[本文へジャンプ]

文字サイズ
  • 標準

  • 大きく

お問い合わせ

需給動向 1 (野菜情報 2015年6月号)


東京都・大阪市中央卸売市場の需給動向(平成27年4月)

野菜需給部 調査情報部


【要約】

 4月は、中旬までは前線の影響で全国的に降水量が多く、下旬は、移動性高気圧に覆われる日が多く、全国的に晴れて気温が高めに推移した。
 同月の東京都中央卸売市場における野菜の入荷量は、4月上中旬の低温と曇雨天が続いた影響により、たまねぎ以外の全ての品目で前年同月を下回った。価格は、天候不順による品薄高となったため、葉茎菜類、果菜類を中心に多くの品目で前年同月を大幅に上回った。
 同月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量は、多くの品目で連続した降雨による日照不足により入荷量が減少したため、前年同月を下回った。価格は、多くの品目で入荷量が減少したため、前年同月を上回った。

(1) 気象概況

 上旬は、北日本から西日本にかけて、前線の影響で天気の崩れる日が多かった。このため、日照時間は、東・西日本太平洋側で1961年の統計開始以来最も少なかった。また、期間の後半は、北日本を冷涼な高気圧が通過したため、北日本から東日本を中心に低温となり、8日には北東からの冷たく湿った気流の影響により関東甲信地方で雪の降った所があった。

 中旬は、日本付近を低気圧や前線が短い周期で通過したため、全国的に曇りや雨の日が多かった。期間の前半は、上空の寒気の影響で大気の状態が不安定となり、局地的に、猛烈な雨や突風による被害が発生した。

 下旬は、北日本から西日本にかけて 、移動性の高気圧に覆われ、大陸から暖かい空気が流れ込んだため、晴れて気温が高く、特に北・東日本では気温はかなり高くなった。北日本では1961年の統計開始以来第1位の高温となった。また、北日本および東・西日本の日本海側の日照時間はかなり多く、1961年の統計開始以来最も多かった。なお、30日には、九州南部で上空に寒気を伴った低気圧の影響により大気の状態が非常に不安定となったため、局地的に猛烈な雨が降った。

 旬別の平均気温、降水量、日照時間は以下の通り。

図1 気象概況

(2) 東京都中央卸売市場

 4月の東京都中央卸売市場における野菜全体の入荷量および価格は、入荷量が12万7754トン、前年同月比93.7%、価格はキログラム当たり283円、同124.8%となった。

 入荷量は、関東産、北海道産、四国産、九州産が主体であったが、4月上中旬の低温と曇雨天が続いた影響により、たまねぎ以外の全ての品目で前年同月を下回った。

 価格は、たまねぎ、さといもが前年を下回る水準で推移したものの、はくさい、レタス、キャベツなどの葉茎菜類、ピーマン、なすなどの果菜類を中心に多くの品目で、天候不順による品薄高となったため、野菜全体では前年同月を大きくに上回った。

① 根菜類

 入荷量は、だいこんおよびにんじんが、病害もなく生育は順調だったものの、降雨による収穫の遅れがあったことから、月を通して前年同月を下回った。

 価格は、だいこんが上中旬に大きく値を上げ、下旬はやや値を下げたものの、月を通して前年同月を大きく上回った。にんじんは、上旬は前年を大きく下回る価格水準であったものの、中旬以降値を上げて前年を大きく上回り、月間では前年同月を大きく上回った。

② 葉茎菜類

 入荷量は、キャベツおよびはくさいが、上旬は前年並み、中旬は前年をやや上回ったが、下旬は、主産地において降雨による収穫の遅れが生じたため、前年を大きく下回った。

 ほうれんそうおよびねぎは、主産地において4月中旬まで低温と曇天の影響により生育の遅れがあったことに加え、降雨による収穫の遅れがあったことから、月を通して前年同月を下回った。レタスは、上中旬は主産地において低温などの天候不順による影響で前年を大きく下回ったが、下旬は前年をやや上回った。

 価格は、全ての品目において天候不順の影響で上旬から中旬にかけて大きく値を上げ、下旬は前年を大きく上回る高値で推移したものの、ほうれんそう、ねぎなどで値を下げ、一時の上昇基調から一転して弱含みとなった。

