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需給動向 1 (野菜情報 2020年1月号)


1 東京都・大阪市中央卸売市場の需給動向(令和元年11月)

野菜振興部 調査情報部


【要約】

 東京都中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量が12万4404トン、前年同月比98.0%、価格は1キログラム当たり239円、同107.1%となった。
 大阪市中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は4万2046トン、同103.6%、価格は1キログラム当たり205円、同95.8%となった。
 台風の影響が心配されたが、一部の葉物で生育の停滞や作業遅れがみられたものの、産地の切り替わり品目が多いなかにあって、おおむね順調な出荷が続いた。価格面では、端境期となっただいこん、特売需要があったほうれんそう、干ばつの影響をうけたレタスで前年を大幅に上回った。

(1)気象概況

上旬は、高気圧と低気圧が交互に通過し、天気は数日の周期で変化したが、東・西日本は、大陸から進んできた高気圧に覆われやすかったため、晴れた日が多かった。西日本太平洋側の旬降水量の平年比は1%となり、1961 年以降1位の少雨となった。北日本は、低気圧の通過後、一時的に冬型の気圧配置となって寒気の影響を受けた日があったため、北海道地方では雪が降ったところがあった。沖縄・奄美では、前線や湿った空気の影響を受けにくく、降水量が少なかった。

中旬は、北日本では、発達した低気圧が繰り返し通過したため、期間の中頃や終わりには北海道地方では暴風雪となった日があった。低気圧の通過後は、冬型の気圧配置が強まり寒気が流れ込んだため、北日本日本海側では雪や雨の日となり、北海道日本海側では大雪となったところがあった。東・西日本では、天気は数日の周期で変わったが、大陸から進んできた高気圧に覆われやすく、晴れた日が多かった。18 日には、日本海を進む低気圧に向かって南から暖かい空気が流れ込み、各地で夏日を観測するなど、期間の始めと終わりを中心に気温が平年を上回る日が多かった。沖縄・奄美では、期間の中頃まで高気圧に覆われやすく晴れた日が多かったが、期間の終わりには前線や寒気の影響で曇りや雨の日となり、18日には前線や湿った空気の影響で大雨となったところがあった。

下旬は、東・西日本では、低気圧や前線、湿った空気の影響で曇りや雨の日が多く、22 日から24日は本州南岸で前線を伴った低気圧が通過したため、関東甲信地方や九州南部では大雨となったところがあった。一方、北・東日本日本海側は冬型の気圧配置とならずに、しぐれる日が少なかった。旬降水量平年比は、北日本日本海側で33%、東日本日本海側で27%と、それぞれ1961年以降1位(北日本日本海側は1位タイ)の少雨だった。期間の前半は、北・東・西日本で南からの暖かい空気が流れ込みやすく、気温は平年を上回る日が多かった。沖縄・奄美では、22日に台風第27号が接近し、大雨となったところがあり、その後も前線や湿った空気の影響で曇りや雨の日が多かったため、降水量は多く、日照時間は少なかった。

旬別の平均気温、降水量、日照時間は以下の通り(図1)。

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(2)東京都中央卸売市場

11月の東京都中央卸売市場における野菜全体の入荷状況は、入荷量が12万4404トン、前年同月比98.0%、価格は1キログラム当たり239円、同107.1%となった(表1)。

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根菜類は、北海道産、東北産が終盤となり関東産へ切り替わりの時期となった。台風の影響により千葉産のにんじんはやや作柄不良となったが、北海道産が潤沢だったことから価格は前年を大幅に下回った(図2)。

葉茎菜類は、関東産や西南暖地などが中心の出回りとなり、大きな台風の影響はなかったが、ほうれんそうの露地作で播種の遅れや低温による遅延がみられ、特売需要から不足感が高まり、価格は前年の2倍近くまで上昇した(図3)。

果菜類は、関東から西南暖地の産地が中心となった。関東産が切り上がったため、なすの価格は安かった前年を2割以上と大幅に上回った(図4)。

土物類は、埼玉産のさといもは掘取り作業が前進し入荷量は伸びた。北海道産が中心のばれいしょ、たまねぎは生育が順調であったが、たまねぎは中国産が半減したことから入荷量は前年を下回ったが、価格は高めだった前年を大幅に下回った(図5)。

