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需給動向 1 (野菜情報 2021年2月号)


1 東京都・大阪市中央卸売市場の需給動向(令和2年12月)

野菜振興部 調査情報部


【要約】

〇東京都中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は12万7864トン、前年同月比98.7%、価格は1キログラム当たり211円、同87.4%となった。
〇大阪市中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は4万2938トン、前年同月比102.2%、価格は1キログラム当たり184円、同91.1%となった。
〇東京都中央卸売市場における指定野菜14品目の価格のうち、平年を下回ったものは、はくさい(平年比47.2%)、レタス(同57.6%)、きゅうり(同66.5%)、キャベツ(同68.4%)、ピーマン(同73.4%)、だいこん(同78.3%)、ほうれんそう(同78.4%)、トマト(同79.0%)、たまねぎ(同88.2%)、なす(同90.3%)、にんじん(同92.8%)、平年を上回ったものは、ばれいしょ(平年比118.6%)、さといも(同109.7%)、ねぎ(同107.8%)となった。
〇首都圏を中心とした2月の見通しは、今冬の寒波や干ばつで露地野菜の生育が緩慢となり、年明けは値を戻しているが、天候が順調に回復すれば出回り不足は解消されると見込まれる。

(1)気象概況

上旬は、低気圧が数日の周期で日本付近を通過し、その後は北日本を中心に、冬型の気圧配置となる日が多かった。このため、北・東日本日本海側では曇りや雪または雨の日が多かった。一方、太平洋側では晴れた日が多かったが、北・東日本太平洋側では気圧の谷の影響で、雲の広がりやすい日があった。旬を通して低気圧の影響を受けにくかったため、北・西日本では旬降水量がかなり少なく、北日本太平洋側(平年比15%)と西日本日本海側(同13%)、西日本太平洋側(同2%)では、1961年の統計開始以降で最も少なかった。

中旬は、13日頃までは冬型の気圧配置が弱かったが、その後は旬の終わりにかけて断続的に強い寒気が流れ込んだため、日本海側では雪の日が続いた。15日から16日にかけては、東日本日本海側を中心に大雪となり、群馬県藤原や新潟県湯沢では24時間降雪量が1メートルを超えるなど、記録的な大雪となった所があり、関越自動車道では多数の車両が立ち往生するなど、大規模な交通障害が発生した。また、農業用ハウスが倒壊するなどの農業施設被害も発生した。一方、太平洋側では晴れた日が多く、低気圧の影響を受けにくかったため降水量は少なかった。

下旬は、前半は冬型の気圧配置となる日が少なく、高気圧に緩やかに覆われたため、太平洋側では晴れの日が多く、日本海側でも晴れ間の出た日があった。24日は、日本付近を低気圧や前線が通過したため、曇りや雨または雪の降った所が多く、荒れた天気となった所もあった。25日から26日は冬型の気圧配置となり、日本海側では雪や雨の降った所が多く、太平洋側は晴れた所が多かった。27日から29日は日本付近を低気圧が通過したため、太平洋側でも雨の降った所が多かった。30日から31日にかけては、冬型の気圧配置が強まり日本海側では大雪となり、31日時点での積雪は平年を上回った地点が多かった。

旬別の平均気温、降水量、日照時間は以下の通り(図1)。

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(2)東京都中央卸売市場

12月の東京都中央卸売市場における野菜全体の入荷状況は、入荷量が12万7864トン、前年同月比98.7%、価格は1キログラム当たり211円、同87.4%となった(表1)。

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根菜類は、千葉産と神奈川産の出回りとなった病害虫も少なく生育は順調だったが、にんじんは短根傾向で価格は前年よりも大幅に安値だった。(図2)。

