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需給動向 1 (野菜情報 2018年8月号)


1 東京都・大阪市中央卸売市場の需給動向(平成30年6月)

野菜需給部 調査情報部


【要約】

 東京都中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量が12万9986トン、前年同月比99.4%、価格は1キログラム当たり235円、同91.2%となった。
 大阪市中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は3万8469トン、同98.3%、価格は1キログラム当たり213円、同93.8%となった。
 野菜の入荷量は、冬春ものから夏秋ものへの移行がスムーズでない品目もあり前年を下回ったが、たまねぎやばれいしょなどが引き続き安値となったことから、価格は前年を下回った。

(1)気象概況

上旬は、梅雨前線が本州の南海上に位置しやすかった。一方、高気圧が日本海から本州の東へ移動しやすかった。このため、北・東日本では、天気は数日の周期で変化したものの、高気圧に覆われやすく、晴れた日が多かった。旬の中頃は、日本の東海上で高気圧の勢力が強まり、南から暖かい空気が流れ込んで、北・東日本を中心に顕著な高温となった。一方、梅雨前線は、旬のはじめは日本の南海上に位置し、旬の中頃には本州南岸まで北上した。中国地方では5 日頃、近畿、東海、関東甲信の各地方では6 日頃に梅雨入りした。9 日から11 日にかけては台風第5 号が沖縄の南から本州の南海上へ進み、本州南岸の梅雨前線の影響も加わってほぼ全国的に雨となり、東・西日本太平洋側では大雨となった所もあった。北陸と東北南部では10日頃、東北北部では11日頃に梅雨入りした。

中旬は、北海道地方では、低気圧や前線の影響を受けやすく、旬降水量はかなり多かった。旬の中頃には強い寒気が流れ込んだうえ、オホーツク海高気圧も出現し、北・東日本を中心に顕著な低温となった時期もあった。一方、前線から離れた西日本ではこの時期としては晴れた日が多かった。旬の終わりは、梅雨前線が本州南岸まで北上し、東・西日本では曇りや雨の日が多く、西日本太平洋側を中心に大雨となった。

下旬は、北海道地方では、低気圧や前線の影響を受けやすく、旬降水量はかなり多かった。梅雨前線は、旬の前半は本州南岸に位置しやすく、東・西日本では、太平洋側を中心に曇りや雨の日が多かった。旬の後半は、梅雨前線は日本海から北日本へ北上し、北・西日本と東日本の内陸では大雨となった所があった。一方、日本の南東海上で太平洋高気圧の勢力が強まり、東日本太平洋側では高気圧に覆われて晴れた日が多かった。関東甲信地方では、昭和26(1951年)の統計開始以降最も早く29日頃に梅雨明けした。また、旬の後半は、太平洋高気圧の強まりと上空の気圧の尾根の影響で、東日本を中心に気温のかなり高い日が多かった。

旬別の平均気温、降水量、日照時間は以下の通り(図1)。

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(2)東京都中央卸売市場

6月の東京都中央卸売市場における野菜全体の入荷状況は、入荷量が12万9986トン、前年同月比99.4%、価格は1キログラム当たり235円、同91.2%となった(表1)。

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類別の動向は以下の通り。

ア 根菜類

だいこんは前月に引き続き、入荷量は前年割れしている。前月の入荷量が非常に多かったにんじんは数量を減らし前年をやや下回った。

価格は、だいこんは下旬の増量が影響し前年を大きく下回り、にんじんは、順調な出荷から前年比3割と大幅に前年を下回った(図2)。

イ 葉茎菜類

はくさいは、適度な降雨と気温の上昇から前年をかなりの程度上回った。キャベツ類は千葉産や茨城産から群馬産への切り替わりの時期だが後続の群馬産が前進出荷となり潤沢な入荷となった。ほうれんそうは、生育が順調に進み前年並みとなり、ねぎも順調な入荷が続き前年をやや上回った。レタス類は上旬の長野産の数量が伸び悩んだことから前年をやや下回った。

価格は、はくさいは前年並み、キャベツ類は下旬に向けて上昇し前年をやや上回った(図3)。ほうれんそう、ねぎは前年を下回った。レタス類は安値だった前年をわずかに上回った。