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なお、品目別の詳細については表2の通り。

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(3)大阪市中央卸売市場

11月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格は、入荷量が4万2046トン、前年同月比103.6%、価格は1キログラム当たり205円、同95.8%となった。(表3)。

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品目別の詳細については表4の通り。

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(4)首都圏の需要を中心とした1月の見通し

12月に入っても天候は暖冬で推移し、各産地から生育順調との報告が多くもたらされている。関東は11月後半に一週間程度、曇天や降雨が続いたが、それでも11月前半の好天の余波が残っており、月や10月の台風で被害を受けたものの、農家のリスクマネージメントが功を奏して市場に荷物は揃っている。暖冬年の年末年始の価格は、落ちついた展開となることが多い。ただし、関東産トマトは軒並み、数量が少なく、年明けも高値が続くと予想される。また茨城産のはくさいについては台風の影響を定植が遅かった部分に受けたため、1月以降は減る見通しである。月以降は暖冬の影響で東海や関東に降雪の頻度が増してくることが予想される。ここ10年をると、寒気は太平洋側の平野部にも積雪をもたらすように、強く入る傾向がある。そのような状況になれば、全国の拠点市場の価格急騰を招くことも想定される。

根菜類 根菜

だいこんは、千葉産は台風による影響よりも前後の大雨の被害が心配されたが、出荷に大きな影響はなく、年明けも引き続き2L~Lを中心に出荷される見込み。神奈川産は、11月に遅れが心配されたが、12月上旬の好天で順調に生育している。月まで出荷が続き1月が最大のピークだが、厳しい低温が続くと月にずれることも予想される。水分があって気温が上昇するとなると一気に生育が進、雨が多いと畑に入れず採り遅れの心配も出てくる。徳島産は12月末の26・27・28日が特に取引が多く、月についても年並の出荷を見込む。前年価格が安かったため、作付の減少が心配されたが、むしろ面積増えており、自然災害もなかったことから順調な出荷が続くと予想している。

にんじんは、当初、千葉産は雨が多く生育不良があったものの回復している。ピークは12月~月で、台風により播種が遅れた部分で10~15%減収することが予測されることから2月以降は平年より少ない見込み。埼玉産の台風の被害はなく、生育は順調である。12月から徐々に減り1月には12月の半分程度、月末に切り上がる見込み。

ごぼうは、11月で収穫が終了した青森産が豊作で、太物が多い。貯蔵量は前年を上回っており、月についても前年を上回る出荷を見込んでいる。

葉茎菜類葉茎菜類

キャベツは、本年の千葉産は平年並みの出回りと予想される。年明けは12月に比べるとやや減って、だらだらと推移しよう。サイズはL中心で、品種は春タイプである。愛知産の生育は極めて順調で、12月から品種が代わって内容は一層充実してきた。月にピークが続き、引き続き~4月まで順調な出荷が予想される。神奈川産は、11月後半の連続した降雨の影響が心配されたが、その後、好天に恵まれた。1月は早春系のピークになる見込み。

はくさいは、茨城産は小振りで、年明けの月から徐々に減少すると予想している。

ねぎは、茨城産は11月後半天候不順に見舞われたが、レタスが早く切り上がり、ねぎの収穫に注力できるようになった。台風の影響から完全に回復し、前年を上回る出荷となろう。千葉産は、台風と大雨に遭遇したが、欠株などの大きなダメージは受けていない。軟白部分の長さが確保されて市場価格がしっかりすると、一気に出荷は伸びる。ただ、風で倒されて起こす作業が繰り返されて、やや曲がりが多くなると予想される。

ほうれんそうは、埼玉産は年明け以降の2月出荷分まで十分に播種がなされて、潤沢な出荷が続くと予想している。群馬産は、露地が中心となるが、天候の変化が激しいと予想されるため1月は12月よりも減少すると予想している。

ブロッコリーは、埼玉産は前進出荷で増える部分もあるが、少ないままで年の半分程度と予想している。愛知産は数量を増やしながら推移し、最大のピークは月で出荷は月まで続く見込み。生育・作業ともに順調で月は前年を上回る見込みである。

