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需給動向 1 (野菜情報 2020年7月号)


1 東京都・大阪市中央卸売市場の需給動向(令和2年5月)

野菜振興部 調査情報部


【要約】

⃝東京都中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量が12万7259トン、前年同月比93.4%、価格は1キログラム当たり246円、同110.0%となった。
⃝大阪市中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は3万7265トン、同93.4%、価格は1キログラム当たり220円、同110.0%となった。
⃝東京都中央卸売市場における指定野菜14品目の価格のうち、平年を下回ったものは、たまねぎ(平年比47.1%)、トマト(同93.1%)、レタス(同94.4%)、なす(同97.2%)、ほうれんそう(同97.6%)、ねぎ(同97.7%)、にんじん(同98.5%)、平年を上回ったものは、はくさい(平年比150.6%)、ばれいしょ(同138.7%)、ピーマン(同135.3%)、キャベツ(同132.0%)、だいこん(同115.8%)、さといも(同103.9%)、きゅうり(同103.4%)であった。

(1)気象概況

上旬は、上旬は、北・東・西日本では、高気圧と低気圧が交互に通過し、天気は数日の周期で変わった。北日本太平洋側と東・西日本は、高気圧に覆われて晴れた所が多く、旬降水量は少なかった。一方、北日本日本海側は、気圧の谷や湿った空気の影響を受けやすく、旬間日照時間は少なかった。北・東・西日本は、期間の中頃に寒気の影響を受けた所があったが、期間のはじめと終わりに、沿海州付近を通過する低気圧に向かって南から暖かい空気が流れ込んだため、気温は全国的に高く、特に北・西日本でかなり高かった。

中旬は、北・東・西日本では、高気圧と低気圧が交互に通過し、天気は数日の周期で変わったが、期間の前半は、高気圧に覆われて晴れた日が多かった。期間の後半は、低気圧や前線の影響で、16日には日降水量が宮崎県加久藤で228.5ミリメートルと5月の記録を更新したほか、18日には鹿児島県紫尾山で215.5ミリメートルなど九州南部を中心に、西日本から東日本太平洋側にかけて、大雨となった所があった。旬降水量は、東日本太平洋側と西日本で多かった。気温は、低気圧や前線に向かって、暖かい空気が流れ込みやすかった東日本でかなり高く、西日本でも高かったが、期間の後半にはオホーツク海高気圧が発生し、北日本を中心に寒気の影響を受けたため、北日本では平年並だった。

下旬は、北・東・西日本では、期間のはじめは北日本を中心に、オホーツク海高気圧からの冷たく湿った気流の影響で、期間の中頃は上空の寒気を伴った低気圧の影響を受けやすかったため、北日本から東日本太平洋側を中心に曇りの日が多かった。その後は移動性高気圧に覆われ、北日本中心に晴れた。旬間日照時間は北日本で多く、東日本太平洋側で少なかった。一方、南からの湿った気流の影響を受けにくかったため、西日本日本海側の旬降水量はかなり少なく、東日本と北・西日本太平洋側では少なかった。気温は、期間のはじめは冷たい高気圧の影響を受けた北日本を中心に低かったが、その後は、南からの暖かい空気に覆われたことや晴れた日も多かったため、北・東日本では高かった。なお、九州南部では5月30日ごろ、四国地方では5月31日ごろに梅雨入りしたとみられる。

旬別の平均気温、降水量、日照時間は以下の通り(図1)。

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(2)東京都中央卸売市場

5月の東京都中央卸売市場における野菜全体の入荷状況は、入荷量が12万7259トン、前年同月比93.4%、価格は1キログラム当たり246円、同110.0%となった(表1)。

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根菜類は、にんじんは徳島産が温暖な気候による前進化から5月は入荷量が少なく、価格は前年をかなり上回った。だいこんも前進化により3月に出荷が早まったことから入荷量はかなり少なくなり堅調な価格推移となった(図2)。

葉茎菜類は、春の産地から夏の産地へ切り替わる品目が多く、前月までの価格高を引きずったまま高値であったが、下旬に向けて値は下がった。はくさいは加工向け需要の高まりにより前年の2倍以上の価格となったが、中旬以降は入荷量も増え下落した(図3)。

果菜類は、関東産の出荷も本格的に始まり、入荷量は増えてきたが平年と比べると少ない傾向が続いている。下旬にかけて価格は落ち着いてきたものの、ピーマンは堅調な需要から前年比1.5倍となった(図4)。

土物類は、入荷量が少なく全体的に価格は前年を上回っている。安値が続いていたたまねぎ価格も上昇に転じ、ばれいしょは約1.8倍と大幅に前年を上回った(図5)。

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なお、品目別の詳細については表2の通り。

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(3)大阪市中央卸売市場

5月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格は、入荷量が3万7265トン、前年同月比93.4%、価格は1キログラム当たり220円、同110.0%となった。(表3)。

