1~2月の寒さが厳しく、秋冬野菜は一部産地では
薹立ちの発生もあるなど豊作でなく、切り上がりが早まった。一方、4月からの春野菜は3月の気温高と適度な降雨により、前倒し気味の入荷となった。市場価格は全般に平年並みであったが、消費者には各野菜とも値頃感があった。小売りでは、食品全般が値上がりする中で、生鮮品の価格を抑えながら販売するといった努力が見られる。
5月には初夏物も始まってくるが、引き続き前進傾向と報告されている。果菜類も越冬作を中心に気温の変動が大きい中で、生産者の努力により引き続き大幅な減少もなくピークを迎えるが、豊作ではない。市場側としては3月までの価格を維持し、集荷に努力したいところである。
だいこんは、千葉産は4月いっぱいピークが続き、5月に入り徐々に減りながら推移すると予想される。気温の上昇により2Lの比率が徐々に高まり、採り遅れも影響している。5月いっぱいでほとんど切り上がると予想される。青森産はトンネル物であり、定植作業は順調であった。雪解けが早かった分、作業の開始が早まり、出荷も例年の5月20日よりやや早まる見込みである。6月は露地物になり数量的に安定してくると予想される。
にんじんは、徳島産は4月がピークの前半であり、5月15日前後から徐々に減りながら推移すると予想される。春にんじんは3月が少なかったものの、平年並みかやや微増と予想される。冬の気温が平年並みで干ばつ気味であったことから、やや後ろにずれている。今後徐々にLサイズの比率が高まると予想される。静岡産は4月6日の取引から始まるが、前年よりも3日程度遅い。ピークは14日から4月いっぱいで、5月に入り減りながら推移すると予想される。「ベータリッチ」については、前半はLサイズ中心であるが、後半は2L中心になると予想される。生産量は農家の減少により、前年の90%程度と予想している。千葉の春夏にんじんは例年4月下旬後半から始まるが、播種時期に干ばつが続いたことによる蒔き遅れから、やや後ろにずれると予想される。特別ピークはなく、連休明けから増えてきて6月20日前後までの計画である。
キャベツは、愛知産の4月までは春キャベツで、5月からは夏キャベツとなり、4月以降の出荷量は3月の半分程度になると予想される。5月も横ばいで推移し出荷量は前年並みと予想される。茨城産は5月上旬から始まるが、例年よりやや早い。出荷のピークは5月下旬から6月と予想され、寒玉系品種で、作付けは前年並みである。千葉産の「初恋キャベツ」は天候に恵まれ生育は順調である。4月よりも増えて5月20日から6月10日頃がピークであるが、やや前進気味であり、作付けは前年並みである。
はくさいは、長野産は5月15日の週からの出荷となるが、生育は大変順調で例年より5~7日程度早いと予想している。作付けは前年の105~110%と増えている。
ほうれんそうは、埼玉産は高温と適度な降雨により前進出荷となっているが病気の報告はない。播種は順次行われており、5~6月と出荷は続くが、5月20日以降はえだまめの作業に忙しく急減すると予想される。岩手産は5月初めから出荷が始まるが、例年に比べるとやや早い。5月中旬に1回目のピークが来て、6月が最大のピークとなり、7月にはやや減ってくると予想される。作付けはやや減っている。群馬産の12月に播種した物は3月で終了し、次の作が4月中旬に増えて、連休頃から5月いっぱいピークになると予想される。露地作であり、生育は順調で前年並みの見込みである。
ねぎは、茨城産は気温が高く適度な降雨もあったことにより生育は順調で、太りも良好である。4月は計画を上回る微増を予想しているが、5月からの初夏ねぎも潤沢で同様のペースと予想される。7月20日過ぎには急減すると予想される。千葉産の5月20日までの春ねぎは、1~2月の低温が影響し、花芽の出るのが早く4月下旬にはかなり減ってくると予想される。初夏ねぎは、5月の連休中明け早々に出荷開始できると予想される。4月下旬がやや少なめであるが、5月には例年通り潤沢なペースを維持できると予想される。
