野菜振興部
令和2年9月の野菜輸入量は、19万6240トン(前年同月比1万1172トン減、5%減)となった。酢調製野菜およびトマト加工品が前年同月を上回ったものの、国産野菜が梅雨の豪雨などによる生育停滞から回復できずに品質が安定しなかったことに加え、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により外食需要が減少したことから市場価格が前年をやや下回り、生鮮野菜など、多くの類別が前年同月を下回り、全体の輸入量は同5%減と前年同月をやや下回った(図1、表1)。
生鮮野菜の輸入量は、キャベツ、ごぼうなどが上回ったものの、ジャンボピーマン、しょうが、にんじんなどが前年を大幅に下回ったことから、全体での輸入量は前年同月比6%減と前年をかなりの程度下回った(図2)。
主な品目のうち最も増加率が高かったのはキャベツで、5629トン(同2403トン増、75%増)で、輸入先別の内訳は、第1位が中国の5596トン、第2位が米国の33トンであった。国産品が、定植遅れや干ばつなどによる生育停滞で市場価格が前年を大幅に上回ったことから、前年を上回る輸入量となった。
キャベツに次いで増加率が高かったのはごぼうで、3527トン(同173トン増、5%増)で、輸入先別の内訳は、第1位が中国の3494トン、第2位が台湾の33トンであった。前年の輸入量が、国産品が安値で推移したために大幅に減少したことから、前年をやや上回る輸入量となった。
一方、主な品目のうち最も減少率が高かったのはジャンボピーマンで、1927トン(同1268トン減、40%減)で、輸入先別の内訳は、第1位がオランダの907トン、第2位が韓国の841トン、第3位がニュージーランドの147トンであった。前月同様、COVID-19による外食産業などの需要の減少により加工・業務用需要が大きく減少したことに加え、主な輸入先である韓国が天候不順による不作と国内価格の上昇により輸入量が減少したことから、前年を大幅に下回る輸入量となった。
ジャンボピーマンに次いで減少率が高かったのはしょうがで、1027トン(同579トン減、36%減)となった。輸入先別の内訳は、第1位が中国の1007トン、第2位がタイの20トンであった。主な輸入先である中国およびタイの天候不順による不作により、前年を大幅に下回る輸入量となった。
しょうがに次いで減少率が高かったのはにんじんで、7138トン(同928トン減、12%減)となった。輸入先別の内訳は、第1位が中国の6977トン、第2位が豪州の152トン、第3位が米国の10トンであった。国産品が安定入荷により市場価格が前年を大幅に下回ったことに加え、COVID-19による外食産業などの需要の減少により加工・業務用需要が大きく減少したことから、前年をかなり大きくに下回る輸入量となった(表2)。
冷凍野菜の輸入量は、いちご、ほうれんそう等、さといもなどが前年を上回ったものの、スイートコーン、ばれいしょ、えだまめなどが前年を下回ったことから、全体では前年同月比6%減と前年をかなりの程度下回った(図3)。
主な品目のうち増加したのはいちごで、2720トン(同572トン増、27%増)となった。輸入先別の内訳は第1位が中国の1583トン、第2位がチリの388トン、第3位が米国の330トンであった。
いちごに次いで増加率が高かったのはほうれんそう等で、4001トン(同387トン増、11%増)となった。輸入先別の内訳は、第1位が中国の3735トン、第2位が台湾の134トン、第3位がイタリアの90トンであった。
ほうれんそう等に次いで増加率が高かったのはさといもで、2244トン(同161トン増、8%増)となった。輸入先別の内訳は、第1位が中国の2240トン、第2位が台湾の3トン、第3位がベトナムの1トンであった。これらの品目は在庫調整により輸入量が増加したとみられる。
一方、主な品目のうち最も減少率が高かったのはスイートコーンで、3408トン(同983トン減、22%減)となった。輸入先別の内訳は第1位が米国の2060トン、第2位がタイの621トン、第3位が中国の373トンであった。
スイートコーンに次いで減少率が高かったのはばれいしょで、2万7145トン(同3554トン減、12%減)となった。輸入先別の内訳は、第1位が米国の2万847トン、第2位がベルギーの2256トン、第3位がオランダの1328トンであった。これらの品目は、アジア-米国西海岸航路の運航停滞などにより輸入量が減少した。
ばれいしょに次いで減少率が高かったのはえだまめで、5274トン(同416トン減、7%減)となった。輸入先別の内訳は第1位が台湾の2268トン、第2位がタイの1422トン、第3位が中国の1350トンであった。COVID-19による外食産業などの業務用需要の減少により、輸入量が減少したとみられる(表3)。
生鮮野菜および冷凍野菜以外の類別において、大きな変動のあった主要な品目の輸入量は、塩蔵等野菜のきゅうり及びガーキンで918トン(同195トン減、18%減)、トマト加工品のトマトピューレ等関割で2481トン(同311トン減、11%減)、その他調整野菜のたけのこで4292トン(同993トン減、19%減)などであった。