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需給動向 1 (野菜情報 2018年3月号)


1 東京都・大阪市中央卸売市場の需給動向(平成30年1月)

野菜需給部 調査情報部


【要約】

 東京都中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量が10万8242トン、前年同月比87.3%、価格は1キログラム当たり321円、同127.4%となった。
 大阪市中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は3万1130トン、同88.8%、価格は1キログラム当たり302円、同130.7%となった。
 昨秋の台風の被害から回復しつつあった産地でも年明けの低温と降雪の影響から全般的に生育が遅れ、入荷量は前年をかなり大きく下回った。価格は、両市場とも前年を大幅に上回った。

(1)気象概況

上旬は、日本付近を低気圧が頻繁に通過し、北日本や東日本、日本海側を中心に曇りや雪または雨の日が多く、東日本太平洋側や西日本でもまとまった雨となった日があった。また、北日本では暖かい空気が流れ込みやすく、寒気の影響を受けにくかったため、気温がかなり高かった。

9日からは冬型の気圧配置が強まり、日本付近は西ほど強い寒気が流れ込んだ。

中旬は、前半は強い冬型の気圧配置となり、西日本を中心に強い寒気が流れ込んだ。東日本、日本海側を中心に大雪となり、新潟では12日の積雪が80センチメートルとなり、平成22(2010)年2月以来8年ぶりに積雪が80センチメートルに達した。後半は移動性高気圧に覆われる日が多く、全国的に晴れて、気温が高い日が多くなり、西日本中心に気温の変動が大きかった。

下旬は、22日から23日にかけて低気圧が本州の南岸沿いを発達しながら通過したため、関東甲信地方や東北太平洋側では大雪となった。東京では22日の積雪が23センチメートルとなり、平成26(2014)年2月以来、4年ぶりに積雪が20センチメートルを超えた。その後、非常に強い寒気が日本付近に流れ込み、東・西日本中心に気温が平年を大きく下回った。さいたま市(埼玉県)では26日に最低気温がマイナス9.8度と昭和52(1977)年12月の統計開始以来最も低い気温を観測するなど、25日から27日にかけて最低気温が、東京都や埼玉県の各地点で観測史上1位となった。寒気の流入後は日本海側では雪の日が続き、暴風雪や大雪となったところもあった。北日本の日本海側の旬間日照時間は平年比54%となり、1月下旬としては昭和36(1961)年の旬統計の開始以来、最も少ない記録となった。太平洋側では晴れの日が多かったが、雪雲が流れ込み積雪となるところもあり、26日には名古屋で3センチメートルの積雪となった。

旬別の平均気温、降水量、日照時間は以下の通り(図1)。

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(2)東京都中央卸売市場

12月の東京都中央卸売市場における野菜全体の入荷状況は、入荷量が10万8242トン、前年同月比87.3%、価格は1キログラム当たり321円、同127.4%となった(表1)。

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主産地は貯蔵出荷の北海道産を除き、終盤の関東産、東海産および西南暖地産が主流となった。入荷量は、根菜類および葉茎菜類では、全般で前年を下回った特にキャベツ、ほうれんそうおよびレタス類は前年を大幅に下回った。果菜類はなすおよびトマトの入荷が回復したものの、きゅうり、ピーマンは前年を下回り、土物類では貯蔵もののばれいしょが前年をわずかに上回ったものの、さといもおよびたまねぎが前年をかなりの程度下回り、野菜全体では、前年をかなり大きく下回った。

価格は、昨秋の台風被害やその後の曇雨天、11月以降の低温により、果菜類のトマトと、貯蔵もののばれいしょを除き、根菜類、葉茎菜類、果菜類、土物類全般で、前年を上回った。

類別の動向は以下の通り。

ア 根菜類

入荷量は、だいこんは、神奈川産および千葉産が、度重なる天候不順による生育遅れや肥大遅れにより、月間では前年を大幅に下回る入荷となった。にんじんは、主産地の千葉産が、肥大不足による小ぶりの入荷となり、一部、他の関東産は回復途上であったことから、総入荷量は前年をかなり大きく下回った。