レタスは、茨城産の現状は、岩井地域は55%終わったところで、今後ピークの後半へ向かい、5月の連休明けが終盤である。結城地域は5月いっぱいピークが続くと予想される。現状は7日程度の前進で、切り上がりは早まる可能性もあろう。長野産は5月中旬に始まり、下旬から川上村の標高1200メートル地帯の物の出荷が始まると予想される。ピークは7~8月であり、現在の生育は順調で、例年並みの推移が予想される。群馬産は4月6日売りからスタートするが、例年に比べると10日程度早く、連休明けにピークに入ると予想される。現在は生育順調であるが、天気により増減も想定される。
きゅうりは、埼玉産の現状は例年通りの出荷となっているが、4月10日頃から増えて5~6月がピークと予想される。作付けは前年並みで、5月の出荷量も前年並みを予想している。宮城産の現状は出荷が始まったところであり、高騰する燃料代の節約から定植を後ろにずらしたが、3月の好天により例年並みに追いついてきた。5月上旬に1回目のピークが来て、6月中旬に再びピークが来ると予想される。福島産は4月10日前後からとなるが、若干遅らせている。ハウス物のピークは6月中旬で、5月には徐々に増えながら推移すると予想される。生育は順調で、5月は前年並みを予想している。高知産は越冬物となり、当面のピークは5月末頃に来て、6月いっぱいの出荷を予想している。12月~翌1月の降雪や2~3月の日照不足が影響し、今年は前年の90%程度の出荷が続き不作であった。4月以降の回復を期待し、5月は前年並みを予想している。
なすは、高知産が4月に入り出荷のピークを迎えている。生育は順調で前年より多めの出荷が予想されており、新品種導入の効果が出ているとともに生産者も増えている。5月の連休頃に最も多く、6月中旬になって急減すると予想される。福岡産は3月の好天により生育は順調である。4月下旬から5月上旬がピークと予想され、5月としては前年並みを予想している。群馬産の現状は、ハウス物が始まっており、5月の連休頃から本格化すると予想される。このまま好天で推移すると、前年をやや上回ると予想される。6月10日頃には露地物が始まるが、作付けは増えている。
トマトは、福岡産の越冬物は4月末から連休にかけて増え、5月にピークを迎えると予想される。1~2月に降雪があり、3月には降雨の影響でカビ病が発生するなど万全の環境でなかった。それでも徐々に回復し、5月は前年を上回ると期待しているが、生産者が減少しているため、前年並みにとどまると予想される。「桃太郎ホープ」が70%を占め、MSサイズ中心とやや小ぶりである。熊本産は促成物であり、1月の低温もあって3月は減少した。現状、着果は問題なく、4~5月は回復して、MSサイズ中心の小玉傾向と予想される。出荷は7月に入り急減すると予想される。愛知産は3~4月がピークとなり、5月はピークの後半である。越冬物を中心に、1月定植の抑制物となるが、現状は順調である。中心品種の「かれん」はやや大玉傾向で、LMサイズ中心と予想される。出荷は6月いっぱいか7月上旬までと予想される。栃木産は越冬物と促成物の春トマトが半々と予想される。5月は促成物のピークで、越冬物は6月中旬がピークの見込み。昨年と異なる天候により、生産者の対応によって量にばらつきが出ている。病気が散見され、4~5月は平年を下回る出荷と予想される。
