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需給動向 1 (野菜情報 2020年9月号)


1 東京都・大阪市中央卸売市場の需給動向(令和2年7月)

野菜振興部 調査情報部


【要約】

⃝東京都中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量が11万4925トン、前年同月比95.6%、価格は1キログラム当たり305円、同125.2%となった。
⃝大阪市中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は3万7692トン、同97.7%、価格は1キログラム当たり275円、同131.0%となった。
⃝東京都中央卸売市場における指定野菜14品目の価格は、すべての品目で平年を上回り、ばれいしょ( 平年比213.9%)、にんじん( 同212.3%)、はくさい( 同148.2%)、ピーマン( 同142.4%)、ねぎ( 同138.7%)、なす( 同132.9%)、レタス( 同131.1%)、きゅうり( 同125.6%)、キャベツ(同125.4%)、トマト(同118.8%)、ほうれんそう(同116.8%)、だいこん(同115.1%)、たまねぎ(同113.4%)、さといも(同101.4%)となった。

(1)気象概況

上旬は、日本の南海上で太平洋高気圧の勢力が強く、梅雨前線は東・西日本付近に停滞しやすかった。日本付近で偏西風が蛇行して、黄海付近が気圧の谷となり、太平洋高気圧の縁辺を回る湿った空気と、中国大陸から梅雨前線に沿って西から流れ込む湿った空気が日本付近で合流したため、梅雨前線の活動が非常に活発となり、東・西日本を中心に各地で長期間にわたって大雨となった。4日は熊本県および鹿児島県、6日は福岡県、佐賀県および長崎県、8日には岐阜県および長野県で大雨特別警報が発表されるなど、河川の氾濫や土砂災害などの甚大な被害が発生した。旬降水量は北日本日本海側と東・西日本でかなり多く、旬間日照時間は東日本と西日本太平洋側でかなり少なかった。東日本日本海側の旬間日照時間は、平年比25%でかなり少なく、7月上旬として1961年の統計開始以来第1位の寡照となった。旬平均気温は、低気圧に向かって暖かい空気が流れ込みやすかった北日本で高かったが、曇りや雨の日が多かった西日本では低かった。

中旬は、日本の南海上で太平洋高気圧の勢力が強く、梅雨前線は東・西日本付近に停滞しやすかった。梅雨前線上を進む低気圧の影響で、東・西日本では大雨となった所があった。曇りや雨の日が多かったため日射が少なく、北からの冷たい空気の影響を受ける日もあったため、旬平均気温は西日本でかなり低く、東日本で低かった。北日本日本海側では、高気圧に覆われやすく晴れた日が多かったため、旬間日照時間はかなり多かったが、北日本太平洋側では、期間の後半を中心に東からの湿った気流の影響を受けやすかったため、曇りや雨の日が多く、旬間日照時間は少なかった。

下旬は、太平洋高気圧の本州付近への張り出しが弱く、梅雨前線は本州付近に停滞しやすかったため、北・東・西日本では曇りや雨の日が多くなった。梅雨前線の活動が活発となった28日には、山形県を中心に大雨となり、河川の氾濫などの被害が発生した。旬降水量は東・西日本でかなり多く、旬間日照時間は東日本と西日本日本海側でかなり少なかった。東日本太平洋側の降水量は平年比263%で、7月下旬として1961年の統計開始以来第1位の多雨となった。東日本太平洋側の旬間日照時間は平年比32%で、7月下旬として1961年の統計開始以来第1位の寡照となった。旬平均気温は、曇りや雨の日が多かったため日射が少なく、北からの冷たい空気の影響を受ける日もあった北・東・西日本で低かった。期間の終わりには、太平洋高気圧が張り出したため西日本を中心に晴れの日となり、28日ごろには九州南部で、30日ごろには九州北部地方、四国地方および中国地方で、31日ごろには近畿地方で梅雨明けしたとみられる。

旬別の平均気温、降水量、日照時間は以下の通り(図1)。

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(2)東京都中央卸売市場

7月の東京都中央卸売市場における野菜全体の入荷状況は、入荷量が11万4925トン、前年同月比95.6%、価格は1キログラム当たり305円、同125.2%となった(表1)。

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根菜類は、北海道産、青森産が中心となったが生育期の天候不順により肥大不良や生育遅延がみられ、だいこん、にんじんともに入荷量が少なく、価格は高騰した(図2)。

