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需給動向 1 (野菜情報 2015年5月号)


東京都・大阪市中央卸売市場の需給動向(平成27年3月)

野菜需給部 調査情報部


【要約】

 3月は、中旬までは低気圧が発達しながら通過したため、全国的に降水量が多く、下旬は、高気圧に覆われる日が多く、全国的に晴れて気温が高めに推移した。
 同月の東京都中央卸売市場における野菜の入荷量は、果菜類を中心に作柄が安定せず、前年同月をわずかに下回った。価格は、果菜類を中心に前年を大きく上回ったため、前年同月を上回った。
 同月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量は、葉茎菜類が干ばつ傾向による生育遅れ、果菜類が樹勢の低下により入荷が減少したため、前年同月を下回った。価格は、入荷量が伸びなかったことに加え、活発な需要があったことから、前年同月を上回った。

1 気象概況

 上旬は、日本付近を低気圧が短い周期で発達しながら通過し、全国的に天気の崩れる日が多かった。1日から2日にかけては、低気圧が本州南岸から千島近海に進み、北日本太平洋側を中心に暴風雪となった。また、9日から10日にかけて低気圧が急速に発達しながら北海道付近に進んだため、低気圧に向かって南から暖かい空気が流れ込んだことから、北日本太平洋側を中心に大雨となり、3月としては記録的な降水量となった。

 中旬は、11日から12日にかけて発達した低気圧がサハリン付近に停滞し、日本付近には強い寒気が流れ込んだ。北日本を中心に暴風雪が続き、北・東日本日本海側では大雪となった。その後は低気圧と高気圧が交互に通過し、15日から16日にかけては東・西日本太平洋側で、18日から19日にかけては北日本から西日本の広い範囲で天気が崩れたが、17日は高気圧に覆われたために全国的に晴れて、気温も平年を大幅に上回った。

 下旬は、旬のはじめは高気圧に覆われて晴れた所が多かったが、23日から24日にかけて低気圧が北日本で発達し、北日本を中心に一時的に冬型の気圧配置となった。日本付近には強い寒気が流れこんだため、26日頃にかけて気温が平年を下回った所が多かった。旬の後半は全国的に移動性高気圧に覆われ、晴れて気温が高くなった日が多かった。

 旬別の平均気温、降水量、日照時間は以下の通り。

図1 気象概況


2 東京都中央卸売市場

 3月の東京都中央卸売市場における野菜の入荷量および価格は、入荷量が12万9000トン、前年同月比98.3%、価格はキログラム当たり256円、同109.4%となった。

 野菜全体の入荷量は、関東産、北海道産、西南暖地の四国産および九州産を主体に出回り、天候の周期的な変化により作柄は安定せず、特にトマト、ピーマンなどの果菜類を中心に曇天などの影響から、前年同月をわずかに下回った。価格は、キャベツ、ねぎ、にんじんなどは、生育は順調であったことから前年を下回る水準で推移したが、トマト、ピーマンなどの果菜類を中心に前年を大きく上回ったため、野菜全体では前年同月を上回った。

(1)根菜類

 入荷量は、だいこんが、主産地において全般的に小ぶり傾向だったため、月を通して前年同月を下回って推移した。にんじんは、主産地において生育は順調だったため、ほぼ前年同月並みとなった。

 価格は、だいこんが、中旬は一時的に値を下げたものの、月を通して安値だった前年同月を大きく上回った。にんじんは、主要産地の順調な入荷により、月を通して前年同月を大きく下回った。

(2)葉茎菜類

 入荷量は、キャベツは適度な降雨と気温の上昇により、生育は順調で潤沢な入荷となったため、月を通して前年同月を大きく上回った。一方、レタスは主産地において曇天と降雨の影響で、一部の地域で病害の発生が見られたため、月を通して前年同月を下回った。

 はくさいは、上中旬は前年を下回ったが、下旬は少なかった前年をやや上回った。ほうれんそうは、主産地において全般的に生育は順調であったが、天気の変化が激しかったため入荷は安定せず、月間では前年同月を下回った。ねぎは、全般的に生育は順調であったが、一部の地域で病害の発生が見られたため、下旬の数量が伸びず、少なかった前年同月並みとなった。

 価格は、キャベツおよびねぎは、月を通して前年同月を大きく下回った一方で、レタスは、月を通して前年同月を大きく上回った。ほうれんそうは、上旬は前年を下回ったが、中旬以降上げ基調に転じ、前年同月を大きく上回った。

(3)果菜類

 入荷量は、各品目とも主産地において曇天に伴う日照不足などの影響から肥大が停滞し、生育に若干の遅れが生じたため、トマトは月を通して前年同月を大きく下回った。ピーマンは、中旬以降の入荷量減少により、前年同月を大きく下回った。

