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需給動向 1 (野菜情報 2019年11月号)


1 東京都・大阪市中央卸売市場の需給動向(令和元年9月)

野菜振興部 調査情報部


【要約】

 東京都中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量が12万4781トン、前年同月比102.9%、価格は1キログラム当たり257円、同91.1%となった。
 大阪市中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は4万1820トン、同106.2%、価格は1キログラム当たり223円、同86.8%となった。
 夏場の高温と干ばつ、さらに9月上旬の台風15号の被害により関東および東北の産地では野菜の生育が不安定になり、キャベツ、ほうれんそう、レタスなどは旬ごとに価格変動が大きくなった。なお、台風19号の被害状況については、全容把握までに時間を要するとみられる。

(1)気象概況

上旬は、北・東・西日本では、高気圧に覆われて晴れた日が多かった。また、南から暖かい空気が入りやすかったことから気温が高く、特に、~10日にかけては真夏日や猛暑日を観測した所が多く、厳しい残暑となった。日にかけては、台風15号が伊豆諸島付近を北上し、強い勢力のまま日に関東地方に上陸した。この影響で、東日本太平洋側を中心に大雨や大荒れとなった所があった。東京都神津島で東南東の風秒速58.1m、千葉県千葉市で南東の風秒速57.5mなど、19 地点(統計期間10 年目以上の観測所)で最大瞬間風速の記録を更新した。このため、千葉県などで広範囲に停電が発生するなど甚大な災害が発生した。

中旬は、北・東・西日本では、高気圧と低気圧が日本付近を交互に通過し、天気は数日の周期で変わった。また、高気圧や暖かい空気に覆われやすかったため、西日本を中心に晴れた日や気温の高い日が多かったが、北日本を中心に低気圧の通過後には寒気の影響を受けた所もあった。

下旬は、高気圧と低気圧が日本付近を交互に通過し、天気は数日の周期で変わった。台風17号が20~21日にかけて沖縄地方を、22 日には対馬海峡を通過し、23 日に日本海で温帯低気圧に変わった。その後、24日にかけて北海道付近を発達しながら通過した。この影響により、22 日には長崎県美津島で289.0ミリと日降水量の記録を更新したほか、宮崎県延岡市で竜巻が発生するなど、北・西日本と沖縄・奄美を中心に大雨や大荒れとなった所があった。また、30日には台風18 号が先島諸島に接近し大荒れとなった。気温は、暖かい空気の入りやすかった北・東・西日本では真夏日となるなど高い日が多かったが、沖縄・奄美では曇りや雨となり低い日もあった。

旬別の平均気温、降水量、日照時間は以下の通り(図1)。

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(2)東京都中央卸売市場

9月の東京都中央卸売市場における野菜全体の入荷状況は、入荷量が12万4781トン、前年同月比102.9%、価格は1キログラム当たり257円、同91.1%となった(表1)。

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根菜類は、7~8月の高温・干ばつにより北海道産および青森産のだいこんに一部、病害や品質低下がみられた。一方、北海道産のにんじんでは大きな影響はなく、入荷量は前年をかなり大きく上回り、価格は3割以上と大幅に前年を下回った(図2)。

葉茎菜類は、長野産や群馬産が中心となったはくさい、キャベツ、レタスでは梅雨明け後の高温の影響はあったものの回復し平年並みの入荷となった。ねぎは東北産地における高温・干ばつにより細物が多く入荷量は平年を下回った。ほうれんそうは、低温、日照不足、台風の影響はあったが、入荷量は少なかった前年を上回った(図3)。

果菜類は、東北、関東が中心となった、トマト、なす、ピーマンでは台風の影響も一部でみられた。きゅうりは、関東産が出遅れたが下旬に回復し、入荷量は前年を大幅に上回った(図4)。

土物類は、北海道産のばれいしょ、たまねぎは生育が順調で安定した入荷が続いた。さといもの千葉産は肥大部分に台風の影響はなく、また、埼玉産も生育が順調だったが入荷量は前年を大幅に下回った(図5)。

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なお、品目別の詳細については表2の通り。

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(3)大阪市中央卸売市場

9月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格は、入荷量が4万1820トン、前年同月比106.2%、価格は1キログラム当たり223円、同86.8%となった(表3)。

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品目別の詳細については表4の通り。

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(4)首都圏の需要を中心とした11月の見通し

9月10日に台風15号が千葉県に上陸し、家屋や送電網に重大な被害をもたらした。農産物では梨の落果が大きく報道された。野菜ではハウスの倒壊や損壊など、甚大な被害となった。年末出荷のさといもやれんこんは葉が切り倒され、また、養液栽培などの施設では、停電でかん水できずダメージとなった。また、10月12~13日に東日本を中心に上陸した台風19号では河川の氾濫により圃場が水没したり、ハウス損壊などの甚大な被害が発生しているが全容把握には時間を要するとみられる

根菜類  根菜

だいこんは、千葉産における台風のダメージは把握できていない。青森産は気温高から生育が順調で、一部で大幅に前進しているが、11月としては前年並を予想している。

ごぼうは、青森産の出荷が本格化してきたが、最終出荷は1月で貯蔵して販売することはない。本年の作については夏以降の天候の安定で豊作傾向である。

にんじんは、千葉産が11月に入って出荷が始まってくるが、台風の影響がはっきりしておらず、葉の損傷などから落ち込む可能性が高い。北海道産は10月いっぱいまでの計画だが、11月上旬まで撰果する見込み。今年は収量がかなり多く、正品率も高い。本格的な寒さも控えて、LM中心とやや小振りになって終盤を迎える。埼玉産は11月初旬から始まるが、ほぼ年並みのペースで、9月の台風の影響はほとんどない。ピークは11月中下旬で、平年並みの出荷を予想している。