葉茎菜類は、長野県、茨城県、群馬県が中心の産地となったが、長雨と日照不足による生育遅延や品質低下、病害虫の発生もあり、いずれの品目も入荷量は前年並みか前年に及ばず、価格は高騰した(図3)。

果菜類は、関東から東北の産地が中心となったが、どの品目も6月中旬以降の雲雨天による日照不足の影響で生育が遅れた。入荷量はピーマンを除き平年をかなりの程度下回り、価格は絶対量不足から高騰した(図4)。

土物類は、九州産が中心となったさといもで病害の発生があり、中国からの輸入が増えた。たまねぎは、佐賀産と兵庫産が中心でいずれも大玉傾向となった。輸入もあったことから入荷増となったが需要が強く価格高となった。ばれいしょは干ばつにより生育遅延や小玉傾向で入荷が伸びない中で、家庭需要が強かったことから大幅に価格を上げた(図5)。

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なお、品目別の詳細については表2の通り。

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(3)大阪市中央卸売市場

 7月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格は、入荷量が3万7692トン、前年同月比97.7%、価格は1キログラム当たり275円、同131.0%となった(表3)。

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 品目別の詳細については表4の通り。

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(4)首都圏の需要を中心とした9月の見通し

7月の東京市場の野菜の入荷量は、11万4925トン(前年比95.6%)、価格は305円(同125.2%)と入荷減価格高の展開となった。家庭での消費が旺盛で市場での引き合いが強まったためと思われる。夏休みに入り、学校給食需要も落ち着くと思われたが、西日本の産地の中小規模の産地ではここ数年の気象災害からの復旧が進んでおらず、東北の産地では関東の市場だけでなく関西や北陸の市場からの引合いも強くなっている。

9月以降、北海道産が出揃ってくるが、全体としては平年並みと予想している。前述の通り、西日本の市場からの引き合いが通常よりも強く、東京市場も7月、8月に続き9月も平年より高めの推移が続くと予想される。

根菜類 

だいこんは、北海道のしべちゃでは、干ばつや低温・多雨など栽培環境は良くなかった。盆明けからピークになるが、じょうによるばらつきが大きく9月は上旬と下旬にやや谷間ができると予想している。サイズは、スタートが早かった畑はL中心、遅かった畑は2L中心を見込んでおり、9月としては前年を下回ると予想している。青森産は9月中旬以降に本格的に増えてくると予想している。ピークは10月となるが、現状の生育は順調である。


 にんじんは、北海道の斜里町では平年並みに出荷がスタートし、ピークは8月いっぱいで9月は歩留まりが悪くなり少しずつ減りながら推移する。

葉茎菜類 

キャベツは、群馬産の生育は順調で、平年並みである。9月には収穫作業のみに集中できるため、8月よりも増えてピークになるであろう。


 はくさいは、長野産で出荷量が少ない状況が続いているが、高温障害の影響が出てきて定植した物の活着が悪い。そのため9月出荷分について、今のところかなり少なめと予想している。


 ねぎは、青森産の出荷量が少ない状況が続いており、圃場によっては最終の土寄せができず、白い部分が出荷基準に達していない。出荷は2週間程度の遅れとなっているが9月には回復し10月までピーク続くと予想している。北海道産はハウスが終わり、露地が始まるタイミングである。気象の影響は受けておらず、平年どおり盆明けから9月がピークの見込み。作付面積は前年より増えている。


 ほうれんそうは、群馬産が9月初めから再び増え始める。ハウス物中心となるため量的には平年と同様である。露地は10月中下旬のスタートの計画である。


 ブロッコリーは、長野産で雨が長く続いた梅雨とその後の高温が圃場に及ぼす影響が心配される。それでも9月中旬から増えて、ピークとなり、大きな災害がなければ平年並と予想される。北海道産は、作付面積の微増もあるが収量が多くなっており、9~10月も潤沢な出荷が続くと予想している。


 レタスは、長野産の生育が回復し、9月には順調に出荷できる見込み。産地は引き続き標高1,000メートル地帯で出荷は10月いっぱいを予想している。群馬産は7月までは長雨の影響を受けたが、梅雨明け後は完璧に回復している。定植も順調で9月中旬から増え始め、10月中旬まで出荷の計画である。

果菜類

きゅうりは、群馬産が9月中旬には出揃ってくると予想している。作付面積は前年並であり、好天が続くと予想されるため順調な出荷となろう。福島産の露地物は現状2回目のピークを迎えているが、長雨の影響で病気も目立ち成り疲れも懸念されるところである。そのため9月には少なくなることが予想される。雨除物は3回目のピークを迎えているが、9月については平年並に出荷できる見込み。


