野菜需給部
8月の野菜の輸入量は、たまねぎの増加により前年を上回った生鮮野菜をはじめ、酢調製野菜以外の類別の輸入量が前年を上回ったことから、全体では11%とかなりの増加となった。
(1)平成28年8月(速報値)
平成28年8月の野菜輸入量は、21万6045トン(前年同月比2万1065トン増、11%増)となった。類別で見ると、酢調製野菜で前年をやや下回ったが、生鮮野菜をはじめとするその他の類別で前年を上回ったため、全体の輸入量は11%増とかなり大きく上回った(図1、表1)。
(2)生鮮野菜
生鮮野菜の輸入量は、ばれいしょのほかに結球キャベツが前年を大幅に下回ったものの、輸入量の多いたまねぎが、かなりの程度上回ったほか、メロン、ブロッコリー、にんじん及びかぶなどが、大幅に上回るなど、多くの品目が前年を上回ったことから、全体では8%増とかなりの程度、前年を上回った(図2)。
主な品目のうち最も増加率が高かったのはメロンで、1884トン(同534トン増、40%増)と今年に入って6月を除き毎月前年を上回る輸入量の増加となった。国別の内訳は、第1位が米国の1873トン、第2位が韓国の11トンであった。国産の天候不順による生育の遅れで、高値傾向が続いていることや、米国の天候が良好だったことに加え、円高により、輸入価格が大幅に下がったことにより、増加したとみられる。
メロンに次いで増加率が高かったのはブロッコリーで、2247トン(同588トン増、35%増)となった。国別の内訳は、第1位が米国の2127トン、第2位が豪州の120トンであった。国産の作柄不良による高値により、輸入量が増加したとみられる。
次いで増加率が高かったのはにんじん及びかぶで、7342トン(同1648トン増、29%増)と2カ月連続の増加となった。国別の内訳は、第1位が中国の7152トン、第2位が豪州の186トンであった。国産の多雨、気温の低下などの天候不良の影響による高値に加え、中国産の作柄が良く、輸入価格が前年比40%台に下がったことから、輸入量が増加したと見られる。
一方で、主な品目のうち最も減少率が高かったのはばれいしょで、3トン(同372トン減、99%減)となった。主に加工・業務用で、全量が中国からの輸入であった。米国産が供給終了(7月まで)となる中、前年は8月に米国からの通関実績(344トン)があったことから、相対的に減少した。
ばれいしょに次いで減少率が高かったのは結球キャベツで、977トン(同893トン減、48%減)となった。全量が中国からの輸入であった。中国産の作柄良好により輸入価格が低下し、6月から7月の輸入量が増加したことを受け、8月は在庫調整で減少したとみられる。(表2)。
(3)冷凍野菜等
冷凍野菜の輸入量は、前月と同じくいちごおよびいんげん豆等が前年を下回ったものの、輸入量の多いばれいしょを始め、スイートコーンなどそのほかの品目が上回ったことから、全体では前年をかなり大きく上回った(図3)。
主な品目のうち増加率が高かったのはスイートコーンで、4723トン(同1399トン増、42%増)と4カ月連続の増加となった。国別の内訳は、第1位が米国の3041トン、第2位がタイの1020トンであった。
スイートコーンに次いで増加率が高かったのはばれいしょで、3万177トン(同5380トン増、22%増)と3カ月連続の増加となった。国別の内訳は、第1位が米国の2万2273トン、第2位がオランダの2332トンであった。スイートコーンおよびばれいしょは、今年上期のファストフードなどの国内需要が堅調なことから、輸入量が増加したとみられる。
次いで増加率が高かったのはほうれんそう等で、3483トン(同598トン増、21%増)となった。国別の内訳は、第1位が中国の3271トン、第2位が台湾の112トンであった。
一方で、減少率が高かったのは、いちごで2089トン(同1267トン減、38%減)となった。国別の内訳は、第1位が中国の1399トン、第2位が米国の313トンであった。業務用需要の谷間による在庫調整により輸入量が減少したとみられる。
いちごに次いで減少率が高かったのは、いんげん豆等で2157トン(同98トン減、4%減)となった。国別の内訳は、第1位が中国の1328トン、第2位がタイの687トンであった。6月までの輸入量が多く、8月は在庫調整のため、2カ月連続輸入量が減少したとみられる(表3)。
生鮮野菜および冷凍野菜以外の類別において、大きな変動のあった主要な品目の輸入量は、前月に続き塩蔵等野菜のきゅうり及びガーキンで1461トン(同405トン増、38%増)、酢調整野菜のしょうがで1309トン(同167減、11%減)、その他調製野菜のスイートコーンで5315トン(同1162トン増、28%増)、たけのこで5191トン(同611トン増、13%増)などであった。