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需給動向 野菜情報 2021年11月号

1 東京都・大阪市中央卸売市場の需給動向(令和3年9月)

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野菜振興部・調査情報部

【要約】

⃝東京都中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は11万5662トン、前年同月比95.8%、価格は1キログラム当たり285円、同114.2%となった。
⃝大阪市中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は3万7766トン、前年同月比92.0%、価格は1キログラム当たり259円、同117.7%となった。
⃝東京都中央卸売市場における指定野菜14品目の価格のうち、平年を下回ったものは、にんじん(平年比75.0%)、ねぎ(同89.5%)、さといも(同95.8%)、ほうれんそう(同99.6%)、平年を上回ったものは、レタス類(平年比165.0%)、ばれいしょ(同152.9%)、はくさい(同149.2%)、きゅうり(同126.3%)、トマト(同118.4%)、たまねぎ(同113.3%)、キャベツ類(同111.9%)、なす(同111.1%)、ピーマン(同107.4%)、だいこん(同100.7%)となった。
⃝首都圏の11月の見通しは、今年は9月、10月の寒暖差が激しく、暖冬にならないとの長期予報であることから、生育遅れによる不作傾向が見込まれている。東北・北海道産から関東や西南暖地にリレーされる時期でもあり、全国的に出回り不足が予想される。しかし、小売業者からは販売環境の厳しさも報告されているため、東京市場は300円越えの高値はなく、270円前後の推移が予想される。

(1)気象概況

 上旬は、北日本では、オホーツク海高気圧が張り出して晴れた日が多かったため、旬降水量は少なく、旬間日照時間は、北日本日本海側でかなり多く、北日本太平洋側で多かった。一方、東・西日本では、前線が停滞しやすく、曇りや雨の日が多くなり、旬降水量は多く、旬間日照時間は東日本太平洋側でかなり少なく、東日本日本海側と西日本で少なかった。気温は、北・東日本では、オホーツク海高気圧からの冷たい空気の影響を受けやすかったため低く、特に東日本では、寡照の影響もあってかなり低くなった。一方、沖縄・奄美では暖かい空気に覆われて晴れた日が多く、高かった。
 中旬は、北日本と東日本日本海側では、高気圧と低気圧が交互に通過して、天気は数日の周期で変化したが、日本の北から高気圧が張り出して晴れた日が多く、旬間日照時間は北日本日本海側でかなり多く、北日本太平洋側で多かった。旬降水量は、北・東日本日本海側で少なかった。東日本太平洋側と西日本では、旬の中頃までは前線や17日から18日にかけて通過した台風第14号の影響で、曇りや雨の日が多くなり、西日本太平洋側を中心に大雨となった所もあったが、旬の終わりは高気圧に覆われて晴れた所が多かった。このため、旬降水量は西日本太平洋側で多く、旬間日照時間は、西日本太平洋側でかなり少なく、東日本太平洋側と西日本日本海側で少なかった。気温は、北日本では、北からの冷たい空気の影響を受けやすく低かった一方、沖縄・奄美では暖かい空気に覆われて高かった。
 下旬は、北・東・西日本では、高気圧と低気圧が交互に通過して、天気は数日の周期で変化したが、移動性高気圧に覆われやすく、晴れた日が多かった。22日から23日にかけては北日本を通過した低気圧の影響で雨が降った。26日頃は、上空の寒気や湿った東よりの風の影響で東日本を中心に雨が降り、大雨となった所があった。30日は、北日本を通過した低気圧や日本の南を北上した台風第16号の影響で、北日本と東日本太平洋側を中心に雨が降った。沖縄・奄美では、高気圧に覆われやすく、晴れた日が多かった。このため、旬間日照時間は、沖縄・奄美でかなり多く、北日本日本海側と東・西日本で多かった。沖縄・奄美の旬間日照時間は、平年比151%で、9月下旬として1961年の統計開始以降1位タイの多照となった。また、旬降水量は、西日本太平洋側でかなり少なく、北・東日本太平洋側、西日本日本海側、沖縄・奄美で少なかった。気温は、北・東日本では、旬のはじめと終わりに南から暖かい空気が流れ込んだため高かった。西日本と沖縄・奄美では、暖かい空気に覆われやすく、かなり高かった。

