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需給動向 1 (野菜情報 2019年3月号)


1 東京都・大阪市中央卸売市場の需給動向(平成31年1月)

野菜需給部 調査情報部


【要約】

  東京都中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量が11万5548トン、前年同月比106.7%、価格は1キログラム当たり242円、同75.4%となった。
 大阪市中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は3万4313トン、同110.2%、価格は1キログラム当たり213円、同72.7%となった。
 葉茎菜類は前進出荷が続き潤沢だったことから特にはくさいで価格の落ち込みが激しかった。果菜類は日照量が多かったことからトマトの増量が目立った。根菜類は、好天と暖冬傾向から肥大が進み入荷量が増えたことから価格は低迷した。土物類は夏場の高温と多雨の影響から収穫量が少なく高値で推移した。

(1)気象概況

上旬は、北・東・西日本では、冬型の気圧配置となる日が多く、特に期間のはじめは冬型の気圧配置が強まり、寒気が流れ込む時期があった。また、これらの地域では、低気圧や南からの湿った空気の影響は受けにくかったため、太平洋側を中心に降水量は少なかった。

中旬は、北日本では、冬型の気圧配置となる日が多かったが、期間の前半は高気圧に覆われて日本海側でも晴れた日があり、日照時間は多かった。期間の後半は、日本の北をたびたび低気圧が通過し、その後は強い冬型の気圧配置となったため、日本海側では暴風雪となった所があった。東・西日本では、冬型の気圧配置が長続きせず、低気圧の影響で太平洋側でも雲の広がる時期があったが、南からの湿った空気の流れ込みは弱く、降水量の少ない所が多かった。

下旬は、日本海から日本の東にかけて低気圧がたびたび通過し、その後は強い冬型の気圧配置となりやすかった。24日は、北海道付近を低気圧が発達しながら通過し、その後は強い冬型の気圧配置となったため、北日本を中心に大荒れの天気となった。また、26日から27日にかけても冬型の気圧配置が強まり、全国的に寒気が流れ込み、東日本を中心に大雪となった所があった。東日本太平洋側や西日本では、冬型の気圧配置や大陸から移動してきた高気圧に覆われた影響で日照時間は多かったが、31日は南岸低気圧の影響で東日本太平洋側や西日本ではまとまった雨となった所があった。

旬別の平均気温、降水量、日照時間は以下の通り(図1)。

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(2)東京都中央卸売市場

1月の東京都中央卸売市場における野菜総量の入荷量および価格は、入荷量が11万5548トン、前年同月比106.7%、価格は1キログラム当たり242円、同75.4%となった(表1)。

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根菜類は、暖冬と好天から肥大が進み前年に比べて大幅に入荷量が多かったことから、価格は低迷した(図2)。

葉茎菜類は、前進出荷の影響でどの品目も入荷量が多かった。暖冬により消費が伸び悩んだはくさいの価格は前年比25.2%と大幅に下落した。レタスも前年の半値の53.3%と下落した(図3)。

果菜類は、日射量は多かったものの低温だったことから着果や肥大が遅れ、トマト、なす、ピーマン下旬にかけて値を上げた(図4)。

土物は、ばれいしょは九州産入荷し、下旬にかけて徐々に価格が下がった。たまねぎ、さといもは不足感から引き続き高値で推移した(図5)。

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なお、品目別の詳細については表2の通り。

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(3)大阪市中央卸売市場

1月の大阪市中央卸売市場における野菜総量の入荷量および価格は、入荷量が3万4313トン、前年同月比110.2%、価格は1キログラム当たり213円、同72.7%となった。(表3)。

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品目別の詳細については表4の通り。

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(4)首都圏の需要を中心とした3月の見通し

東京都中央卸売市場の1月の野菜総量の価格は242円となり、前年の321円と比較するとこの時期としては比較的、安定して推移た。野菜コーナー全体として、ねぎを何本でいくらにするか、ほうれんそうはいくらと組み立て易く、消費者サイドからすると助かる価格である。

青果の小売商に販売状況を聞くと、野菜の販売価格を仕入れに併せて下げても、お買い上げの点数が増える訳でないという。毎日の食生活においてまず生鮮野菜を中心にメニューを考える家庭は限られる訳である。健康を考えて青い野菜、赤い野菜をそろえるお客様もいるが、外食や弁当中心のお客様も増えている。都心部では、店舗販売よりも業務需要が中心になるのは無理からぬことである。現代の家庭では、ほうれんそうのお浸しはコンビニで購入し、カレーはルーを使うことなくレトルトで、一人ひとり辛さが違うとか、各々が違う銘柄でというケースもある。生鮮のにんじんやばれいしょ、たまねぎの重要度は徐々に減じていることになる。こうなると、市場で絶対に外れのないおいしい野菜を仕入れ、店では調理法を解説して売らなければならない。もちろん、安売りはしないということで、価値に見合った価格で自信をもって売る訳である。

