東京中央卸売市場における野菜の入荷量は14万2075トン、前年同月比96.8%、価格は、キログラム当たり237円、同123.5%となった。
大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量は4万3450トン、同97.1%、価格は、キログラム当たり221円、同121.4%となった。
全国的に、生育期に気象災害や天候不順の影響を受け、9月から10月上旬にかけて入荷量が伸び悩み価格は高騰したが、下旬にかけて下げに転じた。
上旬は、日本付近で大陸からの移動性の高気圧に覆われることが多かったことから、日照時間は東・西日本でかなり多く、北日本でも多かった。また、大陸から冷涼な空気が流れ込み、東・西日本では平均気温が低かった。初日に低気圧が発達しながら日本海を北東へ進み、西日本および日本海側では大雨となった所があった。8日から9日は、台風23号から変わった低気圧により北海道地方を中心に大荒れの天気となった。旬の終わりは、西日本を中心に気温の低い状態が続いた。
中旬は、大陸からの移動性の高気圧に覆われることが多く、ほぼ全国的に日照時間が多く、降水量が少なかった。特に、北日本太平洋側と西日本では、日照時間がかなり多く、降水量はかなり少なかった。ただし、11日から12日は、低気圧が日本付近を通過し、全国的に天気が崩れた。西日本では、旬の中頃にかけて寒気が残ったため、気温の低い状態が続き、平均気温も低くなった。16日から17日は東日本太平洋側では南東海上からの湿った気流の影響で天気が崩れた。また、旬の終わりは、東・西日本では高気圧に覆われておおむね晴れ、大陸から暖かな空気も流れ込み気温が高くなった。
下旬は、日本の北を低気圧が発達しながら通過することが多く、北日本では旬を通して寒気が流れ込み、平均気温は低かった。一方、大陸からの暖かい空気に覆われたため、平均気温は東日本で高かった。西日本でも旬の中頃にかけて気温が高かったものの、旬の終わりは寒気の影響で気温が低く、平均気温は平年並だった。また、大陸からの移動性の高気圧により、東日本太平洋側と西日本では日照時間がかなり多く、東日本太平洋側では降水量がかなり少なかった。
旬別の平均気温、降水量、日照時間は以下の通り(図1)。
10月の東京都中央卸売市場における野菜全体の入荷量および価格は、入荷量が14万2075トン、前年同月比96.8%、価格はキログラム当たり237円、同123.5%となった(表1)。
入荷量は、関東産、北海道産および東北産を主体に出回り、8月下旬から9月中旬までの曇雨天・低温などの天候不順により、9月下旬から総じて好天が続いたものの、朝晩の低温により定植や生育の遅れ等からは回復しきれず、多くの品目で前年を下回った。下旬には生育などの遅れから回復傾向となり、果菜類を中心に前年を上回る入荷となったものの、野菜全体では前年をやや下回って推移した。
価格は、天候不順の影響から多くの品目で入荷が減少し、上旬は前月に引き続き多くの品目で高値基調となったが、下旬は天候の回復により入荷が増加したことから、多くの品目で値を下げた。野菜全体では、好天により各産地とも順調な入荷となったことから安値だった前年同月を大幅に上回って推移した。
類別の動向は以下の通り。
だいこんおよびにんじんの入荷量は上中旬は前年を上回ったものの、下旬は多かった前年を下回ったことから、おおむね前年並みとなった。
価格は、旬を追うごとに下げたものの、月を通して安値だった前年を上回った。にんじんをみると、10月中は平均価格を下回ったが11月に入り上向いた(図2)。
主な品目の入荷量は、ほうれんそうは上中旬で前年を下回る入荷となったものの、天候の回復により下旬に大きく増加し、前年を大幅に上回ったことから、月計では前年並みの入荷となった。一方でレタスは、月を通して順調な入荷だった前年を大幅に下回る入荷となった。
価格は、ほうれんそうは旬を追うごとに値を下げ、下旬には前年を下回ったものの、月計では前年をわずかに上回って推移した(図3)。
主な品目の入荷量は、きゅうりが中下旬に群馬産が降雪の影響で作付面積が減少したことにより少なかった前年を大幅に上回る入荷となったことから、月計では前年をかなりの程度上回った。一方、トマトは、8月の高温や9月の曇雨天により、上中旬で前年を大幅に下回る入荷となったが、下旬に入荷は増加し前年をかなりの程度上回ったものの、月計では前年を大幅に下回る入荷となった。
きゅうりの価格は、上旬は前年を上回ったものの、中下旬は高値であった前年を下回った。また、10月以降、平均価格を下回って推移している。トマトは、月を通して安値だった前年を大幅に上回る高値基調で推移した。
入荷量は、各品目で前年を下回る入荷となったが、特に、たまねぎは上旬は前年を大幅に上回る入荷となったものの、中下旬は多かった前年を大幅に下回ったことから月計では前年をかなりの程度下回る入荷となった。
価格は、たまねぎは月を通して前年を下回って推移し、平均価格も下回った(図5)。
なお、品目別の詳細については表2の通り。
10月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格は、入荷量が4万3450トン、前年同月比97.1%、価格は、キログラム当たり221円、同121.4%となった(表3)。
特に、高冷地を中心に干ばつ傾向であった葉茎菜類と夏場の冷え込みから着色が悪かった果菜類で入荷が伸び悩んだ品目が見られた。
類別の動向は以下の通り。
