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需給動向 野菜情報 2023年2月号

1 東京都・大阪市中央卸売市場の需給動向(令和4年12月)

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野菜振興部・調査情報部

【要約】

⃝東京都中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は12万5446トン、前年同月比102.0%、価格は1キログラム当たり238円、同99.2%となった。
⃝大阪市中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は4万2175トン、前年同月比103.1%、価格は1キログラム当たり210円、同97.2%となった。
⃝2月の見通しについて、天候不順から出回り不足が続き、市場が荷物の引き合いを強め、高値傾向の展開と予想される。

(1)気象概況

 上旬は、低気圧が短い周期で通過し、通過後は北日本を中心に冬型の気圧配置が強まり、寒気が流れ込んだ。このため、北日本では気温が低く、北日本日本海側では大雪となった所があった。また、北・東日本日本海側では降水量が多く、北・東・西日本太平洋側では少なかった。西日本日本海側では、高気圧に覆われやすかったため、降水量がかなり少なかった。旬平均気温は、東・西日本では平年並だった。旬間日照時間は、北日本日本海側と沖縄・奄美で少ない一方、西日本日本海側で多かった。東日本日本海側と北・東・西日本太平洋側では平年並だった。
 中旬は、期間のはじめは高気圧に覆われて全国的に晴れた日もあったが、13日に低気圧と前線が日本海を通過した後は、冬型の気圧配置となる日が多かった。このため、北日本と東・西日本日本海側を中心に曇りや雪または雨の日が多く、西日本太平洋側を中心に晴れの日が多かった。また、旬の中頃からは強い寒気が流れ込んだため、全国的に気温が平年を下回った。14日から16日にかけてと18日から20日にかけては、冬型の気圧配置が強まり、北・東日本日本海側では山形県、福島県、新潟県を中心に記録的な降雪となった所もあった。また、九州を含め西日本の平野部でも雪が降った。このため、旬降雪量は東日本日本海側でかなり多く、北・西日本日本海側では多かった。旬平均気温は、北・西日本と沖縄・奄美で低く、東日本では平年並だった。旬降水量は、北・東日本日本海側と沖縄・奄美で多かった。一方、西日本日本海側で少なかった。北・東・西日本太平洋側では平年並だった。旬間日照時間は、北・東・西日本日本海側、北日本太平洋側、沖縄・奄美で少ない一方、西日本太平洋側で多かった。東日本太平洋側では平年並だった。
 下旬は、22日から23日にかけて低気圧が日本海と本州南岸を進み、低気圧が北海道付近を通過した後は26日まで強い冬型の気圧配置となり、北海道などで暴風雪となった。また、山形県や石川県を中心に北日本から西日本の広い範囲で大雪となった。21日と27日以降は冬型の気圧配置が緩んだ。このため、東日本日本海側では曇りや雪または雨の日が多く、沖縄・奄美では曇りの日が多かった。23日の降雪の深さの日合計は、高知で18センチと、1953年の統計開始以降、通年で最も大きくなり、徳島で11センチと、1953年の統計開始以降、12月として最も大きくなった。旬間日照時間は、東日本日本海側と沖縄・奄美でかなり少なかった。強い寒気が西日本を中心に南下して気温が大きく低下した時期があったが、北日本は、低気圧に向かって暖かい空気が流れ込んだことや寒気の中心から離れていたことから、旬平均気温はかなり高かった。旬平均気温は、東・西日本と沖縄・奄美で低かった。旬降水量は、東日本日本海側でかなり多く、北日本日本海側と北・東日本太平洋側で多かった。西日本日本海側、西日本太平洋側、沖縄・奄美では平年並だった。旬間日照時間は、北日本太平洋側で少なく、東日本太平洋側で多かった。北・西日本日本海側と西日本太平洋側では平年並だった。
 旬別の平均気温、降水量、日照時間は以下の通り(図1)。

(2)東京都中央卸売市場

 12月の東京都中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は12万5446トン、前年同月比102.0%、価格は1キログラム当たり238円、同99.2%となった(表1)。