さて、3月の動きを予想すると、1月より2月に、2月より3月には昨年の定植時期の天候の乱れが響いて、極端に少なくなる時期があると予想していたが、実際は11月以降の暖冬の中、過日照、干ばつ波乱要因を打ち消してしまった。2月に入り定期的に降雨に恵まれ、春野菜も3月には前進気味に入荷すると予想される。そのため、価格は現状の平年並みかやや安めレベルで推移すると予想している。

根菜類 根菜

だいこんは、神奈川産の春だいこんのピークは10日前後早まって2月上旬となった。3月については晩生の出荷になるが、20ごろで切り上がると予想している。千葉産のトンネル物の春だいこんは平年より早く始まっており、ピークは35月であるが、トンネル物は2L中心で露地も含めると全体ではL中心の例年並みのサイズである。

にんじんは、千葉産が3月も秋冬にんじんの出荷となるが最大のピークは終わっており、中旬までは数量が多いが出荷は3月いっぱいまでと見込んでいる。今期は豊作傾向であり、3月も平年よりやや多く、サイズはL中心の2Lとやや大玉傾向である。徳島産は、前年はしゅできない時期が続いて不作であったが、今年は1012月は問題なく播種できており、今後も6月中旬まで計画している。出荷は3月上旬から始まるが中旬にまとまり下旬から4月いっぱいまでピークが続く。品種は「彩誉」がほとんどで、色・形ともそろいが良い。

葉茎菜類葉茎菜類

キャベツは、愛知産が2月に入りようやく降雨があったものの、年明け以降、ほぼ一ヵ月雨がなかった影響が出てきている。それでも2月中旬から春系を中心に増えてくると予想している。冬系は引続き一定のペースでの出荷となろう。3月も平年並みであるが3月末~4月にかけては平年を上回る出荷が予想される。神奈川産は、寒波の影響もあって小玉傾向で遅れ気味の出荷が続いている。今春物は生育がやや進んでおり、3月中旬に出始め、3月下旬に一回目のピークとなり、一旦減るものの4月中旬~下旬に最大のピークとなり平年より早く連休前に切り上がる見込み。

千葉産は1月までは前進出荷により多かったが、2月に入り干ばつと低温で小玉傾向となり落ち着いてきている。今後、降雨が周期的に巡って気温が高めに推移すれば再び量的に増えてくると予想している。

はくさいは、茨城産の秋冬物は平年よりも5~10日早まっており、右肩下がりで少なくなり、上旬には切り上がる見込み。引き続き、春はくさいに切り替わるが、平年より早く3月上旬から出荷が始まって、4月上旬にピークとなろう。

ほうれんそうは、群馬産の中心であるハウス物は生育順調で、23月と安定した出荷を保つと予想される。病気もなく、株張りもよく内容も充実している。3月には一部露地物も出始めるが、出荷は4月初め頃までとなる見込み。

ねぎは、千葉産が3月も引続き秋冬物となるが乾燥した天候が長く続いた影響で、やや葉の締りが悪く下級品の比率が高くなっている。出荷は2月と変わらず途切れることなく20ごろには春ねぎに切り替わる。埼玉産は秋冬物が終盤を迎えつつあるが、過剰な干ばつにより黒腐れが一部で発生し、3月は平年を下回ると予想している。4月に入り春ねぎに間を置かず切り替わろう。

レタスは、静岡産は平年より2週間程前進出荷気味で進んでいる。3月の販売量はかなり少なくなると予想しており、場合によっては平年の半分程度となる見込みだが、レタスの出来は最後まで良好である。香川産の出荷は小振りで3月下旬~4月にピークとなるが、栽培は他品目に変わっており量的には前年を下回る見込み。長崎産の生育は順調で3月に数量が増えるが、今年の特徴としては大きなピークは無く、比較的だらだらペースと予想している。2月に入ってから降雨で、小玉傾向も解消されてくる。

アスパラガスは、佐賀産が秋からの天候に恵まれ、株はいつにも増して充実している。また暖冬で通常は3月上旬にピークとなるところ、2月下旬後半に前倒しになると予想している。株に力があるため平年を上回る出荷が続く見込み。

ブロッコリーは、愛知産の1月の入荷は前年を下回ったが、昨年の定植時期の悪天候の影響である。現状は植替え分の出荷が始まったところで、2月後半から3月については前年を上回る出荷となろう。3月が最大のピークで4月も多いが、5月には減ってくる見込み。

