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需給動向 1 (野菜情報 2017年6月号)


1 東京都・大阪市中央卸売市場の需給動向(平成29年4月)

野菜需給部 調査情報部


【要約】

 東京都中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量が12万9544トン、前年同月比98.5、価格は1キログラム当たり260円、同97.4となった。
 大阪市中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は3万7443トン、同93.3、価格は、1キログラム当たり249円、同102.9となった。
 3月の降雨により生育が回復した品目があったものの、前年秋の天候不順の影響が残ったものや、日照量不足などの影響により前年を下回る入荷となった品目も多く、総入荷量は両市場とも前年を下回った。価格は、東京都中央卸売市場が前年をわずかに下回り、大阪市中央卸売市場は前年をわずかに上回った。

(1)気象概況

上旬は、本州付近を低気圧と高気圧が交互に通過した。旬の前半は東・西日本を中心に雷雨となった所があった。旬の後半は東・西日本は曇りや雨の日が多かった。北日本や沖縄・奄美は低気圧や前線の影響を受けにくかったため、晴れる日が多かった。気温は、旬のはじめは全国的に平年を下回ったが、旬の中頃から高くなった。

中旬は、本州付近を低気圧と高気圧が交互に通過した。17日から19日に発達した低気圧が日本海から北日本へ進み、全国的に天気が崩れ、暴風や大雨となった所もあった。17日から19日の総降水量は高知県や静岡県で200ミリメートルから300ミリメートルに達した所もあるなど、各地で土砂災害などが発生した。低気圧の通過後は一時的に寒気の影響を受け、北日本では北海道を中心に平地でも積雪となった所があった。旬の中頃は南からの暖かい空気が流れ込んで気温が高くなり、18日には上里見(群馬県)で最高気温30.6度を観測するなど、夏日や真夏日となった所があった。

下旬は、天気は数日の周期で変わり、日本の南海上を低気圧や前線が通過しやすかったが、旬の前半は高気圧に覆われ晴れる日が多かった。旬の後半は28日から29日は上空の寒気の影響で本州付近で雷雨となった所があった。東日本と沖縄・奄美では寒気が流れ込みやすかったため気温が低かった。

旬別の平均気温、降水量、日照時間は以下の通り(図1)。

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(2)東京都中央卸売市場

4月の東京都中央卸売市場における野菜全体の入荷状況は、入荷量が12万9544トン、前年同月比98.5、価格は1キログラム当たり260円、同97.4となった(表1)。

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四国、九州を中心とした西南暖地産および関東産が主体に出回った。2月まで好天が続いたことから、順調な生育となった品目が多いものの、3月の降雨が恵みの雨となり、生育が回復して出荷が増えた品目もあった。一方、中には干ばつの影響を受けた品目や産地もあり、ブロッコリーなど4月の低温で生育が遅れ気味になった品目やにんじん、ねぎなどの品目は、前年秋の天候不順による影響などが引き続き残ったことから、根菜類、いも類の品目で前年を上回る入荷となったものの、野菜全体の入荷量は前年をわずかに下回った。

価格は、一部の品目で前年を大幅に上回ったものの、葉茎菜類を中心にいくつかの品目で前年を下回ったことから、野菜全体では前年をわずかに下回った。

類別の動向は以下の通り。

ア 根菜類

だいこんおよびにんじんは、いずれも入荷量は前年を上回った。特ににんじんは、天候に恵まれ生育は順調で、入荷量は前年をかなり大きく上回ったものの、価格は前年をやや上回った(図2)。

イ 葉茎菜類

キャベツ類は、天候に恵まれ生育は順調で、入荷量は前年をかなり大きく上回ったものの、価格は前年をわずかに上回った。一方、ほうれんそうは、低温曇天などの天候不順の影響で、入荷量はかなりの程度下回ったものの、価格は前年をやや下回った(図3)。

ウ 果菜類

トマトは、天候に恵まれ日照も多く、生育が順調であったことから、入荷量は前年をやや上回り、価格は前年を大幅に下回った。一方、きゅうりは、低温曇天などの天候不順の影響で、入荷量はかなりの程度下回り、価格は前年をかなりの程度上回った(図4)。

