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需給動向 野菜情報 2023年5月号

2 野菜の輸入動向(令和5年2月)

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野菜振興部

【要約】

 2月の輸入量は、外食産業などの業務需要が引き続き堅調なことから冷凍野菜は前年同月をかなりの程度上回った。しかしながら、国産品において安定した入荷になった品目があったほか、円安による輸入コストの増加、品目により輸入先国の天候不順で輸入量が減少した生鮮野菜などが前年同月を下回ったことから、全体では前年同月をやや下回った。

(1)令和5年2月(速報値)

 令和5年2月の野菜輸入量は、17万9602トン(前年同月比5%減)となった。冷凍野菜、塩蔵等野菜、乾燥野菜、酢調製野菜およびトマト加工品は前年同月を上回ったものの、生鮮野菜、その他調製野菜およびその他が前年同月を大幅に下回ったことから、全体の輸入量は前年同月をやや下回った(図1、表1)。



(2)生鮮野菜

 生鮮野菜の輸入量は、にんじん、ばれいしょ、ねぎなどが前年を上回ったものの、かぼちゃ、アスパラガス、しょうがなどが前年を下回ったことから、全体での輸入量は前年同月比18%減と前年を大幅に下回った(図2)。


 
 主な品目(注)のうち最も増加率が高かったのはにんじんで、4645トン(同144%増)となった。輸入先別の内訳は、第1位が中国の4618トン、第2位が豪州の26トン、第3位が米国の0.5トンであった。前年が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により外食産業などの需要が回復し切らない中、国産品の価格が安価で推移したことで輸入量が大幅に減少したのに対し、本年は国産品が生育期の低温で肥大が鈍化して市場入荷量が伸びなかったことから、前年を大幅に上回った。
 にんじんに次いで増加率が高かったのはばれいしょで、5552トン(同60%増)となった。輸入先別の内訳は、全量が米国からの輸入であった。前年の輸入量が減少していたことに加え、本年は国産品の貯蔵ものの残量が少なくなってきたことから、前年を大幅に上回った。
 ばれいしょに次いで増加率が高かったのはねぎで、3122トン(同18%増)となった。全量が中国からの輸入であった。本年は輸入先国の中国で作付面積が増加したことに加え、外食産業などの需要が回復してきたこと、上旬まで入荷量が伸びた国産品が下旬に減少したことなどから、前年を大幅に上回った。

 一方、主な品目のうち最も減少率が高かったのはかぼちゃで、5393トン(同64%減)となった。輸入先別の内訳は、第1位がニュージーランドの4906トン、第2位がメキシコの483トン、第3位が韓国の3トンであった。円安で輸入コストが増加したことや、本年は輸入先国のニュージーランドが大雨などにより国内物流が停滞したことなどで輸入量が前年の半分以下となったこと、メキシコの作付面積が減少したことなどから、前年を大幅に下回った。
 かぼちゃに次いで減少率が高かったのはアスパラガスで、1041トン(同32%減)となった。輸入先別の内訳は、第1位がメキシコの1025トン、第2位がペルーの9トン、第3位がフランスの7トンであった。円安で輸入コストが増加したことに加え、前年より入荷量が伸びた国産品の価格が前年を下回ったことから、前年を大幅に下回った。
 アスパラガスに次いで減少率が高かったのはしょうがで、1175トン(同26%減)となった。輸入先別の内訳は、第1位が中国の1071トン、第2位がタイの104トンであった。円安で輸入コストが増加したことに加え、国産品の価格が前年を下回っていたことから、前年を大幅に下回った(表2)。
 (注)本文中の「主な品目」とは、輸入数量の多い品目のことである。

(3)冷凍野菜等

 冷凍野菜の輸入量は、さといも、いちご、いんげん豆等などが前年を下回ったものの、ばれいしょ、ブロッコリー、えだまめなどが前年を上回ったことから、全体では前年同月比6%増と前年をかなりの程度上回った(図3)。



 主な品目のうち最も増加率が高かったのはばれいしょで、3万1668トン(同26%増)となった。輸入先別の内訳は、第1位が米国の2万1013トン、第2位がベルギーの3715トン、第3位がオランダの2680トンであった。
 ばれいしょに次いで増加率が高かったのはブロッコリーで、5026トン(同10%増)となった。輸入先別の内訳は、第1位がエクアドルの2684トン、第2位が中国の2191トン、第3位がスペインの45トンであった。
 ブロッコリーに次いで増加率が高かったのはえだまめで、3598トン(同9%増)となった。輸入先別の内訳は、第1位が台湾の1387トン、第2位がタイの1036トン、第3位が中国の963トンであった。これらの品目は、前年の輸入量が少なかったことに対し、本年はファミリーレストランをはじめとする外食産業などの需要が引き続き回復してきたことで、前年を上回った。

 一方、主な品目のうち最も減少率が高かったのはさといもで、1283トン(同44%減)となった。輸入先別の内訳は、第1位が中国の1282トン、第2位が台湾の1トンであった。
 さといもに次いで減少率が高かったのはいちごで、1528トン(同22%減)となった。輸入先別の内訳は、第1位が中国の628トン、第2位がペルーの330トン、第3位がチリの260トンであった。
 いちごに次いで減少率が高かったのはいんげん豆等で、1449トン(同7%減)となった。輸入先別の内訳は、第1位が中国の881トン、第2位がタイの377トン、第3位がベルギーの69トンであった。これらの品目は、本年は円安で輸入コストが増加したことに加え、在庫調整により前年を下回った(表3)。



 生鮮野菜および冷凍野菜以外の類別において、大きな変動のあった主要な品目の輸入量は、塩蔵等野菜のきゅうり及びガーキンで1240トン(同15%減)、トマト加工品のトマトピューレ等関割以外で7915トン(同20%増)、その他調製野菜のスイートコーンで3563トン(同14%減)などであった。