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需給動向 野菜情報 2021年9月号

1 東京都・大阪市中央卸売市場の需給動向(令和3年7月)

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野菜振興部・調査情報部

【要約】

●東京都中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は12万1426トン、前年同月比105.7%、価格は1キログラム当たり230円、同75.6%となった。
●大阪市中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は4万37トン、前年同月比106.2%、価格は1キログラム当たり201円、同73.1%となった。
●東京都中央卸売市場における指定野菜14品目の価格のうち、平年を下回ったものは、きゅうり(平年比62.2%)、にんじん(同68.2%)、ピーマン(同74.7%)、なす(同77.7%)、ばれいしょ(同80.6%)ねぎ(同81.9%)、はくさい(同84.0%)、キャベツ(同87.9%)、さといも(同88.2%)、ほうれんそう(同90.1%)、だいこん(同90.3%)、レタス(同95.6%)、平年を上回ったものは、トマト(平年比101.0%)、たまねぎ(同101.0%)となった。
●首都圏の需要を中心とした9月の見通しは、全国的に干ばつの影響が心配されるため、特に北海道・東北産は8月までの順調基調から一転して不作となる可能性もある。今後本格化するいも類や高冷地のキャベツやレタスは現在順調であるが、9月は台風や秋の長雨といった不安定要素も多く、現在の安い価格はいつまでも続かないと予想している。

(1)気象概況

 上旬は、梅雨前線は本州付近に停滞し、北・東・西日本では曇りや雨の日が多かったため、北・東日本太平洋側の旬間日照時間はかなり少なく、東日本日本海側と西日本で少なかった。1日は伊豆諸島で線状降水帯が発生するなど、期間のはじめは東日本太平洋側を中心に大雨となり、土砂災害等の被害が発生した所があった。東日本太平洋側の旬降水量は平年比287%とかなり多く、7月上旬としては1946年の統計開始以降で1位の多雨となった。また、7日は鳥取県と島根県、10日は鹿児島県で線状降水帯が発生し、期間の中頃からは西日本を中心に大雨となり、河川氾濫等の被害が発生した所があった。旬平均気温は、西日本で高く、北・東日本と沖縄・奄美で平年並だった。旬降水量は、東日本太平洋側でかなり多く、東日本日本海側と西日本で多かった。一方、北日本日本海側と沖縄・奄美で少なかった。北日本太平洋側では平年並だった。旬間日照時間は、北・東日本太平洋側でかなり少なく、東日本日本海側と西日本で少なかった。一方、沖縄・奄美で多かった。北日本日本海側では平年並だった。
 中旬は、北日本と東日本日本海側の旬間日照時間はかなり多く、東日本太平洋側と西日本日本海側では多かった。北日本日本海側と北日本太平洋側の旬間日照時間はそれぞれ平年比208%と196%で、7月中旬として1961年の統計開始以降で1位の多照となった。北日本では期間の後半は猛暑日を観測する地点があるなど、旬平均気温はかなり高かった。また、北日本の旬降水量はかなり少なく、東・西日本日本海側では少なかった。西日本太平洋側の旬降水量は多かった。上空の寒気の影響は次第に縮小し、11日ごろには九州南部で、13日ごろには九州北部地方と中国地方で、14日ごろには北陸地方で、16日ごろには関東甲信地方と東北南部と東北北部で、17日ごろには近畿地方と東海地方で、19日ごろには四国地方で梅雨明けしたとみられる(速報値)。旬平均気温は、北日本でかなり高く、東・西日本と沖縄・奄美で平年並だった。旬降水量は、北日本でかなり少なく、東・西日本日本海側で少なかった。一方、西日本太平洋側で多かった。東日本太平洋側と沖縄・奄美で平年並だった。旬間日照時間は、北日本と東日本日本海側でかなり多く、東日本太平洋側と西日本日本海側で多かった。西日本太平洋側と沖縄・奄美で平年並だった。
 下旬は、北・東・西日本では、期間の半ばまでは高気圧に覆われて晴れた日が多かったが、28日に台風第8号が東北地方に上陸して横断し、北日本や東日本日本海側では曇りや雨となった。北・東日本日本海側と西日本の旬間日照時間はかなり多く、北・東日本太平洋側で多かった。北日本日本海側の旬間日照時間は平年比191%で、7月下旬として1961年の統計開始以降で1位の多照となった。北日本の旬平均気温は平年差+3.0度でかなり高く、7月下旬として1946年の統計開始以降で1位の高温となり、猛暑日を観測した地点もあった。旬平均気温は、北日本でかなり高く、東・西日本で平年並だった。旬降水量は、北日本日本海側と西日本でかなり少なく、北日本太平洋側で少なかった。東日本で平年並だった。
 旬別の平均気温、降水量、日照時間は以下の通り(図1)。