 なすは、栃木産の露地物が盆明けにはかなり回復して平年並に戻り、9月もそのままピークが続き前年並の出荷を見込んでいる。


 トマトは、北海道産の出荷が1週間程度遅れてのスタートとなった。8月に2回のピーク、月にももう一回ピークがあり、量的には多くなるが、サイズは小ぶりになる。切り上がりは11月中旬を予想している。新函館地区の出荷は8月下旬から始まり、当面のピークは9月中旬、品種は「桃太郎ファイト」である。茨城産の抑制トマトは盆明けから始まるが、天候の影響でやや遅れている。通常であれば、9〜10月はピークであるが、7月までの曇天の影響で数量は少ない見込み。それでも前年の9月は台風の影響で少なかったことから、前年比では大幅増となる見込み。

ミニトマトは、北海道産の作付面積は前年の103%と微増ペースである。出荷は遅れて始まり、ピークはないと予想される。9月中旬までは8月と同様のペースでその後徐々に減りながら推移する。


 ピーマンは、茨城産の秋ピーマンは8月上旬に定植が終了した。9月以降は数量が揃い、ピークは9月下旬から10月を見込む。梅雨が長かったことから樹勢はやや弱いが、花は付いており、平年並みの出荷が期待できる。

岩手産の作付けは前年並であるがハウスの割合が増えている。例年より7~10日程の遅れとなっており盆前後に最初のピークとなろう。9月についても収量は少なめが続き、前年の90%程度と予想される。


 かぼちゃは、北海道の道央産地は干ばつ傾向だが、かぼちゃの栽培にとっては悪くない気候である。出荷のピークは8月下旬から9月上旬の見込み。品種は「ほっこり113」「栗マロン」中心に、10月には「くり将軍」も始まる。作付面積は減少傾向である。

土物類  

ばれいしょは、北海道のようてい地区では「洞爺」の出荷が始まっており、平年作は上回っており、肥大は良好だが玉つきがやや少ない。「男爵」は8月下旬から出荷となるが平年並みを予想している。十勝地区も例外なく平年を下回ると予想されるが、玉数が平年だと10個なのに対し7~8個と少ない。その分肥大は良好であるが、収量はカバーできない。「メークイン」は農家からの受け入れは8月11日から始まっており、例年より若干早い。2週間程風乾して8月下旬から東京市場で販売が始まる。寒暖の差が大きかったためにライマン価は高い。出荷のピークは9〜10月で選果は2月までの計画である。道央地区の「洞爺」の出荷は月中旬までその後は「キタカムイ」となる。Lサイズ中心であるが、玉付きは少なく収量は昨年を下回ると予想される。


 たまねぎは、8月から収穫、出荷が始まった北海道産の出荷ピークが9月後半から10月となり、生産量については前年を上回ることはないと予想している。兵庫産は短期冷蔵物となるが前年の30%程度と大幅に少ない見込みである。


 さといもは、宮崎産の「石川早生」のトンネル物は盆前で終了し、8月初めから始まった露地物は9月中旬までの出荷となる。天候の回復もあって肥大は良好である。現状は病気の報告もなく、順調である。静岡産は「石川小芋」となり、平年並みに9月が出荷のピークになる見込み。やや大玉傾向と予想している。

その他

かんしょは、徳島産が長雨で収穫が遅れたが、生育そのものは問題ない。ただ夜温が低かった影響で出荷スタート時はやや小ぶりな芋が多かった。9月は収穫作業のピークで、年末に向けて徐々に増えながら推移する。大きな気象災害がなければ、豊作傾向と予想している。


 ごぼうは、宮崎産で害虫被害の報告が多くもたらされている。露地物は遅れ気味だが9月初めから始まり平年より太めの仕上がりである。


 えだまめは、秋田産の出荷が遅れているが大きなピークはなく、10月上中旬まで出荷が続く。茶豆風味の「湯あがり娘」もあるが、青豆がメインである。作付面積は新型コロナウイルス感染症COVID-19による需要の減退を予想して、昨年比では減少している。


 にんにくは、青森産の出荷が月下旬後半からとなるが、圃場による生育のバラツキが大きい。特に、植え付けが遅くなった圃場は玉伸びが悪い。トータルでは前年を下回り、平年比でもやや少ないと予想している。

(執筆者:千葉県立農業者大学校 講師 加藤 宏一)

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