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需給動向 1 (野菜情報 2017年4月号)


1 東京都・大阪市中央卸売市場の需給動向(平成29年2月)

野菜需給部 調査情報部


【要約】

 東京都中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量が11万7268トン、前年同月比97.4%、価格は1キログラム当たり256円、同98.5%となった。
 大阪市中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は3万5372トン、同93.6%、価格は、1キログラム当たり237円、同103.0%となった。
 好天により順調な入荷となった品目がある反面、低温や干ばつの影響を受けた品目もあり、両市場とも入荷量は前年を下回った。価格は、果菜類などが前年を下回り、根菜類やはくさい、キャベツなどが前年を上回る推移となった。

(1)気象概況

上旬は、低気圧が数日の周期で通過し、通過後は冬型の気圧配置となった。北・東・西日本の日本海側では曇りや雪または雨の日が多かった。太平洋側では曇りや雨または雪の日もあったが、晴れる日が多かった。日は、本州の南岸沿いを東進する低気圧の影響で、太平洋側でも雪になるところがあり、水戸で12センチメートル、奈良でセンチメートルの積雪となった。10日は、冬型の気圧配置が強まり、西日本中心に強い寒気が南下した。西日本日本海側では大雪となり、西日本太平洋側や九州でも積雪となるところがあった。

中旬は、旬の前半は強い冬型の気圧配置となり、日本海側では西日本を中心に大雪となった。鳥取では11日に積雪が91センチメートルとなり、33年ぶりに90センチメートル を超えた。大雪により車の立ち往生や列車の運休など交通障害があったほか、雪の重みによる漁船の転覆が相次いだ。また佐賀で積雪がセンチメートル になるなど、西日本太平洋側や九州でも積雪となるところがあった。後半は、数日の周期で低気圧が日本付近を通過した。17日は北海道の北を、20日は日本海を、低気圧が発達しながら通過したため、各地で暴風となり、気温がかなり高くなるところもあり、各地で春一番となった。

下旬は、冬型の気圧配置は一時的で長続きしなかった。北日本は低気圧の影響を受けやすく、曇りや雪または雨の日が多かった。東・西日本は、低気圧の影響で天気の崩れた日もあったが、冷涼な高気圧に覆われ晴れる日が多かった。23日に低気圧は日本海を発達しながら通過し、全国的に雨または雪となった。各地で強風となり、関東甲信地方を中心に気温がかなり高くなった。

旬別の平均気温、降水量、日照時間は以下の通り(図)。

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(2)東京都中央卸売市場

月の東京都中央卸売市場における野菜全体の入荷状況は、入荷量が11万7268トン、前年同月比97.4、価格はキログラム当たり256円、同98.5となった(表)。

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四国、九州を中心とした西南暖地産および関東産が主体に出回った。好天が続いたことから、順調な生育となった品目が多いものの、昨年月の台風や月の天候不順による影響が引き続き残った品目、さらに月中旬以降の低温や干ばつ、強風の影響を受けた品目もあることから、野菜全体の入荷量は前年をわずかに下回った。価格は、根菜類やばれいしょなどは前年を上回ったものの、果菜類を中心に一部の葉茎菜類などでは前年を下回ったことから、野菜全体では前年をわずかに下回った。

類別の動向は以下の通り。

ア 根菜類

主な品目のだいこんおよびにんじんは、いずれも入荷量は前年を下回り、価格は前年を上回った。特ににんじんは、出荷の大部分を占める千葉産において、引き続き月と月の天候不順の影響が残り、入荷量は前年をかなり大きく下回り、価格は前年を大幅に上回った(図)。

イ 葉茎菜類

主な品目のうち、ほうれんそうは、主産地で天候に恵まれ日照を確保できたことから、生育は順調で、入荷量は前年を大幅に上回り、価格は前年を大幅に下回った。一方、ねぎは、月の台風の影響と年明け以降の強風や低温の影響から曲がりや葉枯れなどの品質の低下が見られ、入荷量は前年をかなり大きく下回り、価格は前年を大幅に上回った(図)。

ウ 果菜類

主な品目のうち、ピーマンは11月以降天候に恵まれ生育は順調であることから、入荷量は前年をかなり大きく上回り、価格は前年を大幅に下回った。一方、なすは、11月の天候不順の影響による着不良や年明け後の厳寒期の影響で草勢が良くなく、着色遅れも見られることから、入荷量は、前年をかなりの程度下回り、価格は高かった前年をやや下回った(図)。