 根菜類は、にんじんが下旬に向け価格を上げ、安めに推移した前年を1割以上上回り、平年をわずかに下回った(図2)。
 葉茎菜類は、レタスの価格が出荷の前進により上旬に苦しい販売が続き、下旬に上げたものの、大幅に安めに推移した前年をやや下回り、平年を2割強下回った(図3)。
 果菜類は、きゅうりの価格が下旬に高騰し、大幅な安値で推移した前年を4割以上上回り、平年を1割近く上回った(図4)。
 土物類は、ばれいしょの価格が大幅に高めに推移した前年を4割以上下回り、平年をかなりの程度下回った(図5)。
 なお、品目別の詳細については表2の通り。



(3)大阪市中央卸売市場

 12月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は4万2175トン、前年同月比103.1%、価格は1キログラム当たり210円、同97.2%となった(表3)。
 品目別の詳細については表4の通り。



(4)首都圏の需要を中心とした2月の見通し

 年末年始は西日本を中心とする積雪で荷物が市場に届かず、拠点市場を中心に相場は急騰して年末最後の競りを迎えた。年明けの相場は年末の高値で始まったが、市場在庫も多く、一旦は下げると予想される。各産地とも寒波の影響で2月の出回りは少なくなると予想している。
 関東の露地物は今のところ凍害が出て出荷が少なくなるといった情報はないが、干ばつで生育が止まっているとの話が多い。また、果菜類は重油代の高騰による加温不足が、出荷の不安定要因ともなっている。晴天が続くことは問題ないが、干ばつとなれば地温が上がらず生育は停滞しがちである。逆に降雨が続くと生育が進み、一転して供給過剰になると予想される。いずれにしても天候不順から出回り不足が続き、市場が荷物の引き合いを強め高値傾向の展開と予想される。

根菜類 


 だいこんは、千葉産は年内までは前進気味であったが、現状は例年並みの出荷となっている。1月中旬頃には、出荷の谷間となって減少することも予想される。2月にはトンネル物の春だいこんも始まり、生育は順調で、3月にピークとなると予想される。Lサイズ中心の2Lと、肥大も良好である。神奈川産は基本的に豊作傾向にあり、年末には出荷調整を実施した。年明けは例年と同様のペースに戻っているが、11月の干ばつの影響で形状が悪くなっている。そのため2月まで出荷が減る可能性もある。2月後半には春だいこんに切り換わり、2Lサイズ中心の見込みである。静岡産は現状本格出荷されており、生育は順調である。乾燥と寒さのためやや小ぶりで、3月まで安定した出荷が予想される。徳島産の昨年末は台風の影響もあってやや少なめの出荷となった。年明けは潤沢出荷が続き、1月末頃にピークとなると予想される。2月に入り徐々に減りながら推移するが、例年並みの状況と予想される。
 にんじんは、千葉産は10~11月の高温により大ぶりに仕上がっている。1~2月は霜や葉の枯れなどにより収穫に手間取り、昨年末よりも出荷量は落ち着くと予想される。出荷は3月いっぱいまでで、2月は平年並みの出荷で、L、Mサイズ中心の見込みである。

葉茎菜類

 キャベツは、千葉産の現状は乾燥が続き、生育が止まっている。雨が降り次第増えてくると予想され、2月は例年どおりピークになると予想している。愛知産の現状は干ばつ気味で少なめの出荷となっているが、作柄は良好で豊作傾向である。2月には平年並みに出荷できると予想している。神奈川産の早春キャベツの生育は順調で、2月は一定のペースで出荷されよう。3月には徐々に増えて、春キャベツとなる4月が最大のピークである。

