東京都中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量が12万317トン、前年同月比98.8%、価格は1キログラム当たり237円、同92.4%となった。
大阪市中央卸売市場における野菜の入荷は、入荷量は3万4799トン、同105.0%、価格は、1キログラム当たり207円、同90.0%となった。
上旬は気温高で推移し、中旬以降は冷え込みが厳しくなったが、野菜全体ではおおむね前年並みの入荷となった。価格は前年をかなりの程度下回る水準で推移した。
上旬は、日本付近は弱い冬型の気圧配置となったが、北日本では気圧の谷の影響を受けやすく、北日本日本海側では、旬間日照時間が平年比45%と、1 月上旬としては昭和36年の統計開始以来最も少なかった。一方、本州付近では低気圧の活動が弱かったため、北・東日本と西日本日本海側の降水量は少なく、東日本太平洋側では旬間日照時間がかなり多かった。また、北からの寒気の影響が小さく、気温は全国的に高く、東・西日本と沖縄・奄美ではかなり高くなった。
中旬は、全国的に数日の周期で寒気が流れ込み、降水量は全国的に多かった。特に、18日から19日にかけては、低気圧が本州付近を発達しながら通過し、19日には北海道の東海上で発達して冬型の気圧配置が強まった。このため、太平洋側でも所々で大雪となり、東京では18日に6センチメートルの積雪を観測した。また、北海道や北日本から西日本の日本海側の広い範囲で暴風雪となった。
下旬は、旬の中頃までは冬型の気圧配置が強く、特に24日から25日にかけては、強い寒気が流れ込んだ。このため、日本海側や西日本太平洋側の所々で大雪となり、24日は長崎で積雪の深さが17センチメートルとなり、昭和39年の統計開始以来最も大きい記録を更新した。また、25日は人吉(熊本県)で最低気温がマイナス9.8度となり、昭和18年の統計開始以来最も低い記録を更新するなど、25日前後に東・西日本と沖縄・奄美のアメダスを含む74 地点で、統計開始以来の最低気温の低い記録を更新した。旬の終わり頃は、本州の南岸を低気圧が東進したため、本州付近に南からの暖かく湿った空気が流れ込み、全国的に曇りや雨または雪となり西日本で大雨となった所もあった。
旬別の平均気温、降水量、日照時間は以下の通り(図1)。
1月の東京都中央卸売市場における野菜全体の入荷量および価格は、入荷量が12万317トン、前年同月比98.8%、価格は1キログラム当たり237円、同92.4%となった(表1)。
入荷量は、関東産および西南暖地の四国産、九州産を主体に出回り、上旬は好天が続き気温高で推移したが、中旬以降一転して冷え込みが厳しく、葉茎菜類を中心に生育の停滞が見られたことに加え、これまでの前進出荷の反動から入荷が伸び悩んだものの、野菜全体ではおおむね前年並みの入荷となった。
価格は、果菜類が旬を追うごとに値を上げ、特になすおよびトマトが主要産地の天候不順による生育の停滞などから前年を大幅に上回る高値で推移したものの、だいこんおよびキャベツが主要産地において天候に恵まれ生育は順調だったことから、月を通して前年を大幅に下回ったことから、野菜全体では中旬から下旬にかけて値を上げたものの、前年をかなりの程度下回る水準で推移した。
類別の動向は以下の通り。
入荷量は、主産地において適度な降雨と気温高から肥大が進み、生育は順調だったことから、旬を追うごとに入荷は増加したものの、だいこんは下等級品の出荷自粛もあり、月計では前年をわずかに下回った。にんじんは、順調な入荷となり月計では前年をやや上回った。
価格は、だいこんは下旬に値を上げたものの、前年を大幅に下回る水準で、月を通して安値もちあいとなった。にんじんは、入荷が順調であったことから、月を通して軟調に推移し、安値だった前年並みとなった(図2)。
