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需給動向 1 (野菜情報 2016年6月号)


1 東京都・大阪市中央卸売市場の需給動向(平成28年4月)

野菜需給部 調査情報部


【要約】

 東京都中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量が13万1562トン、前年同月比103.0%、価格は1キログラム当たり267円、同94.2%となった。
 大阪市中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は4万144トン、同107.0%、価格は、1キログラム当たり242円、同92.4%となった。
 多くの品目がおおむね順調な生育となり、全体では前年を上回る入荷となった。価格は、前年を下回る水準で推移した。

(1)気象概況

上旬は、日本付近を高気圧と低気圧が交互に通過し、天気は数日の周期で変わった。北日本日本海側や沖縄・奄美では高気圧に覆われ晴れた日が多かったが、本州南岸を低気圧が通過しやすかったため西日本や東日本太平洋側では曇りや雨の日が多く旬間日照時間はかなり少なくなった。4日と7日は低気圧と前線の影響で北・東・西日本で天気が崩れ降水量が多くなった。特に7日は東・西日本で暴風となった所があった。南から暖かく湿った空気が流れ込みやすかったため、全国的に気温はかなり高く降水量は多くなった。

中旬は、本州付近を高気圧と低気圧が交互に通過し、天気は数日の周期で変化した。低気圧が北日本付近で発達することが多かったため、北日本では北海道地方を中心に雪や雨となった日が多く、一時的に寒気の影響を受けて、平地でも積雪となった日もあった。東・西日本では移動性高気圧に覆われて晴れた日が多くなった。17日は低気圧が急速に発達しながら日本海を北東に進んだため、全国的に大荒れの天気となり、北日本と東日本日本海側では暴風となった所があった。

下旬は、高気圧と低気圧が交互に通過し、天気は数日の周期で変化した。北日本日本海側では移動性高気圧に覆われて晴れの日が多くなった。東日本太平洋側と西日本では低気圧や前線の影響で曇りや雨の日が多くなった。21日は低気圧が本州付近を東進し、東・西日本で27日から29日にかけて低気圧が本州から北海道に北東進し、全国的に降水量が多くなった。特に29日は寒気が入って北海道では平地でも積雪となった。南から暖かい空気が流れ込みやすかったため、気温は東日本以西で高くなった。

旬別の平均気温、降水量、日照時間は以下の通り(図1)。

(2)東京都中央卸売市場

4月の東京都中央卸売市場における野菜全体の入荷量および価格は、入荷量が13万1562トン、前年同月比103.0%、価格は1キログラム当たり267円、同94.2%となった(表1)。

4月は、関東産、四国産および九州産を主体に出回り、入荷量は、上旬はこれまでの暖冬による前進出荷などの影響により前年を下回る入荷となったものの、中旬以降は多くの品目でおおむね順調な生育となり、前年を上回る入荷となったことから、全体では前年をやや上回る入荷となった。

価格は、前年が天候不順の影響などで高騰したことから、葉茎菜類および果菜類を中心に多くの品目で前年を下回って推移し、特にピーマンは中下旬を中心に天候に恵まれ生育が順調で、月を通して前年を下回って推移した。一方、ばれいしょは天候不順の影響で小玉傾向となったため、月を通して高値で推移したものの、野菜全体では前年をやや下回った。

類別の動向は以下の通り。

ア 根菜類

入荷量は、だいこんはは種時の天候不順および生育期の低温などの影響により、上中旬で前年を下回ったことから、下旬は前年をかなり大きく上回ったものの、月計では前年をわずかに下回った。にんじんは上旬は前年をやや下回り、中旬は天候に恵まれ生育順調で前年並みとなるも、下旬が天候不良による収穫の遅れから前年をかなり大きく下回ったため、月計では前年をやや下回る入荷となった。

価格は、だいこんは中旬までは高値基調であったが、下旬は穏やかな下げ基調で推移した。にんじんは月を通して上げ基調で推移した(図2)。

イ 葉茎菜類

入荷量は、主な品目のうち、ほうれんそうは前進出荷の影響により上旬は前年をやや下回る入荷となったものの、中下旬は天候に恵まれ生育が順調で、前年を大幅に上回る入荷となったことから、月計では前年をかなりの程度上回る入荷となった。キャベツは前進出荷の影響から上中旬は前年を大幅に下回る入荷となり、下旬は天候に恵まれたことから前年をやや上回る入荷となったものの、月計では前年をやや下回る入荷となった。

価格は、ほうれんそうは上旬は下げ基調、中旬半ばに上げに転じ、下旬は緩やかな下げ基調となり、月計では前年をかなり大きく下回った。キャベツは中旬は上げ基調で推移したものの、下旬は緩やかな下げ基調に転じて推移し、月計では高かった前年をかなりの程度下回った(図3)。

