ホーム > 野菜 > 野菜の情報 > 1 東京都・大阪市中央卸売市場の需給動向(令和3年3月)
3月の東京都中央卸売市場における野菜全体の入荷状況は、12万1378トン、前年同月比97.6%、価格は1キログラム当たり238円、同97.9%となった(表1)。
根菜類は、にんじんの価格が堅調な需要から平年を4割近く上回った(図2)。
葉茎菜類は、潤沢な入荷からはくさい、キャベツ、レタスの価格が低迷し、特にはくさいは平年より5割以上の安値となった(図3)。
果菜類は、きゅうり以外の品目で入荷量が平年を上回り、特にトマトは業務需要低迷と低温で厳しい販売となった(図4)。
土物類は、全品目で入荷量が平年を下回り、ばれいしょの価格は絶対数不足で月間を通して高騰した(図5)。
なお、品目別の詳細については表2の通り。
3月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格は、入荷量が3万9289トン、前年同月比104.9%、価格は1キログラム当たり214円、同98.2%となった(表3)。
品目別の詳細については表4の通り。
根菜類
だいこんは、千葉産が5月20日頃までまとまった量を出荷できると予想している。6月も出荷は続くが、全体が前倒しで、その分切り上がりが早まる可能性がある。青森産は例年6月に入ってから出荷が始まるが、今年は出荷開始時のトンネル栽培ものが早まると予想される。市場から要請があれば5月20日以降出荷が開始できる。
にんじんは、千葉産が例年は5月から出荷開始となるが、今年はゴールデンウィーク前頃から始まる可能性がある。出荷は6月末までと予想されるが、現時点での生育は順調で、当面Lサイズ中心と予想される。徳島産は、天候による生育の前進もあるが、農協サイドでは早めの出荷を農家にお願いしている。そのため、量販店で売りやすいMサイズ中心の出荷と予想される。4月から5月のゴールデンウィーク明け頃までが出荷のピークと予想される。茨城産は、平年並みに5月20日前後から始まり7月上旬までで、量的には前年並を予想している。
葉茎菜類
キャベツは、愛知産は5月としては前年並の出荷と予想される。前年は6月いっぱい出荷が続いたが、今年は下旬にはかなり少なくなると予想される。千葉産は現状では前倒し気味の出荷となっており、5月は前年並の出荷と予想し、6月いっぱい続く見込みである。茨城産は5月中旬から出荷開始の見込みであるが、平年より早いと予想される。特別早い農家はゴールデンウィーク明けに出荷が始まると見込まれる。作付けも前年並で、出荷のピークは6月初め頃、品種は寒玉系品種のみである。
はくさいは、茨城産は天候に恵まれ順調で、例年より10日ほど早く出荷が始まった。5月中旬をピークに5月いっぱいの出荷の見込み。長野産は例年5月20日過ぎからの出荷となるが、今年はやや早まる可能性がある。出荷のピークは6月中旬となるが、その後減りながら盛夏期を迎える。今年の作付けは前年並である。
ほうれんそうは、群馬産の露地ものの出荷となるが、生育は順調で、ピークは4月20日頃から5月いっぱいを予想している。岩手産はゴールデンウィーク前頃から本格的に増えてくると予想される。
ねぎは、茨城産が5月に量的にまとまって、7月まで潤沢に出荷できると予想している。千葉産は春物のピークが5月いっぱい続くが、5月後半から「坊主知らずねぎ」も始まり6月いっぱいまでとなる見込み。
レタスは、長野産は晴天が続いて気温が高かったことなどにより7日程度の前進が予想されている。ピークは4月下旬から6月上旬頃を予想している。群馬産の現状は干ばつも解消され、生育は順調である。最大のピークは6月下旬から7月にかけて、増えながら推移する見込み。茨城産は3月の高温傾向から肥大は良好であり、2Lサイズ中心の出荷となっている。5月に入って結城地域の潤沢な出荷ペースが続くと見込まれる。
果菜類
きゅうりは、群馬産が引き続き5月も潤沢で前年を上回ると予想している。6月10日過ぎには減り始めるが、例年より急減の可能性もある。宮崎産は4月~5月はほぼ横ばいで推移し、6月いっぱいの出荷計画である。
なすは、高知産が5月に最大のピークとなり、6月に入って徐々に減りながら推移する見込み。栃木産は早いところで5月20日過ぎに始まるが、梅雨入りのタイミングが早ければ量的に少なめとなる見込み。5月は施設ものが中心となる。
トマトは、熊本産は4月、5月も端境はないと予想し、切り上がりは例年同様6月下旬で、ほぼ前年並を予想している。天候に恵まれ生育順調で、着果も問題なく豊作型となっている。栃木産も6月いっぱいまでで、少なかった前年を上回る見込み。愛知産はゴールデンウィーク明けがピークと予想される。量的には前年並と予想され、6月末頃までの出荷を予想している。
ピーマンは、茨城産は生育順調で5月の最も多くなる時期に向け増えながら推移しよう。宮崎産も天候に恵まれ、累計でも前年を上回る出荷となっている。4月に入って増加し、5月がピークと予想される。6月上旬から減りながら推移する見込み。
土物類
たまねぎは、佐賀産の中晩生が5月20日頃から開始。平年並の肥大と予想している。兵庫産の肥大は平年並で、Lサイズが中心。晩生は5月末頃から始まり、6月上旬に最大のピークと予想される。
ばれいしょ類は、静岡産がゴールデンウィーク明けから出荷が始まり、生育は順調でピークは例年通りの6月中下旬の見込み。作付けは前年並。長崎産は早いところが4月に入って出荷開始の見込みで、5月は前年並の出荷を予想しているが、農家の高齢化で作付けは前年を下回っている。
その他
すいかは、千葉産が好天で順調に推移し、例年より早くゴールデンウィーク明けから出荷開始の見込み。ピークは5月下旬から6月初め頃。
ブロッコリーは、香川産が4月に入って一旦は減るが、5月に入りもう一度数量的に持ち直してくる見込み。茨城産が4月下旬から5月初め頃から出荷開始となり、ピークはゴールデンウィーク中の5月上旬と予想される。生育は順調で切り上がりは6月初め頃となる見込み。
らっきょうは、鳥取産の出荷が例年は5月21日頃から始まるが、今年はまだ確定していない。生産者の戸数は変わっておらず、量的には前年並と予想している。例年のピークは5月末から6月上旬いっぱいである。
(執筆者:千葉県立農業大学校 講師 加藤 宏一)