 旬別の平均気温、降水量、日照時間は以下の通り(図1)。

図1 気象概況

(2)東京都中央卸売市場

 9月の東京都中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は11万5662トン、前年同月比95.8%、価格は1キログラム当たり285円、同114.2%となった。(表1)。

表1 東京都中央卸売市場の動向(9月速報)
 

 根菜類は、にんじんの価格が、不足感も解消され、安めに推移した前年をやや下回り、平年を2割以上下回った(図2)。
 葉茎菜類は、レタスの価格が、9月上旬以降の低温、日照不足により生育が遅れ、業務用の低迷もあって大幅に安めに推移した前年の2.5倍近い価格となり、平年を6割以上上回った(図3)。
 果菜類は、きゅうりの価格が、下旬の入荷量増と高値疲れから反落したものの、高めに推移した前年をやや上回り、平年を2割以上上回った(図4)。
 土物類は、ばれいしょの価格が、絶対数不足から安めに推移した前年を6割以上上回り、平年を5割以上上回った(図5)。


図2,図3,図4,図5
 

 なお、品目別の詳細については表2のとおり。

表2 品目別入荷量・価格の動向(東京都中央卸売市場)

 

(3)大阪市中央卸売市場

 9月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は3万7766トン、前年同月比92.0%、価格は1キログラム当たり259円、同117.7%となった。(表3)。

(3)大阪市中央卸売市場

 品目別の詳細については表4の通り。

表4 品目別入荷量・価格の動向(大阪市中央卸売市場)

(4)首都圏の需要を中心とした11月の見通し

 関東以西では秋冬野菜の播種(はしゅ)時期であるお盆前後に気温が下がり、曇雨天が続いた。この重要な時期の気象の乱れは作業の妨げとなって、収穫の時期にはさまざまなずれとなって現れると予想している。今年は9月10月の寒暖差が激しく、暖冬にならないとの長期予報であることから、生育遅れによる不作傾向を予想している。東北・北海道産から関東や西南暖地にリレーされる時期でもあり、全国的に出回り不足が予想される。しかし、小売業者からは販売環境の厳しさも報告されているため、東京市場は300円越えの高値はなく、270円前後の推移が予想される。

根菜類
だいこんのイラスト
 だいこんは、千葉産(鎌ヶ谷)の生育は順調で、10月末か11月初め頃から出荷開始。11月は前年並の出荷を予想している。同産(銚子)は台風16号の影響で11月の終わり頃から12月にかけての出荷はやや遅れる可能性がある。出荷は平年並みで、作付けは前年並である。
 にんじんは、千葉産の出荷が11月に入ってから始まり、後半から12月中旬にピークとなると予想している。その後厳寒期を迎えて、ややペースダウンしてくると予想している。播種後に一部雨で流されてまき直したため若干の遅れが見られる。埼玉産は11月初めから出荷開始を予想しているが、前年より早めの展開である。11月末頃から年内いっぱいが出荷のピークとなると予想している。北海道産(斜里)は例年と同様11月中旬までの出荷となると予想される。干ばつの影響で小振りに仕上がるとみられ、M・Sサイズ中心で、出荷量は例年を大幅に下回ると予想している。