図1

(2)東京都中央卸売市場

 7月の東京都中央卸売市場における野菜全体の入荷状況は、12万1426トン、前年同月比105.7%、価格は1キログラム当たり230円、同75.6%となった(表1)。

表1
 
 根菜類は、にんじんの価格が、関東産の終了から青森産への産地移行で不足感なく、暴騰した前年を6割以上下回り、平年を3割以上下回った(図2)。
 葉茎菜類は、ねぎの価格が、潤沢な入荷から、大幅に高めに推移した前年を4割近く下回り、平年を2割近く下回った(図3)。
 果菜類は、きゅうりが関東産の残量が多く、東北産の潤沢な入荷もあり、高めに推移した前年の半値近い価格となり、平年を4割近く下回った(図4)。
 土物類は、ばれいしょの価格が、高値反動と気温による需要減退の為、暴騰した前年を6割近く下回り、平年を2割ほど下回った(図5)。

図2-5
 
 なお、品目別の詳細については表2のとおり。

表2表2-2

(3)大阪市中央卸売市場

 7月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は4万37トン、前年同月比106.2%、価格は1キログラム当たり201円、同73.1%となった(表3)。

表3
 
 品目別の詳細につい–ては表4の通り。

ひょう4
ひょう4

(4)首都圏の需要を中心とした9月の見通し

 7月の東京市場の野菜の価格は、この時期に珍しく低迷した。
 9月については、全国的な干ばつの影響が心配され、特に北海道・東北産は8月までの順調基調から一転して不作となる可能性もある。高温の影響で作業を午前中で切り上げる状況も見られるため、9~10月出荷ものの播種が遅れ始めている。今後本格化するいも類ははほぼ順調に始まっている。高冷地のキャベツやレタスは今のところ気象災害がほとんどなく順調である。それでも9月には台風や秋の長雨といった不安定要素も多く、7月のような安い価格はいつまでも続かないと予想している。
 
根菜類
だいこん
 だいこんは、北海道産(道央のようてい)は干ばつにより「くさび」という障害がみられ、廃棄や選果によって50%程度の出荷となっている圃場もある。9月には回復傾向も予想されるところであり、引き続き雨待ちの状況が続く。同産(道東の標茶(しべちゃ))も干ばつ傾向ではあるが、道東産地は霧の発生により現状は例年並みかやや多めの出荷となっている。8~9月中旬までほぼ現状のペースで推移し、9月中旬から干ばつによる発芽不良の影響が出始めて、70~80%の出荷にペースダウンすると予想される。青森産は9月に入ると8月よりも増えてほぼ例年並の出荷と予想される。8月1日にも降雨もあり生育は順調である。
 にんじんは、北海道産(道央のようてい)の播種は順調に行われているが、干ばつにより小ぶりの仕上がりも予想される。8月6日から選果開始の予定で、9~10月の出荷が少なめとなるのは確実なところである。同産(道東の美幌)は干ばつの影響でやや形が悪い。今後の降雨次第だが、9月には80~90%程度と徐々に不作になり、さらに10月は発芽不良から50%の出荷に落ちてくると予想している。
 