 価格は、各品目とも月を通して前年を上回り、月間では前年同月を大きく上回った。

(4)土物類

 入荷量は、さといもが、上旬で前年を下回ったものの、下旬は小玉傾向で少なかった前年をやや上回り、月間ではほぼ前年同月並みとなった。ばれいしょは、月を通して前年同月を大きく下回った。たまねぎは、上中旬は小玉で少なかった前年を上回り、下旬は入荷が伸びず前年を大きく下回ったが、月間では前年同月を上回った。

 価格は、さといもが大きな変動もなく、月を通して不作で高値だった前年同月を大きく下回った。ばれいしょは、月を通して安値だった前年同月を上回った。たまねぎは、北海道産は計画出荷のため安定的な入荷となり、月を通して小玉で高かった前年同月を大きく下回った。

3 3月の値動きで注目される品目

 2月までの安値により分散出荷となったにんじんは、中旬から上げ基調となった(図2)。はくさいは、3月上旬より価格が上げ基調となった。また、きゅうりおよびトマトは、3月上旬は高値であったが、気温の上昇とともに下旬から下げ基調となった(図3、4、5)。


 

 なお、品目別の詳細については以下の通り。

東京都中央卸売市場の動向(3月速報)

指定野菜の卸売価格の推移(東京都中央卸売市場)

※クリックすると拡大します。

(単位:円/kg)

資料:

農林水産省「青果物卸売市場調査」

 注:

平年とは、過去5カ年(平成22~26年)の旬別価格の平均値である。

4 大阪市中央卸売市場

 3月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格は、入荷量が3万7318トン、前年同月比99.8%、価格はキログラム当たり234円、同108.8%となった。
野菜全体の入荷量は、果菜類が連続した降雨による日照不足により入荷量が減少した中、キャベツなどは生育が回復して入荷量が増加したため、ほぼ前年同月並みとなった。価格は、果菜類の入荷量減少などにより、前年同月を上回った。

(1)根菜類

 入荷量は、だいこんおよびにんじんとも、ほぼ前年同月並みとなった。価格は、だいこんが前年同月を上回る中、にんじんは、徳島産の入荷量が伸びたため、前年同月を大きく下回った。

(2)葉茎菜類

 入荷量は、ほうれんそうを中心に多くの品目で前年同月を下回ったが、寒玉の入荷が伸びたキャベツは、前年同月を大きく上回った。価格は、入荷が伸びたキャベツが前年同月を大きく下回ったものの、ほうれんそうを中心に多くの品目で、前年同月を上回った。

(3)果菜類

 入荷量は、多くの品目で連続した降雨による着花不良から、前年同月を下回った。価格は、全ての品目で前年同月を大きく上回った。

(4)土物類

 入荷量は、新ものの生育が順調だったたまねぎは、前年同月を大きく上回ったものの、鹿児島産の離島ものが減少したばれいしょは、前年同月を下回った。価格は、多くの品目で前年同月を大きく下回る中、入荷量が減少したばれいしょは、前年同月を大きく上回った。

 なお、品目別の詳細については以下の通り。

(執筆者:東果大阪株式会社 福重 博美) 

大阪市中央卸売市場の動向(3月速報)


指定野菜の卸売価格の推移(大阪市中央卸売市場

※クリックすると拡大します。

(単位:円/kg)

資料:

農林水産省青果物卸売市場調査

 注:

平年とは、過去5カ年(平成22~26年)の旬別価格の平均値である。

5 市場担当者から

(1)5月の市場開市および休市

 5月の市場開市は21日で、休市日数は10日となっている。
5月は上旬がゴールデンウィークに当たるため、量販店などではさまざまな販売企画が実施されること、連休明けは母の日も控えており、家庭内調理用のサラダ商材などを前面に出した販売企画が予想されることから、中旬までは活発な引き合いが期待される。

(2)需要を中心とした5月の見通し

 5月のゴールデンウィークは、2日から6日の5連休となることから、消費者の外出機会が多くなり、外食による野菜の需要が高まる時期である。また、連休後半にこどもの日が、第2日曜日が母の日になるなど、ハレの日としてのサラダ需要も見込める時期である。

 27年は、年明け後から3月までは全国的に曇雨天が多く、寒暖の差も激しかった。大消費地の市場で仕事をしている感覚では、大きな不作ではなかったように感じるが、実際は、曇雨天による品質低下のため、生産者がほ場で処分したものが例年になく多かったと言われている。3月まで価格は、平年並みの価格推移となったキャベツなどの主要品目も、需要期であるゴールデンウィークが近づくにつれて上伸する可能性がある。

 初夏ものは寒さの中での生育で、キャベツ、ほうれんそうなどの葉ものは、味および品質ともに充実している。生育遅れで高値が続いたトマトなどの果菜類は、4月には生育が回復し、5月には入荷のピークとなり、値ごろ感のある価格まで下げてくると思われる。しかし、きゅうりは、関東産地が昨年の降雪被害から完全に立ち直っておらず、東北産が始まるまでは入荷量が伸びず、高値傾向が予想される。