ウ 果菜類

入荷量は、きゅうりは、福島産の中旬の落ち込みから前年をやや下回った。なすは高知産が終盤となり、群馬産などの生育は良かったが入荷は伸び悩んだ。トマトは気温上昇により着色が早まったことから小玉傾向で前年をやや下回った。ピーマンは、多かった前年と比べてかなり少なかった。

価格は、きゅうりが下旬に向けて上昇し、前年に比べてかなり上回った(図4)。なすは高知産の減少から前年をかなり大きく上回った。

エ 土物類

入荷量は、さといもは作付面積の減少と小玉傾向から前年をかなり大きく下回った。ばれいしょは肥大良好で多かった前年をやや上回り、たまねぎは生育が回復したことから前年を大幅に上回った。

価格は、さといもは前年が安値だったことから前年をかなり上回ったが、ばれいしょ、たまねぎは大幅に前年を下回った(図5)。

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なお、品目別の詳細については表2の通り。

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(3)大阪市中央卸売市場

6月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格は、入荷量が3万8469トン、前年同月比98.3%、価格は1キログラム当たり213円、同93.8%となった(表3)。

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類別の動向は以下の通り。

ア 根菜類

入荷量は、だいこんは生育が順調で下旬にかけて入荷が伸び、前年をやや上回った。にんじんは、生育良好で潤沢な入荷が続いたが、切り上がりが早まった産地もあり前年をやや下回った。

価格は、だいこんは前年をかなり下回ったが、にんじんは潤沢な入荷から安値で推移した。

イ 葉茎菜類

入荷量は、はくさいは冬春産地の切り上がりが早く、後続の長野産も干ばつの影響から前年を大幅に下回った。キャベツ類は、茨城産と愛知産の切り上がりが早かったため後続の長野産、群馬産との切り替わりがうまくいかなかったが、前半に潤沢な入荷があったことから前年並みとなった。ほうれんそうは、夏秋産地の岐阜産を中心の生育が良好だったことから前年比で125.4%と大幅に上回った。ねぎは、各産地とも生育良好で前年をかなり上回った。青ねぎは、豪雨の影響から前年をやや下回った。レタス類は、夏秋産地である長野産の生育が良好で前年をやや上回った。

価格は、はくさいは、前月までの安値からは回復したものの、入荷増に伴い下旬にかけて弱もちあいで前年をわずかに上回った。キャベツ類は、安値でスタートしたが下旬にかけて持ち直して前年をかなり上回った。ほうれんそうは、前月の安値に加え消費の伸び悩みから中旬までは安値で推移したことから前年をかなり下回った。ねぎは、産地の切り替わりがスムーズだったことから前年をかなり下回った。青ねぎは、品質不良から低迷した。レタス類は、入荷増から中旬に下げたが下旬に持ち直し前年をやや上回った。

ウ 果菜類

果菜類は冬春作から夏秋作への切り替わりの時期となったが、きゅうりは、西南暖地、夏秋産地ともに伸びず入荷量は前年をやや下回った。なす、トマト、ピーマンは冬春ものの切り上がりが早まり、後続産地の遅れから前年を大幅に下回った。

価格は、きゅうりが下旬に向けて上昇し前年を大幅に上回った。なすは前月からの堅調な流れから、ピーマンは中旬以降の上昇により前年を上回った。トマトは品質低下の影響から価格は低迷した。

エ 土物類

入荷量は、さといもは中国産が減り前年を大幅に下回った。前月までの好天で生育が良好であったばれいしょは潤沢に入荷し、前年をやや上回った。たまねぎは、北海道産の切り上がりが早かったことから前年をかなり下回る結果となったが、平年よりやや多い入荷量となった。

価格は、さといもは国産の入荷が少なく前年をわずかに上回った。ばれいしょは前月の安値に加えて入荷増となったことから前年比5割以下となった。たまねぎは、前年をかなり下回った。

