野菜需給部
9月の野菜の輸入量は、生鮮野菜で輸入量の多いたまねぎ、にんじん及びかぶが大幅に増加したことから、全体では12%とかなりの増加となった。
(1)平成28年9月(速報値)
平成28年9月の野菜輸入量は、21万1453トン(前年同月比2万2048トン増、12%増)となった。類別に見ると、塩蔵等野菜、乾燥野菜などが前年を下回ったものの、輸入量全体の35%を占める生鮮野菜が前年を大幅に上回ったことから、全体の輸入量は12%増とかなり大きく上回った(図1、表1)。
(2)生鮮野菜
生鮮野菜の輸入量は、前年を下回る品目が多かったものの、全体量の4割を占めるたまねぎや2割を占めるにんじん及びかぶが前年を大幅に上回ったことから、全体では30%増と前年を大幅に上回った(図2)。
主な品目のうち最も増加率が高かったのはにんじん及びかぶで、1万5262トン(同7716トン増、102%増)と3カ月連続の増加となった。国別の内訳は、第1位が中国の1万5111トン、第2位が豪州の111トンであった。国産の天候不順による生育の遅れで高値が続いていることや、中国の主産地の天候が良好だったことに加え、輸入単価が前年同月比37%と大幅に下落したことから、増加したとみられる。
にんじん及びかぶに次いで増加率が高かったのはブロッコリーで、3156トン(同1504トン増、91%増)となった。国別の内訳は、第1位が米国の2992トン、第2位が豪州の164トンであった。米国の主産地の天候が良好だったことに加え、国産の作柄不良などにより、輸入量が増加したとみられる。
次いで増加率が高かったのはたまねぎで、3万1346トン(同9964トン増、47%増)と3カ月連続の増加となった。国別の内訳は、第1位が中国の2万9369トン、第2位が米国の1906トンであった。国産の8月の出荷減に加え、中国産の輸入単価が前年同月比64%と大幅に下落したことから、輸入量が増加したとみられる。
主な品目のうち最も減少率が高かったのはキャベツで、1348トン(同1557トン減、54%減)となった。国別の内訳は、第1位が中国の1347トン、第2位がフランスの0.4トンであった。中国産の作柄不良から、輸入量が減少したとみられる。
キャベツに次いで減少率が高かったのはにんにくで、1716トン(同166トン減、9%減)となった。国別の内訳は、第1位が中国の1604トン、第2位がスペインの102トンであった。中国産の天候不良や人件費などの高騰により輸入単価が前年同月比126%と大幅に上昇したことから輸入量が減少したとみられる。(表2)。
(3)冷凍野菜等
冷凍野菜の輸入量は、ほうれんそう等およびえだまめが前年を下回ったものの、輸入量の多いばれいしょをはじめ、スイートコーンなどそのほかの品目が上回ったことから、全体では前年をやや上回った(図3)。
主な品目のうち増加率が高かったのはスイートコーンで、4643トン(同1459トン増、46%増)と5カ月連続の増加となった。国別の内訳は、第1位が米国の2963トン、第2位がタイの900トンであった。スイートコーンは、国産が天候不順の影響を受けて在庫が少ない状態であったことや、ファストフードなどの国内需要が堅調なことから、輸入量が増加したとみられる。
スイートコーンに次いで増加率が高かったのは前年は減少したいんげん豆等で、1930トン(同169トン増、10%増)となった。国別の内訳は、第1位が中国の1113トン、第2位がタイの692トンであった。業務用需要の増加による在庫調整により輸入量が増加したとみられる。
次いで増加率が高かったのはブロッコリーで、3942トン(同258トン増、7%増)となった。国別の内訳は、第1位がエクアドルの1873トン、第2位が中国の1837トンであった。
一方で、減少率が高かったのは、ほうれんそう等で3213トン(同185トン減、5%減)となった。国別の内訳は、第1位が中国の3031トン、第2位が台湾の84トンであった。業務用需要の谷間による在庫調整により輸入量が減少したとみられる。
ほうれんそう等に次いで減少率が高かったのは、えだまめで5370トン(同241トン減、4%減)となった。国別の内訳は、第1位が台湾の2043トン、第2位が中国の1581トンであった。国産の出荷量が最盛期を迎えたことに加え、台湾産が台風や長雨などの影響により、輸入量が減少したとみられる。
生鮮野菜および冷凍野菜以外の類別において、大きな変動のあった主要な品目の輸入量は、3カ月連続で塩蔵等野菜のきゅうり及びガーキンで1462トン(同195トン増、15%増)、その他調製野菜のスイートコーンで4833トン(同423トン増、10%増)、しょうが(その他)で1420トン(同198トン減、12%減)、にんじんジュースで3141トン(同383トン減、11%減)などであった。