[本文へジャンプ]

文字サイズ
  • 標準
  • 大きく
お問い合わせ

需給動向 1 (野菜情報 2020年5月号)


1 東京都・大阪市中央卸売市場の需給動向(令和2年3月)

野菜振興部 調査情報部


【要約】

⃝東京都中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量が12万4375トン、前年同月比101.0%、価格は1キログラム当たり244円、同105.8%となった。
⃝大阪市中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は3万7470トン、同97.3%、価格は1キログラム当たり218円、同106.9%となった。
⃝東京都中央卸売市場における指定野菜14品目の価格のうち、平年を下回ったものは、たまねぎ(平年比63.9%)、ねぎ(同74.0%)、ばれいしょ(同76.8%)、だいこん(同83.5%)、レタス類(同91.2%)、キャベツ類(同95.9%)、さといも(同97.9%)の7品目、平年を上回ったものは、にんじん(同125.4%)、ほうれんそう(同117.0%)、ピーマン(同114.5%)、きゅうり(同106.8%)、トマト(同106.6%)、はくさい(同104.2%)、なす(同101.0%)の7品目であった。

(1)気象概況

上旬は、冬型の気圧配置が現れにくく、全国的に天気は数日の周期で変化したが、本州南岸や日本海を低気圧が頻繁に通過したため、広い範囲で曇りや雨の日が多かった。このため、北日本太平洋側の旬間日照時間平年比は60%となり、3月上旬としては1961年の統計開始以降で最も少なかった。また、低気圧の通過に伴って、南から暖かく湿った空気が流れ込んだため、しばしば雨が降り、大雨となった所もあった。期間の中頃は、三陸沖を発達しながら北上した低気圧の影響で、北日本では暴風雪や高波となり、北海道太平洋側を中心に大雪となった。また、期間の終わりは、前線を伴った低気圧が日本海から北海道付近を通過し、北海道太平洋側を中心に大雨や暴風となったほか、融雪により浸水などの被害が発生した所もあった。気温は、南から暖かく湿った空気が流れ込みやすかったため、全国的に高い日が続いた。東日本の旬平均気温平年差は+3.1℃となり、3月上旬としては1961年の統計開始以降で最も高かった。

中旬は、高気圧と低気圧が交互に通過し、天気は数日の周期で変化したが、高気圧に覆われる日が多く、東日本太平洋側や西日本を中心に、全国的に日照時間が多かった。低気圧は日本の南や日本海を通過しやすかったため、北・東日本日本海側では雨や雪となった日があった。また、19日から20日にかけては、日本海を発達しながら東北東に進んだ低気圧の影響で、北・東・西日本の広い範囲で暴風や高波となった。気温は、北・東・西日本で平年を下回る日があったが、総じて南から暖かい空気が流れ込みやすかったため高く、北日本ではかなり高くなった。

下旬は、高気圧と低気圧が交互に通過し、天気は数日の周期で変化した。期間の中頃までは高気圧に覆われる日が多く、晴れた所が多かったが、その後は、低気圧や前線の影響を受けやすく、湿った空気が流れ込んだため、広い範囲で曇りや雨となり、大雨となった所もあった。また、29日は南岸低気圧の影響で寒気が流れ込んだため、関東甲信地方と福島県では大雪となった所があった。気温は、南から暖かい空気が流れ込みやすく、全国的にかなり高くなり、東・西日本でも夏日となった所があった。旬別の平均気温、降水量、日照時間は以下の通り(図1)。

008a

(2)東京都中央卸売市場

3月の東京都中央卸売市場における野菜全体の入荷状況は、入荷量が12万4375トン、前年同月比101.0%、価格は1キログラム当たり244円、同105.8%となった(表1)。

008b

根菜類は、だいこんは千葉産、神奈川産が中心とな暖冬と適度な降雨により出荷が前進したことから、入荷量は下旬にかけて減少した。にんじんは千葉産が終了し、中心となった徳島産も出荷が前進気味であったことから入荷が少なく、価格は前年を割以上上回った(図2)。

葉茎菜類は、関東産が中心となる品目が多く、暖冬により前進傾向となったことから下旬にかけて価格が上昇した。特に、品質が良くなかったはくさい、小玉傾向だったキャベツ、露地の切り上がりが早かったほうれんそうでは前年を上回る価格となり、はくさいは前年の倍以上となった(図3)。

果菜類は、九州、西南暖地の産地では、2月の日照の回復とともに生育が順調に進み、きゅうり、なす、ピーマンは入荷が順調だったが、トマトは小玉傾向で入荷量が減少した。価格はどの品目も前年比、平年比ともに上回って推移した(図4)。