010b

品目別の詳細については表4の通り。

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(4)首都圏の需要を中心とした7月の見通し

5月の東京市場は、入荷量は12万7259トン(前年比93.4%)、価格は246円(同110.0%)となった。果菜類の入荷量が伸び悩んだことが影響し入荷は前年を下回った。7月も関東以北の果菜類の遅れは解消されることなく、出回りは少なめと予想される。高原野菜と東北産の生育は順調であるが出荷ペースが遅い。北海道産は目立った遅れはなく、ほぼ平年並みの出回りとなる見込み。

業務用需要はまだ弱く、回復にはさらに時間がかかると予想されている。そうした中で始まる学校給食により動きに変化が出てくると見込んでおり、たまねぎの価格不振は脱出してくると予想される。全国的に夏休みが短縮され、平年に比べて大幅に短くなることから東京の人口が大幅に減ることはなく、東京市場の価格は強めの展開が予想される。

根菜類 
013a

だいこんは、青森産は7月には減ってくるが前年並みの出荷が予想される。北海道産は、前年はやや早く6月下旬から出荷が始まったが、今年は平年並みに7月に入ってからの出荷となる。播種時期の天候不順もあり、7月中旬までの出荷は少なめである。中心はLサイズで年並である。北海道のなかでも上川地方では、平年通り7月下旬から出荷がはじまり、8月の初め頃からピークとなる見込み。

013b
にんじんは、4月の低温により青森産の出荷が前年よりやや遅くなっており、ピークは7月中下旬、8月上旬には切り上がる。品種はトンネルが「彩誉7」べたがけ物が「紅吉」である。作付面積は前年並みである。北海道産は、連休明けの低温により平年より出荷がやや遅く、ピークは6月末頃から7月上旬まで、中旬には切り上がる。

葉茎菜類
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キャベツは、群馬産は4月の低温、5月の干ばつから遅れが心配されたが後半の降雨により生育は回復し、ほぼ平年並みに6月中旬から始まる見込み。

013d
はくさいは、長野産は八ヶ岳近辺の産地で定植時期の低温や干ばつにより芯腐れや抽苔の発生が懸念されており、不揃いが目立っているものの、7月中旬のピークに向けて増えながら推移する見込み。作付面積は増えており、ピーク時には前年を上回る出荷も予想される。

013e
ねぎは、山形産が早ければ7月下旬から出荷が始まり、ピークは9月中旬から10月を見込んでいる。作付面積は平年並みで、生育も順調である。北海道産の露地栽培のねぎは7月中旬から出荷が始まり10月中旬過ぎ頃まで続く。ハウスねぎは6月から出荷が始まっているが、ピークは6月末から7月前半で7月いっぱいでほぼ切り上がる。周年供給される「軟白ねぎ」は冬場が数量的には多い。青森産のハウスねぎは6月末から始まるが年より7日程度の遅れとなっている。露地栽培のねぎの生育は順調で出荷は8月初旬からとなる。栽培面積は増えている。

013f
ほうれんそうは、群馬産の露地物は6月いっぱい。雨よけ物は6月中旬から始まり7月は平年並み、8月のお盆明けには減ってくると予想している。

013g
ブロッコリーは、長野産が6月後半からピークとなり、7月には減りながら推移する。8月は出荷がなく9月以降、秋作が増えてこよう。全期間氷詰めの出荷で、好鮮度のまま出荷できる。作付面積は前年並みである。北海道産の東京市場への出荷は7月の第一週目からで7月中旬にピークとなり、お盆前に切り上がる。作付面積は増えている。

014a
レタスは、群馬産は6月の出荷量はバラツキがあったものの、7月以降も出荷のピーク続く。生育は基本的に順調であるが、定植時の干ばつが影響し形が平年より悪い。作付面積は前年並み、8月以降、漸減しお盆明けには少なくなる。長野産のうち八ヶ岳地区では定植時の天候不順により不揃いとなっており、単収は下がることも予想される。6月下旬から7月上旬に大きなピークになると予想している。作付面積は平年並である。洗馬地区の春作のピークは6月上旬までで中旬以降、漸減し7月上旬まで一定量があるが、中下旬にはかなり減ってくる。秋作は8月中旬から始まる。

