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需給動向 野菜情報 2023年3月号

2 野菜の輸入動向(令和4年12月)

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野菜振興部

要約

 令和4年12月の輸入量は、外食産業などの業務需要が引き続き堅調なことから冷凍野菜は引き続き前年同月をかなり大きく上回った。しかしながら、円安で輸入コストが増加したことに加え、品目によって国産品が安値で推移した生鮮野菜などが前年同月を下回ったことから、全体では前年同月をわずかに下回った。
 令和4年の輸入量は、生鮮野菜以外の輸入量が前年を上回ったことから、前年をやや上回った。

(1)令和4年12月(速報値)

 令和4年12月の野菜輸入量は、22万8035トン(前年同月比1%減)となった。冷凍野菜以外のすべての品目が前年同月を下回ったことから、全体の輸入量は前年同月をわずかに下回った(図1、表1)。

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(2)生鮮野菜

 生鮮野菜の輸入量は、にんじん、かぼちゃ、ねぎなどが前年を上回ったものの、ばれいしょ、たまねぎ、ごぼうなどが前年を下回ったことから、全体での輸入量は前年同月比13%減と前年をかなり大きく下回った(図2)。

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 主な品目(注)のうち最も増加率が高かったのはにんじんで、5339トン(同44%増)となった。輸入先別の内訳は、第1位が中国の5275トン、第2位が豪州の60トン、第3位が米国の4トンであった。前年が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により外食産業などの需要が回復し切らない中、国産品の価格が安価で推移したことから輸入量が大幅に減少したのに対し、令和4年は国産品が低温で肥大が鈍化して市場入荷量が伸びなかったことから前年を大幅に上回った。
 にんじんに次いで増加率が高かったのはかぼちゃで、9431トン(同12%増)となった。輸入先別の内訳は、第1位がメキシコの9427トン、第2位が韓国の4トンであった。国産品が比較的高値で推移した中、ファミリーレストランをはじめとする外食産業などの需要が回復してきたことから、前年をかなり大きく上回った。
 かぼちゃに次いで増加率が高かったのはねぎで、4170トン(同12%増)となった。全量が中国からの輸入であった。前年がCOVID-19により外食産業などの需要が回復し切らない中、輸入量がかなり大きく減少したのに対し、4年の国産品は入荷量が伸びずに下旬に向かって価格を上げたこと、さらにファミリーレストランをはじめとする外食産業などの需要が回復してきたことから、前年をかなり大きく上回った。
 一方、主な品目のうち最も減少率が高かったのはばれいしょで、2085トン(同41%減)となった。全量が米国からの輸入であった。前年は通年輸入が解禁になった中で、国産品の不作などによる減少分の調達で純増したのに対し、4年は国産原料の品不足感が解消したため前年を大幅に下回った。
 ばれいしょに次いで減少率が高かったのはたまねぎで、2万28トン(同26%減)となった。輸入先別の内訳は、第1位が中国の1万9808トン、第2位が米国の166トン、第3位がオランダの54トンであった。4年は国産品が安定して市場入荷した中、円安で輸入コストが増加したことに加え、前年が中国の在庫量が多い中、海上輸送も落ち着き在庫調整を行ったことで、前年を大幅に下回った。
 たまねぎに次いで減少率が高かったのはごぼうで、3514トン(同14%減)となった。全量が中国からの輸入であった。円安で輸入コストが増加したことで、中国からの輸入量が減少したことに加え、台湾からの輸入もなかったことから、前年をかなり大きく下回った(表2)。

(注) 本文中の「主な品目」とは、輸入数量の多い品目のことである。

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(3)冷凍野菜等

 冷凍野菜の輸入量は、いんげん豆等などが前年を下回ったものの、ばれいしょ、いちご、スイートコーンなどが前年を上回ったことから、全体では前年同月比11%増と前年をかなり大きく上回った(図3)。

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 主な品目のうち最も増加率が高かったのはばれいしょで、3万6422トン(同36%増)となった。輸入先別の内訳は、第1位が米国の2万1696トン、第2位がベルギーの5448トン、第3位がオランダの3489トンであった。在庫調整により前年を大幅に上回った。
 ばれいしょに次いで増加率が高かったのはいちごで、1839トン(同33%増)となった。輸入先別の内訳は、第1位が中国の950トン、第2位がペルーの240トン、第3位がエジプトの240トンであった。令和4年はファミリーレストランをはじめとする外食産業などの需要が回復してきたことに加え、前年の輸入量が低水準であった反動で、前年を大幅に上回った。
 いちごに次いで増加率が高かったのはスイートコーンで、3496トン(同14%増)となった。輸入先別の内訳は、第1位が米国の1673トン、第2位がタイの941トン、第3位が中国の509トンであった。在庫調整に加え、ファミリーレストランをはじめとする外食産業などの需要が回復してきたことから、前年をかなり大きく上回った。
 一方、主な品目のうち最も減少率が高かったのはいんげん豆等で、2082トン(同9%減)となった。輸入先別の内訳は、第1位が中国の1324トン、第2位がタイの605トン、第3位がポルトガルの49トンであった。円安で輸入コストが増加したことに加え、在庫調整により前年をかなりの程度下回った(表3)。
 生鮮野菜及び冷凍野菜以外の類別において、大きな変動のあった主要な品目の輸入量は、塩蔵等野菜のきゅうり及びガーキンで1662トン(同16%減)、酢調製野菜のしょうがで1709トン(同8%減)、トマト加工品のトマトピューレ等関割以外で7304トン(同18%減)、その他調製野菜のたけのこで5440トン(同17%減)などであった。

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(4)令和4年の輸入動向

 令和4年の全体の輸入量は、生鮮野菜以外の輸入量が前年を上回ったことから、271万953トン(同4%増)となった(図4)。
 類別では、生鮮野菜が70万2301トン(同1%減)と前年をわずかに下回った。COVID-19により低迷していた外食産業などの需要が回復してきた中、春季までの低温干ばつ、夏季の台風や前年による大雨の影響で国産品が平年を上回る価格で推移していたことから、たまねぎやねぎなどの輸入量は前年を上回った。しかしながら、日米の金利差による急激な円安、ロシアによるウクライナ侵攻などに起因するエネルギー価格の高騰などで多くの品目で前年を下回った。
 冷凍野菜は、COVID-19により低迷していた外食産業などの需要が回復してきたことで、117万2939トン(同7%増)と前年をかなりの程度上回った。
 その他、塩蔵等野菜が7万2271トン(同9%増)、乾燥野菜が4万1827トン(同5%減)、酢調製野菜が3万4495トン(同8%増)、トマト加工品が27万3312トン(同3%増)、その他調製野菜が39万7334トン(同2%増)、その他が1万6474トン(同2%増)となった。
 
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