価格は、だいこんは前年を大幅に上回ったものの、にんじんは曇雨天などで高かった前年並みとなった(図2)。

イ 葉茎菜類

入荷量は、はくさいは茨城産年明け後、一時的に産地の出荷が落ち着いたものの、引き続き需要が高く前年をやや上回った他の関東産は回復せず、総体では前年をわずかに下回った。キャベツは、千葉産および愛知産は低温により小玉傾向となったことから、総体の入荷量は前年を大幅に下回り、ほうれんそうは、秋の断続した曇雨天による日照不足等に加え、11月以降の低温で、生育に遅れがでたことから、月を通して前年を大幅に下回り、月間でも前年を大幅に下回った。ねぎは、各産地とも前年を下回り、現在の生育はよいものの、台風被害は回復途中であることから、入荷量は前年をかなり大きく下回った。レタスは、主産地の静岡産および千葉産が、11月以降の低温による生育遅れで小玉傾向となり、入荷量は前年を大幅に下回った。

価格は、ねぎは前年をかなり大きく上回り、他葉茎菜類で前年を大幅に上回った(図3)。

ウ 果菜類

入荷量は、主力の西南暖地産が、昨秋の複数の台風被害から入荷量が回復しつつあったところ、低温で生育が緩慢となり、関東産低温の影響を受けたため、きゅうりとピーマンで入荷量が伸び悩んだ。きゅうりは、宮崎産がおおむね順調な入荷であったものの、高知産および関東産が低温による生育遅れで入荷減となったことから前年をやや下回った。トマトは、主産地の熊本産が前年をかなり大きく上回ったことから、前年をかなりの程度上回る入荷となった。なすは、主産地の高知産が、おおむね順調な入荷となり、月間では前年をかなりの程度下回った。ピーマンは、低温で、各産地とも生育が遅れ、主力の宮崎産が前年を下回ったことから、前年をかなりの程度下回った。

価格は、トマトは前年をかなりの程度下回ったものの、きゅうり、なすおよびピーマンは、前年を上回った(図4)。

エ 土物類

入荷量は、さといも主力の関東産が曇雨天で肥大遅れが発生し、出荷量が伸びなかった。上旬では、千葉産および宮崎産で上回ったものの、月間では前年をかなりの程度下回った。ばれいしょおよびたまねぎは、主産地である北海道産が作柄も良く計画出荷となった。ばれいしょは前年をわずかに上回り、たまねぎは前年をかなり大きく上回った。

価格は、ばれいしょを除き、前年をかなり大きく上回った(図5)。

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なお、品目別の詳細については表2の通り。

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(3)大阪市中央卸売市場

1月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格は、入荷量が3万1130トン、前年同月比88.8%、価格は1キログラム当たり302円、同130.7%となった(表3)。

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東・西日本で気温が平年を大きく下回る日が続いた。寒気の影響で日本海側では雪の日が続き、暴風雪や大雪となるところも多く、日照時間が非常に少なかった。

太平洋側は晴れの日も多かったが、10月の台風や長雨の影響から回復できてない地域もあり、特に葉茎菜類は低温による生育不良や干ばつによる影響を受け多くの品目で品不足となった。

価格は、大雪や積雪で交通網が遮断され物流面に大きな影響を及ぼし大幅な高値が続いた。

類別の動向は以下の通り。

ア 根菜類

だいこんは、各産地とも低温や日照不足の影響で肥大が悪く入荷量は前年を大きく下回った。にんじんは、中国産や関東産が入荷したが、不足を補いきれず前年を下回った。価格は、両品目とも前年をかなり上回った。

イ 葉茎菜類

はくさい、キャベツ、ほうれんそう、ねぎ、レタスは各産地とも、昨年の台風の影響に加え、強い寒気の影響で生育不良となり、前年を下回る入荷となった。価格は、品目によっては前年の2倍近くになるものもあり全体的に高値で推移した。

ウ 果菜類

きゅうり、トマトは、潤沢に入荷したが、なす、ピーマンは前年を下回った。価格はきゅうり、なす、ピーマンは前年を上回ったが、トマトは年末分が年明けにずれ込み順調な入荷となったが、低温の影響で消費が低迷し価格は低迷した。

エ 土物類

さといもは、正月需要もあり在庫が少なく高値で推移した。ばれいしょは、寒波や降雪から交通網が乱れ、不安定な入荷となったが、昨年の高騰の反動から安値が続いている。たまねぎは、寒波と降雪の影響から物流の乱れもあり入荷は少なく、価格は前年を上回った。

なお、品目別の詳細については表4の通り。

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(4)首都圏の需要を中心とした3月の見通し

3月は卒業式などの行事が多くなり、就職や進学の準備などで忙しい月である。

外食の機会も増えることから、外食各社は春商材の仕入れの準備に入っているが、産地では全体的に不作傾向となっており、価格は2月に引き続き高値傾向で推移すると予想される。

