7月は高原産地や東北、北海道に産地が切り替わるが、4月の低温の影響もなく平年並みの始まりと予想される。6月初めの台風2号の影響による雨は、西南暖地や関東平野の野菜の切り上がりを早めると予想される。品目によっては北の主力産地の出荷が始まる前に品薄となって、価格が上昇するものもあると予想される。東北産のトマトは作付け減少傾向で、えだまめからねぎへの転作も目立つとの情報もある。九州産地の夏野菜は、輸送の問題により、出荷を大阪市場にとどめるなどの変化も見られる。
消費は、ホテルなどの宴会がコロナ前の状況に戻っていないとされ、業務需要が今一歩といったところである。
供給過剰になることはないと予想され、市場価格は平年より高めの価格で推移すると予想される。
だいこんは、北海道産(
標茶)は7月15日から出荷が始まるが、例年並みかやや早めの展開を予想している。作付けはほぼ前年と同程度である。同産(ようてい)は6月末頃からの出荷となるが、例年並みの始まりである。現状までは天候に恵まれ順調で、ピークは7~9月と続く見込みである。サイズはL中心の2Lで例年と同様である。
にんじんは、北海道産(新函館)は例年と同じ6月20日頃から始まり、7月の初め頃のピークと予想される。約1カ月間の販売で、現状は生育順調であり、作付けは前年並みである。同産(美幌)は例年と同様に7月20日前後からの出荷と予想している。ピークは8~10月と予想され、全般に順調である。青森産は前年よりやや早い6月22日か23日からの販売と予想される。出荷のピークは7月中旬で、7月いっぱいでほぼ終わると予想される。生育は順調で、作付面積は増えている。
ごぼうは、群馬産の夏ごぼうが7~8月を中心に10キログラム段ボール箱で出荷される。現状、生育順調で肥大も悪くなく、L・M・Sサイズがほぼ同割合である。
キャベツは、群馬産はやや早めの6月10日過ぎからと予想している。天候は適度な降雨と晴天が続いており、出荷量も大きさも例年並みと予想している。7月は増えながら推移し、盆明けから9月が最大のピークと予想される。岩手産は例年並みに6月25日から始まると予想されるが、4~5月上旬に降霜被害を受けた
圃場があり、全体の出荷がそろうのがやや遅れると予想している。平年並みになるのは、7月上旬の後半からと予想され、7月下旬から8~9月にピークが続く見込みである。作付けは前年並みで、すべて春系キャベツである。
はくさいは、長野産(木曽)は開田高原からの出荷となるが、例年通り6月19日の週から始まると予想される。作付けは生産者の高齢化により例年の90%と減っている。7月上旬にピークを迎え、その後は9月中旬まで横ばいで推移すると予想される。同産(佐久)は7月下旬にピークを迎え、徐々に少なくなりながら8月下旬までと予想される。
ほうれんそうは、岩手産は天候に恵まれ、生育は順調である。
播種作業も順調に行われ、7月は6月より増えると予想される。8月は想定より気温が高くなれば出荷のペースはダウンするであろう。7月の出荷は前年並みと予想している。栃木産の圃場は日光市、那須町、塩谷町、那須塩原市の高原地帯にある。現在は800メートル地帯からの出荷が中心であるが、これから7月は1200メートル地帯へと移動する。4月までの低温の影響により、現状の生育は3~7日程度の遅れとなっている。当面の出荷のピークは7月で、8月に入り減ってくると予想され、作付けは前年並みである。群馬産の雨よけ物は6月中旬から始まり、20日過ぎから増えて量的にまとまってくると予想される。6月の出荷は低温の影響によりやや遅れが見られ少なめであるが、播種作業は順調で7月には例年並みの出荷と予想される。
ねぎは、茨城産は6月下旬から夏ねぎとなり、7月20日を目途に出荷は一旦落ち着き減ってくると予想される。数量は例年並みと予想している。青森産の出荷は例年並みに7月中旬から始まるが、ピークは9~10月と予想される。作付けは前年並みで生育は順調である。
