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需給動向 1 (野菜情報 2017年2月号)


1 東京都・大阪市中央卸売市場の需給動向(平成28年12月)

野菜需給部 調査情報部


【要約】

 東京都中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量が13万2314トン、前年同月比95.2%、価格は1キログラム当たり272円、同121.7%となった。
 大阪市中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は3万9649トン、同94.9%、価格は、1キログラム当たり252円、同122.3%となった。
 生育が回復傾向となる品目が見られたものの、昨年秋の天候不順の影響が残り、入荷量が前年を下回る品目も見られた。価格は、これまでに比べて落ち着いてきたものの、安かった前年を上回る品目が多かった。

(1)気象概況

上旬は、北日本では気圧の谷の影響を受けやすく、旬降水量が多かった。特に日から10日は低気圧が発達しながら北日本を通過して、札幌で10日の日最深積雪が65センチメートルに達するなど、北海道日本海側を中心に大雪となった。一方、本州付近は大陸から移動してきた高気圧に覆われやすく、冬型の気圧配置は長続きしなかった。このため、東・西日本では気温が高く、太平洋側は晴れの日が多かった。西日本日本海側でもこの時期としては旬間日照時間が多かった。

中旬は、旬の始めにおいては北から西日本に強い寒気が流れ込み、冬型の気圧配置が強まった。13日から14日にかけては、本州南岸を低気圧が発達しながら通過したため、全国的に天気が崩れ、東・西日本太平洋側では降水量が多くなった。その後は、17日ごろにかけて全国的に強い寒気が流れ込み、北から西日本の日本海側はおおむね雪や雨となり、東・西日本太平洋側の平地でも雪となった所があった。旬の終わりは冬型の気圧配置が緩んで、高気圧が勢力を強めながら本州付近を東へ移動したため、全国的に寒さが緩み、日本海側でも晴れた所が多く、北日本の日本海側では旬間日照時間がこの時期としてはかなり多くなった。

下旬は、旬の中ごろにかけては、低気圧が日本海から北日本を発達しながら通過しやすく、発達中の低気圧に向かって南から暖かい空気が流れ込みやすかった。このため、北日本太平洋側と西日本では旬降水量がかなり多く、特に西日本の日本海側では旬降水量が平年比320となり、12月下旬としては最多を記録した(統計開始は昭和36年)。また、東・西日本では旬平均気温がかなり高かった。特に22日には、太平洋沖で高気圧の勢力が強く、日本海の発達中の低気圧に向かって全国的に南よりの風が強まり、これに伴って気温が上昇し、東日本の日本海側と西日本の各地で12月としては記録的な高温となった。この低気圧は、23日には急速に発達しながら北日本を通過したため、全国的に雨や雪となり、北日本では大荒れ、東・西日本では大雨となった所があった。また、北海道地方を中心に大雪となり、特に札幌では、この低気圧による大雪と日から10日ごろの大雪の影響なども加わり、23日の日最深積雪が96センチメートルに達し、12月としては昭和41年以来50年ぶりに90センチメートルを超えた。26日から27日には低気圧が日本付近を通過し、全国的に雨や雪となり、西日本では大雨となった所もあった。旬の終わりにかけては、ほぼ全国的に寒気が流れ込み、低温となった時期があった。

旬別の平均気温、降水量、日照時間は以下の通り(図)。

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(2)東京都中央卸売市場

12月の東京都中央卸売市場における野菜全体の入荷状況は、入荷量が13万2314トン、前年同月比95.2、価格はキログラム当たり272円、同121.7となった(表)。

主に関東産および西南暖地からの入荷が多い時期であるが、多くの品目で月の天候不順による影響から回復に向かっているものの、トマトやにんじんなどの品目は影響が残り、前年を下回る入荷となった。価格は、これまでの全般的な高値は落ち着いてきているものの、暖冬で前進出荷となり安かった前年を上回る品目が多かった。総入荷量は前年をやや下回り、価格は前年を大幅に上回った。