葉茎菜類は、潤沢な入荷から価格は低迷し、特にはくさい、ほうれんそう、レタスの低迷が目立ったが、ねぎは年末需要から下旬にかけて上昇した。(図3)。

果菜類は、入荷は順調であったが価格が低迷し、特にトマトは業務需要の低迷から価格が伸びず苦戦した。(図4)。

土物類は、埼玉産のさといもは前進出荷気味で数量減から価格は堅調に推移した。北海道産のばれいしょ、たまねぎは順調な入荷で安定した価格推移だった(図5)。

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なお、品目別の詳細については表2の通り。

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(3)大阪市中央卸売市場

12月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格は、入荷量が4万2938トン、前年同月比102.2%、価格は1キログラム当たり184円、同91.1%となった(表3)。

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品目別の詳細については表4の通り。

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(4)首都圏の需要を中心とした2月の見通し

この冬は昨冬に姿を現さなかった強い寒波が立て続けに日本列島を襲ってきている。露地の根菜類や葉物野菜の生育は緩慢となっているが、年末頃まで潤沢な出回りを見せた大型野菜は年明け急減したため、市場価格は平年並みに戻してきた。干ばつで関東のじょうは乾ききっており、降雪などがあれば定植作業が進み、出回り不足の懸念は解消されると見込んでいる。果菜類はハウス内温度を維持する経費がかさむが、価格安からやむを得ず温度を下げて対応しているとの報告もある。家庭でのサラダの需要は鈍く、業務向け野菜のエンジンが欲しいところである。

根菜類 

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だいこんは、千葉産のトンネル栽培の春だいこんが2月上旬から始まるが遅れ気味。干ばつの影響で細めの仕上がりで、Lサイズ中心と予想される。神奈川産は昨年が暖冬で多かったのに対し、今年は平年どおりに1月~2月がピークとなるが、干ばつが影響して小振りである。徳島産は平年並みで2月いっぱいの販売で、中心サイズ2Lで肥大については問題ない。

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にんじんは、千葉産が11月の高温で肥大が進み、大振りである。平年作と予想しており、3月に入りほぼ切り上る。

葉茎菜類

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キャベツは、神奈川産が小ぶりで出遅れており、多かった前年を大幅に下回ると予想している。愛知産はシーズン初めから価格の低迷が続いたが、年末になって上向いてきた。出荷は、3月のピークに向けて徐々に増えると予想している。前年は2月にかなり多く出たが、今年はそれ程多くないと予想している。千葉産は12月から前進気味で多めの出荷が続いたが、平年並みに戻り、3月まではこのペースが維持されると予想している。干ばつで小ぶりの仕上がりになっている。

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はくさいは、茨城産の20年産は台風の影響もなく、多くが4玉サイズの大振りなものを出荷できるなど例年になく順調で平年を上回る出荷となった。農家の採算ベースでは厳しいが1月までこの流れは続き、2月に入り他の作物の作業も始まり徐々に少なくなってくると予想している。加工筋からも歩留まりの良さを評価されている。

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ほうれんそうは、群馬産のハウス物のピークが1月下旬から2月上旬。露地物は、11月に播種したものが2月中旬にピークとなり平年並みの出荷が予想される。栃木産のトンネル栽培物も始まってくるが露地物を中心に前年同様、平年並みの出荷と予想される。ちぢみほうれんそうは12月から始まったが、1月中旬に出そろい2月にピーク。暖冬で少なめとなった前年より多いと予想している。

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ねぎは、千葉産の量的には問題ないが細目の仕上がりになっている。2月まで数量が多く、3月には徐々に減ってこよう。茨城産は圃場には十分あるため、1月後半にはねぎの収穫作業に集中でき平年並みの出荷となる見込み。

こねぎは、福岡産の「博多万能ねぎ」の年内の出荷は前進傾向であったが、年明けの強い寒波の影響もあり減っている。

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レタスは、静岡産の年内出荷は前進したが、年明け以降は緩慢な生育となっている。2月の状況については順調に定植されており、多かった前年を下回るものの、平年並の出荷が予想される。茨城産の春レタスの播種・定植作業は順調に行われ、2月下旬にはピークとなろう。干ばつで前倒しでの出荷はなく、干ばつの水不足が影響して抑えられたスタートとなろう。兵庫産は前年が多かったこともあり、現状は前年を下回っている。2月についてもほぼ同様の展開で、平年並みの出荷を予想している。