レタスは、長野産は6月15日頃に出荷のピークになると予想している。4月下旬から5月初めの低温により6月いっぱいの出荷はやや少なめと予想している。現状の生育は順調で、7月は安定して前年並みの出荷を予想している。群馬産は低温の影響により現状は巻きが緩い物もあるが、量的には例年並みの出荷となっている。やや雨が多いが生育に特別問題はなく、7月も平年並みを予想している。
きゅうりは、福島産は7月下旬に出荷のピークと予想される。露地物は早い生産者は6月末頃からの出荷となるが、ピークは8月の盆前頃となると予想される。目立った気象災害もなく生育は順調で、作付けは前年並みである。
なすは、群馬産が本格的に出そろうのはほぼ平年並みの6月下旬と予想される。7月に入ってピークとなり、8月も引き続き多く入荷すると予想される。作付けは前年並みである。栃木産の露地物は7月に入ってから本格的に始まると予想され、生育は順調で盆前にピークを迎えると予想される。ハウスの促成物は6~7月に減り、半促成物は6~7月がピークと予想される。作付けは前年並みである。
トマトは、福島産は例年並みに7月10日過ぎから始まると予想される。現状まで降雨が少なく、やや干ばつ気味である。定植作業は続いており、当面の出荷のピークは盆前頃を予想している。中心品種は桃太郎系である。群馬産の夏秋トマトは、7月に量はそれほど多くはないが出荷が始まり、本格的には8月に入ってからで、9月がピークと予想される。作付けは増えており、中心品種は「りんか」である。北海道産は出荷が始まっているが、気温の低い時期がありやや遅れ気味である。7~8月がピークで、桃太郎系はL・Mサイズが中心と予想している。作付けは前年並みである。青森産は県南の産地であり、生育は順調で5月中旬から出荷は始まっている。品種は「桃太郎」と「りんか」が半々で、面積は前年の96%とやや減少している。ミニトマトは北海道産(
留萌)は7月中旬から出荷が始まり、増えながら9月にピークを迎えると予想される。作付けは前年並みである。同産(二木)は6月25日の週から始まるが、例年並みである。作付けは前年より微減で、ピークは盆前後と予想され、現状生育は順調である。
ピーマンは、岩手産の現状はハウス物であり、6月中旬に1回目、7月後半に2回目のピークと予想される。主力の露地物は6月初めからとなり、ピークは7月後半~8月中旬と予想され、作付けは前年並みである。福島産の露地物は7月10日過ぎから始まると予想される。県の主産地全体では微増である。茨城産の春ピーマンは7月上旬まで通常のペースで出荷が続き、中旬から秋物の定植のために切り上がってくると予想される。温室物は6月いっぱいで切り上がる。作型に大きな変動なく、7月は前年並みの出荷が予想される。
さといもは、鹿児島産は6月初めの台風の被害はなく順調である。6月にピークとなり、7月には徐々に減りながら推移し、7月いっぱいで切り上がると予想される。サイズもL・M中心で、出荷量も前年並みと予想される。
ばれいしょは、静岡産(とぴあ浜松)の「男爵」の出荷は5月に始まり、本格的な出荷時期は6~7月である。本年産はLサイズ中心のMサイズと、昨年よりやや小ぶりの仕上がりであるが、平年作である。同産(三島函南)の「メークイン」は6月下旬には生産者がそろい、7月中旬がピークと予想される。生育は順調で前倒し気味であり、豊作と予想している。肥大も問題なく、Lサイズ中心である。千葉産の「メークイン」は6月20日過ぎ頃からとなり、生育は順調である。出荷のピークは7月上中旬で、8月上旬には切り上がると予想され、作付面積は前年並みである。
