤に、北九州や秋田県を集中豪雨が襲い、九州産のピーク後半の物の切り上がりを早めた。特に長崎産のばれいしょが急減し、北海道産が始まるまで価格は高めに推移した。7月は産地が北に移動する時期であり、北海道産、東北産は干ばつ気味だが果菜類を中心に順調な始まりで、市場では物が無くて困るといった状況はない。
 市場で仕入れている小売商からは、「売れていないのに市場価格は高い」との声も聞かれるが、青果店では、仕入れ値が高いからといって簡単に売値を上げることはできない。
 9月は、8月の夏休み期間の比較的落ち着いた需要に区切りがつき、8月の盆前まで潤沢であった果菜類の出荷が減少すれば、価格高騰の場面も想定され、全体の価格は平年を上回ると予想される。

タイトル: p017a
 だいこんは、北海道産(標茶(しべちゃ))の現状は肥大良く仕上がっており、平年を上回る出荷となっている。7月に入り予想以上に順調で、豊作基調となっている。ただし7月末頃に36度以上の気温が1週間以上続き、その後の雨の降り方では軟腐の発生も心配される。作付面積は前年並みである。北海道産(ようてい)は7月としては多く出荷され、7月末には減少した。8月上旬から10日過ぎまで出荷は伸びず、盆前頃から増えると予想される。播種できなかった時期があるため、その影響として9月中旬の数量が伸びないと予想されるが、9月全体ではほぼ平年並みの出荷を予想している。青森産は現状出荷が続いており、盆明けも問題なく、11月初め頃までほぼ一定のペースで出荷されると予想される。秋だいこんの作付けは前年並みで、当面はLサイズ中心と予想しているが、小ぶりに仕上がる可能性もある。
 にんじんは、北海道産(斜里)の現状は高温と雨の影響により歩留まりが悪く、例年の70~80%の出荷となっている。例年の場合、盆明けから9月をピークに10月までの出荷となるが、前年割れする可能性がある。北海道産(美幌)は8月4日の段階ではまだ降雨はないが、播種時期の天候や被覆したかどうかによって、肥大にばらつきが大きい。9月中旬まではほぼ現状と同程度で推移すると予想され、下旬は蒔き直した影響により少なくなると予想している。

タイトル: p017b
 キャベツは、群馬産の現状は平年並みの出荷となっており、夕方の雨が適度にあり生育に目立った問題はない。8~9月は最大のピーク時期となり、8玉サイズを中心に平年並みの動きが予想される。岩手産は6月の当初は霜の影響により少なめの出荷となったが、その後の好天もあって回復した。しかし7月末の高温と干ばつにより生育は停滞している。7月中旬に秋田県に豪雨があったが、岩手県内はそれほど降らず、この生育停滞は8月中旬まで続くと予想している。その後9月初めにかけて回復するが、現在定植した物が干ばつと高温により活着不良となれば、9月下旬の出荷に影響が出ることが心配される。9月としては前年を上回ることなく、やや少なくなると予想している。
 はくさいは、長野産の現状は干ばつが続いており、小ぶりで例年の半分程度の出荷となっている。通常盆明けの8月20日頃までが年間で最も少なく、その後徐々に増えるが、適度の降雨があれば8月下旬から10月まで通常ペースで出荷できると予想される。ゲリラ豪雨で泥はねが付くと傷みの原因となり、雨が降り過ぎると根傷みの可能性もある。
 ほうれんそうは、群馬産は高温の影響により伸びが止まり、現状の出荷は少なめである。8月に入り回復に向かい、8月下旬には再び減ると予想される。播種作業は問題なく続いており、9月としては例年並みの出荷と予想される。栃木産の現状は、気温が高く生育は停滞気味である。発芽がやや不安定で、8月末から9月の出荷が例年よりも少なくなる可能性がある。標高が高くても例年よりも暑い時間が長く続き、徐々に生育状態が悪くなってきている。岩手産の現状は猛暑の影響により生育は遅めである。そのため例年の80%程度の出荷と少なめである。盆明けに気温が例年並みに下がれば、回復に向かうと予想している。作付けは若干減少しているが、9月は例年並みの出荷を予想している。
 ねぎは、北海道産は9~10月がピークと予想される。ALサイズを中心に作柄は良好である。作付けは微増であるが、引き続き平年並みの出荷を予想している。青森産の現状は走り物の出荷となっているが、盆明け頃からピークとなり10月まで続くと予想される。最初は暑さの影響により細物が多いが、9月に入り2Lサイズが中心となると予想される。作付けは前年並みである。
 レタスは、長野産の現状は標高1300メートル地帯からの出荷であり、ほぼ平年並みの動きが続いている。盆明けから9月は標高1200メートル地帯からの出荷となり、定植も問題なく行われていることから平年並みを予想している。群馬産は7~8月の盆前にかけて順調に出荷されると予想している。8月下旬以降は、雨が少ないことにより現在定植されている分の今後が心配されるため、9月の出荷は例年を下回ると予想している。

