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需給動向 野菜情報 2022年10月号

1 東京都・大阪市中央卸売市場の需給動向

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野菜振興部・調査情報部

【要約】

⃝東京都中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は11万3025トン、前年同月比95.9%、価格は1キログラム当たり259円、同107.0%となった。
⃝大阪市中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は3万8251トン、前年同月比97.5%、価格は1キログラム当たり231円、同109.5%となった。
⃝東京都中央卸売市場における指定野菜14品目の価格のうち、平年を下回ったものは、はくさい(平年比54.8%)、キャベツ類(同66.6%)、レタス類(同78.2%)、なす(同84.5%)、きゅうり(同86.7%)、さといも(同91.6%)、ピーマン(同96.6%)、平年を上回ったものは、だいこん(平年比138.0%)、たまねぎ(同135.3%)、にんじん(同124.8%)、ねぎ(同121.5%)、トマト(同121.0%)、ほうれんそう(同102.4%)、ばれいしょ(同102.1%)、となった。
⃝10月は東北産や北海道産の果菜類や根菜類が終盤を迎えるが、不作気味で、例年より切り上がりが早まると予想される。産地リレーの時期を迎え、出回り不足が懸念されるところであるが、北関東産や高原産地産が充実しており、ある程度穴を埋めると予想される。

(1)気象概況

 上旬は、北日本では、低気圧や前線、湿った空気の影響を受けやすかったため、曇りや雨の日が多く、北日本日本海側と北日本太平洋側の旬降水量はかなり多かった。東日本では、旬の中頃は、前線や湿った空気の影響で曇りや雨となったが、旬のはじめと終わりは、太平洋高気圧に覆われて晴れた日が多かった。気温は、西日本を中心に暖かい空気に覆われやすく、晴れて気温が平年を上回った日が多かったため、西日本の旬平均気温はかなり高かった。旬平均気温は、東日本で高く、北日本と沖縄・奄美では平年並だった。旬降水量は、東日本日本海側で多く、沖縄・奄美で少なかった。西日本日本海側と東・西日本太平洋側では平年並だった。旬間日照時間は、沖縄・奄美でかなり多く、西日本日本海側と西日本太平洋側で多かった。一方、北日本日本海側と北日本太平洋側で少なかった。東日本日本海側と東日本太平洋側では、平年並だった。
 中旬は、北・東・西日本では、低気圧や前線、湿った空気の影響を受けやすかったため、曇りや雨の日が多く、各地で大雨となった。また、13日は伊豆半島に上陸した台風第8号の影響で、東日本太平洋側を中心にまとまった雨が降った。このため、旬降水量は、北・東・西日本日本海側と北・東日本太平洋側でかなり多く、平年比は北日本日本海側で249%、東日本日本海側で347%となり、それぞれ1946年の統計開始以降、8月中旬として1位の多雨となった。旬平均気温は、沖縄・奄美でかなり高く、西日本で高かった。北・東日本では平年並だった。旬間日照時間は、東・西日本日本海側と東・西日本太平洋側で少なかった。一方、沖縄・奄美で多かった。北日本日本海側と北日本太平洋側では平年並だった。
 下旬は、北日本では、移動性高気圧に覆われた日が多かったため、北日本日本海側は旬降水量が少なかった。東・西日本では、旬の前半は低気圧や暖かく湿った空気の影響を受けて、大雨となった所があった。旬の後半は、動きの遅い前線の影響などで、東日本では曇りや雨の日が多い一方、西日本では移動性高気圧に覆われて晴れた所が多かった。旬平均気温は、沖縄・奄美でかなり高く、西日本で高かった。北・東日本では平年並だった。旬降水量は、東・西日本日本海側と北・東・西日本太平洋側、沖縄・奄美では平年並だった。旬間日照時間は、東日本日本海側と東日本太平洋側で少なかった。北・西日本日本海側と北・西日本太平洋側、沖縄・奄美では平年並だった。
 旬別の平均気温、降水量、日照時間は以下の通り(図1)。

(2)東京都中央卸売市場

 8月の東京都中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は11万3025トン、前年同月比95.9%、価格は1キログラム当たり259円、同107.0%となった(表1)。