 はくさいは、茨城産の12月はやや多めの出荷になったが、1~2月は定植時の長雨の影響により小ぶりで、例年を下回る出荷と予想される。さらに厳寒期の収穫は作業時間が限定されることや、レタスの作業も始まることなどから、2月下旬には減少気味に推移すると予想される。
 ほうれんそうは、群馬産の生育は順調で、年内までは前進出荷となったが、現状は例年並みの出荷ペースとなっている。当面のピークは2月の初め頃で、3月に入ると他の作物の作業のために少なくなってくると予想される。埼玉産の現状は寒さから遅れ気味である。2月には1月の遅れた分が追いついて前年を上回る出荷と予想される。
 ねぎは、千葉産は秋冬物となるが、3月いっぱいまでピークが続くと予想される。干ばつが続き、作型によっては細めで、2月に入り数量が伸び悩む可能性もある。それでも基本的に豊作傾向で、前年より多く出荷されると予想される。前年の梅雨明けが早かったこともあり、中心サイズは2Lで太めである。茨城産の秋冬物は病気や自然災害はなく、圃場に十分残っている。2月の出荷物は太さも揃い、前年を上回ると予想される。  
 レタスは、静岡産の現状は寒波のため出荷は落ち着いてきている。昨年末まで前進傾向であったことも影響し、結果として例年並みの出荷状況となっている。前年の2月も平年並みの出荷になったが、今年も前年並みが予想され、出来は良好である。香川産の現状は寒波と強風の影響により傷みが発生し、少なめとなっている。増え始めるのは1月末頃から始まるトンネル物からで、2月は平年並みの出荷が予想され、最大のピークは3月と予想される。兵庫産の年内は例年より多く出荷されたが、現状は減少傾向にある。干ばつ気味で生育は遅れ始め、出荷の谷間となってきている。1月中旬は気温が高めで降雨も予想されるため、回復も予想される。2~3月は一定の出荷が続くと予想される。
 

果菜類



 きゅうりは、群馬産が例年どおり1月15日頃から始まり、年内に定植した物が2月初め頃から、1月初めに定植した物が2月20日頃から始まり、全ての生産者の出荷が揃う。ほぼ例年と同様の組み立てであり、現状は好天が続いて問題ない。ただ寒暖の変化が激しく、需給バランスの崩れを懸念している。埼玉産は重油代の高騰で加温を控えたことから苗の生育が遅れ、定植が半旬程度後ろにずれている。そのため1月下旬から2月中旬までほぼ出荷はない。2月下旬から出荷が始まり、3月上旬にピークとなると予想される。
 なすは、高知産は12月23日にかつてない積雪があったが生育には全く問題なかった。1~2月も例年並みの出荷が予想されるが、成り疲れと、今期から単為結果品種「PCお竜」に新たに取り組む生産者の作柄が良好であれば問題なく出荷されると予想される。福岡産の12月の出荷は、寒波や降雪の影響を受けて前年を下回った。1月も少な目で一定の出荷が続くと予想される。2月中旬以降回復してくるが、多かった前年を下回ると予想される。
 トマトは、熊本産は年内に続いて1~2月も前年並みかやや多めの出荷が予想される。当面は一定のペースでの販売で、大きさも例年並みにLサイズ中心と予想される。福岡産の生育は順調で、12月は前年の120%、1月も前年を上回ると予想される。2月には成り疲れもあって落ち着いて来ると予想される。再び増えるのは3月に入ってからで、5月に最大のピークを迎えると予想される。中玉の品種は「フルティカ」、大玉は「桃太郎ホープ」である。愛知産の2月の大玉は一定の出荷ペースが続き、主力の桃太郎系はLサイズ中心に前年並。増え始めるのは3月下旬から。ミニトマトは、千葉産は「サンチェリー」の出荷となり、生育は順調で前年並みの出荷が予想される。ピークは4~5月であり、冬場の出荷は一定のペースで続く見込みである。愛知産は夏の天候不順の影響が残り、2月としては前年を下回る出荷と予想される。
 ピーマンは、宮崎産は多かった年内に続いて年明けもピークが続くが、2月には少なくなると予想している。12月後半から急激に冷え込んだ影響で成り疲れがある。2月の出荷は1月の8~9割程度と予想されるが、これは例年並みである。茨城産の2月は温室物と春ピーマンが半々であり、徐々に温室物が減り、春物が増加傾向で推移すると予想され、春ピーマンが出揃うのは3月に入ってから。中心サイズはMで、2月としては前年並みである。
 