タイトル: p018a
 きゅうりは、福島産のこの時期は施設物と露地物が半々の状況であるが、露地物に例年のような出荷量の増加がなくなっている。暑さにより生育が停滞していることもあるが、湿度が低いため枝が出にくい影響もある。盆頃にはピークがきて、その後9月には減りながら推移すると予想される。台風による豪雨がなければ、極端に減少することはないと予想している。宮城産の9月は抑制物が中心となるが、現状は例年より実の付き方が弱い。8月下旬から9月上旬にかけてピークが来て、その後9月下旬後半に再びピークが来ると予想される。猛暑の影響により例年と違う出荷パターンになると予想される。群馬産は9月に入って生産者の出荷が揃い、抑制物が本格的に始まると予想される。彼岸過ぎに増え始めるが、7~8月の高温の影響が残り山谷のある出荷が予想される。作付けは前年並みである。
 なすは、栃木産は露地中心の出荷だが、現状は成りが悪く、90%程度の出荷と前年を下回っている。盆明け頃から若干増えるが、結実しないなどの状況が見られ9月は前年を下回ると予想される。露地物の最終は10月上旬となり、9月は減りながら推移すると予想される。
 トマトは、北海道産は現状までは順調で前年並みの出荷となっており、続く8~9月についても順調で盆頃にピークを迎えると予想される。天候次第であるが、9月は前年を上回る出荷を期待している。青森産の現状は高温の影響により、2段同時に着色するなど出荷のピークに入っている。軟化玉の混入も報告されている。盆前に出荷は少なくなり、9月には平年並みと予想している。茨城産の抑制物は8月中旬から始まると予想され、高温の影響はない。品種は「りんか」と「モーニング」で、L・Mサイズ中心と予想される。作付けはほぼ前年並みである。
 ミニトマトは、北海道産の現状は高温の影響により例年の120~130%程度の出荷となっているが、令和3年ほどの量ではない。この状況はしばらく続くが、盆明けから9月は若干少なめの出荷が予想される。茨城産は8月に入って抑制物となり、品種は「サンチェリーピュア」で作付けは微増である。当面のピークは9~10月と予想される。
 ピーマンは、岩手産の現状は、暑さと降雨の少なさにより露地物が伸び悩んでおり、通常であればこの時期から数量が増えて盆頃にピークを迎えるが、8月いっぱいは横ばいで推移すると予想される。9月も同様の展開で、平年を下回る出荷と予想される。茨城産の秋ピーマンは一部始まっているが、9月に入ってから本格化すると予想される。ピークは例年と同様に10~11月である。作付けは前年並みで、品種は「みおぎ」中心に「京鈴」である。

タイトル: p018b
 さといもは、静岡産の「石川小芋」は盆前に1度出荷され、本格的には8月20日からと予想される。試し掘りでは特段気象の影響を受けていない。今後の天候に大きく左右されるが、大きなピークはなく、特に業務需要(きぬかつぎ)に対応した出荷が続くと予想される。
 ばれいしょは、北海道産(ようてい)の品種「とうや」の収穫が8月4日から始まった。「男爵」の収穫は盆明け頃からで、9月に入り出荷がピークとなると予想される。「男爵」は肥大がやや悪く、平年作を下回ると予想している。「とうや」は9月いっぱいの出荷となり、平年を上回ると予想している。北海道産(北空知)は7月末頃から「とうや」が始まり、出荷のピークは盆明けから9月10日頃までと予想される。9月に入り「きたかむい」が始まり、同上旬中心の販売である。雨不足により平年を下回る出荷と予想される。9月後半からは種芋の収穫となる。北海道産(芽室)は、盆明けは「とうや」から始まり、「メークイン」は9月上旬からと予想される。「メークイン」は玉数も十分で、高温により株が倒れなければ豊作になると予想される。品種によっては干ばつの影響により小玉に仕上がる物もあると予想される。
 たまねぎは、兵庫産の作柄は気象による問題もなく、平年並みである。9月の出荷物は通常の吊り玉タイプの物で、前年並みの出荷が予想される。中心サイズは例年よりも大玉傾向である。北海道産(岩見沢)は7月24日から始まったが、例年より早い。6~7月は干ばつ気味であったことから、やや平年を下回る可能性もある。ピークは8月中旬から9月である。北海道産(北みらい)の市場出荷は8月に入ってからで、作柄は適度の降雨もあることから平年をやや上回ると予想している。収穫作業は10月まで続くため、この先の変化も起き得るが、9月はLサイズを中心に平年を上回る出荷と予想している。

タイトル: p019
 ブロッコリーは、北海道産は麦の収穫による人手不足のため、現状8月に入って出荷は少なめになっている。それでも盆を境に増えて、9月に入りピークを迎えると予想される。現状の高温干ばつの中での定植作業に苦労しており、場合によっては不作気味で終わる可能性もある。10月いっぱいまで出荷できるが、作付けは前年の90%と減っており、9月は量的には前年を下回ると予想している。青森産は秋作となり、作付けは前年より増えている。定植が遅れ気味で9月の出荷は前年を下回ると予想され、10月の初め頃にピークを迎えると予想される。
 かぼちゃは、北海道産(岩見沢)の現状は施設物が終わり、トンネル物と露地物が始まったところである。生育は順調で盆明けから9月がピークと予想される。品種は「みやこ」「味平」「銀世界」「坊ちゃん」であるが、全般的に干ばつ傾向によりやや小ぶりである。北海道産(きたはるか)の走りの物は9月10日前後から始まるが、本格的な出荷開始は9月下旬からと予想される。現状は着果し始めた段階であり、大きな気象災害はなく、特別干ばつの影響もない。作付けは若干減っている。
 スイートコーンは、北海道産は現状は少量ではあるが出荷は始まっており、本格的には盆前から9月中下旬までと予想される。生育は順調で、気温が高く前倒し気味である。品種は「味来」と「恵味」であり、全体の作付けは若干減少している。
 いんげんは、福島産のピークは9月となり、特に下旬に多く出荷されると予想される。(ひら)(さや)の物が増えており、現状は生育順調である。
 かんしょは、徳島産の現状は早い物は始まっており、収穫は平年並みのペースである。猛暑ではあるが、降雨もあるため問題はない。昨年は少雨によりかえって肥大が早まり、裂果も見られた。7~8月は収穫作業に注力し、出荷は9月に入ってから本格化し、9月としては前年を下回ると予想している。
 
(執筆者:千葉県立農業大学校 講師 加藤 宏一)

 
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