 根菜類は、だいこんの価格が、入荷減から堅調に推移し、安めに推移した前年を5割近く上回り、平年を4割近く上回った(図2)。
 葉茎菜類は、ほうれんそうが中旬以降価格を上げ、やや安めに推移した前年を1割近く上回り、平年をわずかに上回った(図3)。
 果菜類は、トマトの価格が中旬以降に上昇し、やや安めに推移した前年を3割近く上回り、平年を2割強上回った(図4)。
 土物類は、たまねぎが一時の高値からは落ち着いたものの、引き続き堅調な動きが続き、安めに推移した前年を3割以上上回り、平年も3割以上上回った(図5)。
 なお、品目別の詳細については表2のとおり。



(3)大阪市中央卸売市場

 8月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は3万8251トン、前年同月比97.5%、価格は1キログラム当たり231円、同109.5%となった(表3)。
 品目別の詳細については表4の通り。



(4)首都圏の需要を中心とした10月の見通し

 10月は東北産や北海道産の果菜類や根菜類が終盤を迎えるが、不作気味で、例年より切り上がりが早まると予想される。産地リレーの時期を迎え、出回り不足が懸念されるところであるが、北関東産や高原産地産が充実しており、ある程度穴を埋めると予想される。
 9月初旬時点の長期予報では、暖秋傾向とされるが、関東は平年並みの展開が予想されている。猛烈に強くなった台風11号の影響などにより、場合によっては九州産の果菜類のスタートが大幅に遅れることも想定される。

根菜類

 だいこんは、北海道産(道央ようてい)が例年より少な目で、10月中旬には切り上がると予想している。6月下旬の降雨で播種できなかったことが影響し、本年産は例年の70%作とみられている。同産(道東標茶(しべちゃ))の現状は計画以上の出荷となっているが、9~10月は播種(はしゅ)できなかった影響で少なくなってくると予想される。降雨が多い中で生育は順調であるが、例年よりやや脆弱な仕上がりとなっている。青森産は播種時期に降雨が多く、土が固くなって()けなかった。9月の出荷は例年の70~50%と不安定で、10月にはやや回復するが、良くて80%程度であり、11月いっぱいで切り上がると予想される。千葉産は10月に入ってからの出荷となろうが、現状までの作業は順調である。年内いっぱいまでピークと予想され、作付けは前年並である。
 にんじんは、北海道産(道北斜里)は多雨の影響で、圃場(ほじょう)で傷みも見られるところである。現状の出荷は例年の70%程度と少なく、9~10月についても回復は期待できず、少ないままで推移すると予想される。中心サイズはLとMが半々である。同産(道央ようてい)は9月に入って数量が減り始め、例年の70%程度になった。正品率の低下も影響し、10月いっぱいは例年の80%程度のぺースで推移すると予想される。中心サイズはM中心のLと予想される。

