野菜需給部
5月の野菜の輸入量は、生鮮野菜がたまねぎの減少により前年をかなり下回ったものの、冷凍野菜、その他調製野菜が前年並みだったことから、全体では5%の減少となった。
(1)平成28年5月(速報値)
平成28年5月の野菜輸入量は、21万7667トン(前年同月比1万2482トン減、5%減)となった。類別で見ると、冷凍野菜およびその他調製野菜が前年並み、乾燥野菜が前年を上回ったものの、生鮮野菜およびトマト加工品をはじめ他の類別が前年を下回ったことから、全体の輸入量は前年に比べ5%減とやや下回った。(図1、表1)。
(2)生鮮野菜
生鮮野菜の輸入量は、輸入量の多いたまねぎが、前月に引き続き前年を大幅に下回ったほか、かぼちゃがかなりの程度下回ったことなどから、全体では6カ月連続で前年を下回った(図2)。
主な品目のうち最も増加率が高かったのはばれいしょで、4532トン(同2535トン増、127%増)となった。国別の内訳は、第1位が米国の4523トン、第2位が中国の9トンであった。加工・業務用需要の増加で国産の貯蔵が不足する中、米国産が順調な生育となったことから輸入量が増加したとみられる。
ばれいしょに次いで増加率が高かったのはジャンボピーマンで、4414トン(同1505トン増、52%増)となった。国別の内訳は、第1位が韓国の4127トン、第2位がオランダの204トンであった。国内での需要が堅調であることを背景に、韓国産の輸入量が大幅に増加したとみられる。
次いで増加率が高かったのはメロンで、3822トン(同646トン増、20%増)となった。国別の内訳は、第1位がメキシコの3752トン、第2位が韓国の52トンであった。メロンはメキシコ産が好天により生育が良好となり、メキシコ国内における在庫調整により輸入量が増加したとみられる。
一方で主な品目のうち最も減少率が高かったのはたまねぎで、1万9237トン(同8588トン減、31%減)と前年8月より前年同月比10カ月連続の減少となった。国別の内訳は、第1位が中国の1万5229トン、第2位がニュージーランドの3277トンであった。前年の北海道産が好天により豊作傾向となり、貯蔵在庫などが多かったことから、輸入量が減少したとみられる。
たまねぎに次いで減少率が高かったのは、にんじん及びかぶで、4938トン(同1582トン減、24%減)と2カ月連続で減少した。国別の内訳は、第1位が中国の4141トン、第2位がベトナムの297トンであった。国産が好天により出荷が順調な一方で、中国国内の寒波などによる作柄不良により、3月以降中国産の輸入価格が大幅に上昇したことから、輸入量が減少したとみられる(表2)。
(3)冷凍野菜等
冷凍野菜の輸入量は、いちごおよびばれいしょが前年を下回ったものの、ブロッコリーおよびさといもをはじめ、そのほかの主要な品目が前年を上回ったことから、前年並みとなった(図3)。
主な品目のうち増加率が高かったのはブロッコリーで、4064トン(同761トン増、23%増)となった。国別の内訳は、第1位が中国の2051トン、第2位がエクアドルの1652トンであった。量販などの国内需要が堅調で、輸入量が増加したとみられる。
ブロッコリーに次いで増加率が高かったのはさといもで、2520トン(同268トン増、12%増)となった。全量が中国から輸入であった。国産が病害、天候不良により出荷が減少したことから、輸入量が増加したとみられる。
次いで増加率が高かったのはスイートコーンで、4390トン(同433トン増、11%増)となった。国別の内訳は、第1位が米国の3184トン、第2位がタイの710トンであった。国産在庫が不足している状態が続いていることから、輸入量が増加しているとみられる。
一方で減少率が高かったのは2カ月連続で、いちごおよびばれいしょの両品目であった。いちごは1777トン(同888トン減、33%減)となった。国別の内訳は、第1位が中国の676トン、第2位がエジプトの528トンであった。4カ月連続で在庫調整により輸入量が減少したとみられる。
ばれいしょは2万9092トン(同2761トン減、9%減)となった。国別の内訳は、第1位が米国の2万2557トン、第2位がオランダの1895トンであった。
米国は前月に引き続き、前年の輸入量が、前年2月下旬の米国西海岸港湾関係労使交渉の暫定合意により、滞留荷が輸入されたことから、平年に比べ多かったため、減少したとみられる(表3)。
生鮮野菜および冷凍野菜以外の類別において、大きな変動のあった主要な品目の輸入量は、塩蔵等野菜のしょうがで1266トン(同149トン増、13%増)、その他調製野菜のスイートコーンで3335トン(同1541トン減、32%減)、にんじんジュースで3282トン(同357トン減、10%減)、などであった。