5月の東京市場の野菜は平年比でも若干高く、4月までの平年を下回る水準から、ようやく上昇してきた。キャベツは平年価格の半分程度と低迷しており、出荷量が多いキャベツが安いことから、全体の単価が薄まっており、実際の市場の仲卸店頭価格はかなり高いと判断されている。時間が経てば一般の小売価格に影響すると思われる。
7月は西南暖地ものが梅雨入りが早かったこともあり、切り上がりは早めで、関東産の終盤ものと東北・北海道、高原もののシェアが高くなると予想される。5月の低温で一旦は遅れたが、その後気温は回復し例年並に回復している。主要野菜は、ほぼ平年並みの出回りとなろう。価格は平年を上回るしっかりした展開と予想される。
根菜類
だいこんは、北海道産は例年並に7月1日からの出荷と予想しており、7月下旬の収穫物がやや少なくなることが心配されるが、6月に天候回復すれば生育は挽回できるため、大きな減収は回避できると予想される。青森産はトンネルものからの切り換わりで少なくなるが、6月中旬から回復してこよう。7月出荷ものの生育は順調であり、前年並に潤沢に出荷されると予想される。
にんじんは、北海道産(網走管内の美幌)が7月下旬からとなり、出荷のピークは8月、9月である。作付けは前年並で、中心品種は「向陽2号」である。中心サイズはMと予想される。道南の新函館は6月20日頃からの出荷と予想される。5月の低温の影響がどこまで残るか心配されるが、6月の天候次第では十分取り返せると予想される。出荷のピークは7月上旬で、20日過ぎには切りあがろう。作付けは前年の90%と減っている。品種は「紅みのり」、中心サイズは収量を勘案しながらだが、L中心になるであろう。
葉茎菜類
キャベツは、群馬産が6月10日頃からとなり、ほぼ例年並の見込みで。苗の状況が非常に良く生育順調である。7月は前年並の見込みでL中心と予想される。最大のピークとなる9月に向け、徐々に増えながら推移しよう。岩手産の作付けは410~420ヘクタールと昨年よりも若干下回っているが、外国人の技能実習生がいないため減らしている。出荷は前年並に6月20日頃からと予想し、7月に入り山岳地帯の出荷も始まって、10日頃から10月まで定量出荷となろう。
はくさいは、長野産が標高1000メートル地帯の産地からの出荷となる。現状は一部抽苔の発生も見られるものの、平年並の出荷が予想される。その後の8月についても順調で、量もそのまま推移すると予想される。作付けは農家の意欲が旺盛で、前年並である。
ほうれんそうは、群馬産が7月に入って雨除けものとなり、7月よりも量は増えると予想される。蒔きつけも順調で、前年並と予想される。栃木産の当面のピークは6月下旬で、7月にはやや減りながら推移しよう。岐阜産のスタートは早く、順調に始まったが、梅雨入りが早くなった影響もあり現状は少なくなっている。間もなく回復し、7月には例年並みのピークになると予想される。8月には減り気味で推移しよう。
ねぎは、茨城産は今のところ順調で、5月末から7月20日頃まで出荷のピークが続くと予想される。梅雨の天候が平年並みであれば、前年を上回る出荷が予想される。北海道産は早いものは7月10日過ぎから出荷が始まるが、ピークは9月に入ってからとなる。作付けは前年の110%である。青森産の露地ものは7月20日頃から始まると予想され、平年並の見込みである。作付けは前年並で、9月上旬からピークと予想される。
レタスは、長野産が6月10日から15日にいったんピークが来るが、本格的には7月10日以降と予想される。生育は一時早まったが、急増といった場面はないであろう。全般に干ばつ傾向で一時低温はあったが、生育は順調である。群馬産の現状は生育順調で、定植も問題なく行われている。6月に続き7月についてもスムーズな流れを維持できると予想される。
果菜類
きゅうりは、宮城産の主力の促成ものは7月中旬頃に切り返し時期で急減しよう。夏秋もの(ハウスと露地)は6月下旬から始まって7月に入り本格化し、出荷については天候によるが、前年並かやや多いと予想される。福島産の主力はハウスものと雨よけものとなるが、作型が重なる7月が最大のピークである。露地は4月から始まっているが、これから定植する農家が多く、7月10日頃から本格的に増えてこよう。