エ 土物類

ばれいしょは、鹿児島産において生育が順調であったことから、入荷量は前年をかなり大きく上回り、価格は前年をかなりの程度下回った。一方、たまねぎは、北海道産において出荷の終盤を迎え、佐賀産において多少の遅れがあることから、入荷量はかなり大きく下回り、価格は前年を大幅に上回った(図5)。

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なお、品目別の詳細については表2の通り。

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(3)大阪市中央卸売市場

4月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格は、入荷量が3万7443トン、前年同月比93.3、価格は1キログラム当たり249円、同102.9となった(表3)。

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天候不順の影響で、鹿児島産のばれいしょの掘り取りが遅れ、九州産のはくさいや鳥取産の白ねぎなど、入荷量に減少が見られた産地もあった。干ばつ傾向や日照量不足などの影響により、トマト以外の果菜類やはくさい、たまねぎなど、前年を下回る入荷となった品目も多く、全体の入荷量は前年をかなりの程度下回り、価格は前年をわずかに上回った。

類別の動向は以下の通り。

ア 根菜類

にんじんは、徳島産の生育が回復したことにより、総入荷量は前年をやや上回った。だいこんの総入荷量は、鹿児島産や宮崎産などの減少により、前年をやや下回った。価格は、にんじんが前年をわずかに下回り、だいこんは前年をやや下回った。

イ 葉茎菜類

キャベツは、愛知産の寒玉の生育が回復したことなどにより、総入荷量は前年をかなり大きく上回った。レタスの総入荷量は、兵庫産や徳島産などの減少により、前年をかなり大きく下回った。価格は、キャベツが前年をやや上回り、レタスは前年をかなりの程度下回った。

ウ 果菜類

トマトは、主力の熊本産を中心に順調な入荷となり、総入荷量は前年を大幅に上回った。なすの総入荷量は、高知産や岡山産の日照量不足による減少などにより、前年を大幅に下回った。価格は、トマトが前年を大幅に下回り、なすは前年をやや上回った。

エ 土物類

土物類は、主な品目のすべてにおいて、入荷量は前年を下回った。中でもたまねぎは、北海道産の貯蔵物や長崎産、佐賀産および兵庫産の入荷量が前年を下回り、総入荷量は前年を大幅に下回った。たまねぎの価格は、前年を大幅に上回った。

なお、品目別の詳細については表4の通り。

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(4)首都圏の需要を中心とした6月の見通し

この冬は、例年雪の多い地域の降雪量が予想に反して少なく、逆に異例の積雪となる地域もあった。6月から荷が始まる東北産の野菜については、平年並みかやや遅い出荷が予想される。3月~4月の天候不順の影響で、東京の桜は開花してから満開となるまで足踏みしたが、東北は急に温暖になったために足早に満開となり、散るのも平年より早かった。地域により気象状況は異なり、大きな傾向を読み取れないが、5月の大型連休は全国的に好天が続き、寒暖の差がはっきりとしていた。

全国的な作付け動向では、夏秋果菜類の作付けが減少しているという。その理由としては、従来稲作と野菜を兼業していた生産者が、野菜をやめて米作りに集中する傾向があるためとされている。トマトも専作傾向の強い北海道への依存度が高まると予想している。いずれにしろ、小規模生産者にとっては、徐々に農業がやりにくくなってきているのではないか。機械化しやすい品目への転換を迫られたり、今までなかった病気に早い時期から襲われたりと、克服すべき課題が増えてきている。対応のための引き出しを常時増やしておかないと、おいていかれてしまう。

個々の品目を見ていくと、だいこんは、青森産が中心となる。主産地である県南地域は例年より雪解けが遅く、5月初めの段階では生育に遅れが出ていたが、6月にはかなり回復し、量的には前年並みになると予想している。

にんじんは、千葉産を中心とする春にんじんが強風などの影響を受け、出荷量は平年をやや下回る見込みである。徳島産の切り上がりが早まり、青森産の出荷もやや遅れる見込みで、全般的に出回り不足から前年並みに価格は堅調に推移するであろう。

キャベツは、前年は主力の千葉産が予想に反して早めに切り上がり、高原物が前進しても価格の崩れはなかった。今年も平場物は早めの切り上がりの見込みとなっているが、高原物の前進は期待できず、前年より高めの推移が予想される。