土物類のばれいしょ、たまねぎは、北海道産の貯蔵物に新物が加わって入荷は多く、前年が安かったばれいしょ以外は前年を下回る価格となった(図5)。

009a

なお、品目別の詳細については表2の通り。

010a 011a

(3)大阪市中央卸売市場

3月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格は、入荷量が3万7470トン、前年同月比97.3%、価格は1キログラム当たり218円、同106.9%となった。(表3)。

011b

品目別の詳細については表4の通り。

012a 013a

(4)首都圏の需要を中心とした5月の見通し

この3月は桜の開花期間が例年より長かったが、果樹でこうなると不作年になりがちである。また、3月末に大雪が降るなど、寒暖の差が日々激しかった。果菜類は10度以上の気温差に弱いとされ、農家はハウスの温度管理に神経をすり減らしたと推測される。この3月までの気象でピーマンは持ち直したが、なすは不作の傾向が強まった。トマトは3月に急減したが、越冬物は成り疲れが出たと推測される。

重量野菜も大幅に前進しており、何処かのタイミングで出回りが減少して市場価格が暴騰しても不思議でない状況にあった。しかし実際の価格推移は平年をやや下回る水準で推移した。東京市場の入荷量は12万4375トン(前年比101%)、価格は244円(同106%)となった。

東京都内の公立の学校は授業の再開が5月にずれ込むが、5月には春野菜・初夏野菜が本格化し、供給不安はないと予想される。ただインバウンドの回復の予想がつかず、夏野菜の作付けが年を下回る状況にあると報告されている。未経験の難題がこの先待ち受けるが、市場の担当と情報を密にして生き残りをはかりたいものである。

根菜類 根菜

だいこんは、千葉産が平年よりやや早く始まったが、それでもピークは例年と同様に5月となる見込み。2Lサイズ中心と肥大は良好で作付けは前年並である。銚子あたりでは夏だいこんの出荷となるが生育は順調で出荷のピークは5月中旬で6月いっぱい前年並みの出荷が続く見込み。

にんじんは、3月下旬から出荷が始まっている徳島産が引き続き大型連休明けころまでピークとなり、中旬以降は減りながら推移し6月中旬まで続く。令和2年産については平年作であるが、経済情勢から量販店に売り易いLやMサイズを中心にするためにも採り遅れにならないように早めに収穫する傾向。千葉産は大型連休明けから出荷が始まるが、平年とほぼ同様、ピークは5月下旬で6月いっぱいで切り上がる。生育は順調であるが作付は減少しており、出荷は前年の95%と予想している。

葉茎菜類葉茎菜類

キャベツは、愛知産の春ものが出そろってくるが、5月後半には初夏キャベツ中心となり、引き続き前進出荷の影響が残り前年の90%前後の出荷と予想される。神奈川産の春キャベツのスタートは順調だったが、3月下旬の連続した低温によりやや少なくなっているが、大型連休前後までピークが続く見込み。その後、中早生に切り変わるが、漸減しながら推移し、5月としては前年並の見込み。千葉産小玉傾向で病気の発生もあって遅れている。4~5月の出荷量は前年の90%程度を見込んでいる。

はくさいは、茨城産の数量は前年並みで、サイズも肥大良好で5月いっぱいの出荷となる。

ねぎは、茨城産の初夏ねぎは作付減気味であるが、天候に恵まれ5月としては若干の前進もあって平年を上回る出荷を予想している。千葉産の坊主知らずは4月下旬から5月中下旬までであるが作付けは減少傾向である。一本ねぎは5月いっぱい春物で、6月から夏物となる。トータルではほぼ前年並みの出荷と予想される。

ほうれんそうは、茨城産は周年で出荷しているが5月については平年通りを見込んでいる。岩手産は4月下旬から増えて5~6月が出荷のピークとなり、平年並みの展開である。群馬産は大型連休前から増え始め6月中旬ころまでピークが続くが、量的には前年を下回る可能性がある。

レタスは、標高700メートル付近の長野産洗馬で、当初はかなり出荷が早まると予想したが3月末の降雪でやや抑えられ、リーフ系、玉レタスともに4月下旬から出荷が始まる。今年は圃場の準備も早く始まり、大型連休明けからピークとなり月まで続く。群馬産は平年並みに大型連休前に増えて月上中旬に回目のピークとなり、その後、徐々に減り月にもう一度ピークとなる。茨城産の岩井地区では大型連休明けに切り上がり、北つくば地区では月いっぱいまで減りながら推移する。

ブロッコリーは、埼玉産は4月下旬にピークとなった後、大型連休中は一旦減るが、月いっぱいだらだらとした出荷となる見込み。数量的には前年並みで内容は充実している。熊本産はやや前進しており、月はだらだらとした出荷となる。作付面積も増えており、量的には前年並みかやや多い見込み。香川産は一週間から十日ほど前進しており、大型連休にかけてピークが来て、5月いっぱいで切り上がり、数量的には前年を下回る見込み。