③ 果菜類

 入荷量は、曇天に伴う日照不足や低温などの影響による、果実の肥大の停滞や生育の遅れから、なす、トマトおよびピーマンは月を通して前年同月を下回った。きゅうりは、中旬は前年を大きく下回ったが、下旬は入荷が回復し前年をやや上回った。

 価格は、各品目とも月間では前年同月を大きく上回った。きゅうりおよびなすは、下旬は下げに転じたものの、中旬までは上伸したため、月間では前年同月を上回った。トマトは大きな変動はないものの、高値もちあいで推移した。ピーマンは、中旬以降値を上げ、高値基調で推移した。

④ 土物類

 入荷量は、さといもが上旬で前年を大きく上回ったものの、中旬以降は入荷が伸びず前年を大きく下回った。ばれいしょは、生育期の干ばつの影響による小玉傾向に加え、4月に入ってからの降雨により収穫に遅れが生じたことから、月を通して前年同月を大きく下回った。たまねぎは、上中旬は小玉で少なかった前年を上回ったものの、下旬は入荷が伸びず前年をやや下回った。

 価格は、さといもが上中旬は前年を下回ったものの、下旬は値を上げ前年をやや上回った。ばれいしょは、旬を追うごとに値を上げ、月を通して安値だった前年同月を大幅に上回った。たまねぎは、上旬は小玉で高かった前年を大幅に下回る安値基調であったが、中旬以降値を上げ、月間では前年同月をやや上回った。

(3)4月の値動きで注目される品目

 降雨により入荷が減少しただいこんおよびレタスと、降雪の影響で入荷の端境となったはくさいは、中旬まで上伸し、下旬にかけて高値もちあいとなった(図2、3、4)。下旬に入荷が増加したきゅうりは、中旬にかけて上伸した後、下旬は上旬の価格まで下落した(図5)。

 なお、品目別の詳細については以下の通り。

指定野菜の卸売価格の推移(東京都中央卸売市場)

クリックすると拡大します。

(単位:円/kg)

(4)大阪市中央卸売市場

 4月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格は、入荷量が3万7524トン、前年同月比96.5%、価格はキログラム当たり263円、同127.7%となった。

 野菜全体の入荷量は、多くの品目で連続した降雨による日照不足により入荷量が減少したため、前年同月を下回った。価格は、多くの品目で入荷量が減少したため、前年同月を上回った。

① 根菜類

 入荷量は、だいこんがほぼ前年同月並みとなる中、にんじんは、入荷量が伸びなかったため前年同月を下回った。価格は、だいこん、にんじんとも、前年同月を上回った。

② 葉茎菜類

 入荷量は、ほうれんそうを中心に多くの品目で前年同月を下回ったが、価格高による集約出荷が見られたキャベツは、ほぼ前年同月並みになった。価格は、全ての品目で前年同月を上回った。

③ 果菜類

 入荷量は、全ての品目で連続した降雨による樹勢の低下により着花不良や着色遅れとなったため、前年同月を下回った。価格は、全ての品目で前年同月を大きく上回った。

④ 土物類

 入荷量は、国内ものの残量が多かったさといもや、出遅れていた佐賀産の入荷量が増加したたまねぎで前年同月を上回ったものの、鹿児島産の本土ものが減少したばれいしょは、前年同月を大きく下回った。価格は、さといもおよびたまねぎが前年同月を下回る中、入荷量が減少したばれいしょは、前年を大きく上回った。

 なお、品目別の詳細については以下の通り。

指定野菜の卸売価格の推移(大阪市中央卸売市場

クリックすると拡大します。

(単位:円/kg)

(5)市場担当者から

① 6月の市場開市および休市

 6月の市場開市は22日で、休市日数は8日となっている。

 6月は春から夏への切り替わりの時期であり、量販店などでは初夏を題材とした販売企画が実施され、店頭で販売される各品目の産地も、関東産から東北産に切り替わる時期である。5月までのような大きなイベントはないものの、梅雨に入り気温の変動が大きくなるため、サラダから加熱料理まで、さまざまなメニュー提案がされる時期である。