れんこんは、茨城産が台風15号で葉が損傷しており、被害が大きなじょうは、元上がり(れんこんの腐敗)が早まるため平年より20~30%の減少の可能性もある。

葉茎菜類葉茎菜類

キャベツは、千葉産における台風15号の影響は定植初期の苗に若干の被害があった程度で、生育は平年並みとなっている。出荷も平年並みを見込んでおり、10月下旬から本格化し、11月にはピークとなる。愛知産は作業・生育ともに順調である。最大のピークは3月であるが、10月中旬から出荷が始まり、年内12月が当面のピークである。群馬産は、7月の定植時期の長雨と日照不足が影響しておりやや少なめと見込んでいる。

はくさいは、長野産は7月の梅雨が長かったことから定植が遅れ、11月は価格次第であるが、上旬まで出荷の見込み。茨城産は平年より4~5日前進している。11月は増えながら推移し、12月がピークとなる。今後は、台風19号による影響が懸念される

ねぎは、茨城産の秋冬物が月の台風15号で葉の損傷を受けたため、収穫を遅らせ、レタスの収穫作業が終わる11月には完全に回復して昨年を上回る出荷が予想される。青森産は台風17号からの低気圧の影響はなかく、引き続き11月いっぱいピークが続く見込み。Lサイズ中心と平年よりやや細めであるが、品質は良好である。

ほうれんそうは、埼玉産で台風の被害が一部であったものの出荷に影響はなく、ほぼ平年並みのペースで本格的な入荷が始まり、12月の最大のピークに向けて増えながら推移しやや多めの見込み。

レタスは、茨城産の品質は改善しており、生育は順調で11月いっぱいまで潤沢な出荷を見込んでいる。静岡産の定植は平年並みに進捗しており、11月の出荷は平年並みで、大幅に伸びた前年を下回ると予想される。最大のピークは年末ころを予想しており、品質は良好である。

セルリー(セロリ)は、長野産が10月中旬以降は施設物となるが、出荷は11月初めころまでとなる。静岡産は平年と同様に11月中旬ころから出荷が始まり、1112月の出荷量は前年並みかやや多めを予想しており、最大のピークは年末となる。

果菜類果菜類

きゅうりは、宮崎産が月までの日照不足が影響して花つきが悪い。10月は例年より少なめとなったが、11月には平年並みに回復してくる見込み。促成物のピークは11月中旬の見込みである。作付面積は前年並みで、全体としては生育は順調である。群馬産は11月に無加温物から加温物への切り替え時期を迎え、減りながら推移する。11月としては暖冬予想もあり、平年並みの出荷と予想される。

なすは、高知産は台風の直撃はなかったが、竜巻の突風などがあって生育環境は万全ではなく、月に晴天が少なかったこともあり花が飛ぶなど生育自体は遅れているが、11月に入ってから本格化してくる見込み。栃木産は月の台風で出荷が減るような被害はなかった。それでも木が風でもまれて、若干のダメージはあった。10月は生育は回復傾向で、平年並みに11月上旬ころまで出荷できると予想している。

トマトは、熊本産は台風の影響もなく生育は順調で、ピークとなる10月下旬以降、11月には夜温も一層冷えてやや落ちつくが、12月中旬から再びピークを迎える。作付面積は前年並みで黄化葉巻き病によるロス率は平年と同様に3~5%程度と見込んでいる。愛知産は、生育が順調だが開花時期の高温で花飛びも散見された。品種は、「桃太郎」を中心に「りんか」となるが全般に小玉傾向で、数量は11月としてはやや少なめであった前年並みと予想される。茨城産では、ハウスの被覆がはがされたり、損壊もあり、11月いっぱいの出荷となるが、平年の80%程度と見込んでいる。

ピーマンは、茨城産の温室物は出荷が始まっているが、9月の台風15号により施設が損壊した影響で少ない見込み。無加温物についても同様で、年内は徐々に回復しながら推移するが、トータルでは平年の70~80%の出荷となり、完全に回復するのは年明け以降と見込んでいる。宮崎産は定植は順調に終了したが、9月の日照不足が影響して花つきが悪く、出荷量が多かった前年より少ないと予想される。

かぼちゃは、北海道産は地域によるバラツキがあり豊作ではなく、おしなべて平年作よりもやや多い年である。10月中旬から11月初めころまでピークで、その後、一旦、減って12月前半に冬至需要に向けた出荷のピークが再び来る。

土物類土物類

かんしょは、千葉産は、7月の日照不足が影響し細めでやや減収が予想される。品種は「シルクスイート」「ベニアズマ」中心に「べにはるか」となろう。徳島産は現状収穫はほぼ終了したが、若干大きめで豊作傾向である。11月12月出荷のピークとなろう。

さといもは、埼玉産は9月の台風による被害なく、最大のピークは12月であるが、11月も例年どおりの出荷となろう。中心サイズは2L・Lと肥大良好である。新潟産は生育は順調で平年作を予想しているが、現状は作年より小振りである。最大のピークは12月であるが、11月も例年並の出荷となろう。

ながいもは、青森産は11月中旬以降に収穫が始まり順次出荷も開始してゆく。今のところ平年作を予想している。

ばれいしょは、北海道産の男爵の収穫は10月いっぱい、収量は平年並みかやや減を予想している。現状はL中心のLM・2Lと小振りであるが、今後も選別は続き出荷は11月の全国の市場動向を見ながらとなる

たまねぎは、北海道産では、現状は圃場に残っているものを収穫中であるが、生産量としては平年作をやや上回ると予想している。11月についてもほぼ例年並に、L大中心の高品質物の出荷となろう。

(執筆者:千葉県立農業者大学校 講師 加藤 宏一)

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