果菜類果菜類

きゅうりは、群馬産は、徐々に増加するが、前年を上回ることはないであろう。月までの大きな寒暖の差に加えて、終日、日照が無いといった日が多かったため、確実ににストレスとなっている。宮崎産やや少なめで大型連休ころにピークとなり20日過ぎから少なくなる見込み。

なすは、高知産は月下旬に徐々に増え、5月と順調に出荷できると予想している。福岡産の長なすは、最大のピークである月に向けて徐々に増え、量的には前年並を予想している。

トマトは、熊本産の着果が良好で、やや大きめとなってくる。大型連休以降月いっぱいがピークとなろう。現状の着果状況は良好であり、これからMサイズ中心とやや大きめになってこよう。6月上旬には切り上がると予想している。愛知産は4月以降は春トマトが徐々に増えており、数量的にも平年並に回復し月にはピークとなる見込み。品種は、桃太郎のほかにりんかが増えてきており、Lサイズが中心で肥大良好である。栃木産は暖冬や年明け後の激しい寒暖差などの影響で、やや不作気味に推移している。4月よりも増えてくるが、引き続き前年を下回る見込み。Sサイズ中心とやや小ぶりである。

ピーマンは、茨城産が春ピーマンを中心に順調な出荷となっており、天候次第ではあるが5月も年並みと予想している。最大のピークは月下旬から月である。温室物も同様であるが、終盤に向かうためにこの時期は、収穫にバラツキが出る。宮崎産はいったん減るものの大型連休ごろに再びピークになると予想している。生育は順調であり、安定して出荷できるであろう。当面、出荷は5月いっぱいを予想している。

スイートコーンは、宮崎産が平年より出荷が早まっているが、トンネル物となる5月中下旬がピークとなる見込み。作付面積は前年並みで、品種は『ゴールドラッシュ』である。切り上がりは露地の出荷がスタートする月上旬を予想している。

土物類土物類

ばれいしょは、長崎産の出荷がやや早いが、ピーク時期は平年と同じで大型連休明けから本格化して6月いっぱいで切り上がる見込み。サイズは大きめであるが、玉数が少なく豊作ではないとみている。静岡産の三方ヶ原男爵は3~4日早まっているが、本格的に市場に出回るのは平年通り大型連休明けから。生育は順調であるが、昨年のような大豊作には届かない予想している。熊本産のメークインは一週間程度出荷が早まり5月上旬から本格出荷となり、L玉中心で中下旬がピークとなる見込み。作付面積はブロッコリーへの転作により減っている。

たまねぎは、兵庫産は月下旬から早生、5月中旬から中早生、6月に入り中生となる。まだ玉の肥大時期であるため、サイズは特定できないものの、葉の生育は旺盛であり豊作傾向と予想している。佐賀産は4月から早生の出荷が始まっており、中生・晩生は6月下旬から始まり、貯蔵しながらの販売となる。サイズは平年を上回っており、生産量もやや多めになると予想している。

豆類豆類

そらまめは、すでに出荷が始まっている愛媛産は平年より一週間ほど早いが、自然災害もなく順調で、ピークは4月下旬から大型連休明けころまでとみている。千葉産は当初、出荷が早まるとみていたが、3月下旬の低温や4月中旬の大雨により花落ちもあり、平年どおり出揃うのは大型連休明けから5月いっぱいまでとなる見込み。

スナップえんどうは、愛知産は冬春型で年内の収穫が多く、4月いっぱいで収穫がほぼ終わり、5月まで収穫できる人は少ないため平年の20~30%と見込んでいる。年々、収穫が早まる傾向である。

えだまめは、千葉産のハウス物が5月中旬から、トンネル栽培が5月下旬ころから始まりピークは6月下旬以降となる見込み。生育は順調である。

その他 その他

すいかは、熊本産の出荷がやや早まる傾向にあり、大型連休前後がピークで月中旬まで続く見込み。生産者の高齢化により小玉すいか、大玉すいかともに作付面積は減少気味である。

茨城産のアンデスメロンは、4月から始まっているが、作業を抑え気味しており、最大のピークは5月中下旬となる。クインシーメロンは4月下旬ころに始まりピークは5月下旬の見込み。

らっきょうは、鹿児島産が4月下旬から出荷が始まるがピークは5月の第3~4週で、ほぼ平年並の出荷と予想される。

(執筆者:千葉県立農業者大学校 講師 加藤 宏一)

クリックすると拡大します。

クリックすると拡大します。


元のページへ戻る


このページのトップへ