 かんしょは、26年産が高値基調で終盤を迎えたことから、これから入荷が始まる四国産は高値のスタートが予想される。ばれいしょは、例年より鹿児島の離島ものの不作により高値傾向だったが、長崎産の本格的な入荷により価格は落ち着くと思われる。静岡産の三方原男爵みかたがはらだんしゃくの入荷も始まるが、九州産のニシユタカに続き、デパートなどでは特選商材として取り扱われるため、価格は堅調に推移すると思われる。この後、静岡産の三島メークイン、関東産の新もの、さらに9月の北海道産の今金男爵いまかねだんしゃくまで、食味に優れるばれいしょがリレー出荷される。ばれいしょは、カレーやサラダだけでなく、煮ものや炒めものなど、多様な料理に使用できる品目であることから、量販店などによる提案型販売を強化していただきたい。

 レタスは、関東の茨城産から高冷地の長野産などへ切り替わる時期を迎える。レタスの生育適温は15度から20度であることから、茨城産などは気温の上昇とともに終盤を迎え、5月後半からは長野産および群馬産の高原ものが中心になる。茨城産などの最終ものを含め、1年のうちで5月が最も味が充実する時期であり、歯触りが柔らかく適度の甘さもある。ねぎは、茨城の初夏ものが始まり、葉が柔らかくなって冬ねぎと違った味を楽しむことができる。これら作型が切り替わった品目についても、量販店などによる提案型販売を強化していただきたい。

 新しょうがが、高知産や和歌山産を皮切りに本格的に店頭に並ぶ。和歌山市は古くからのしょうが産地であり、同市名草なぐさ地区は、紀ノ川の河口付近の砂地であるため、連作に強いといわれる産地である。葉しょうがは、5月から6月がピークとなるが、夏の香りを運んでくる野菜である。大田市場の前身である神田市場(現在の秋葉原駅前)が狭かったこともあるが、葉しょうがの入荷が始まると香りが市場内に充満したものである。葉しょうがは、通常のしょうがより香りが強い。『貧しさや葉しょうが多き夜の市』と詠んだ正岡子規は、台東区谷中に住んでいた。谷中は江戸時代からの葉しょうがの産地であるが、種しょうが農家は、埼玉県浦和市周辺で苗生産を行っており、栽培農家は分業化されていたことなど、葉しょうが栽培から江戸時代の園芸農業の先進性をうかがい知ることができる。

 香辛野菜では、新にんにくが本格的に入荷するが、8月からの青森産に対し、この時期は香川産が中心である。平成に入り、香川産は中国産にんにくの輸入急増で大幅に面積が減少した。ちなみに青森産も影響を受けて面積が減少したが、その後の立て直しが早かった。しかし、ここ数年は中国産が減少傾向で国内市況が上昇しているため、香川産だけでなく、和歌山産なども活発に入荷するようになった。

 豆野菜は、そらまめからえだまめへの切り替えの時期を迎える。この時期は、静岡産や埼玉産のハウスものの入荷となるが、味に外れがない。消費者にとって適度な価格で購入できて食味が良ければ、夏に向かって継続購入が見込めるため、えだまめにとっては重要な時期であり、順調な生育が望まれる。スナップえんどうも福島産が始まり、売り場での小売量目も増えてきた。量販店などには、豆野菜をたっぷり使った野菜サラダの提案をお願いしたい。

 さらにもう一つ、5月はらっきょうの入荷開始時期で、5月は鹿児島産が中心の入荷で、下旬からは鳥取産も入荷する。家庭でのらっきょう漬けは、漬け込む手間は大変だが、自分の好みの塩加減で、手塩にかけたらっきょう漬けを食する喜びは格別だ。本格的な夏を前に、漬け野菜のシーズンインということで、量販店などには家庭向けの提案をお願いしたい。

 土もののつながりでは、九州産の新ごぼうが入荷のピークを迎えるが、新ごぼうは香りと歯触りが特段に良い。かぼちゃは、輸入ものの入荷が減少する中、国産ものも沖縄産から鹿児島産に切り替わる時期である。輸入ものの減少により、ようやく粉質の強い国産が量販店などの中心商材になる。今年の輸入品は、円安基調により価格は高かったものの、品質の良いものが出回った。このため、消費者は、かぼちゃの継続購入意欲が増しており、国産ものについては、輸入もの以上の品質を期待したい。

 最後に、果実的野菜のすいかおよびメロンであるが、育苗から生育期にかけては低温や曇天の影響を受けているため、5月上旬に入荷するものは若干小玉傾向と思われる。その後は、3月下旬の天候の回復した時期の交配ものであるため、大玉になってくると思われる。5月下旬に入荷が始まる千葉産のハウスすいかは、生育が良好で品質も大いに期待できる。熊本産も含め、消費者が果実的野菜の入荷開始時期である5月に食味の良いものを購入することで、7月以降に入荷する後続産地の山形産および長野産の有利販売につながることを期待したい。

(執筆者:東京青果株式会社 加藤 宏一)


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