エ 土物類

主な品目のうち、たまねぎは、北海道産において作柄が良かったことから、入荷量は前年をかなりの程度上回ったものの、価格は安かった前年をかなりの程度上回った。一方、さといもは、千葉産において月の多雨の影響で小玉傾向であったことから、入荷量は前年をかなりの程度下回り、価格は高かった前年をかなり大きく下回った(図)。

なお、品目別の詳細については表の通り。

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(3)大阪市中央卸売市場

月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格は、入荷量が万5372トン、前年同月比93.6、価格はキログラム当たり237円、同103.0となった(表)。

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だいこん、キャベツ、レタス、ばれいしょ、たまねぎなど、扱い量の多い品目で入荷量が前年を下回った。特に、キャベツおよびばれいしょは、前年の約割減となった。前年に入荷量が極端に減少したスナップえんどうは、入荷量が前年の数倍となり、そらまめの入荷量も数十倍となった。また、前年が高値であり集約出荷されたため、入荷量が前年を下回る中で単価も前年を下回る品目も見られた。

総入荷量は前年をかなりの程度下回り、価格は前年をやや上回った。

ア 根菜類

にんじんは、鹿児島産の入荷量が前年を上回ったため、総入荷量は前年をわずかに上回った。だいこんの総入荷量は、鹿児島産などの減少により、前年をかなり大きく下回った。価格は、にんじんが前年を大幅に上回り、だいこんも前年をかなり大きく上回った。

イ 葉茎菜類

ほうれんそうは、徳島産の順調な入荷により、総入荷量は前年をかなり大きく上回った。キャベツは、愛知産のほか、和歌山産、大阪産、三重産の入荷量が前年を下回ったことにより、総入荷量は前年を大幅に下回った。価格は、ほうれんそうが前年をかなり大きく下回り、キャベツは前年を大幅に上回った。

ウ 果菜類

ピーマンは、鹿児島産の生育が良く、入荷が前年を上回ったことなどにより、総入荷量は前年を大幅に上回った。トマトの総入荷量は、小玉傾向であった熊本産の入荷量が前年を下回ったことなどにより、前年をかなりの程度下回った。価格は、ピーマンが前年を大幅に下回り、トマトも前年をかなり大きく下回った。

エ 土物類

さといもは、愛媛産の順調な入荷により、総入荷量は前年を大幅に上回った。ばれいしょは、北海道産の入荷量が前年を下回ったことなどにより、総入荷量は前年を大幅に下回った。価格は、さといもが前年を大幅に下回り、ばれいしょは前年を大幅に上回った。

なお、品目別の詳細については表の通り。

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(4)需要を中心とした4月の見通し

ア 市場開市および休市

月の開市は21日で、休市日数は日となっている。

月は、気候も穏やかになり、お花見などの行楽需要が活発となる時期である。また、年度替わりとなることから、進学や就職のお祝いや、一人暮らしなどの新生活に対する提案も盛んになる。

イ 市場担当者から

気象データを見ると、月、月とも全国的に干ばつ傾向であった。雨が降らないと地温が上がらず、生育は停滞しがちである。特にトンネル栽培を含めた露地の春野菜の生育は、それほど前進化しないであろう。そのため、3月に続いて月の価格も、平年より高めに推移すると見込まれる。

個々の品目を見ていくと、だいこんは、千葉産の春だいこんが全般に一回り小さく、その影響が月まで残り、価格は平年より高めに推移すると予想される。

にんじんは、定植時期の天候不順や、年明けから月まで関東地方をたびたび襲った強風の影響で、品質に若干の乱れが出ることが予想される。さらに、月中旬まで続いた干ばつの影響で春にんじんに遅れが出るため、月に続いて価格は高めの展開が見込まれる。

キャベツは、しゅ時期の天候の乱れから、定植のタイミングがずれた。そのため、例年通りの仕上がりとはならず、じょうによっては小玉に仕上がっている。出回り量は前年の8090程度であろう。結果として、価格高が月まで続く可能性がある。

はくさいは、茨城産の春はくさいが出回るまで、茨城産や兵庫産の貯蔵物での対応となるが、月は月を通して価格高で推移しよう。月の春物についても、品薄が強いまま推移しそうである。

