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需給動向 1 (野菜情報 2018年1月号)


1 東京都・大阪市中央卸売市場の需給動向(平成29年11月)

野菜需給部 調査情報部


【要約】

 東京都中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量が12万2707トン、前年同月比101.8%、価格は1キログラム当たり269円、同92.8%となった。
 大阪市中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は3万8629トン、同106
.2%、価格は1キログラム当たり247円、同87.3%となった。
 10月中旬以降の台風や
雨天などの影響により、ほうれんそう、レタス、なすなどの入荷量が前年を下回った。価格は、両市場とも高値であった前年を下回ったものの、平年比では上回った。

(1)気象概況

上旬は、低気圧と高気圧が交互に通過したが、東・西日本を中心に移動性高気圧に覆われて晴れた日が多かった。大陸からの寒気の南下が弱く、南から暖かい空気が流れ込みやすかった北日本と沖縄・奄美では気温が高かった。

中旬は、低気圧と高気圧が交互に通過したが、11日は低気圧が急速に発達しながら日本海からオホーツク海へ進み、北海道を中心に大荒れとなった。また、中旬の後半は北日本から西日本にかけて大陸から強い寒気が流れ込んだ。このため、北・東日本日本海側を中心に曇りや雪または雨の日が多かった。北日本では広い範囲で積雪となったほか、東日本日本海側を中心に平野部でも雪が降り、山沿いや山間部では積雪となった所があった。

下旬は、低気圧と高気圧が交互に通過したが、下旬の前半に北日本から西日本にかけて大陸から強い寒気が流れ込み、北・東日本日本海側を中心に曇りや雪または雨の日が多かった。北日本日本海側の日照時間は平年比54%となり、11月下旬としては旬の統計を開始した1961年以降で最も少ない記録となった。

旬別の平均気温、降水量、日照時間は以下の通り(図1)。

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(2)東京都中央卸売市場

11月の東京都中央卸売市場における野菜全体の入荷状況は、入荷量が12万2707トン、前年同月比101.8%、価格は1キログラム当たり269円、同92.8%となった(表1)。

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主産地は貯蔵出荷の北海道産を除き、関東産が入荷終盤の品目がある中、東海産および西南暖地産が入荷増となった。入荷量は、根菜類では、だいこんが前年をかなりの程度下回り、葉茎菜類では、ほうれんそうとレタス類が前年を大幅に下回り、果菜類はトマトが前年を大幅に上回ったものの、なすとピーマンは前年を下回り、土物類ではさといもが前年並みとなり、たまねぎが前年をかなりの程度上回ったことから、野菜全体では、前年をわずかに上回った。

価格は、10月中旬以降の曇雨天、低温および台風による強風、降雨により、葉茎菜のほうれんそう、ねぎおよびレタス類、果菜類のきゅうり、なすおよびピーマン、土物類のさといもおよびたまねぎは前年を上回った。それ以外の品目では下旬に値を上げた品目もあったものの、月間では高値であった前年を下回った。

類別の動向は以下の通り。

ア 根菜類

入荷量は、だいこんは、千葉産および神奈川産は10月に発生した台風21号の塩害などにより正品率が低下したことや、10月中旬以降の曇雨天による肥大遅れにより、前年をかなりの程度下回る入荷となった。にんじんは、千葉産は10月の日照不足や台風の塩害により、前年をやや下回る入荷となった。北海道産は台風の影響は小さく、台風による作柄不良で少なかった前年をかなりの程度上回る入荷となった。価格は両品目とも前年を下回ったものの、平年を上回った(図2)。

イ 葉茎菜類

入荷量は、はくさいは、茨城産11月の好天で生育は回復したものの、前年をやや下回り、キャベツは、千葉産が台風の影響で前年をかなり大きく下回ったものの愛知産および茨城産が総体にはおおむね生育は順調で、入荷量は前年を上回り、ほうれんそうは、10中旬以降の曇雨天による日照不足などにより、生育に遅れが出たことから、月を通して前年に比べて出荷減となり、前年を大幅に下回った。ねぎは、関東産に台風の影響がみられたものの、出荷終盤の東北産の出荷が順調だったことから、入荷量は前年をやや上回った。レタスは、茨城産は11月からの好天で、総体では生育はおおむね順調であったものの、10月の台風の影響が残り小玉傾向となっており、入荷量は前年を大幅に下回った。価格は、はくさいおよびキャベツが前年を大幅に下回ったものの、ほうれんそう、ねぎおよびレタス類は前年を上回った(図3)。