ほうれんそうは、主産地からの報告によると、主力の群馬産に病気の発生があり、出荷量は平年を下回ると見込まれている。関東の平場の産地の切り上がりが早く、この不足分をカバーできる産地が見当たらないため、価格は前年よりも高めと予想している。

ねぎは、主力である茨城産の初夏ねぎの生育が順調で、出荷量は前年を上回るものの、千葉産は不作気味で早めに切り上がる見込みである。価格は、高値となった前年並みかやや安いが、平年比では高いと予想される。

レタスは準高冷地物となるが、出荷量は平年並みの見込みである。長野産、群馬産ともに順調で品質が良く、価格は平年に比べてやや高めと予想される。

きゅうりは、4月初めごろまでの天候不順の影響と成り疲れから、4月後半には全国的に出回り量が減少したが、その後の好天により、6月までは潤沢な荷が続くと予想している。梅雨期の気象条件によるが、寒暖の差が激しく樹はバテてくる時期であり、生産者によって出荷量に差が出ると予想される。

なすは、西南暖地は作付けの減少もあって5月のピーク時期も出荷が伸び悩んだものの、終盤となる6月は5月の好天に助けられて前年並みと予想される。関東産のハウス物はようやく増え始めており、価格は高かった前年並みの見込みである。

トマトは、前年は熊本産の落ち込みから、総じて出荷減による価格高の展開となったが、今年は後半にピークが来ており、ミニトマトも含めて出荷量は潤沢で価格を下げている。5月に入っても晴天が続いていることから、6月までやや多めの出荷が期待できる。千葉産や栃木産、茨城産も順調で、トマト料理好きの人にとっては、トマトソースを作り込むチャンスの到来となろう。

ピーマンは、前年は全国的に少なめであったが、今年は主力の茨城産が順調で、量的に前年を上回ると予想される。価格は、前年並みにしっかり推移する見込みである。カラーピーマンも増えており、生食での味の良さを消費者に訴える好機である。

スイートコーンは、関東産と山梨産のハウス物となるが、前年は千葉産や山梨産が遅れて6月にピークを作ることができなかった。今年は5月の好天で、6月がピークになると予想している。シーズンの初めにおいしいものをお客様に味わってもらい、8月までの需要を喚起してほしい。各産地とも順調で、攻めの販売が実現できるであろう。

えだまめは、6月は埼玉産などのハウス物の後半となり、その後は千葉産などのトンネル物が本格化してピークを迎える。全国的には生産者の数は減る傾向にあるものの、栽培面積は前年並みの見込みである。

かぼちゃは、神奈川産の「みやこかぼちゃ」が始まる。当初は遅れが心配されたが、順調に出荷される見込みである。輸入品の3倍程度の価格で店頭に並ぶが、味の違いを楽しんでもらいたい。価格は、前年比ではやや高いと予想される。

たまねぎは、佐賀産は田植えが始まるため、出荷量の急減が予想される。兵庫産の出荷も平年を下回り、関東の千葉産も病気の発生で少なめと予想され、価格は5月に続き前年を上回る見込みである。

ばれいしょは、九州各県産は不作であった前年を上回っており、6月は長崎産が多いと予想している。ニシユタカ中心からアイユタカ、さんじゅう丸へと品種が多彩になり、味はいずれも良好である。市場では、まだそれぞれの品種についての特別な情報はないが、芽の出やすい品種は敬遠される。

さといもは、鹿児島産および宮崎産は過去2年ほど不作が続いているが、病気の多発の影響とされている。そのため作付け面積は減少しており、生育の遅れもあって価格は前年を上回る見込みである。

メロン類は、茨城産の初夏メロンは5月の好天の影響もあって生育は順調であり、潤沢な出荷が予想される。千葉県のメロンも順調で、赤肉系は特に人気が高いといわれている。

すいか類は、大玉すいかは鳥取産や千葉産が中心となるが、潤沢な出荷となる見込みである。食味は、一般的には5月下旬から6月の天候に左右されるが、ハウスや大型トンネルでの栽培であり、問題ないであろう。また、こだますいかも生育が順調で、出荷量はピークを迎える。

(執筆者:千葉県立農業者大学校 講師 加藤 宏一)

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