ほうれんそうは、降雪や雨の影響もなく、生育が順調である。月は学校関係や職場などの年度替わりの時期で、業務用を中心に引き合いが強まり、月の価格低迷からやや脱してくると予想される。

ねぎは、強風の影響で生育に遅れが出ることが見込まれる。全般的な出回り不足が予想され、価格は平年より高めであろう。

レタスは、茨城産が月までの干ばつの影響で生育が遅れていたが、月の降雨により生育が進むであろう。そのため、月のトンネル物はやや前進化し、後半に入荷してくる露地物との間に谷間ができる可能性もある。状況としては前年と似た展開となろうが、今年も冬季の低温でそれほど前進化しないとすれば、月の価格は前年比では高くなろう。

ブロッコリーは、埼玉産中心に春のブロッコリーとなるが、月の降雨により生育は順調と予想される。その後の降雨が少なければ、量的に伸び悩む場面もあるかもしれない。

アスパラガスは、基本的に作付けは増える方向にある。今年は低温の影響で全国的に遅れており、月から月にピークが来ると予想される。この時期に料理番組などの生活情報系のテレビ番組で取り上げられれば、シーズンを通して高値で動く可能性がある。

きゅうりは、月から月まで好天が続き、生育状況は極めて良好である。各産地とも暖房などの管理も万全である。前年に続いて潤沢な出回りが予想され、月、月に続いて売りやすい価格の中での企画提案が欠かせないであろう。

なすも、晴天続きで生育は順調である。引き続き出回り量は多く、価格は平年より安いと予想される。

トマトは、年明けごろの状況では最大産地である熊本産と栃木産は前年より入荷が多かったが、愛知産や福岡産、千葉産などは前年を下回った。トータルの入荷量は前年並みで、価格はやや低迷という状況であった。予想外の寒さの影響で、サラダ需要が不振であったと見るべきであろう。今後の見通しとしては、全国のこだわり品が価格を引っ張り、前年並みかやや高めと予想したい。量的には、低温傾向で関東産を中心に生育が遅れた産地の入荷が月や月に多いと予想され、全国的に出回り量が多くなる。価格は落ち着き、トマト好きのお客様にとっては箱買いできるチャンスが巡ってこよう。入荷が多くなる時期について早めに情報を出し、積極的な売込みが望まれる。

ピーマンは、前年と同様に春ピーマンが天候に恵まれて順調で、月も潤沢に入荷しよう。カラーピーマンなども入荷が増えるため、栄養価の高さを情報発信するような、積極的な企画提案をお願いしたい。

ばれいしょは、年、前々年と鹿児島産や長崎産の新もので不作が続き、価格高となった。今年も月までの早出し物はそれほど多くなく、さらに北海道産の不作で前年に比べて高値となっている。月も後半に入れば九州産は盛り返してくると予想されるが、それでも北海道産の切り上がりが早く、価格は引き続き前年並みの高値で推移しよう。

春の新たまねぎは、月下旬から月の気象に大きく影響されるが、現状では予断を許さない。このまま干ばつ気味で推移すると小ぶりとなり、月は出回り量が少なく、高値の傾向と予想される。

そらまめは、前年が月の寒波で大被害を受けて大幅な不作となったが、今年の場合、月の降雪を伴う寒波でも凍害はなかった。そのため前年を大幅に上回る入荷となろうが、月初めから大型連休にかけて、積極的な販売をお願いしたい。

いちごは、月に入って福岡のあまおうが急増した。月に入り成り疲れで少ない時期があっても、月が好天で推移したことから、月も順調で潤沢に入荷されよう。

メロン類は、春メロンの本格シーズンを迎える。熊本のアンデスメロンが月上旬から、茨城産は上旬のオトメメロン、中旬の後半にはアンデスメロンが始まるなど、全般に春メロンシーズンは早いと予想される。

すいかは、主力の熊本産は作付けの減少が若干はあるものの、天候に恵まれ、月に入って入荷が本格化する。ピークは大型連休前後と見込まれる。

こだますいかは、年明けからの日照時間が長かったため、月の後半から活発に入荷し、大型連休ごろまで一番果のピークが続こう。品質の良さから販売も好調が予想される。

(執筆者東京青果株式会社 加藤 宏一)

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