主な品目の入荷量は、キャベツは主産地において適度な降雨と気温高により前進出荷傾向で推移したことから、月を通して前年を上回る入荷となった。一方、ほうれんそうは、これまでの気温高により生育は順調だったことから、上旬は多かった前年と同程度の入荷であったが、中旬以降は急激な気温の低下により生育が停滞し、入荷が減少したことから、月計では前年をかなり大きく下回る入荷となった。
価格は、キャベツは順調な入荷となったこともあり、月を通して前年を大幅に下回る安値基調で推移した。ほうれんそうは、上中旬は前年を大幅に下回る安値基調で推移した。下旬は入荷の減少に伴い、値は大きく上げたことから、前年を大幅に上回ったものの、月間では前年をかなりの程度下回って推移した(図3)。
各品目で前年を下回る入荷となったが、特に減少の大きかったなすは、主産地で11月から12月の曇天による日照不足や夜温が高いことによる花落ちの影響で、月を通して少なめの入荷となり、下旬に入荷が増加したものの、月計では前年を大幅に下回る入荷となった。
価格は、なすは上旬から中旬にかけて入荷の減少に伴い、大きく値を上げ、下旬も引き続き高値水準で推移したことから、月間では前年を大幅に上回る高値基調で推移した(図4)。
主な品目の入荷量は、たまねぎが上中旬は前年をやや下回る入荷となったが、下旬は入荷が大きく増加したことから、前年をかなり大きく上回り、月計では前年をやや上回る入荷となった。一方、ばれいしょは、九州産の入荷が天候不順の影響から全般的に少なめであったこともあり、月を通して前年を下回る入荷となった。
価格は、たまねぎは月を通して前年を下回る安値基調で推移した。一方、ばれいしょは九州産の入荷が少なめであったことから、旬を追うごとに値を上げ、月間では前年を大幅に上回る高値基調で推移した(図5)。
なお、品目別の詳細については表2の通り。
1月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格は、入荷量が3万4799トン、前年同月比105.0%、価格は、1キログラム当たり207円、同90.0%となった(表3)。
年始は気温が高く日照量も多かったために入荷量が多く、鍋物商材などの需要が伸びず、上旬は多くの品目の価格が低迷した。中旬は、前年に比べ順調な入荷量となる中で価格が急落し、前年をかなり下回った。中旬以降は、特に18日の太平洋岸の積雪や、24、25日の九州、四国などの記録的な積雪とで出荷作業や輸送などに影響が出たため、下旬の価格は前年をやや上回った。
総入荷量は前年をやや上回り、月間の価格は前年をかなりの程度下回った。
類別の動向は以下の通り。
入荷量は、だいこんが鹿児島産および徳島産の生育が良好で、前年をかなり大きく上回った。にんじんは、長崎産および鳥取産の入荷が少なく、鹿児島産が前年を上回ったものの、総入荷量は前年をわずかに下回った。価格は、だいこんが前年を大幅に下回り、にんじんは前年をやや上回った。
入荷量は、キャベツ類が愛知産および兵庫産などの生育が良好で、前年をかなり大きく上回った。レタス類は兵庫産などが出荷の端境期となり、前年をかなり大きく下回った。価格は、レタス類が上旬の急激な値上がりの反動で下げ基調に転じ、月間では前年をかなりの程度下回った。キャベツ類も、前年のほぼ半値となった。
なすの入荷量は、着花数の減少や低温などの影響で、前年を大幅に下回った。ピーマンも着花数の減少で、前年をかなり大きく下回った。価格は、なすが前年をかなり大きく上回ったが、ピーマンは高値であった前年をかなりの程度下回った。
たまねぎの入荷量は、北海道産の入荷が順調で、前年を大幅に上回った。さといもは、愛媛産および宮崎産の生育不良で、前年を大幅に下回った。価格は、さといもが前年を大幅に上回り、たまねぎは前年を大幅に下回った。
なお、品目別の詳細については表4の通り。
3月の市場開市は23日で、休市日数は8日となっている。3月は卒業式、ひな祭り、ホワイトデーなどの記念日の需要が見込まれる月である。