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類別の動向は以下の通り。

ア 根菜類

主な品目のうち、にんじんは、出荷の中心となった千葉産が、月の天候不順の影響から回復はしているものの、依然として細物が多いことから、入荷量は前年をかなり大きく下回り、価格は前年を大幅に上回った(図)。

イ 葉茎菜類

主な品目のうち、はくさいは、11月下旬の降雪による多少の傷みはみられるものの、生育はおおむね順調であり、入荷量は前年をかなりの程度上回った。一方、ねぎは、月の台風の影響による品質の低下や月の天候不順の影響による生育遅れにより、入荷量は前年をかなりの程度下回った。価格は、はくさい、ねぎともに前年を大幅に上回った(図)。

ウ 果菜類

主な品目のうち、ピーマンは、月の天候不順の影響から回復に向かい、順調な生育となり、入荷量は前年を大幅に上回った。一方、トマトは、月および10月の天候不順の影響を受けて着果不良となり、入荷量は前年を大幅に下回った。価格は、ピーマンは前年をやや下回り、トマトは前年を大幅に上回った(図)。

エ 土物類

主な品目のうち、さといもは埼玉産の作柄が良かったことなどから入荷量は前年をやや上回り、価格は前年をかなりの程度下回った。一方、ばれいしょは月以降の天候不順および台風の影響で作柄があまり良くなかったことから、入荷量は前年をかなり大きく下回り、価格は前年を大幅に上回った(図)。

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なお、品目別の詳細については表の通り。

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(3)大阪市中央卸売市場

12月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格は、入荷量が万9649トン、前年同月比94.9、価格はキログラム当たり252円、同122.3となった(表)。

出遅れていた秋冬野菜の各品目ともに、天候の回復や気温高推移で生育が回復傾向となるものが見られたものの、しゅや定植の遅れから、入荷量が平年並みまで回復しない品目も見られた。前月に比べ、多くの品目が価格安で推移したものの、安値で推移した前年に比べると高値となった品目が多かった。特に、はくさい、キャベツ、ばれいしょなど、重量がかさむ品目の高値が目立った。また、例年のような年末に向けての価格上伸が見られない品目もあった。総入荷量は前年をやや下回り、価格は前年を大幅に上回った。

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ア 根菜類

にんじんは、愛知産などの入荷量が前年を上回ったため、総入荷量は前年をわずかに上回った。だいこんの総入荷量は、徳島産および長崎産の生育の遅れなどにより、前年をわずかに下回った。価格は、にんじんが前年を大幅に上回り、だいこんも前年を大幅に上回った。

イ 葉茎菜類

ほうれんそうは、徳島産の生育が回復したことなどにより、総入荷量は前年をかなり大きく上回った。キャベツは、愛知産の入荷が前年を上回ったものの、兵庫産、三重産、和歌山産などが前年を下回り、総入荷量は前年をかなりの程度下回った。価格は、ほうれんそうは前年をやや下回り、キャベツは前年の約倍となった。

ウ 果菜類

ピーマンは、宮崎産および高知産が中旬に入荷量が減少したものの、下旬には回復し、総入荷量は前年をわずかに上回った。トマトの総入荷量は、熊本産の着果不良などにより、前年を大幅に下回った。価格は、ピーマンが前年をわずかに下回り、トマトは前年の約1.7倍となった。

エ 土物類

さといもは、愛媛産の生育が回復して順調な入荷となったことなどにより、総入荷量は前年をかなり大きく上回った。ばれいしょは、北海道産の入荷が前年を下回り、総入荷量は前年を大幅に下回った。価格は、さといもは前年をかなり大きく下回り、ばれいしょは前年のとなった。