なお、品目別の詳細については表4の通り。

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(4)首都圏の需要を中心とした8月の見通し

日に台風号が対馬海峡を抜けて、日本海を北上し日には温帯低気圧となった。それでも大きな雨雲を伴って北上したため、西日本だけでなく東海地方にかなりの降雨をもたらした。また、日から日にかけて西日本を中心に雨が降り続き、大きな被害をもたらした。

関東地方の梅雨明けは月29日となり、これは平年より22日早い。その後、日ころから雨が降り気温も下がったが、日に猛暑が戻り、高温が続いている。今後、野菜の供給は東北、北海道、長野県や群馬県の高原産地への依存度が高まってくる。現時点では、関東産は干ばつもあり前進気味であるが、猛暑で全国的に生産量が減少することも想定される。また、東日本から西日本への転送も増えると予想され、価格は堅調でやや高めの推移になると思われる。東北、北海道は平年並みの出荷開始となったが、低温のため出だしが少なめで、中旬に向けて相場は上昇基調を見込む。一気に出てその後休むといったように、山谷(やまたに)のはっきりした出方になるのではと予想している。

一方、消費地では、消費者が冷房の効いた部屋に閉じこもりがちになるため、街の青果店は仕入れを控えると予想される。業務用需要は学校給食が休みとなりそれ程引き合いは強くないが、夏の野菜であるトマト、なす、きゅうりに活発な注文が入るであろう。

『干ばつに不作なし』の例えどおり、関東産は7月初めまで順調に入荷したが、東北から北海道産が主力になる月以降は、思ったほど出回りが増えないといった状況も想定しておくべきであろう。

根菜類 根菜

だいこんは、北海道産が平年並みの始まりとなったが、当面のピークは海の日7月16日)ごろで、最大のピークは月と予想している。しかし、雨が多く月末頃の出荷物のしゅ遅れが懸念される。夜温は高いことから肥大は進んでおり、2Lが半分強を占めよう。道東の産地では、天候不順が続き生育は停滞しているが、7月中旬から平年並みに出荷が始まり、最大のピークは8月から9月と見込んでいる。作付けは前年並み。

にんじんは、北海道産は6月下旬から7月上旬にかけて2週間播種ができず、この影響により8月末ころからの出荷が薄くなると予想している。前半の物はやや小振りと予想される。品種は「ベータ312」「天翔五寸」、後半に入り「向陽2号」となっている。

葉茎菜類葉茎菜類

キャベツは、群馬産はほぼ計画通りの出荷であるが、出荷開始が遅れた前年より多く出ている。適度の夕立もあって干ばつの影響はない模様で、海の日の頃から9月いっぱいがピークで、10月には減ってくるが二期作も始まることから急減はない見込み。

はくさいは、長野産が干ばつ傾向で推移しており生産環境としては悪くないが、高温の中で雨と干ばつが繰り返すと、一気に出る時期と少ない時期といったように出荷に波が出る可能性が大きい。作付けは前年並みで、当面のピークは7月中旬で、8月は平年並みで多くはなく、その後月に再びピークが来ると予想している。

ほうれんそうは、岩手産は現状では順調な出荷となっている。月にかけてもピークのない出荷が続き、増え始めるのは月の末ころと予想される。

ブロッコリーは、長野産の夏秋物の出荷が7月に続いて月も途切れることなく続き、8月下旬から出荷が増え始め月中旬ころにピークを見込んでいる。

レタスは、長野産が海の日の後に全体の折り返しとなるが、月についても月と同様のペースで出荷が続くと予想している。L中心で肥大も問題なく、仕上がりも良好である。

セルリー(セロリ)は、長野産の生育は順調で前進気味である。現状、露地栽培ものも出始め、秋口まで推移すると見込んでおり、状況としてほぼ平年並みの展開が予想される。

アスパラガスは、長野産の7~9月に出荷される夏秋ものは、量的には前年並みを予想している。

ねぎは、北海道産の作付けは前年より増えている。出荷は7月中旬前後から始まるが、じわじわ増えて、特に盆明けから潤沢な出荷が続き、10月まで数量が多く、11月の降雪前まで出荷が可能である。青森産の露地栽培は8月の初めからで全体のピークは9月である。ほぼ例年並みで2L・Lが中心と生育は順調である。

