野菜需給部 調査情報部
11月の野菜の輸入量は、国産野菜の生育、出荷が順調なこと、円安で輸入単価が上昇していることなどの影響により、乾燥野菜以外の類別で減少し、全体で前年同月比20%減と大幅な減少となった。
平成26年11月の野菜輸入量は、18万578トン(前年同月比4万4027トン減、20%減)
となった。乾燥野菜以外の類別において前年を下回ったことから、前月に引き続き全体の輸入量も前年を大幅に下回った。これは、国産野菜の生育、出荷が順調で価格が低迷している中で、円安により輸入価格が上昇していたことに加え、米国西海岸における港湾労使交渉の難航により、同国からの冷凍ばれいしょなどの輸入量が減少したことが影響しているものと思われ、11月としては、21年以来5年ぶりの少ない輸入量となった(表1)。
生鮮野菜の輸入量は、輸入量の多いたまねぎをはじめ、多くの品目で前年を下回ったことから、3カ月連続で前年を下回った。
たまねぎについては、2万3160トン(同7845トン減、25%減)となった。北海道産の不作により前年の輸入量が多かったことや、昨年7月に中国産たまねぎから基準値以上の農薬成分が検出された影響で、中国産を避けて国産へシフトする加工業者が多くなっていることも大幅減の要因となっている。輸入国の内訳は、第1位が中国の2万807トン、第2位が米国の2321トンであった。たまねぎに次いで輸入量が減少したのはにんじん及びかぶで、3936トン(同2784トン減、41%減)となった。国産の生育、出荷が順調であったことから、輸入量は前年を大きく下回った。輸入国の内訳は、第1位が中国の3864トン、第2位がメキシコの55トンであった。次いで輸入量が減少したのは、かぼちゃで、2775トン(同1873トン減、40%減)となった。この時期の主な輸入先であるニューカレドニア、トンガにおいて干ばつにより生育不良となったことが減少の要因である。
一方で前年と比べて、輸入量が増加した品目は、主にジャンボピーマンであった。ジャンボピーマンは2971トン(同177トン増、6%増)となり、韓国産が前進出荷傾向となっていること、ニュージーランド産、オランダ産ともに生育が順調であることから前年を上回った。輸入国の内訳は、第1位が韓国の2246トン、第2位がニュージーランドの646トンであった。(表2)。
冷凍野菜の輸入量も、輸入量の多いばれいしょやさといもをはじめ、多くの品目で減少したことから、冷凍野菜全体では5カ月連続で前年を下回り、過去5カ年で2番目に少なくなった。
ばれいしょは1万8659トン(同1万1978トン減、39%減)となり、輸入先の大部分を占める米国産は同46%減と前年からほぼ半減した。米国西海岸における港湾労使間交渉の難航の影響を受けたためと思われる。輸入国の内訳は、第1位が米国の1万2904トン、第2位がベルギーの1707トンであった。さといもは3345トン(同1244トン減、27%減)となった、主な輸入先である中国において干ばつにより収穫量が減少し、貯蔵量が少なくなったがその要因とみられる。輸入国の内訳は、第1位が中国の3340トン、第2位が韓国の5トンであった。
一方で前年と比べて、輸入量が増加した品目はブロッコリーの3585トン(同520トン増、17%増)で、家庭用冷凍ブロッコリーの需要が堅調なこともあり、前年を上回った。輸入国の内訳は、第1位が中国の1982トン、第2位がエクアドルの1358トンであった(表3)。
生鮮野菜および冷凍野菜以外の類別を見ると、塩蔵等野菜のしょうがが888トン(同976トン減、52%減)、トマト加工品のトマトピューレ等関割以外が3833トン(同4840トン減、56%減)、その他調製野菜のにんじんジュースが2582トン(同1678トン減、39%減)等、前月に引き続き多くの品目で輸入量が減少した。一方で、塩蔵等野菜のきゅうり及びガーキンが1915トン(同206トン増、12%増)、乾燥野菜のだいこんが333トン(同73トン増、28%増)などは増加したものの、増加量は数百トン程度にとどまった。
山東省は、中国のしょうがの主要産地である。作付面積は、中国全体の約3分の1、収穫量は、40%を占める。
同省でのしょうがの栽培は、4月には種し、10月から11月中旬に集中して収穫するのが一般的だが、今年も同時期に収穫を行った。
同省におけるしょうがの生産および価格の動向を見ると、平成22年は価格が高かったため、23年は作付面積が増加したが、価格が下落し安値傾向が続いたため、24~25年は作付面積が減少した(図6)。25年は、作付面積の減少に加え、収穫直前の干ばつの影響もあり、収穫量が前年比27%減と大幅に減少したことと、販売業者の買いだめと売り惜しみもあり、価格は、10月から大幅に上昇した。
26年は、前年の価格の上昇を受けて、生産者の作付意欲の向上から、作付面積が6万1000ヘクタール(前年比15%増)と、前年よりかなり増加したことに加え、好天に恵まれ単収が増加したため(表4)、収穫量は約400万トン(同67%増)と前年より大幅に増加した。このため、卸売価格は12月に入って大幅に下落し、例年寒さに伴い消費量は増加する傾向があるが、供給量が潤沢なため、当面は下落傾向で推移するものとみられる(図7)。