今期は野菜産地数年ぶりの寒波にたびたび襲われ、積雪などにも見舞われたが、今のところ決定的なダメージは報告されていない。日照がしっかり確保されたことから、生育に時間がかかった反面、キャベツ、ほうれんそう、にんじんなどは味がよい。一方で、平年にない低温から、4月以降のキャベツやねぎなどは抽台の発生も懸念される。気象のリスクとしては、春の強風によりねぎなどが被害を受けることも想定しておきたい。晴天が続くようであれば、トマトの入荷が急増し、価格を下げることがあると予想している。

根菜類

だいこんは、春だいこんは平年より遅れており、台風の後の長雨で定植がずれ込んだが3月10日過ぎから出荷される見込みである。現状のだいこんはM中心の小振りであるが、春だいこんはトンネル栽培であり、肥大は問題ない。

葉茎菜類

はくさいは、茨城産は2月に続き3月も少なめの出荷となるが、圃場に十分残している生産者もおり、ほどほどの出荷はある見込み。積雪の影響で外側の葉を落とすなど、小振りで箱数は伸びてこないであろう。

キャベツは、愛知産は降雨があって肥大が期待されたが、低温から後ろにずれながらの生産となっている。それでも日長と気温の上昇で3月は平年に近い水準まで回復し、数量はピークとなる。千葉産は1月の実績では前年比60%と少なかったが、2月はさらに少ない見込み。3月には追いきした物も本格化して平年並に推移する見込み。

ほうれんそうは、埼玉産の11月に播種したものが、干ばつと低温で生育に時間がかかっている。3月は2月よりも増えてくるが、平年を下回ると予想している。

ねぎは、3月中旬頃まで秋冬物で、その後、春ねぎとなる。じょうには例年並の数量が残るが、寒さで生育が遅れている。今年の厳しい寒さから4月に入って抽台が早まることが懸念されるため、適宜、収穫していくことが望まれるが、ほぼ前年並の出荷が確保できると予想している。

レタスは、静岡産は11月に定植したものとなるが、降雪による影響はなく、現状、2L、Lが中心で平年並に戻してきており、5月まで平年並の見込み。茨城産は10日過ぎごろから本格化する。多少の遅れと小玉の懸念が残るが、ほぼ平年並を見込む。雪によりトンネルが被害を受けたという報告はない。

にらは、栃木産の1番切りが終了し、3月は2番切りとなるが、寒さや前年の夏株の養成が完全でなく、やや遅れているものの、大きな気象災害さえなければ、ほぼ前年並の出荷が予想される。

ブロッコリーは、愛知産が定植時の天候不順が影響し、日々の出荷のバラツキが大きい。低温による遅れもあるが、3月が最大のピークで4月まで出荷が続く。

きゅうりは、群馬産が晴天が続いても日中の気温が上がりきらないため、生育が遅れている状態が続いている。3月には気温も上昇し、本格的に出荷できると予想している。

果菜類

トマトは、熊本産は年内の遅れもあるが1月に多く出荷され、その疲れから2月に入りやや減ってこよう。さらに、価格安からハウスの温度を上げられず、3月についても前年を下回ると予想している。

なすは、高知産は積雪はないものの気温が例年より低く肥大が遅れている。無加温ハウスが本格化する3月中には平年並に出荷が増えてくると予想している。病害が少なく気温の上昇を待つのみである。

土物類

ばれいしょは、鹿児島産の秋作の出荷が遅れており、入荷は3月上旬まで続く。雨や雪で作業が遅れている春ばれいしょの入荷は月以降となる模様である。

たまねぎは、静岡産の新たまねぎが2月に続き3月もピークが続く。サラダオニオンは黄色タイプが中心となり、ほぼ3月いっぱいの出荷となる。前年の秋の台風や長雨の影響で果形の乱れがあるうえに、寒さからや肥大が抑えられており、量的には平年を下回る見込み。

豆類

鹿児島産が低温で遅れている。2月上旬の降雪の影響にもよるが、そら豆は、4月から、実えんどうは、3月下旬からの出荷となる。

その他

すいかは、熊本産のハウスすいかが3月から出荷が本格化する。小玉傾向で作付けも減っており前年を下回る見込み。

たけのこは、熊本産が裏年傾向と予想され、昨年ほど多くないものの、始まりが11月と早かったことからピークは早まると予想している。

なばなは、千葉産は8月下旬から10月上旬に定植したものが2つの台風でダメージを受けた。その後、定植し直したものが3月初めに間に合うと予想している。それでも量的には平年の半分程度と少ない見込みである。

(執筆者:千葉県立農業者大学校 講師 加藤 宏一)

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