ウ 果菜類

入荷量は、西南暖地産生育はおおむね順調であったが、関東産が台風の影響により出荷量が伸び悩んだ品目があり、きゅうりおよびトマトは、西南暖地産の出荷量が順調に推移していることから、前年を上回った。なすは、高知産が曇雨天による生育遅れが11月の好天により回復したものの、月間では前年を大幅に下回った。ピーマンは茨城産宮崎産などの主産地の10月の天候不順などによる生育遅れなどで前年をかなりの程度下回った。価格は、トマトは前年を大幅に下回ったものの、きゅうり、なすおよびピーマンは、前年を上回った(図4)。

エ 土物類

さといもは曇雨天で肥大遅れが発生し、入荷量が伸びなかった。11月からの好天により、下旬は前年をかなりの程度上回ったものの、前年並みとなった。ばれいしょおよびたまねぎは、主産地である北海道産作柄良く計画出荷であった。ばれいしょは前年をやや上回り、たまねぎは前年をかなりの程度上回った。価格は、ばれいしょを除き、前年を上回った(図5)。

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なお、品目別の詳細については表2の通り。

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(3)大阪市中央卸売市場

11月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格は、入荷量が3万8629トン、前年同月比106.2%、価格は1キログラム当たり247円、同87.3%となった(表3)。

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10月中旬の悪天候や下旬の台風による被害を受けた産地の中には、11月に入っても回復が遅れ、特に上旬は入荷量が少なく高値が続いた品目も見られた。中旬以降は徐々に回復する傾向にあったが、下旬には寒波の影響で入荷量が落ち込んだものもあった。

総入荷量は、前年をかなりの程度上回り、平年比でもわずかに上回った。価格は、前年がかなりの高値で推移したこともあり、前年をかなり大きく下回る結果となったが、平年に比べるとかなり大きく上回った。台風の影響で回復が遅れているほうれんそう、レタスなどの今後の動向が懸念される。

類別の動向は以下の通り。

ア 根菜類

だいこんおよびにんじんは、いずれも入荷量は前年を上回った。中でもにんじんは、長崎産や鳥取産が前年を上回る入荷となり、総入荷量は前年を大幅に上回った。にんじんの価格は、前年を大幅に下回った。

イ 葉茎菜類

キャベツは、高冷地ものの入荷が順調であったことなどにより、総入荷量は前年をかなり大きく上回り、価格は前年を大幅に下回った。ほうれんそうは、徳島産の生育不良の影響などにより、総入荷量は前年を大幅に下回り、価格は前年を大幅に上回った。

ウ 果菜類

トマトは、夏秋産地の残量が多く、後続産地も順調な入荷となったことから、総入荷量は前年を大幅に上回り、価格は前年を大幅に下回った。なすは、高知産や岡山産が前月の天候不順などの影響で着果が減少したことにより、総入荷量は前年をかなり大きく下回り、価格は前年をかなりの程度上回った。

エ 土物類

ばれいしょは、北海道産の入荷量が回復したことにより、総入荷量は前年をかなり大きく上回り、価格は前年を大幅に下回った。たまねぎは、北海道産の入荷減により、総入荷量は前年をかなり大きく下回り、価格は前年をかなりの程度上回った。

なお、品目別の詳細については表4の通り。

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(4)首都圏の需要を中心とした1月の見通し

産地関係者から「今年(平成29年)は季節の進み方が1カ月早い」と聞いていたが、11月は冷え込みがきつくて寒暖の差も大きく、12月は上旬から本格的な寒波が襲来して寒い日が続き、西日本でも降雪に見舞われ、平年よりも早い冬の訪れとなった。1月は南岸低気圧の影響を受け始め、関東なども降雪に見舞われる可能性が高いという。秋冬野菜は総じて豊作で、価格は安いと予想したが、品目によっては外れた。東京都中央卸売市場の11月の価格を見ると、重量品目などは平年価格を上回っている。台風や長雨の影響で今後の出回り量は少ないという情報はあるが、物は確実に市場に集まるとの観測も持っている。

こうした平年より高めの状況だが、この時期味が充実して人気が高まるブロッコリーの大きなものを198円で販売し続ける店がある。さらに、さといもについても、ねっとり系とホクホク系とをはっきり分けて販売していた。そこに、お客様重視の販売ポリシーを感じた。年末年始は家計も物入りであり、買いやすい価格で、商品の特徴をはっきり打ち出す店の存在はありがたい。食事には野菜メニューを多く取り入れ、かぜにかかりにくい健康な体を保ちたい。

個々の品目を見ていくと、だいこんは、千葉産はこれまで出荷量が少なく、1月も同様に推移する見込みである。徳島産はL中心でM以下も多く、年明けについても出荷量は例年の50~60%と予想される。