果菜類
014b

トマトは、群馬産の夏秋物は、天候も回復し7月は順調に出ると予想している。価格が不安定であることや、昨今の異常高温等で栽培環境が悪くなっていることから作付面積は減少傾向にある。北海道産は、寒暖の差が激しく曇天が続くなど生産環境は厳しいが、生育そのものは順調で作付面積も前年並みである。7月末から8月にかけて2回目のピークとなる見込み。品種は「桃太郎系」で中心サイズはLである。青森産が5月の低温により7日程度、出荷が遅れ6月下旬からの出荷となる。高齢化やミニトマトへの転作により、作付面積は前年の90%程度と減っている。

ミニトマトは、北海道産が5月の低温よりやや遅れ、6月下旬から出荷が始まる。最大のピークである8月のお盆前に向けて7月は日々増えながら推移する。品種は「キャロル7」中心に「イエローミミ」「アイコ」「キャロルスマイル」、ミディトマトの品種は「シンディースィート」である。

014c
かぼちゃは、茨城産のトンネル物のピークは6月中下旬、7月はトンネル物も続くが、中旬から露地物も始まってくる。高齢化が影響し、栽培面積は年々減少傾向をたどっている。品種は「えびす」「くり将軍」中心に「特濃粉ふき」となっている。栃木産は月下旬から出荷が始まり、7月には数量が揃ってピークとなる。作付面積は前年よりも増えており、生育は順調で、品種は「ほっこり133」「ほっこりえびす」「イーティー」である。

014d
きゅうりは、福島産の雨よけ物は7月中下旬が出荷のピークとなる。露地物は中旬から本格化してくるが、災害に遇うこともなく生育は順調で7月は前年並みの出荷を予想している。宮城産はハウス物が減り、7月上旬から夏秋きゅうりの雨よけ物が始まり、8月のお盆前がピーク。露地物は6月下旬から出荷が始まり、ピークは7月下旬の見込みである。いずれも低温の時期はあったが、現状の生育は順調である。

014e
なすは、栃木産が露地に切り換わるが、不安定な天候にもかかわらず定植後の活着は良好である。7月から出荷が始まり、中旬にはかなり多くなると予想している。群馬産は適度の雨があって、露地物の生育は順調である。7月から出荷のピークを迎え8月まで続くが、極度の乾燥さえなければ順調な出荷が見込まれる。

014f
ピーマンは、岩手産は平年より早く5月下旬から販売から始まったが、ピークは露地物が本格化する7月下旬と予想している。ハウスの栽培面積は前年を上回っており、品種は「京ひかり」と「京鈴」である。

土物類
015a

ばれいしょは、静岡産がここ数年は収量が多かったが、今年は平年並みである。いも類は各方面からの引き合いが強まっている。出荷量は7月中旬以降、漸減しながら推移し下旬にはかなり少なくなる見込みである。北海道産は今金町では平年通り8月上旬から出荷がはじまり、本格的な出荷は月である。種子の配布量は昨年を若干下回っており、大きさについては年並を予想している。ようてい地区では収穫開始はお盆前で選果はお盆明けとなる。雨が多く作業は遅れているが、生育については心配していない。

015b
たまねぎは、兵庫産は早生の収穫が終わり、中生と晩生の収穫が始まったところである。トータルの生産量は平年並と予想している。乾燥後の出荷となるがピークは7月中下旬でやや前倒し気味の対応になるであろう。佐賀産の生産量は平年をやや上回っており、7月中は風乾物と低温貯蔵物が出荷される。L玉中心で品質は良好で、出荷のピークは8月のお盆前まで続く。

その他
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えだまめは、山形産のだだちゃ豆は5月中旬の低温の影響でやや遅れていたが6月の好天で盛り返し、前年と同様に7月下旬からの販売を見込んでいる。作付け面積も前年並みでピークは8月中旬となる。群馬産は標高600メートル地帯の産地が中心となり、7月下旬のピーク以降10月上旬まで出荷が続く。天候に恵まれ生育は順調である。

015d
スイートコーンは、千葉産は生育は順調で、作付面積は前年並み、7月下旬ごろの出荷スタートとなり、出荷のピークは7月下旬から8月上旬を見込んでいる。北海道産の露地ものは作付面積は前年並みで、平年通りお盆前ごろから出荷が始まる見込み。品種は「味来」「恵味」「夢のコーン」などである。群馬産は平年通り7月下旬から出荷が始まり、出荷は8月いっぱいの見込み。ピークは7月下旬から8月初め頃までの10日間程度である。品種は「恵ゴールド」が中心で作付面積は平年を下回っている。長野産の中心産地はとうで標高700~800メートル地帯であるが、獣害などで作付面積は減っている。出荷のピークは7月下旬から8月上旬である。

にがうりは、群馬産はハウス物に続き7月の初めから露地物の出荷が始まる。作付面積は前年並みで、7月中旬には数量が出揃い、お盆前頃までピークが続くと予想している。

(執筆者:千葉県立農業者大学校 講師 加藤 宏一)

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