葉茎菜類
キャベツ
 キャベツは、群馬産の生育は順調で、8月に入りピークに近い水準になっている。9月いっぱいはピークが続き、10月に入り下降線をたどる展開と予想される。岩手産は高温が続いて若干病気も散見されるが、生育そのものは順調で9月に入り再び増えると予想される。作付けは前年の90%程度のため、出荷は前年比より減ると予想される。
 はくさいは、現在の産地は標高1200メートル地帯で、作付けは前年より増えており、9~10月は前年を上回ると予想している。
 ほうれんそうは、岩手産が7月下旬から減ってきており、高温で葉先が枯れたり発芽が悪くなっている。盆明けには暑さも収まり播種も再開されると見込まれ、9月には回復し、中下旬から再び順調に増えると予想される。岐阜産は例年並の出荷となっているが、梅雨明けが早く順調で、8月は前年より多めの出荷となろう。ただ、高温のハウスでの水 かけは難しく、短めのサイズの出荷が増えると予想される。9月以降は、播種の動向によるが、場合によっては前年を下回る可能性もある。
 ねぎは、青森産の出荷が例年より早く始まっているが、当面のピークは盆前後と予想している。9月も例年並の出荷が予想されるが、稲作の作業が早まればそちらが優先されるため、ねぎの収穫作業が遅れて9月としては例年を下回る出荷が予想される。茨城産は夏ねぎの出荷となっているが、9~10月は長雨で少なかった前年の150%以上の出荷が予想される。
 レタスは、群馬産は長雨が続いて品質が厳しくなっているが、夜温が低いこともあって傷みは少ない。8月の出荷は少ないが例年どおり定植は終わっており、回復は9月中旬にずれ込むと予想される。長野産は干ばつであるが、7月上旬までは長雨が続き、現状の出荷は前年を下回っている。9月は今後の天候次第であるが、定植も問題なく9月上旬には前年並の出荷になると予想される。茨城産は高温の影響もあり、播種に若干の遅れが見られる。9月下旬から出荷が始まり、10月に入って急増すると予想される。
 
果菜類
きゅうり
 きゅうりは、梅雨明けが例年より早かった福島産が順調で、前進出荷されている。8月下旬から9月はピークの後半で減りながら推移するが、9月も前年を上回る出荷が予想される。その後の10月の切り上がりは早いと予想している。作型は露地もあるが、徐々に長期雨よけ物が中心になってくると予想される。群馬産の抑制物は例年並の9月5日から始まる見込みで、20~25日に1回目のピークとなると予想される。作付けは前年並である。
 なすは、栃木産の生育は順調で前年を上回る出荷となっている。露地なすのピークは例年どおり8月下旬から9月で、10月中旬以降はハウス物に切り替わる。群馬産も順調で、8月いっぱいは前年を上回る出荷と予想される。9月は残量となるが、前年並を予想している。
 トマトは、北海道産は現在10日程度の前倒し出荷となっている。高温で花落ちが見られるなど、8月20日以降は減ってくると予想される。9月に回復して上向くか、そのまま下降線をたどるかは判断が難しい。青森産(つがる西北)は7月末から8月初めにピークとなって盆前まで多いが、明けには急減すると予想している。日本海側が特に雨が少なく、今後の玉伸びにも影響し小玉傾向となると予想される。9月に入っても回復しない可能性もある。同産(たっこ)は8月に入り減り始め、盆明けには大きな谷間になると予想される。9月には再び増えてくると予想しているが、高温の影響は小さくないとみられる。福島産は9月も現状と同様に前年を上回る出荷と予想される。今後の天候にもよるが、木の状態は良好で、引き続きLサイズ中心と、玉の肥大は良好と予想している。群馬産の出荷量は平年並を予想している。
 ミニトマトは、北海道産(道北の留萌(るもい))の生育は順調であるが、軟果が発生するなど高温で採りきれない状況にある。盆明けも量的に問題なく収穫でき、10月の切り上がりが早まると予想している。
 ピーマンは、岩手産は8月同様、9月も露地物とハウス物の併売である。高温続きのため、生育が止まってピークはやや後ろにずれ込むと予想される。生育そのものは順調で、前年を上回る出荷が続いており、9月も引き続き順調で前年を上回ると予想している。福島産は前年の120~130%のペースの出荷となっている。このまま盆まで多く、その後は成疲れとなって一旦減ると予想される。今年は夜温が例年より低いのが救いとなっており、9月上中旬にもう1度ピークがきて下旬に急減すると予想している。
 