葉茎菜類


 キャベツは、群馬産は長雨や高温・干ばつなど問題の多い年ではあったが、大きな影響はなく現状は生育順調である。10月20日過ぎには減り始めるが、10月いっぱいは潤沢で需要に応えることができると予想される。岩手産は大雨で流されるなど定植が十分に行われず、圃場での腐れもあるなど出荷は例年の80%のペースとなっている。10月も天気の回復が予想つかないため、かなり出荷が減ると予想している。気温が下がれば10月中旬で切り上がる可能性もある。
 はくさいは、長野産の現状は特段天候の影響は受けておらず、例年並みに順調な出荷が続いている。標高の高い産地は10月いっぱい、6玉Lサイズ中心に例年並みの出荷を予想している。
 ほうれんそうは、岩手産は8月の豪雨で一部ハウスに浸水があり播種できず、9月までは例年の80%程度の出荷となった。10月には平年並みかやや少ないレベルまで回復してこよう。群馬産(新田郡)は高温の影響で若干遅れ気味であったが、現状ようやく増えてきている。9月下旬から10月上旬に1回目のピークが来て、その後年内は平準ペース推移すると予想される。大きな天候被害はなく順調で、露地は11月に始まると予想される。同産(利根沼田)は9月いっぱいで雨除け物は終了し、10月に入り露地物となり、平年並みの出荷を予想している。栃木産は現状までは例年の70%ペースの出荷となったが、暑さに弱い品種であることや7月初め頃の雨により生育が停滞した。現状は回復基調にあり、9月中旬には例年並みの出荷に戻ると予想される。
 ねぎは、茨城産は天候に恵まれ、生育順調である。少雨のため昨年産のような品質劣化はみられない。本年産は施肥の段階で窒素分を少なくしており、例年よりMサイズが多くなっている。10~11月はレタスの作業に注力するため急増はないが、平年並で少なかった前年を上回ると予想される。青森産の現状は例年どおりスタートしたばかりである。雨による病気などにより品質はやや悪くなると予想しており、最終は11月いっぱいを予想している。北海道産の出荷のピークは10月いっぱいで、11月中旬には切り上がると予想される。雨の影響で十分な防除が出来ず、例年よりも病気が多くみられるが、作付けが増えているため前年を大きく割り込むことはないと予想される。
 レタスは、長野産はこの夏にまとまった降雨もあったが、出荷への影響はなく平年並みとなっている。10月は雨の影響で少なかった前年を上回り、2020年産並みの出荷と予想され、16玉Lサイズ中心の見込みである。茨城産は天候に恵まれ、播種・定植は順調に行われた。春レタスの価格が堅調だったこともあり、秋物の作付けは微増ペースとなっている。9月下旬の初期物はそれ程多くなく、10月2週目からピークを迎えると予想している。兵庫産は例年どおり10月上旬から始まるが、最大のピークは12月で、10~11月は徐々に増える時期であり、作付けは若干減少すると予想している。群馬産の現状は順調に増えてやや多めである。10月10日頃までまとまった量を出荷できるが、その後切り上がりが早まる可能性もある。

果菜類


 きゅうりは、群馬産の抑制物は現時点では生育順調である。出揃う9月25日前に1回目のピークが来て、その後10月上旬後半に2回目のピークが来ると予想される。全般的な日照不足の中で、急増はなく、微増で推移すると予想している。埼玉産の抑制物は天候被害もなく順調である。10月10日頃に最初のピークが来て、加温物が始まる11月上旬にもう1度ピークが来ると予想される。作付面積は前年並であるが、定植の本数を減らす傾向もある。燃料代の高騰で、若干早めの展開が予想される。宮城産は抑制物となるが、8月の定植した物は曇天が続いてやや伸び悩みが目立った。9月いっぱいピークが続き、10月には寒さからやや減るが、11月上旬まで東京市場に前年並に出荷できると予想される。
 なすは、高知産は例年と同様、早い生産者は9月中旬から始まった。当面のピークは10月下旬から11月上旬と予想され、作付けは前年並である。栃木産の生育は順調であるが、高温の影響で前年比では若干少ない。10月の出荷は淡々と続き、10月下旬に降霜があれば切り上がると予想される。福岡産は例年どおり9月2日から出荷が始まった。当面のピークは11月であるが、10月も順調に出荷できると予想される。新規就農者もいるため、前年の105%程度の出荷を予想している。台風11号の影響は心配していない。
 トマトは、千葉産の抑制物は8月26日から始まったが、積算温度が高かったため初期からまとまった量となっている。9月10日過ぎからピークとなり、10月上旬まで続いてその後はやや減少すると予想される。作付けは前年並で、品種は「りんか409」である。群馬産は例年より順調に推移し、数量、金額ともに平年・前年の実績より上回った。11月初旬に切り上がると予想される。青森産は極端な気候の変化に木が追いつかず、現状までは例年の80%ペースとなり、9~10月も同様に少な目での出荷が続くと予想される。中心サイズはM・Sで、例年と同様であれば11月に入り気温が下がれば切り上がると予想される。愛知産の作柄は平年並みで、ピークは11月であるが、10月は例年並みの出荷と予想される。作付けは前年並である。栃木産は抑制物と越冬物の出荷となるが、天候に恵まれ生育順調。日中の寒暖の差がやや大きく、今後裂果の心配はあるが、前年を上回る出荷と予想される。
 ピーマンは、茨城産は9~10月の秋ピーマンは7月上旬に定植した。現状までの2カ月間は前半に晴天が続いたため実はついているが、その後2週間は天気が崩れて花落ちがやや見られる。9月中旬に入って一旦減るが、後半から10月初め頃にかけて当面のピークが来ると予想している。生育はおおむね順調である。岩手産は今年は圧倒的な日照不足もあり、前年の90%程度とやや少なめの出荷となっている。盆の時期の大雨で終了してしまった生産者もいる。露地は9月いっぱい、ハウスは10月末までと予想しているが、暖秋暖冬傾向となればもう少し後ろにずれると予想される。10月は80%程度の出荷と予想している。