トマトは、群馬産の夏秋トマトは7月上旬から出荷が始まり、当面のピークは7月20日過ぎから8月の盆過ぎ頃までと予想される。作付けは前年並で、品種は「りんか」が80%である。青森産の出荷は6月15日から始まり、8月のお盆頃まで続くと予想される。品種は「セレクト」を中心に桃太郎系で、2Lサイズ中心となろう。北海道産のピークは7月下旬から8月上旬と予想される。栃木産の4月に定植した夏秋ものは生育順調で、6月に一回目のピークが来て、次のピークは7月上中旬となろう。作付けは前年並で、品種は「桃太郎はるか」と「麗月」でLサイズ中心の見込みである。
ミニトマトは、北海道産は5月の低温の影響で、若干遅れている。7月は増えながら推移し、8月の盆明けが最大のピークと予想される。
ピーマンは、岩手産(花巻)のピークは7月から8月の盆前頃までとなる。作付けはハウスものが前年の110%であった。昨年は天候不順で出荷の伸びが悪かったが、今年は順調で前年を上回る出荷が予想される。岩手ふるさとは7月に入って露地も始まり、海の日前後から8月までピークが続くと予想される。作付けは露地中心に2ヘクタール増えている。
土物類
たまねぎは、佐賀産の現状までの出荷は前年の83%となっているが、早生たまねぎの2L比率が昨年ほど多くないことが影響している。現状は中生と晩生の出荷が始まってきているが、大きさは平年並である。収穫作業は6月上旬で終るが、7月はJAや農家で貯蔵したものの販売で、出荷量は平年並が予想される。兵庫産の現状は晩生の収穫のピークで、前年程ではないが大玉傾向である。収量も前年程ではないが、平年を上回ろう。7月には貯蔵ものとなり、L・2L中心の出荷と予想される。
ばれいしょ類は、長崎産は6月いっぱいピークで、例年どおり7月上旬までの出荷と予想される。静岡産の「三方ヶ原男爵」は5月下旬のまとまった雨の影響で現状やや遅れているが、作柄は平年並かやや良いと予想される。ピークは6月いっぱい続き、7月に入り減ってきて月末までの出荷となろう。大きさはL中心の2Lと予想される。静岡産の「三島馬鈴薯」(メークイン)の出荷は6月に入ってからで、20日頃から量的にまとまり、7月5日前後をピークに7月下旬に切りあがろう。L・2Lサイズ中心で肥大も良好である。梅雨の長雨の影響で小玉傾向であった前年に比べ120%の増収になると予想される。
その他
かぶは、青森産のピークは6月中下旬から7月となろうが、前年は天候不順で少なかったことから前年を上回る見込みである。作付けは前年を上回っている。
こねぎは、福岡産は梅雨入りが早くやや徒長気味であるが、生育はおおむね順調である。これから年間を通して最も少ない時期に向かうが、量的には前年並かやや多くなると予想される。
ブロッコリーは、北海道産の出荷のピークは6月末から7月で、8月にはやや減ってこよう。作付けは前年並である。長野産は標高1000メートル地帯からの出荷となり、6月中旬からから7月上旬にピークが来よう。8月に入りやや減るが、9月中下旬から再び増え始めよう。作付けは微増である。
とうもろこしは、千葉産は全量露地ものであり、6月下旬から出荷は始まり、本格的には7月10日過ぎからで、8月の盆前には切りあがろう。昨年は作柄悪く減収となり、その影響で作付けはやや減少している。中心品種は「ゴールドラッシュ」で、定植は終了した。群馬産は7月20日過ぎから始まるが25日から8月の盆前までピークとなろう。作付けは前年並で、品種は「恵味スター」である。
いんげんは、福島産の細長
丸莢タイプの「いちず」は6月末から出荷が始まり7月20日頃にピークを迎え、その後2番莢、3番莢と徐々に減少するが、8月もしっかり出荷できよう。平莢の「びっくりジャンボ」も6月末から始まるが5月定植ものが7月10日頃に一旦ピークとなろう。8月に入り半分位に減り、9月に再び増えて10月までの出荷となろう。
にんにくは、香川産が4月20日から始まったが、6月上旬から乾燥ものの出荷に切り換わり、7月いっぱいの出荷となろう。3Lサイズ中心と大玉傾向であり、収量は前年の120%と多い見込みである。
すいかは、長野産は例年どおり7月上旬から出荷が始まり、中下旬から8月5日頃までをピークに9月末までとなる。作付けは前年並である。昨年は7月まで天候不順であったが、今年の梅雨が平年並であれば前年を上回る出荷と予想される。山形産の出荷は7月15日前後とほぼ平年並を予想される。ピークは7月25日から8月5日頃と予想される。昨年はやや遅れて始まったことから、7月としては前年を上回ると予想される。
(執筆者:千葉県立農業大学校 講師 加藤 宏一)