1月から2月にかけて、歴史的とされる強い寒波が西日本を襲い、鹿児島産の豆類などに大きな被害をもたらした。全国的に出回り量が減って、市場では平年を上回る価格で推移した。昨年11月から12月の気温高の影響で、だいこん、はくさい、キャベツなどの露地野菜は生育が前進したことから、端境期となる2月から3月にかけての入荷量は減少の見込みである。また、トマトは昨年11月中旬からの曇天の影響で、特に西南暖地産に結実不良が多く見られ、1月から2月が出荷の端境期となった。長崎県および鹿児島県の低温の影響で、ばれいしょの価格は上昇に転じてきた。
3月は企業などの決算期であり、卒業式なども含めたパーティー需要も盛り上がる時期である。洋菜のレタスやスイーツに使われるいちご、パーティーのデザート用のアールスメロンなどの動きが活発となる。ひな祭りやホワイトデーのスイーツ用としての需要も、無視できない。
こうした業務用の需要を担うのは、ホテル納入を得意とする専門の大手青果店であったり、都心部の青果店が近くのレストランに納入するといったケースもある。ホテル需要は、中国などの訪日客の増加により、数字を伸ばしている。
また3月は、高級レストランなどが季節を先取りした山菜などのメニューを登場させる時期でもある。さらに、京野菜など地域特産の野菜も注目を集めている。たけのこも山菜も、業務用を扱う業者は実際の時期よりも1カ月以上早く仕入れるが、量販店に並ぶのはその後である。新野菜や流行の先端をいくような野菜を取り扱うために、担当者は市場での勉強も大事な仕事といえる。
各品目の見通しは、だいこんは寒暖の変化が激しいため、今後の中心となる千葉産の春だいこんの入荷が遅れており、三浦の秋冬物が少なくなる3月には、価格は平年を若干上回る見込みである。
にんじんは、徳島産が本格的に入荷される時期となるが、生育が順調であり、価格は引き続き平年を下回ると予想される。
はくさいは、年明けからの収穫遅れにより、品質不良になる率が高い。2月の厳冬で価格が一段上昇したこともあり、春はくさいが本格化する4月まで、平年を上回る推移となる。
キャベツの価格は、2月までは平年を下回る推移であったが、3月は平年並みの水準まで戻してくると予想される。
ほうれんそうは、干ばつが続くようであれば生育が大幅に遅れ、高値の推移となる。品質的には年間で最も充実する時期で、価格と品質が一致することをお客様にしっかり伝えたいものである。
レタスは静岡産が中心で、価格は上げ基調である。さらなる降雪で香川産や兵庫産の入荷に影響が出ると、平年を大幅に上回る可能性もある。
きゅうりは、今年2月まで天候不順の影響が大きく、暖房の重油代が下がったのは朗報だが、入荷量は平年を下回ると予想している。
トマトは、主力である熊本産の本格的な回復が4月以降にずれる可能性がある。栃木産や千葉産でカバーするのは難しく、高値で推移する見込みである。しかし2月も高値であったため荷動きが悪いといった状況にあり、ホテルなどが購入量を減らすことも予想される。
ばれいしょは、北海道産の残量が前年を下回っていること、九州産の新ばれいしょも不作が見込まれることから、平年を上回る価格となることが予想される。
たまねぎは、静岡産の新たまねぎがやや不作で、今までの前進出荷で入荷量も少なく、価格は徐々に上昇に転じると予想される。
(執筆者:東京青果株式会社 加藤 宏一)
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(単位:円/kg)
資料:農林水産省「青果物卸売市場調査」
注:平年とは、過去5カ年(平成23~27年)の旬別価格の平均値である。
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資料:農林水産省「青果物卸売市場調査」
注:平年とは、過去5カ年(平成23~27年)の旬別価格の平均値である。