たまねぎは、佐賀産は6月に入り収穫が90%程度終わっている。出荷は6月に入って若干減る見込みである。7月の出荷は貯蔵物で、Lサイズ中心の出荷と予想され、平年作である。兵庫産は6月に入った時点では降雨の影響もあり、主要な品種の収穫が進んでいない。台風が去った後、6月5日頃から収穫のピークに入ると予想される。大玉傾向であった前年より生産量は下回ると予想している。7月は貯蔵物となり、Lサイズ中心に前年並みの出荷を予想しており、9月いっぱいの見込みである。
ブロッコリーは、北海道産(
女満別)は6月20日から選別を始め、東京市場への出荷は6月末からのほぼ平年並みである。ピークは7月10日前後で、8月には減ってくると予想される。作付けは前年の70%と減っており、豆類・麦・ばれいしょ・ビートに替わっている。同産(木野)の作付けは前年の160ヘクタールから140ヘクタールに減っている。6月上旬後半から急増し、7月上旬が最大のピークと予想している。生育は順調で、例年よりやや早めである。長野産は6月12日の週の後半から始まり、7月初めにピークが来て8月には減りながら推移し、9月には再び増えると予想される。作付けは前年並みである。
セロリは、長野産の6月はハウス物となるが、下旬後半から露地物も始まり、7月は露地物が中心になると予想される。生育は順調で、ほぼ例年並みの出荷で、9月までピークが続くと予想される。
アスパラガスは、佐賀産は6月に始まり、7月いっぱいピークが続くと予想される。8月には少なくなるが、10月まで出荷は続く。昨年よりも1週間遅れているが、株の充実は問題なく、出荷量は前年並みを予想している。
かぼちゃは、栃木産の出荷は6月25日頃を予想している。生育は順調で出荷のピークは7月中下旬、中心品種は「ほっこりえびす」「ほっこり133」「ET」である。茨城産の出荷はほぼ平年と同じ5月17日から始まり、作付けは昨年の90%程度と減っている。ピークは6月中下旬で7月いっぱいまでと予想される。品種は「栗将軍」で、5玉サイズ中心である。
スイートコーンは、群馬産は6月20日過ぎからピークで、7月の下旬には少なくなってくると予想され、作付けはほぼ前年並みである。千葉産は6月末頃から始まり、7月10日~15日には数量的にまとまってくると予想される。ピークは7月下旬から8月5日過ぎまでで、盆明け頃に切り上がると予想される。ゴールデンウイーク時期の強風の影響により、初期物は遅れると予想される。
えだまめは、群馬産は6月15日頃から本格的に増えて、7月の海の日頃までピークが続く見込みである。本年産は3~4月の降雨が少なく、樹全体が小さい。作付けは前年並みであるが、トータルの収量は前年を下回ると予想している。山形産は7月中旬から例年並みに始まり、「おつなひめ」の出荷により下旬にピークとなると予想される。「だだちゃ豆」は7月下旬から始まり、ピークは8~9月上旬までと予想され、作付けは前年並みである。
いんげんは、福島産は現状始まっており、7~8月がピークと予想される。中心品種は「ジャンボいんげん」で、その他「いちず」「かもがわ」「スラットワンダー」であり、8月に入り減少してくると予想される。
かんしょは、香川産は早くても7月3日か4日から始まると予想される。ピークは中旬で、8月初め頃には減ってくると予想している。適度の降雨もあり生育は順調であり、作付けは前年並みである。
すいかは、長野産は例年と同様に出荷は7月に入ってからであり、現状は生育順調で、お盆に向けて増えながら推移すると予想される。山形産の定植は例年通り4月10日から始まり、交配は5月26、27日に始まった。出荷は7月20日前後からと予想される。ハウス物はその前の15日頃からと予想される。作付けは168ヘクタールの計画であり、新規就農者もいるため例年並みの出荷と予想される。
(執筆者:千葉県立農業大学校 講師 加藤 宏一)