レタスは、長崎産ピークは年内となり、年明け月については寒さで減って12月の半分程度と少ない見込み。生育は前進気味であり、後半に谷間が生じることも懸念される。静岡産は、出荷分については平年通り定植は終わっており、前年および平年並みと予想される。最大のピークである年末年始を越え、落ちついて安定した出荷が見込まれる。サイズは、大玉傾向で16~19玉中心の見込みである。兵庫産も年末がピークで、年明けは緩やかに減りながら推移する。干ばつ気味で推移したが、かんすいが功を奏したこともあり生育順調である。Lサイズが60%と肥大も良好で、前年よりやや多めの出荷を予想している。

果菜類果菜類

きゅうりは、群馬産が月中旬から始まり、20日過ぎから量的にまとまってくる見込み。暖冬であることに加え、畑の水もちが良いことから、若干、前進傾向が予想されるが、今のところ量的にも平年並みと予想している。宮崎産は前進気味であるが、月については天候次第であるが、寒さにより例年、落ち込みがちである。大きな天候の乱れがなければ、順調に年並みとなる見込み。

なすは、高知産は12月に引き続き、年明け月についても出荷が多く、前年および平年並みの出荷を見込んでいる。

トマトは、熊本産の生育は順調で、12~月はピークとなるが、特に月中旬は正月休みの分が出回り多くなるが、その後、色回りに時間がかかって少なくなっていく見込み。愛知産は小さいサイズが目立ち、夏の高温の影響から、花が飛ぶなど年より少なめの出荷となっており、やや不作年の可能性もある。ピークは月上旬までとなっており、その後やや減っていく。

ピーマンは、宮崎産は年末から増え始め、月は平年および前年並み、月中旬にもう一回ピークが来ると予想している。暖冬予想の時は天候が悪いことが多く、生育を乱すことが心配される。茨城産は、台風による施設の損壊などの影響で年明けも年より少なめと予想される。月はだらだらペースで出荷となり量的には平年の95%程度の見込み。

土物類土物類

かんしょは、千葉産の年明けの品種は「ベニアズマ」「べにはるか」を中心に「まなむすめ」「シルクスィート」である。今年は仕事が後半にずれたが、その分肥大が良くなっており、貯蔵量は平年より多い。徳島産は、19年産は平年作であるが、年内販売のウエイトが高まっている。例年ゴールデンウィークを目処に切り上げるが、やや早まると予想している。月については前年並みの出荷を見込んでいる。

さといもは、埼玉産の年明けは貯蔵物の出荷となるが、7月の天候不順でLサイズ中心となっており、小振りで平年よりも収量は少ない。台風の影響はなく、芋はまる形が多い。

ながいもは、青森産の掘り採りは終わっているが、長い物が多く平年を上回る収量となっている。月は貯蔵ものの出荷となるが、前年を上回る見込み。

ばれいしょは、北海道産が前年比130%と収量が大幅に多くなっている。月についても12月と同じペースでLサイズが中心の出荷となる見込み。本年産はライマン価が高く、品質良好である。品種は「男爵」中心であるが「キタカムイ」と「きたあかり」も年明けに増えてくる。長崎産の二化性(注)の「新じゃが」の出荷ピークは年明けの月である。干ばつ気味の中で生育したが、玉の肥大はまずまずである。面積は前年並みかやや減であるが、月としては前年並みの出荷と予想している。品種は「ニシユタカ」中心である。

たまねぎは、北海道産の出荷は12月に続き月も計画通りであるが、豊作を反映して平年を上回る見込み。肥大についてはL大中心と平年並である。

注:二化性とは春作、秋作と年2回栽培し、国の検査を二回受け病気の防除、品質の向上したものをいう。それに対して北海道等寒冷地で栽培する一年一作のものは一化性という。二化性は一化性に比べて春作の植付け時、丁度休眠が明けているので老化していなく、発芽の揃いが良く、また、太くて丈夫な芽が出る。

(執筆者:千葉県立農業者大学校 講師 加藤 宏一)

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