果菜類果菜類

きゅうりは、福島産が、現状は露地栽培のものが盆前まで増えながら推移する見込み。盆明けは抑制物も始まるため月いっぱいはピークが続く見込み。作付けは微増である。

なすは、平年よりかなり早い梅雨明けにより栃木産で潅水が遅れた畑は生育遅れとなっており、現状では出そろっていない。平年8月がピークとなるため、今後、増えてくる見込みだが、天候によっては前年と同様に平年を下回る可能性もある。適度の夕立で夜温が下がると量的には出てくると思われる。

トマトは、青森産は現状で段が開花しているが、月中旬のヤマセが影響し遅れ気味である。段を出荷しているが月には5~段になると予想しており、天候によっては急増する場面もあると予想される。基本的には生育順調でLサイズ中心と予想している。茨城産は、抑制物の出荷となるが、月の盆明けから始まり月からがピークで11月いっぱいまで続く。品種は「りんか」「モーニング108」が中心である。

ミニトマトは、北海道産が天候不順もあり710日の遅れとなっている。最大のピークは盆過ぎ頃を予想しているが、月の天候によってはピークがお盆に重なる可能性もある。品種は「キャロル7」と「イエローミミ」中心である。

ピーマンは、岩手産は現状では、トンネル栽培の出荷も始まっているが、ハウスもののピークは7月下旬となる。月に入り盆前後にトンネル栽培のピークとなり、露地栽培も本格化してくる。定植後、干ばつが続き、ここに来て低温が続くなど生産環境は万全でないが、回復は早いと見込んでいる。作付けは微増である。

かぼちゃは、北海道産が月下旬過ぎから収穫が始まり、乾燥した後、月末頃から出荷開始されてくる見込み。平年並みのペースで、ピークは盆前となり盆明けも数量は落ちない見込み。品種は「みやこ」「えびす」「くり将軍」である。

スイートコーンは、長野産が干ばつ気味ではあるが生育は順調である。出荷は、7月下旬から始まり8月の盆前ころまでの見込み。千葉産は、現状では平年並みの出荷となっているが、ピークは平年並みの7月20日ころから8月上旬と予想しているが、梅雨明けが早かった影響により、前年に比べて8月は少ない可能性もある。

土物類土物類

さといもは、千葉産の石川早生の出荷が月下旬から始まるが、ピークは月下旬から月始めごろと予想される。平年より草丈は小ぶりだが、小玉傾向と断言することはできない。

ばれいしょは、北海道産の男爵が東京市場へ8月から入荷するが、作柄は平年並みを見込んでいる。現在の天気予報では、8月後半は晴れると予報されていることから順調に仕上がると見込んでおり、ピークは月下旬から月である。

たまねぎは、北海道産が月10日前後から出荷が始まると予想している。生育が順調で豊作基調となっており、10月、11月のピークに向けて増える見込み。

その他 その他

えだまめは、群馬県の標高400~500メートルの中山間地産は6月までの朝の開花時の低温と日照不足が影響して作柄は不良となっている。それでも高温で前進してるため、出荷は前年の80%台にとどまっている。このため極早生・早生は不作であったが、月下旬からの中早生からは回復を期待しており平年並みを予想している。山形県鶴岡市産の『だだちゃ豆』は、今のところ生育は順調で、例年と同様に月末から始まり、盆明けからピークとなる見込み。

メロンは、北海道産が東京市場で月上旬から販売が始まっているが、8月の盆前ころの出荷されるものが開花時期に降雨が続き、一週間程度の遅れとなっている。出荷の中心となる「らいでんルピアレッド」は盆前にピークとなるため例年より少なと予想される。青肉の「らいでんクラウン」は盆明けから月25日ごろまでピークでその後10月いっぱい出荷が続こう。

すいかは、長野産が7月下旬ピークとなり、8月まで出荷が続く。干ばつの中での生育と寒暖の差が激しいという難しいコンディションの中での生育となったが、今のところ平年並の出荷を予想している。

(執筆者:千葉県立農業者大学校 講師 加藤 宏一)

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