野菜振興部 調査情報部
上旬は、北日本から西日本では、高気圧と低気圧が交互に通過し、天気は数日の周期で変わった。低気圧の通過後は、冬型の気圧配置となって寒気の影響を受ける日が多く、9日から10 日にかけては、北日本や東日本の山沿いを中心に雪の積もった所があった。また、太平洋側を中心に、高気圧に覆われて晴れの日が多かったため、西日本太平洋側の旬間日照時間は平年比148%と、1961年の統計開始以来、4月上旬として1位の値を更新した。
中旬は、北日本では、高気圧と低気圧が交互に通過し、天気は数日の周期で変わったが、高気圧に覆われて晴れの日が多かった。また、低気圧に向かって暖かい空気が流れ込んだ影響により、北海道で夏日となった所があった。東・西日本では、高気圧と低気圧が交互に通過し、天気は数日の周期で変わった。高気圧に覆われて晴れの日が多かったが、大陸からの冷涼な空気の影響で気温が平年を下回った時期があった。また、低気圧の影響が弱かったことから降水量は少なく、西日本日本海側ではかなり少なかった。
下旬は、全国的に高気圧と低気圧が交互に通り、天気は数日の周期で変わった。東・西日本では、低気圧や湿った空気の影響で曇りや雨の日が多かった。また、旬の前半を中心に、南からの暖かい空気が入りやすかったが、26日から27日にかけて北海道で雪の積もった所があるなど、北・東・西日本では寒気の影響を受けた日もあった。
旬別の平均気温、降水量、日照時間は以下の通り(図1)。
4月の東京都中央卸売市場における野菜全体の入荷状況は、入荷量が12万8921トン、前年同月比103.0%、価格は1キログラム当たり242円、同107.0%となった(表1)。
根菜類は、暖冬と適度な降雨により生育が進み、前進傾向となった。だいこんの入荷量は前年をやや下回り、価格は中旬が高かったことから前年を大幅に上回った(図2)。
葉茎菜類は、はくさいは、前年は天候不順などによる高値から一転して天候に恵まれ、価格が大幅に下落したこともあり、価格は前年比6割超の高値となった。茨城産が少なかったレタス類は、上中旬が高めに推移したことから前年比3割以上と大幅に高くなった(図3)。
果菜類は、入荷量は前年並みだったが、前年が安値だったことから価格は全ての品目で前年を上回り、特にピーマンは前年比2割以上と大幅に上回ったが下旬にかけて下落した(図4)。
土物類は、入荷量は前年より多いものの、ばれいしょ以外は平年よりも少なく、価格も総じて高めに推移した(図5)。
なお、品目別の詳細については表2の通り。
4月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格は、入荷量が3万9950トン、前年同月比99.3%、価格は1キログラム当たり220円、同108.9%となった(表3)。
品目別の詳細については表4の通り。
昨年4月は、3月までの高値の反動と好天による入荷増により価格が急落した。そのため、今年の4月の東京市場の野菜の市場動向をみると入荷量が前年比103%、価格は同107%と入荷増の単価高となっている。4月は気温が低く、地域によっては干ばつ気味だったことから、3月までの前進傾向が帳消しになった感じである。一部で低温の影響が懸念されるが、東北産の果菜類については低温の影響はなく6月は平年並みに出回り、価格も平年並みの落ちついた展開と予想される。
だいこんは、青森産が4月初め頃の積雪でやや遅れたが5月の好天でほぼ前年並みに回復し、ピークは6月中旬と見込んでいる。作付面積は前年並みで出荷は7月いっぱいまでとなる見込み。北海道産は好天に恵まれているが朝晩の冷え込みは厳しく、平年同様、6月末ごろから出荷の予定である。千葉産は、予想よりも肥大が進んでおり2L中心の出荷で6月上旬にかけて漸減する見込み。
キャベツは、群馬の嬬恋産の定植が遅れ気味で、生育は回復しているものの東部地区では6月中旬、西部地区では下旬ごろの出荷スタートの見込み。今年はまとまって増えるのでなく、徐々に増えてくるパターンが予想される。長野産は6月中旬から出荷が始まり、ピークは7月上中旬で下旬には減ってこよう。品種は「グリーンボール」と通常のタイプと二通りである。
ねぎは、茨城産が引き続き順調な出荷が続いており、微増ペースで平年を上回る見込み。Lサイズ30本入りが中心で仕上がり良好である。
はくさいは、長野の高原地域では定植後の低温により遅れている。場合によっては1カ月近い遅れも想定されるが、回復も早いのがこの時期の特徴である。抽台の恐れもあり、6月の出荷は例年より少ないと予想される。長野の中でも少し標高が低い産地からの出荷が増えるのは6月中旬で、前年は生育が順調で早めに出荷したが、今年は平年並である。6月いっぱいでいったん、切り上がり、その後9月末から再び出荷が始まる。