ピーマンは、茨城産は2月までは寒さとハウスの温度を十分に上げられなかった影響で肥大が遅れ、少なめの出荷になったが、3月にはようやく増えてきた。定植をやや後ろにずらした無加温ハウス物は4月末頃から本格化し、天気の回復もあって5月には平年並みの出荷と予想している。宮崎産は3月の天候不順の影響により4月10日前後から一時減少するが、20日前後には回復してくると予想される。5月が最大のピークであるが、大きな増減はなく順調に入荷し、5月の最終週には減ってくると予想される。鹿児島産は前年10月から始まった冬春物が5月いっぱいの出荷と予想される。4月の初頃がピークで、5月は減りながら推移すると予想される。
ばれいしょは、長崎産のトンネル物は4月上旬から始まっているが、本格出荷は4月下旬から。早い物は1月24日前後の寒害の影響でやや少なめである。その後の天候の回復で、遅れを取り戻しつつあり、生産量は大きな減収にはならないと予想している。5月前半をピークに、6月に入り徐々に切り上がってくると予想される。静岡産の三方ヶ原男爵は例年よりやや早く、5月初め頃からと予想され、気象災害もなく生育は順調である。ピークは6月上中旬であるが、やや早まる可能性もある。中心サイズはLから2Lと予想される。
たまねぎは、兵庫産は4月いっぱいは極早生、5月の連休明けからは早生になると予想される。極早生はLサイズ中心であったが、若干小玉傾向であった。早生からは平年並みの大きさに回復すると予想される。6月に中生と晩生となって全体のピークとなると予想される。天候に恵まれ生育は順調である。佐賀産の極早生は4月5日後に出荷が増えて、4月15~20日に早生に切り換わり、晩生は5月20日過ぎからと予想される。極早生、早生ともに肥大良好で、生産量は前年を上回ると予想される。
アスパラガス
長野産の現状は10日から2週間前倒し気味である。出荷は連休明けから始まり、ピークは5月中旬から6月上旬と予想される。本年は株が充実しており、前年を上回る出荷を予想している。
ブロッコリー
埼玉産は例年3月末から4月初めは出荷の谷間になる時期である。現状は10日程前進出荷となり、前年同時期をかなり上回っている。5月は元々多くないが、今年は前進した分、連休頃から減り始めると予想される。茨城産の現状は秋冬物が終わったところである。すす病の発生があってやや不作であった。春ブロッコリーの出荷開始は5月に入ってから始まると予想され、作付けは前年並みである。
かぼちゃ
沖縄産の二期作物は4月下旬から始まり、5月いっぱいの入荷と予想される。ほぼ例年並みで、「えびす」「栗五郎」はそれぞれ5玉、6玉中心で肥大も問題ない。茨城産は例年通り5月20日頃から始まるが、作付けは前年の90%と減っている。ピークは6月中旬で、品種は前年と変わらず「栗将軍」である。
スイートコーン
宮崎産のハウス物は3月29日から出荷が始まっているが、露地物は例年より3~4日早めの5月10日頃からの出荷を予想している。品種は「ゴールドラッシュ」で、作付けは生産者の高齢化により若干減少している。6月いっぱいで切り上がり、5月としては前年並みを予想している。
えだまめ
千葉産のハウス物は4月中旬からであるが、5月の連休中や連休明け頃から露地物に切り換わり、今のところ生育は順調である。埼玉産は2月末頃に定植したトンネル物は5月20日前後から始まり、生育は順調である。作付けは前年を上回っている。
らっきょう
鳥取産は例年より若干早く、5月20日頃から始まり、ピークは5月末頃に来て、6月10日頃までの出荷と予想される。葉の状態から判断すると、今年は平年並みと予想される。鹿児島産は例年並みに4月下旬から出荷が始まると予想される。当初の生育は遅れ気味であったが、天候に恵まれ回復してきた。5月上中旬がピークで6月上旬まで出荷は続き、5月としては前年を上回ると予想している。
すいか
千葉産のハウス物は連休明けから始まるが、ほぼ例年と同様のペースである。ピークは5月下旬を予想している。トンネル物が始まるのは6月中旬と予想される。生産者の高齢化により、作付けは微減となっている。
(執筆者:千葉県立農業大学校 講師 加藤 宏一)