なお、品目別の詳細については表の通り。

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(4)需要を中心とした2月の見通し

ア 市場開市および休市

月の開市は20日で、休市日数は日となっている。

月は厳冬期に入るため、鍋物需要がピークを迎える。また、きゅうりの恵方巻き需要やバレンタインデーのサラダ需要なども見込まれる。

イ 市場担当者から

地球温暖化によって異常気象が多発するようになり、夏には毎年のように猛暑となる。また、冬には強い寒波が日本列島を襲うようになった。全国的に大雪に見舞われる可能性も高まっている。今季の場合、秋にはラニーニャ現象による厳冬が予想されたが、12月に入りラニーニャは終息したと報告されている。その結果、平年並みの冬になると思われ、冬らしく寒くなるものの、冬の割に気温高の日が続くこともあるであろう。

こういった気象変動によって、全国的に野菜栽培が難しくなっている。特に寒暖に関する異常気象は、九州や北海道の野菜栽培を危うくさせている。こうした際には、農家による栽培技術の差も表れ、気象の読みや品種選び、土作りなど、改めて農業の奥深さを知ることになる。

主要産地からの報告によると、月については露地野菜では出荷が前年を上回ると予想される品目は少なく、月も基本的に同様の展開になると予想している。愛知県産キャベツは90の作と報告されている。ただし、年明けから温暖で降雨が多ければ、肥大が促進して月の入荷が多く安値となり、結果として月から月にかけて出荷するものがなくなり、価格高となる可能性もある。

野菜の価格に影響を与える要因の一つとして、年末からの円安による輸入物価の上昇が挙げられるが、青果市場における輸入物価の高まりは、半年程度ずれる可能性がある。もう一つは、重油価格の上昇によるハウスの暖房費の値上がりである。それにより、きゅうりやピーマンなどの出荷が後ろにずれることが警戒される。農家には、かつて重油価格が値上がりした際、値上がり分が価格に反映されず、赤字で出荷し続けた記憶が残っている。市場価格が上がったのは翌年からであった。重油価格の値上がりは、出回り量を減少させる可能性がある。

個々の品目を見ていくと、だいこんは千葉産や神奈川産が中心となり、徳島産などの入荷となる。量的には前年並みだが、価格は平年並みか高いと予想される。

にんじんは平年作を下回り、価格は前年と同様に平年を上回る見込みである。

ごぼうは青森産が不作で、新ごぼうの出回る月までは高値が続く。特に北日本の天候不順の影響で、高品質物が少ない。ごぼうが鍋料理に普通に使われるようになり、需要が底堅くなっている。月は鍋物シーズンのピークを迎える。売場がマンネリ化しないように、ごぼうに限らず、いろいろな野菜を加えて提案していただきたい。

キャベツは、前年の月は主力の愛知産の価格が低迷したが、今年度は前年比入荷増・単価高できており、引続き月も価格は平年より高めと予想される。12月の市場到着品を見ると平年よりバラツキが大きいが、原因は定植のタイミングのずれと推測され、先々の供給不足も想定しておくべきであろう。

レタスは、主産地で秋の定植が完全に完了できず、月までの供給不足が予想される。

なすは、前年の高知産は月が好天で急増したが、今年は平年並みの展開となるであろう。入荷減の価格高が予想される。

きゅうりは、関東産の促成物が本格化してこよう。前年は出回り量が多かったが、価格はしっかりしていた。その分、月や月の値下がりは早かった。今年は、前年と同様に恵方巻きの需要もしっかりあり、底堅い展開を予想している。

トマトは、熊本産が12月の好天により着果が良好で、月には平年並みかやや多い入荷が期待できる。高かった価格も、ようやく落ち着いた展開となり、まとめ買いを提案するような企画も可能となろう。

ピーマンの主力産地である宮崎県の天候は悪くはなく、12月は温暖であったと報告されている。月の入荷は多く、今後に寒波が来なければ、月も順調に出回ると予想している。

ばれいしょは北海道産の残量が見えてきて、徐々に価格は上向いてくると予想している。

たまねぎも北海道産は終盤を迎え、徐々に価格は上向いてくるであろう。

(執筆者東京青果株式会社 加藤 宏一)

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