葉茎菜類
キャベツのイラスト
 
キャベツは、千葉産の出荷が10月末頃から始まり、ほぼ平年並みの出荷と予想している。愛知産は10月10日前後から出荷開始となり、例年並みの始まりであるが、10月11月の収穫はやや平年を下回ると予想している。8玉サイズ中心である。茨城産は盆前後の冷夏や9月の長雨の影響で遅れ気味である。そのためピークは10月下旬から11月いっぱいで、12月10日頃には切り上がろう。10月には若干小振りであるが、11月には8玉サイズ中心になってこよう。作付けは前年並である。
 はくさいは、長野産が例年どおりであれば11月5日~10日の間に終了を迎えると予想しているが、気温次第で前後するであろう。現状は肥大にばらつきがあるが、大玉が揃うようになれば箱数が増えると予想される。今後は生育が早まる可能性もあり、11月としては例年を下回ると予想される。茨城産は例年と同様10月中旬から出荷が始まるが、11月中旬から20日すぎにかけてまとまってこよう。定植も順調に行われたことから、12月にはピークになると予想される。お盆の時期に気温が低かった影響で、年明けの出荷物の生育に遅れが出ると予想している。また、大口の農家が労働力を確保できず、出荷はやや平年を下回ると予想している。作付けは前年並である。
 ほうれんそうは、群馬産の播種は前年並に行われ、年内から1月まで順調に出荷されると予想している。9月までは株は細めであったが、現状は回復してきている。埼玉産は10月初め頃まで微減ペースで推移したが、11月上旬から平年並みに追い付いてピークになると予想される。12月についても播種作業は問題なく続き、引き続き順調と予想される。
 ねぎは、青森産が10月いっぱいは通常どおりとなるが、11月にはかなり減って12月上旬までとなり、現状病害虫の発生もなく生育は順調である。茨城産は昨年は日照不足で不作気味であったが、今年も天候不順の影響で病気が発生するなど、昨年同様に平年を下回る出荷となろう。11月は前年並であるが、12月に入ってピークになると予想される。千葉産は10月から秋冬ねぎとなるが、7月の大雨の影響などで遅れている。また、軟腐の発生もあり、平年を下回る出荷と予想している。さらに10月初めの台風16号の影響も若干受けており、回復は年明けになって太物が増えてきてからと予想される。
 レタスは、茨城産の生育は順調で豊作基調できており、10月10日頃から本格化してこよう。11月から12月上旬まで平年を上回る出荷が予想される。長崎産は8月に降雨が続いた影響で遅れ、出荷は10月中旬から始まった。ピークは11月から12月までと予想される。気温が高ければ引き続き1月も多いが、厳寒となればペースダウンが早まると予想される。作付けは前年並である。兵庫産は10月20日以降から始まるが、現状はやや遅れ気味である。それでも10月に入りやや気温高の日が続き、遅れを取り返して11月は前年並の出荷を予想している。12月までピークが続き、1月に入って寒さによって減り、2月末頃から再び増えると予想される。静岡産は例年と同様であれば10月20日以降の始まりと予想される。生育はおおむね順調で2Lサイズ中心に出荷されよう。今年は作付けが前年の90%と大幅に縮小しているが、ここ数年の価格安で採算が合わなくなってきているためである。それにより11月は多かった前年をかなり下回ると予想している。前年のような暖冬ではないとの予想もしており、12月も数量は限られると予想される。
 