香川産は、月下旬になると定植時期の干ばつの影響で小振りになってくると予想している。4月にはトンネル物となって回復してくる見込み。

果菜類果菜類

きゅうりは、群馬産が出そろってきて、3月についても平年並みに潤沢な出荷となろう。今のところ生育を阻害する要因はなく、下旬に向けて徐々に増えながら推移しよう。宮崎産は3月上旬にピークとなる見込み。

なすは、高知産が夏場の高温時期の定植の影響で花着きが悪いが、3月には平年並みに戻ると予想している。ピークは4月以降となる。

長なすは、福岡産が12月の天候が悪かった影響で少なかったが、花着きもよく生育は順調である。好天により前倒し気味の出荷となっており、引き続き3月まで前倒しでの出荷が続き、平年を上回ると予想している。

トマトは、熊本産が3月中旬頃まで少なくなるが、平年とほぼ同じパターンである。花着きは問題なく、3月下旬から再び増え始めると予想している。愛知産が作付けは微減であり、その分前年を下回る出荷となると見込んでいるが、3月は平年並みL中心と予想している。栃木産は越冬物に加えて1月から始まった冬春物が本格化してくる見込み。いずれも好天で病害もなく順調で、前年を上回る可能性がある。品種は、越冬物は「マイロック」「麗容」、冬春物は「桃太郎はるか」などである。

ミニトマトは、熊本産が年内から1月に多く出た影響で成り疲れが見られ、数量は減少しており、回復は3月中下旬になってからと予想している。

ピーマンは、宮崎産が春に向けて増えながら推移しよう。昨年の台風の影響で作付けは減少している。さらに、病気が出易い状況が続いている。2月以降、34月に向けて増量し、量的には前年並みを予想している。茨城産が前年より若干早い出荷が続いている。定植の時期が後ろにずれる傾向にあって、3月としてはやや少なめの可能性もある。樹のバランスが良く、また着果も良好で4月以降のピークに向けて増えながら推移していくと見込んでいる。

豆類豆類

そらまめは、鹿児島産が暖かく前倒し傾向にあるが、出荷のピークは3月中旬の見込みである。災害もなく順調に生育が進んでおり、ほぼ例年並みである。花着きが良く、月下旬から出荷が増えてくる地域もある。3月から本格化するがピークは月に入ってから。

スナックえんどうは、鹿児島産で作型は色々あるが、3月についてはハウス物の冬春作が3月いっぱいまで出荷が続く。後半から露地物の春作も増えながら入荷し、4~5月にピークとなる見込み。3月は2月よりも多いと見込んでおり、全般に徒長気味であり、気象災害に弱いことが懸念される。南部地の産地では、例年のピークは2月下旬~3月上中旬ピークだが、暖かく年内に出荷が多かった影響で樹が疲れており、10日位早まって、3月上旬で切り上がる見込み。

土物類土物類

ばれいしょは、鹿児島産の赤土で栽培されるニシユタカは3月上旬にピークとなると見込んでいる。生育はおおむね順調で、平年並みと予想している。2L・3L中心と大玉傾向である。県内でも12月から始まった早春物は豊作だったがピークを過ぎて3月には減ってくる見込み。4月初めから春ばれいしょとなり、4月下旬~5月上旬がピークとなる。現状は霜の被害ないが、雨が少なくやや遅れている。北海道産は産地在庫が少ない状況が続いており、徐々に在庫が減ることから、10連休前に売り切る可能性がある。お客様の要請で取り置きでの対応もある。

たまねぎは、北海道産(北みらい)の18年産の生産量は前年の90%前後であったが、道内の他産地よりもマイナス幅は小さく、おおむね平年並みに出荷できると予想しているが、3月にはやや減少して最終は6月までの計画である。

静岡産は、昨秋の台風24号風で植替えを余儀なくされた部分が2月の降雨で中下旬に急増するが、3月には急減し減ってくる。品種は黄色系が中心の見込みである。佐賀産が、3月下旬から本格化し4月中下旬にピークとなる見込み作付けは微増である。

かんしょは、千葉産は3月には「紅はるか」中心に「愛娘」の出荷となるが、貯蔵量は平年と同様である。前年は傷みが出易かったことから、出荷量はやや前年を上回ると予想している。

ごぼうは、3月に入り熊本産、宮崎産といった九州産の新ごぼうが本格的に増えてピークとなる。作柄はまずまずの状況。青森産は貯蔵物で平年並みの入荷が予想される。価格は前年並みかやや高めを予想している。

(執筆者:千葉県立農業者大学校 講師 加藤 宏一)

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