野菜需給部
12月の野菜の輸入量は、ブロッコリーやにんじん及びかぶなどの生鮮野菜の輸入量が大幅に増加したことから、全体でも11%の増加となった。
また、平成28年通年では、生鮮野菜や冷凍野菜が増加し、前年より2%の増加となった。
(1)平成28年12月(速報値)
平成28年12月の野菜輸入量は、23万8310トン(前年同月比2万3401トン増、11%増)となった。類別に見ると、塩蔵等野菜および酢調整野菜を除くすべての類別で前年を上回り、特に輸入量全体の33%を占める生鮮野菜が前年を大幅に上回ったことから、全体の輸入量は前年同月比11%増と前年をかなり大きく上回り、7カ月連続の増加となった(図1、表1)。
(2)生鮮野菜
生鮮野菜の輸入量は、にんにくが前年と比較してかなりの程度減少したものの、全体の10%を占めるにんじん及びかぶや、ブロッコリーなどの主要な品目が前年を大幅に上回ったことから、全体では、23%増と前年を大幅に上回り、6カ月連続の増加となった(図2)。
主な品目のうち最も増加率が高かったのはブロッコリーで、2192トン(同1851トン増、541%増)と5カ月連続の増加となった。国別の内訳は、第1位が米国の1924トン、第2位が中国の146トンであった。国産が天候不順による出荷減で高値が続いた一方で、米国の主産地が天候に恵まれ出荷が良好でだったことから、輸入量が増加したとみられる。
ブロッコリーに次いで増加率が高かったのはキャベツで、2217トン(同983トン増、80%増)となった。国別の内訳は、第1位が中国の1986トン、第2位が米国の121トンであった。国産が天候不順による出荷減で高値が続いたたこと、また、外食用の加工、半加工などの需要が増加したため、輸入量が増加したとみられる。
次いで増加率が高かったのはにんじん及びかぶで、7815トン(同2726トン増、54 %増)と6カ月連続の増加となった。国別の内訳は、第1位が中国の7421トン、第2位が豪州の375トンであった。国産が台風などの天候不順の影響による出荷減で高値が続いた一方で、中国産の作柄が良好だったことから、輸入量が増加したとみられる。
主な品目のうち最も減少率が高かったのはにんにくで、1583トン(同108トン減、6%減)となった。国別の内訳は、第1位が中国の1463トン、第2位がスペインの103トンであった。中国の主産地の天候不良の影響や人件費などの高騰により輸入単価が前年同月比26%と大幅に上昇したことから、輸入量が減少したとみられる。
次いで減少率が高かったのはしょうがで、1376トン(同43トン減、3%減)となった。国別の内訳は、第1位が中国の1351トン、第2位がインドネシアの25トンであった(表2)。
(3)冷凍野菜等
冷凍野菜の輸入量は、スイートコーン、ブロッコリーが前年を大幅に上回るなど、主な品目が前年を上回ったことから、全体では、11%増と前年をかなりの程度上回り、8カ月連続の増加となった(図3)。
主な品目のうち増加率が高かったのはスイートコーンで4298トン(同968トン増、29%増)と8カ月連続の増加となった。国別の内訳は、第1位が米国の3072トン、第2位がタイの739トンであった。国産が天候不順の影響を受けて在庫が少ない状態であったことや、ファストフードなどの国内需要が堅調だったことから、輸入量が増加したとみられる。
スイートコーンに次いで増加率が高かったのはブロッコリーで、4343トン(同809トン増、23%増)の増加となった。国別の内訳は、第1位が中国の2372トン、第2位がエクアドルの1772トンであった。人件費の上昇や円安の影響はあったものの、安価な中国産およびエクアドル産が作柄良好により輸入量が増加したとみられる。
次いで増加率が高かったのはほうれんそう等で、5055トン(同465トン増、10%増)となった。国別の内訳は、第1位が中国の4912トン、第2位がイタリアの32トンであった。在庫調整および業務用需要の増加で、輸入量が増加したとみられる。
生鮮野菜および冷凍野菜以外の類別において、大きな変動のあった主要な品目の輸入量は、塩蔵等野菜のきゅうり及びガーキンで1431トン(同575トン減、29%減)、トマト加工品の混合野菜ジュースで1125トン(同951トン増、546%増)、その他調製野菜のスイートコーンで5055トン(同1223トン増、32%増)、にんじんジュースで1795トン(同1491トン減、45%減)、しょうが(その他)で2677トン(同568トン減、18%減)などであった。
(4)平成28年の輸入動向
28年の全体の輸入量は、263万1308トン(前年比5万2127トン増、2%増)となった。類別では、生鮮野菜が、上半期では、輸入量の多いたまねぎが中国産の天候不順の影響などから前年を下回ったことから、生鮮野菜全体も下回ったものの、下半期では、ブロッコリー、にんじん及びかぶなどをはじめとした国産の天候不順の影響により生鮮野菜全体の輸入量が増加したことから、年間の輸入量は86万2416トン(同3万5571トン増、4%増)と前年をやや上回った。その他、冷凍野菜が96万1569トン(同2万9208トン増、3%増)、塩蔵等野菜が8万5715トン(同456トン減、1%減)、乾燥野菜が4万4081トン(同552トン増、1%増)、酢調製野菜が3万5512トン(同203トン減、1%減)、トマト加工品が23万311トン(同1万1025トン減、5%減)、その他調製野菜が39万2419トン(同1830トン減、0%減)、その他が1万9285トン(同310トン増、2%増)となり、生鮮野菜、冷凍野菜、乾燥野菜およびその他が前年を上回った。一方で、輸入金額は、27年に比べ円高傾向だったことなどの影響により、前年をかなりの程度下回った(図4)。