果菜類
きゅうりのイラスト
 
きゅうりは、宮崎産は現在出始めの時期で、台風の被害もなく順調である。11月下旬から12月がピークとなる。11月は前年並の見込みであり、作付けも前年並である。埼玉産は8月の曇天の影響で、根の張りが悪い。現状は予想より出荷量は伸びておらず、病害虫の発生が多いことも影響している。10月11月も前年を下回るが、加温物も始まることや天候が回復すればかなり挽回できると予想している。
 なすは、高知産の現状は生育順調で、出荷量も増えてきている。10月に入り1回目のピークが来て、11月はやや落ち着いた出荷と予想される。12月から1月に再びピークとなると予想される。台風の被害はなかったがやや遅れは見られる。作付けは前年並である。福岡産の長なすは冬春物となるが、一部で水害などもあって定植が遅れた。定植後は順調で、11月に1回目のピークが来ると予想される。生産者の人数は減っているが全体の作付けは前年並である。
 トマトは、熊本産が10月1日から選果を開始し、ほぼ例年並みのスタートである。定植は順調に行われ、現状の着果についても問題ない。11月中旬に1回目のピークが来て、12月に再びピークが来ると予想している。品種は「かれん」が増えているが、引き続き桃太郎系が中心である。全体としては、大玉からミニトマトへの切り替えも見られる。愛知産の現状は小玉傾向で、障害果の発生も多い。10月初めから天候が安定すれば11月には平年並みに回復すると予想している。12月にピークとなると予想され、品種は例年と同様の桃太郎系である。栃木産は越冬トマトとなるが、現状は若干遅れており、出揃うのは11月上旬を予想している。作付けは若干減少している。品種は「かれん」が中心である。北海道産は10月11月は減りながら推移し、ほぼ例年どおり11月中旬で切り上がると予想される。気温が高ければ量的に伸びるが、早めに寒波が襲来すると少なめのまま終了すると予想される。
   ピーマンは、茨城産は秋ピーマンが中心となろうが、定植時期の天候不順が影響しやや不作気味である。波崎地域は中旬から温室ピーマンも本格化してこよう。神栖地域は12月の植え替え時期を迎えるが、終盤の11月にはやや盛り返してくると予想している。高知産の生育はやや遅れが見られたが、生育は順調で平年並みで出荷は9月14日から始まった。当面のピークは11月初めから年明け頃までで、その後減って3月に再びピークがくることが予想される。作付けは前年並である。福島産は今年は例年よりやや早めの11月の初め頃に切り上がると予想される。今年度は面積も増えて数量が伸びたが、終盤は木の疲れもありペースダウンした。

土物類
ばれいしょのイラスト

 さといもは、埼玉産の現状は始まりの時期である。現段階では平年作で、不作気味であった前年を上回る出荷を予想している。現在の出荷はL・Mサイズ中心であるが、11月12月はさらに肥大すると予想される。 
 たまねぎは、北海道産の収穫はほぼ終了したが、生産量は平年および前年と比べて少ない見込みである。Lサイズ中心であるが、ここ数年では小振りの仕上がりである。来年の5月まで計画販売していく。
 ばれいしょ類は、長崎産のニシユタカは、11月下旬から12月をメインに年明けにも出荷されると予想される。作付けは前年並で、大雨などで若干の遅れはあるが被害はない。出荷は前年並を予想している。北海道産は現在は収穫が終わっているが、生産量は平年並みと予想している。年明け1月まで出荷していくが、ピークは10月から12月である。

その他

れんこんのイラスト
 れんこんは、茨城産は台風16号により葉の損傷も見られ、出荷に多少の影響が出ることが予想されるが、生育遅れで少なめの出荷となった前年を上回るペースで11月も出荷はあると予想される。
 ごぼうは、青森産は8月9月に好天が続いたことで、作業の始まりが1カ月以上早い。10月から12月の出回りは平年を上回って潤沢と予想される。その分年明けに出回りが薄くなる可能性がある。
 ブロッコリーは、埼玉産は9月に入っても低温の日があるなど現状の生育は遅れているが、11月は平年並のペースに回復してこよう。昨年は暖冬により出荷が急増し価格が低迷したことから、今年は品種を選び、出荷時期の分散を模索している。11月は例年と同様にピークとなるが、前年ほど多くないと予想している。香川産は9月20日から始まったが、若干早めの展開になっている。定植作業も順調に終了し、出荷は11月にピークとなり12月まで続くと予想される。
 かんしょは、千葉産は11月も「ベニアズマ」「シルクスイート」中心の見込みで、現在収穫作業が続いているが、平年作を予想している。石川産は「五郎島金時」となるが昨年は梅雨が長く続き、肥大不足から不作であった。今年は現状は順調で、豊作気味を予想している。10月初め頃に多く出て、その後収穫に注力して一旦減るが11月から徐々に増えてくると予想される。最大のピークは年明け1月下旬から2月と予想される。

 (執筆者:千葉県立農業大学校 講師 加藤 宏一)

(参考) 指定野菜の卸売価格の推移(東京都中央卸売市場)

(参考) 指定野菜の卸売価格の推移(東京都中央卸売市場)



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