土物類  


 さといもは、埼玉産は秋の長雨の影響も心配されるが、生育は順調で例年どおり10月上旬からの出荷を予定している。「土垂(どたれ)」のL・2Lサイズ中心で、12月に向けて徐々に増えてくると予想される。作付けも前年並で、例年並みの出荷を予想している。
 ばれいしょは、北海道産(道央ようてい)の試し掘り調査によると、例年並みの作柄が予想された。8月の大雨で圃場によっては冠水したり、土壌流亡の被害があった。昨年が不作であったことから前年より多く、平年比では10%程度少なくなると予想している。ただ台風11号がらみの降雨で収穫が進まず、病気の広がりが心配される。同産(十勝芽室)のメークインは9月10日前後から始まるが、今のところ平年作を予想している。玉付きは良いがやや小ぶりである。10~11月が出荷のピークと予想される。
 たまねぎは、北海道産(道北きたみらい)の収穫は9月いっぱいで終わる。本年産は気象災害があったが、被害は最小限に抑え、ほぼ平年作と予想している。L大サイズ中心に10月から年明け4月まではほぼ平準ペースで出荷されると予想される。同産(道央岩見沢)の極早生の生育は悪かったが、現状の早生になって回復してきている。出荷のピークは9~11月であるが、年明けも全体の40%程度と予想される。中心サイズはLとL大が半々の予想で、全体では平年作と予想される。

その他


 ブロッコリーは、福島産の秋冬物は早いものは9月下旬から始まり、10月9日の週にピークが予想される。11月中旬でほぼ切り上がるが、11月いっぱい出荷する人もいる。高齢化により、作付けは50ヘクタールとこの10年で半分に減っている。埼玉産は例年どおり10月上旬から始まると予想される。作業は順調で、当面のピークは11月上中旬であり、10月は平年並を予想している。長野産の現状は病気の発生も散見されてやや出荷は減っているが、9月中には回復すると予想される。出荷のピークは9月25日頃から10月上中旬までとなり、出荷そのものは11月いっぱい続くと予想される。
 かぼちゃは、北海道産の現状は収穫が始まったところだが、出荷のピークは例年どおり9月下旬から10月と予想される。11月にはほぼ終了し、12月に冬至用として再び始まると予想される。今年はまとまった雨で葉の損傷も見られ、やや早めに収穫される可能性がある。肥大に問題ないが、やや玉数が少ないと予想している。本年産は平年作に届かないと予想される。輸入物(ニューカレドニア)は現地の天候が悪く、生育は悪い。そのため現時点では輸入されるか判断できないが、10月は例年を下回ると予想される。
 かんしょは、徳島産は今年、通常の梅雨のパターンでなかったが、日照時間が長かったことから大ぶりの仕上がりとなっている。目立った自然災害もなく、豊作型である。出荷は8月に多く、9月はだいこんの播種作業の影響で減り、10月に再び増えると予想される。その後11月から年末に向けて増えていくと予想される。中心サイズはLと2Lが半々くらいと予想される。千葉産は9月に入り出荷も収穫も本格化してくるが、作柄は良好でやや豊作を期待している。後半に植え付けた物の状況が現状では分からない。当面のピークは9月で、10~11月は収穫に注力して出荷量はややダウンすると予想される。
 ながいもは、青森産は10月いっぱいは令和3年産の貯蔵物であり、前年の80%程度と少ない見込み。令和4年産は8月の豪雨での被害により収量がダウンする可能性もある。
 
(執筆者:千葉県立農業大学校 講師 加藤 宏一)