② 需要を中心とした6月の見通し

 6月は長野、群馬の高原レタス、神奈川、茨城のかぼちゃ、静岡産のばれいしょが本格化してくる。特に、三方原みかたがはら男爵だんしゃくと三島のメークインは静岡の誇る銘柄である。さらに、同県産のさといもである石川早生も、これぞ「衣被きぬかつぎ」といった逸品で、素材の力だけで食べた人を魅了できる。

 4月上中旬は、関東以西では記録的な日照不足であった。この反動として6月の梅雨時期の天候が空梅雨になった場合、乾燥により生育が遅れた関東産の野菜が6月になっても多く入荷することにより、東北産および北海道産と競合し、価格低迷の恐れがある。4月の価格高は、納入業者が逆ザヤを背負いながら実需者に納入を行った。この高値からの反動として価格が下がる場面と増量による価格低迷が重なった場合、その後の安値疲れによる価格上昇のタイミングがつかみにくくなる。4月の高値により、外食業者などによる初夏期以降のメニュー提案から野菜が外される影響が残るためである。

 重量野菜では、だいこん産地が青森へ移行する。青森は、関東産から北海道産にリレー産地が移行する上での中間産地で、北海道産の作柄が悪化すると青森産の存在感が増す。本年の青森産は雪解けが早かったため、にんじんも含めて潤沢に入荷し、関東産との競合も予想される。キャベツは群馬産が始まるが、5月から6月の平地ものは、4月の曇雨天の影響が残っているため、入荷初めから高めと予想される。キャベツは、6月の入荷開始がやや高めになると、9月まで高めの価格が維持される傾向にある。たまねぎは、佐賀産が入荷ピークを過ぎ、後続の兵庫産が入荷ピークとなるが、4月の多雨で不作傾向となっているために出回りが少なく、価格は高めで推移すると思われる。ばれいしょは、静岡産や千葉産、栃木産といった関東の中間産地の動向次第で、盛夏期まで高値が続く可能性もある。

 果菜類の産地は、西南暖地の四国産などから関東産に移行する。なすは、栃木産に移行するが、高知産や福岡産の切り上がり時期次第で入荷量が大幅に減少し、高値傾向になることも予想される。きゅうりは、関東産から福島産を中心とした東北産に移行する。東北産は全般に順調で、関東産の切り上がりが早まれば、後続の東北産はやや強めの価格展開になると思われる。

 消費者に、産地による味の変化を伝えることで、消費が活発化する。九州産のアスパラガスは立茎栽培に入り、色が薄くやや細くなるものの食味は非常に良い。かぼちゃは、輸入ものが減少し、強粘質で食味が良い国産ものが出回り始める。究極の強粉質を誇る神奈川産の三浦のみやこかぼちゃや茨城産の江戸崎かぼちゃなど、価格はかなり高めだが、その知名度と優れた食味により、消費者が積極的に購入する品目である。これら初夏を代表する品目を商材の中心に据え、国産夏野菜の積極的な販売提案をしていただきたいところである。

 初夏から出回る品目と言えば、スイートコーンが挙げられる。この時期は、山梨産を中心としたハウスものが出回るが、ハウスものは曇雨天の影響が露地ものに比べて少ないため、ほぼ安定した入荷が見込まれる。産地では、あらかじめの出荷予想などの情報発信を強化し、量販店などが安心して売り場づくりをできるようにしていただきたい。量販店などでは、ハウスものの売り込み次第で、その後の露地ものの売れ行きが決まるため、夏の味覚であるスイートコーンの販売促進を強化していただきたい。もう一つの夏の味覚と言えば、6月から入荷が増えるえだまめである。4月の天候不順により生育が心配されたものの、5月の好天で回復傾向となっている。えだまめの入荷はハウスものから始まるが、本年のハウスものの生育は順調で、食味も良好と思われる。量販店などには、気温の上昇とともに、ビールのつまみや子どものおやつとして、えだまめの販売促進を活発に行っていただきたい。

 6月は、イベントこそ少ない月であるが、産地や作型の移行など、野菜にとっては大きな意味を持つ月である。本格的な夏を迎える前に、消費者に国産夏野菜のおいしさを再確認していただけるよう、量販店などには初夏の味覚について大々的な販売イベントを行っていただきたいところである。

(執筆者:東京青果株式会社 加藤 宏一)


元のページへ戻る


このページのトップへ