果菜類

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きゅうり群馬産は、平年並の進捗状況である。物日(節分)への対応となる月下旬から月初め頃の需要にも十分に対応可能である。宮崎生育順調が、価格が安いためハウスの温度を下げて収穫を遅らせる対策をとっている

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なすは、高知産が年明けの冷え込みで、太りが悪く、減少傾向である。2月には1月より増えるが、前年は暖冬で多かったため、前年をやや割り込む出荷と予想している。福岡産は長なすの出荷となるが12月は好天に恵まれたこともあり前年を上回った。気温の低下で実太りが遅くなっているため一次的に減ったが2月は平年並に戻ると予想している。

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トマトは、熊本産の生育年どおりとなっているが、着色が寒さで鈍り減ってくる

栃木産の生育は順調で徐々に増えながら推移する。前年は暖冬で病気が発生し少なかった。2月に入り冬春物は段~段、越冬物は8段~12段の収穫となろう。前者は「桃太郎はるか」など、後者は「麗容」「マイロック」などである。本年産については日照時間が長く生育は問題ないが、水不足が心配される。

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ピーマンは、宮崎産寒波があるものの、晴天が続いており生育は順調である。年末年始が多く出た影響が残り、月については例年を下回ると予想している。木の状態は良好である。

茨城産は、年内の価格安で農家の意欲減退が心配される。この時期は最低温度維持するために油をかざるを得ないが1度上げるにもコストがかかる。半促成物は月から始まってくるが、本格的に増えるのは月に入ってからである。作付けは5%程減少しており、月については年を下回ると予想している。

土物類

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さといもは、愛媛産は「おんな」の出荷となるが、20年産の生産量は前年および平年並みである。日々減少しながら、4月まで阪神市場や中京・関東市場へ出荷される。

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ばれいしょは、鹿児島産の早春ばれいしょの出荷ピークは月末から月上旬で、月末には切り上がる。自然災害がなく順調で、肥大は平年並みでLサイズが中心である。品種は「ニシユタカ」がほとんどであるが、一部「ピルカ」「メーク」もある。4月からの春ばれいしょは年末からの寒波の影響を受ける可能性がある。北海道のようてい地域では、「男爵」の収量が前年を下回っているが、肥大は良好である。最終の販売は4月いっぱいで、それまで計画的に販売していく。

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たまねぎは、静岡産の黄玉は月下旬から月いっぱいがピーク。作柄としては平年並であるが、L中心と肥大良好である。月上旬には減ってくる。熊本産の葉付き新たまねぎが月以降に出揃い、中旬にピークとなる見込み。作付けは前年を下回っているが、降雨がない中で病気の発生なく順調である。

その他

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かぼちゃは、沖縄の宮古産が1月21日から市場での販売開始となり、平年並のペースである。本島産は2月に入ってからで、週1回のペースでの販売がピークの~4月までずっと続く。作柄としては寒波や曇天が続いた影響で良くない。着果不良や小ぶりの仕上がりになっている。品種は「えびす」がほとんどである。

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ブロッコリーは、愛知産の出荷ペースは平年並みで、月が最大のピークで、月以降減少する。定植時期の天候に恵まれ、平年作を上回ると予想している。埼玉産の春ブロッコリーは2月としては若干前進気味だが平年並みの出荷を予想している。凍害による品質低下に留意したい。

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なのはなは、千葉産については降雨が大幅に少なかったことから、思ったほどの数量が出てこない。出荷のピークは月から月で、前年は少なかったが、今年は平年並みを見込んでいる。

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たけのこは、熊本産の出荷は11月から始まっているが平年より出荷のスピードが早く、ピークは平年よりも一旬程度早い3月初めから4月の初旬までと予想している。九州の産地では、福岡産と鹿児島産は裏年、熊本産は表年で、山の状況は昨年より良好と判断できるが、業務筋の引き合いが弱いことを見越して、現地の加工業者の買いが強くなると予想され、市場の価格も下げ渋りが予想される。

(執筆者:千葉県立農業者大学校 講師 加藤 宏一)

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