ウ 果菜類

入荷量は、きゅうり、トマト、なすおよびピーマンが、おおむね順調な生育となったことから、天候不順の影響などにより少なかった前年を上回った。なすは日照不足の影響から徐々に回復し、月を通して前年を上回る入荷となり、月計では前年を大幅に上回る入荷となった。

価格は、各品目で月間では前年を下回った。きゅうりは上旬はもちあいで推移し、中旬に緩やかな上げ基調となるも、下旬は穏やかな下げ基調に転じて推移し、月間では高かった前年を大幅に下回った。(図4)

エ 土物類

入荷量は、主な品目のうち、たまねぎは、上中旬は前年を下回ったものの、下旬は前年を大幅に上回る入荷となったことから、月計では前年並みとなった。ばれいしょは上旬は前年をかなり大きく下回り、中旬前年をやや下回ったものの、下旬は産地の移り変わりもあり、前年をかなりの程度上回ったことから、月計では前年をわずかに下回る入荷となった。

価格は、たまねぎは月を通して安値もちあいで推移したため、月間では前年を大幅に下回った。ばれいしょは月を通して高値もちあいで推移したため、月間では前年を大幅に上回った(図5)。

※1 卸売価格とは、東京都中央卸売市場の平均卸売価格で、平均価格、保証基準額および最低基準額とは、関 東ブロックにおける価格である。

※2 平均価格とは、指定野菜価格安定対策事業(以下「事業」という)における、過去6カ年の卸売市場を平 均した価格を基に物価指数等を加味した価格である。

※3 事業における価格差補給交付金は、平均販売価額(出荷された野菜の旬別およびブロック別の平均価額) を下回った場に交付されるため、上記の各表で卸売価格が保証基準額を下回ったからといって、交付され るとは限らない。

なお、品目別の詳細については表2の通り。

(3)大阪市中央卸売市場

4月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格は、入荷量が4万144トン、前年同月比107.0%、価格は、1キログラム当たり242円、同92.4%となった(表3)。

4月の気温は平年を上回り、降水量が多く、日照量はやや少なかったが、前月までの豊富な日照量により、多くの品目の入荷が増加傾向となった。価格は、前年が平年をかなり上回る高水準の推移となったことから、上旬こそ前年をやや上回ったが、中旬以降はもちあいで推移し、月間では平年をかなりの程度上回ったものの、前年に比べるとかなりの程度安値となった。

トマト、なす、すいかは熊本地震で大きな被害を受けた熊本県が主産地となっているが、県内の一部を除いてはほぼ前年並みの入荷量に戻りつつある。

ア 根菜類

だいこんの入荷量は、鹿児島産、香川産などが順調であったものの、徳島産、長崎産、福岡産などが減少したため、前年をやや下回った。にんじんは、長崎産および鹿児島産の入荷が前年を上回ったが、徳島産の減少により、ほぼ前年並みとなった。価格は、だいこんが前年をかなり大きく下回り、にんじんは前年を大幅に上回った。

イ 葉茎菜類

 キャベツは、寒玉や春キャベツの入荷量が減少し、兵庫産、和歌山産、福岡産などの後続品種が増加したものの、前年をかなりの程度下回った。ほうれんそうは、徳島産、福岡産、岐阜産などの入荷が順調で、前年を大幅に上回った。価格は、キャベツが高騰していた前年をかなり大きく下回り、ほうれんそうも前年を大幅に下回った。

ウ 果菜類

果菜類は、気温高の中、日照量も多かったため、すべての品目において入荷量は前年を上回った。その中でもなすは、高知産や大阪産などの入荷量が伸び、前年を大幅に上回った。なすの価格は、潤沢な入荷が続いたために、前年をかなりの程度下回った。

エ 土物類

ばれいしょの入荷量は、長崎産の減少により、前年をわずかに下回った。たまねぎは、北海道産、長崎産などの入荷が順調で、前年を大幅に上回った。価格は、ばれいしょが前年をかなり大きく上回り、たまねぎは前年を大幅に下回った。

なお、品目別の詳細については表4の通り。

(4)需要を中心とした6月の見通し

ア 市場開市および休市

6月の開市は22日で、休市日数は8日となっている。

6月は祝日がなく、消費のめりはりがつきにくい時期であるが、野菜は春から夏への切り替わりの季節を迎え、店頭では夏野菜のはしり物や銘柄野菜などによる販売企画が実施される。初夏の味覚を代表するメロンや小玉すいかが出始め、売り場ににぎわいをもたらす。また、6月は漬物の時期でもあり、新しょうがやらっきょうなどの漬物野菜とともに、浅漬け用のキャベツやきゅうり、なすなどの需要が期待される。気温と湿度の上昇にともない、さっぱりとしたサラダや酢の物などのメニュー提案も行われる。