だいこんは、北陸の産地で干ばつの影響で肥大が進まず入荷が減少したことから、価格は同120.0%と大幅に高くなった。にんじんについては、北海道産の入荷が順調に進んだが、前年が安値だったことから前年同月比は126.1%となった。
長野県、群馬県が中心となる高冷産地の天候不良と干ばつから、はくさい、キャベツ、レタスの生育が遅れ、入荷が鈍ったことから、価格は高騰した。特にレタスの価格は前年同月比262.6%と大幅な上昇となった。
岐阜産のトマトが、冷え込みの影響から着色が悪く、入荷が前年同月比91.1%とかなり減少した。また、なすは台風被害の後遺症から夏場の産地である近在産で切り上がりが早く後続の産地も出遅れ品薄気味だったことから、入荷量は前年並みであったが、価格は同144.6%と高騰した。
一方、ピーマンは秋冬産地である、高知産、宮崎産の生育が良好で入荷量は同115.9%と大幅に増えた。
北海道産の出荷が本格的に始まったことからたまねぎの入荷が増え前年同月比112.9%と大幅に増量した。
なお、品目別の詳細については表4のとおり。
12月の市場開市は25日で、休市日数は6日となっている。
気温がぐっと下がり、風邪予防対策や冬至に向けかぼちゃなどの出回りが増えてくる。
また、お節料理の準備とともに、さといも、れんこん、ごぼうなど和食向けの食材も引き合いが高まってくる時期である。
昨年の12月は、暖秋だった11月から一転して第一級の寒気団が続けざまに日本列島上空に南下してきた。寒波の急襲により、野菜の生育が遅くなって全国的に出回りが減少し、年末から年始に向けて価格が高騰する結果となった。
今後の状況を品目別にみると、だいこんは、神奈川産が遅れており、さらに雨や降雪により品質の乱れによっては12月は出荷のばらつき大きく、トータルの出回りは昨年より少ないと予想される。価格は平年を上回る見込みである。
にんじんは、千葉産が中心になるが今のところ生育順調である。その他、埼玉産や九州産は干ばつにより、は種時期を逸するなど遅れ気味なことから出荷量は少なめを予想している。価格は9月、10月に続いて前年に比べて高いと見込んでいる。
キャベツは千葉産を中心に愛知産も入荷が始まってくるが、は種、定植時期に気象が乱れたことから、急減する時期もあると予想している。11月初旬の降雨で、生育がやや回復したが、全般に平野部の産地が遅れている。価格は、引き続き平年並みから高めを見込んでいる。
はくさいは、12月には出荷の遅れが解消し、ほぼ平年並の動きが予想される。寒くなると需要が高まり価格が高くなる商材であることから、暖冬になるとやや不利な点はあるが、主力の茨城産が定植時期の天候の乱れから出荷が伸び悩むのではないかと予想している。
ねぎは、昨年は東北産が早めに切り上がったが、今年も降雪、積雪に左右されるとみている。関東産はそれ程早まることなく、価格は前年並かやや高いと予想している。
ほうれんそうは、降雪などがなければ順調な入荷で、価格は平年並が見込まれる。
レタスは、生育が全国的に遅れているものの順調。茨城産は不作気味であったが、西日本の産地(兵庫、香川、長崎)の供給は潤沢と予想される。11月まで高値基調で来たことから、反動で安い局面が続く可能性もある。
きゅうりは、10月は動き悪く価格は低迷したが、11月には農家は早く秋作を止めて、出回りは少なくなるであろう。12月は加温物が始まってくるが、昨年は埼玉の復旧が遅れて価格は高かった。今年は雪害から立ち直っていることもあり量的には前年を上回り、価格は前年比では安いと予想している。出荷量は平年を上回ることないと予想している。
トマトは、抑制物が全般的生育不振の影響を受けて、越冬物が待望されてきたが、九州産が本格化し一転潤沢ペースとなろう。15号台風では施設野菜に被害なく、12月からピークとなる。
ばれいしょは、年内は計画的に出荷されることから価格的にはほぼ横ばいを見込んでいる。たまねぎは、豊作傾向で、引き続き潤沢で価格は平年並かやや安い見込みである。
正月商材については、さといもの主力産地である埼玉産はかん水できるほ場は順調だが、かん水が十分でないほ場はやや正品率が低下し、A品が少なく、価格のばらつき大きく、平年比、前年比ともに高いと予想している。
ごぼうは、さといもと同様に九州を始め西日本産が不振であったことから、関東・東北産に期待がかかる。青森産は早めの出回りになっており、正品率が低いことから12月の出荷は少なめと見込んでいる。関東産も8月~9月の集中豪雨、5月~6月の干ばつの影響もあり、10月、11月に続き、市場では高めと予想している。
れんこんは、主産地のある茨城県に台風の襲来もなく、順調に仕上がると予想している。前年かられんこんブームが続いており、価格は一段高くなっている。料理番組に登場する機会も増えており、魅力のある商材である。
かんしょは、夏までは豊作予想であったものの、9月の長雨で肥大が悪く、「べにはるか」中心に前年に比べて大幅に値上がりしている。特に、べにはるかは色上がりが美しく、栗きんとんに好都合な商材である。
みつばは、種不足の影響が深刻化しており、糸みつば中心に価格は前年を上回ると見込んでいる。
果実的野菜であるメロンは、熊本産が回復が遅れて少なめ。そのため中心の静岡産の引き合い強まり、価格は高め。いちごは、主力産地の栃木産の遅れが心配されたが、昨年のような寒波で少ないといったことはないと予想している。クリスマス前は潤沢であろう。
(執筆者:東京青果株式会社 加藤 宏一)
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