にんじんは、千葉産は生育の遅れが激しくなり、1月の出荷はさらに少なくなると予想している。長崎産の夏まきにんじんは順調で、1月も引き続きピークが続き、全体として前年を上回る見込みである。品種は「敬紅」と「らいむ5寸」である。

はくさいは、茨城産は10月の長雨前までは豊作と思われたが、その後の台風の影響で外葉が傷み肥大が抑えられた。その後の寒さもあって、年明けもやや小ぶりと予想される。主力品種は「秋理想」である。

キャベツは、愛知産は年内については生育の遅れから例年より小ぶりの仕上がりとなったが、徐々に回復して年明けは通常の大きさとなり、量的な心配はないと予想される。千葉産は台風による塩害の影響で、2月までは年の70~80%の出荷となる見込みである。

ねぎは、千葉産は年内の出荷は10月の台風の影響で病気などの被害が見られ、少なめの出荷となっていたが、1月中旬から出荷されるものは年並みに回復するであろう。

ほうれんそうは、埼玉産は10月の2つの台風の後にしゅしなおした分が年末に間に合うかどうか、といったところである。じょうに残った分についても根の張りが悪く、生育は遅れ気味である。

ブロッコリーは、愛知産は台風の影響で曲がりや病気が出て平年の半分程度の出荷量となった。10月の長雨の影響で定植できなかった圃場もあり、年明け以降も出荷量は少なく、2~3月も回復は難しいようである。

レタスは、長崎産は低温で肥大が遅れているものの、基本的には順調である。諫早湾干拓の農地でレタスの作付けが増えたこともあり、量的には前年並みかやや多いと予想している。12月上旬までは降雪はなく、今のところ品質に問題はない。静岡産は台風の影響を受け、肥大についても2ランクほど小さく、出荷量は例年の70%程度と少ない見込みである。

きゅうりは、宮崎産は気温は低いものの晴天が続き、今後は出荷量が回復して平年べースで安定し、ほぼ年並みとなる見込みである。

なすは、高知産は日照時間が短く厳しい時期であるが、花も順調で生育は持ち直してきている。1月に限れば平年並みとなり、少なかった前年を上回る見込みである。福岡産は12月に入っての冷え込みで出荷量は減ってきているが、年明け後の1月中旬からは例年並みに回復すると予想される。農家数は変わらないが、栽培面積はやや減っている。

トマトは、愛知産は11月の好天がプラスとなり、年末年始は問題のない出荷となるであろう。熊本産の出荷量はやや減少気味に推移しているが、年明けについては前年を上回ると予想している。

ピーマンは、宮崎産は当初の根の張りが悪かった影響で出荷に波がある。樹の状況は問題なく、1月トータルとしては年並みの見込みである。高知産は当初は順調と予想されたが、2つの台風と長雨の影響で10日程度生育が遅れ、波がある。年明けの初荷以降の出荷量は多く、中旬には減って下旬に再び増えるといった流れとなろう。

ばれいしょは、北海道産のメークインは台風で少なかった前年を上回り、ほぼ平年並みの出荷となる見込みである。大きさはやや小ぶりである。新品種の「マチルダ」は、大玉のものが市場出荷されるであろう。マチルダはサラダや煮物にも使え、汎用性が高い。長崎産の「ニシユタカ」の収穫は1月の始めごろまでで、出荷時期は2月いっぱいまでと予想している。

たまねぎは、北海道はやや豊作となっている。1月についても12月と同程度の出荷量と予想している。サイズはやや大玉傾向となっている。

せりは、宮城産は10月上旬までは順調であったが、その後の台風で泥水が流れ込み、修復作業に手間取った。年内については例年の70~80%の出荷量だが、年明けについてはさらに少なくなる可能性もある。ほうれんそうでも冠水する圃場があるなど、葉物全般が被害を受けている。

いちごは、栃木産の「とちおとめ」はクリスマス前からピークとなり、年明け後も引続き順調な出荷が続く見込みである。作付け面積は前年の98%と、微減である。福岡産は10月の雨の影響で7日程度生育が遅れている。クリスマス前にピークは来るものの、大きな山は1月に持ち越しになる可能性もある。佐賀産の「さがほのか」は生育が順調で、1月もピークが続く見込みである。出荷量は、少なかった前年を上回るであろう。クリスマスや正月がすぎても、おいしいいちごがたくさん出回る。それぞれの品種の違いなどをアピールし、積極的に販売していただきたい。

(執筆者:千葉県立農業者大学校 講師 加藤 宏一)

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