土物類


 さといもは、埼玉産は貯蔵物の出荷となっている。21年産はかなりの豊作であったが、22年についても平年作を上回った。1月に続き2月も2Lサイズ中心にLの前年並みの出荷が期待できる。
 ばれいしょは、鹿児島産の赤土新ばれいしょは現状、軟弱徒長気味であるが、平年、前年並みの出荷が予想される。前々年は不作で少なかった。出荷のピークは3月上中旬で、2L、Lサイズが中心と予想される。北海道産(道南今金)の22年産は一部水害の発生もあったが、平年作に留まった。2月からは加工用と種苗のための出荷となる。同産(道央空知南)の22年産は豊作で、前年を上回る出荷と予想される。品種は「男爵」「北あかり」「洞爺」「メークイン」「オホーツクチップ」で、Mサイズ中心のやや小ぶり。市場出荷は4月いっぱいと予想される。
 たまねぎは、静岡産が1月に続き黄色たまねぎのピークとなり、作柄は平年並みの状況にある。減るのは3月中旬以降と予想され、サイズはL中心である。北海道産の貯蔵量は平年並みで、不作であった前年より多く、2月も出荷は前年を上回ると予想される。5月まで計画出荷していくが、中心サイズはL大である。熊本産の葉付きの「サラたまちゃん」は2月初めから出荷が始まり、現状は生育順調である。ピークは4月上旬で、徐々に増えながら推移すると予想され、作付けは前年並みである。
 

その他

 ブロッコリーは、香川産は寒さの影響により現状は例年より少なめの出荷となっている。増え始めるのは2月に入ってからで、最大のピークの4月に向けて増えながら推移すると予想される。愛知産は年末年始に寒波の襲来はあったものの、例年どおりの出荷となった。現状は冷えて生育は止まっているが、生育そのものは順調で、2~3月が最大のピークである。
 アスパラガスは、佐賀産のハウス物は前年産より株が充実しており、量的に期待できる。前年は遅れたが、今年は2月中旬から増えて、3月の初め頃までピークとなると予想される。新規に栽培を始めた人もいるが止めた人もおり、全体の作付けは微減である。
 ごぼうは、宮崎産は新ごぼうが始まっているが、台風の被害により平年の8割程度と予想している。当初ピークを1月と予想したが、予想より集荷できていない。引き続き2月も一定の出荷が続くと予想される。
 かんしょは、徳島産の貯蔵量は例年並みで、大きさもLサイズ中心と例年と変わらない。最終の6月上旬まで計画的に販売していく。千葉産の22年産は前年に続き豊作傾向である。2月も「べにはるか」「べにあずま」のLサイズ中心の見込みである。
 かぼちゃは、沖縄産が1月から始まっているが、曇天が続いた影響で小玉傾向になっている。2~3月は増えながら推移し、4月がピークと予想され、中心品種は「えびす」である。
 豆野菜は、鹿児島産のスナップえんどうは、12~翌2月までピークで、ほぼ横ばいで出荷され、3月には終盤を迎え、減少しながら推移すると予想される。生育は順調で作柄は良好である。同産のそらまめも順調で、1~2月は増加傾向で推移し、3月中下旬から4月上旬がピークと予想される。同産のグリーンピースは年明けから3月いっぱいまで、大きな波のない出荷が続くと予想される。沖縄産のいんげんは、1~2月は増えながら推移し、3月がピークと予想される。1月は作柄が悪く少なめであるが、2月からは回復して順調と予想している。

 たけのこは、熊本産の早い物は昨年11月中旬から始まったが、同県としては表年のため例年以上の出荷が期待できる。また全体にペースは早めで、2月中旬にはピークとなり、4月上旬には例年より早めに切り上がると予想される。
 菜の花は、千葉産は12月までは前進傾向で来たが、量的にはそれ程多く出荷されていない。今後の天気次第であるが、2月中下旬に最大のピークになると予想されるが、降雨が続くと前進の可能性もある。
 冬瓜は、沖縄産は12月~翌1月は天候に恵まれず少なかったが、2~4月がピークと予想され、例年並みと予想している。

(執筆者:千葉県立農業大学校 講師 加藤 宏一)