ほうれんそうは、露地栽培のピークを過ぎた群馬産は6月に入ると屋根掛け物が増え、下旬にピークを迎える。ほぼ平年並みであるが、品質は良い。
レタスは、群馬産が天候不順から当初、生育が心配されたが6月初めから再び増えて問題なく出荷できるであろう。長野の高原地域では、干ばつの影響でマルチ張りが遅れ、ようやく雨が降ったのが桜の時期で今度は寒さが影響して遅れが増している。出荷は5月下旬から本格化するが10日~2週間の遅れが出るのではないかと心配されるが、回復も早く6月には増量し出荷が増えると予想している。同県の洗馬産は、定植は問題なく終了しており、6月については平年並みの出荷と予想される。晩霜の影響は若干あったが、出荷に影響はない。
ブロッコリーは、青森産の作付面積は平年並みで6月初めから出荷が始まり、20日過ぎにピークを迎え6月いっぱいでほぼ切り上がる見込み。
きゅうりは、潤沢な出荷が続いている群馬産は、6月いっぱいは問題なく出荷できると予想している。4~5月の安値傾向でモチベーションが低下しており、切り上がりが早まる可能性もある。福島産は6月以降、雨除け栽培も順調に始まり、最も多い露地作は6月中旬から始まり、7月下旬から盆明け頃までが最大のピークとなる。宮城産のハウスきゅうりは5月下旬から本格化して6月上旬にピークが来るが、ほぼ平年並の見込である。
なすは、高知産が4月の天候不順で5月にやや減少するなど、一気に増量する平年のパターンとは違う傾向で推移している。6月いっぱいまで出荷が続くが、中旬には減って20日過ぎに切り上がる可能性もある。栃木産は、ハウス物がピークを迎えており6月いっぱいまで出荷が続く。露地物はやや遅れており6月中旬から始まるが、最大のピークは8~9月である。作付面積は前年並みである。
トマトは、愛知産が5月中旬から6月上旬にピークを迎えるが、6月下旬から漸減し7月中旬ごろには数量的にかなり少なくなると予想している。青森産の大玉トマトついては、作付面積がピーク時の16ヘクタールから9ヘクタールに大幅に減っている一方でミニトマトが増えている。出荷は6月中下旬にスタートし、ほぼ平年並みの状況を見込んでいる。品種は『桃太郎セレクト』を始めに桃太郎系の新顔も登場する予定である。熊本産の出荷は、6月中旬ごろまでとなるが、成り疲れの他、単価が安く、早く出荷を終わらせる生産者がいるため、平年を下回る可能性が大きい。ミニトマトは6月いっぱい出荷されるが、作付面積が増えており前年を上回る見込み。北海道産は、3~4月の冷え込みから、若干、生育が遅れ気味である。東京市場への出荷は6月にスタートし、ピークは7~8月となる。品種は『桃太郎ワンダー』などである。
ピーマンは、茨城産が寒さの影響で出荷量が減少しており、気温の上昇とともに生育は回復してくるものの、6月も平年を下回ると予想している。ハウスの促成物の出荷は7月中旬まで続くが、乾燥気味で着花が悪いという平年にない出荷パターンとなっている。
えだまめは、群馬産は中山間地域の施設栽培の促成物が、6月上旬から出荷が始まり、数量がまとまってくるのが6月下旬からとなる。露地については7月中旬から本格化する見込み。播種作業は順調に終わったが、5月に入っての凍霜害などにより、全般的に低温で生育が悪く、開花も遅れている。
きぬさやえんどうおよびスナップえんどうについては、福島産のハウス物がピークになっている。露地物も始まってきてるがピークは6月上旬となろう。当初は不作気味になると予想したが、作柄は順調で平年並みかやや多くなると予想している。
そらまめは、宮城産が4月の降雪により一部に影響があったが、ほぼ平年並みに5月下旬からの出荷を見込んでいる。販売期間は短く、ほぼ2週間である。
ばれいしょは、静岡産の男爵は平年よりも5日ほど前進気味で、6月初旬まではやや小ぶりと予想される。6月に入り出荷のピークとなるが出荷量はやや少ないと予想される。同産地のメークインは6月下旬から出荷がスタートする見込みで作付けは前年並みである。
たまねぎは、5月に早生の出荷が始まった兵庫産が6月中旬には中生晩生となり、下旬には収穫を終えて9月まで貯蔵物となる。今年は豊作型であり、中心サイズはLとなっており肥大についても問題なく進んでいる。佐賀産は、面積はやや減少しているものの、豊作傾向で5月下旬から中生の出荷が始まり、6月には晩生となる。6月中旬に田植えと作業がかぶって、やや減ると見込む。
(執筆者:千葉県立農業者大学校 講師 加藤 宏一)
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