イ 市場担当者から

5月に入り、為替が本格的に円高に振れてきた。外国産野菜が輸入しやすくなり、国内産野菜には下げ圧力が強まると予想される。輸入野菜が本格的に市場に入ってきた昭和の終わりごろ、現地の情報に詳しい旅行代理店が野菜の輸入ビジネスに乗り出し、高い収益を得ていた。平成に入って大手量販店の意向をくんだ開発輸入が始まり、長く続いた円高の局面もあって成果を上げ、国内の野菜生産者にとって厳しい状況が続いた。その後、平成14年の中国産冷凍ほうれんそうの残留農薬検出問題などによって国内産野菜が巻き返し、現在ではすみ分けされるようになった。しかし、昨年末ごろから続いた野菜の高値は、輸入野菜に再びチャンスを与えることになるのではないか。なぜなら、実需者の都合で納入業者が逆ザヤでの販売を余儀なくされるような状況になっているからである。また韓国のように、国を挙げて輸出振興を図り、日本への輸出を進めるような動きがあるからである。このような状況ではあるが、優れた食味により消費者が積極的に購入するような国産野菜にも注目していただきたいところである。

6月は、市場価格をリードする品目が多く登場する時期である。神奈川産の三浦のみやこかぼちゃ、兵庫産の淡路の新たまねぎ、徳島産のかんしょ(鳴門金時)など、高値で販売できる品目がそろってくる。さらに夏野菜のはしり物として、山梨産のスイートコーンや埼玉産のえだまめなども本格的に入荷し、夏を告げる野菜として引き合いが強まる。こうした初夏を代表する品目をメインとし、国産夏野菜を積極的に販売するような企画を実現していただきたい。

今年の野菜の値動きは、2月から3月にかけて平年を大幅に上回る高値が続き、春野菜が本格化する4月以降も平年を上回ったが、5月中旬から6月には高値の反動から低迷の時期がくると予想している。卸は、こうした低迷期を早めに脱する策を講じるのも役割の一つであるが、野菜を消費者のもとへ買いやすい価格で届けたいという思いもある。野菜は、供給過多の時代が終わりを告げ、需要と供給が辛うじて均衡を保つような時代を迎えているように思われる。

6月は、重量野菜が東北、北海道および高原産地から前進出荷され、関東産とともに全体として潤沢に出回ると予想される。価格は、平年並か平年をやや下回って推移しそうである。この反動として、7月か8月のいずれかの時点で出荷の谷間が現れ、高値になると予想される。

根菜類では、だいこんは青森産がピークで、6月後半になると北海道産と競合するであろう。北海道の道東産地は、4月の寒波の影響が一時的に出て入荷が減る可能性もある。にんじんは千葉産や東北産が中心だが、全国的に強風の被害のために生育は不良ぎみで、出回り量は少ないと予想している。ごぼうは、昨年は九州産が不作で高値となったが、今年は東北産の越年物が少なく、価格は前年並みに高い水準となる見込みである。6月中旬から熊本産が本格化してくるが、冬季の寒暖の差が激しかった影響で、思ったほどに入荷は増えないであろう。

葉茎菜類では、キャベツは高原物が活発に入荷し、出回り量は多いと予想している。ほうれんそうは生育が順調に進んで6月も入荷が多く、価格はやや安い見込みである。高原レタスは、4月以降の好天により生育が順調で、盆前ごろまでは潤沢に出回るであろう。

果菜類では、きゅうりは、終盤となる関東産の促成物がこれまでの前進出荷の影響で入荷が少なく、埼玉産の雨よけ物は順調な入荷となっているものの、福島産の夏秋物との谷間の時期となって価格は高めと予想される。トマトは3月から6月にかけて寒暖の差が激しく、関東産、西南暖地産ともに切り上がり早まり、価格は平年を上回る見込みである。なすは高知産が終盤を迎えるが、全国的に出回り量は少なく、価格は高めを予想している。ピーマンは茨城産が本格的に入荷し、潤沢に出回るであろう。

土物類では、ばれいしょは静岡産など、気象災害もなく順調な入荷が見込まれるが、価格は引き続き高めを予想している。たまねぎは早生物が中心になるが、天候が安定しているため入荷が順調であり、価格は安めとなろう。

季節野菜では、鳥取産をはじめとするらっきょうは、昨年は不作であったが、今年は前年を上回る入荷が見込まれる。

(執筆者:東京青果株式会社 加藤 宏一)

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(単位:円/kg)

資料:農林水産省「青果物卸物売市場調査」
注:平年とは、過去5カ年(平成23~27年)の旬別価格の平均値である。

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資料:農林水産省「青果物卸物売市場調査」
注:平年とは、過去5カ年(平成23~27年)の旬別価格の平均値である。


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