土物類
ばれいしょ
 さといもは、千葉産の「石川早生」の出荷が7月25日から始まったが、盆明けから9月がピークと予想される。同品種の作付けは前年並で、生育順調である。現状では2Lサイズも例年並の比率である。静岡産は8月9日から「石川早生」が始まるが、8月下旬から9月上旬がピークの見込みである。孫いも主体の出荷であり、M、Lサイズが中心である。きぬかつぎ用の丸い小芋は、適度の降雨もあり生育順調である。
 たまねぎは、北海道産(道北のJAきたみらい)は収穫が始まっているが、前年と同様に早めのスタートとなっている。現時点では大きな気象災害はないが、干ばつ気味である。そのため肥大はやや抑えられ、豊作であった前年を下回る収量を予想している。同産(道央の岩見沢)は8月に出荷が始まったが、年々早まる傾向にある。作付けは前年並で、出荷のピークは9~11月であるが、干ばつの影響で小ぶりである。今後の降雨で若干の肥大も期待できる。
 ばれいしょ類は、北海道産(道南の今金)の「男爵」の収穫は8月23日ごろからと予想し、出荷は9月10日ごろになるが平年よりやや早い。干ばつにより例年より小ぶりの仕上がりになると予想される。同産(道央の留寿都(るすつ))の「きたあかり」は過去30年にない干ばつの影響で、今後の降雨で裂果が増えるなど懸念材料もある。現在出荷が始まったところで、9月に入り本格出荷となると予想される。同産(道東の芽室)の「メークイン」は9月に入ってからの出荷となろうが、干ばつの影響は特別受けていない。出荷のピークは10~11月であるが、例年より小玉傾向と予想している。
 
その他
さつまいも
 かんしょは、徳島産が7月から始まっているが、9月から本格的に増えてくると予想される。生育は例年どおり順調で、現状は雨も欲しいところである。「里むすめ」はLサイズ中心の出荷と予想される。千葉産は7月から例年並のスタートとなり、高温干ばつの影響はなく順調である。9月に入っても「ベニアズマ」「シルクスイート」が中心であるが、特に後者の面積が拡大している。「べにはるか」は10月に入って出荷が開始され、年明けの主力品種となる見込みである。
 れんこんは、茨城産は2年掘り物の出荷となっている。新物は盆前頃から始まる見込みであるが、今後天候に問題がなければ前年を上回る出荷と予想される。
 ブロッコリーは、長野産が9月末から10月初め頃をピークに、11~12月までと予想される。干ばつのえいきょうにより、出荷数量にばらつきが出ることも予想される。作付けは前年並で、9月の出荷は前年並を予想している。北海道産(道東の十勝)は干ばつの影響で8月いっぱいは例年の50%程度と少ない見込みである。9月中旬には回復すると見込まれ、その後10月いっぱいの出荷と予想される。同産(道東の女満別)は干ばつの影響により(灌漑施設のあるなしで状況は異なるが)60~70%程度の作になっている。今後順調に回復しても9~10月は10%割程度の減収で推移すると予想される。
 えだまめは、秋田産の出荷のピークは8月いっぱい続き、9月には晩生の茶豆と「秋田ほのか」が中心と予想される。作付けは前年比やや減であり、最終出荷は10月初め頃となる見込みである。
 かぼちゃは、北海道産は干ばつと高温が続き、結実に影響が出ることが心配される。現状は木の状態に問題はなく、9月上旬から出荷が始まって10月がピークとなり、貯蔵物が12月中旬まで出荷されると予想される。
(執筆者:千葉県立農業大学校 講師 加藤 宏一)

 
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