野菜需給部 調査情報部
9月は、生鮮野菜は、13カ月ぶりに前年を下回り、冷凍野菜も全体の3割を占めるばれいしょが前年をかなり下回ったことから、3か月連続で前年を下回ったが、乾燥野菜、トマト加工品、その他調整野菜が前年を上回ったことにより、全体の輸入量は、ほぼ前年並みとなった。
平成26年9月の野菜輸入量は、20万496トン(前年同月比100%)となった。類別に見ると、
・「生鮮野菜」
・「冷凍野菜」
・「塩蔵等野菜」
・「乾燥野菜」
・「酢調製野菜」
・「トマト加工品」
・「その他調製野菜」
・「その他」
5万8648トン(同94%)
7万4125トン(同98%)
5694トン(同95%)
2703トン(同103%)
3101トン(同96%)
1万9327トン(同133%)
3万5387トン(同103%)
1510トン(同80%)
であった。
生鮮野菜は13カ月ぶりに、冷凍野菜は3カ月連続で前年を下回る輸入量となった中、乾燥野菜、トマト加工品、その他調製野菜が前年を上回ったことにより、全体の輸入量はほぼ前年並み(100.1%)となった(過去からの推移は、図1~4を参照)。
前年と比べて輸入量が増加した主な品目は、
・結球キャベツ
・セルリー
・ごぼう
2274トン(同207%)
979トン(同157%)
3684トン(同104%)
などとなった。
結球キャベツは夏場に価格が高騰する中、加工・業務用向けの需要が高いことも加わり、輸入量が少なかった前年を大幅に上回る輸入量となった。輸入量の内訳は、第1位は中国の2154トン、第2位は韓国の120トンであった。
一方、輸入量が減少した主な品目では、
・ブロッコリー
・メロン
・しょうが
・たまねぎ
・にんにく
・ねぎ
2238トン(同60%)
1841トン(同86%)
1395トン(同88%)
2万6395トン(同92%)
1392トン(同93%)
4558トン(同94%)
であった。
ブロッコリーについては、8月からの天候不順により国内産の入荷量が伸びず高値基調となった中、主な輸入先である米国産が、8月から続く高温の影響による生育不良から生産量が減少したことで、日本向けの確保が難しくなったため、輸入価格も前年対比123%と高騰し、前年を大幅に下回った。輸入の内訳は、第1位は米国の2215トン、第2位は中国の23トンであった。
しょうがは、中国産の生産量が生育期間中の大雨などの天候不順により減少して、輸入価格が高騰したことから前年をかなり下回った。輸入の内訳は、第1位は中国の1370トン、第2位は韓国の25トンであった。
前年と比べて輸入量が増加した主な品目は、
・ほうれんそう等
・ブロッコリー
・いちご
・スイートコーン
・えだまめ
3352トン(同124%)
3001トン(同120%)
2890トン(同104%)
4522トン(同103%)
5549トン(同102%)
となった。
一方、輸入量が減少した品目は、
・さといも
・ばれいしょ
2243トン(同80%)
2万4922トン(同87%)
であった。
冷凍野菜の輸入量は、ほうれんそう等やブロッコリーなど、多くの品目で輸入量が増加しているものの、全体の3割を超えるばれいしょが、前月同様に前年をかなり下回り、全体でも3カ月連続で前年をやや下回った。これは、大手ファストフードの引き合いが弱いことが要因になったと思われる。
その他の類別を見ると、トマト加工品全体では6カ月ぶりに前年同月を133%と大幅に上回った。これは、その他のトマト加工品1万1068トン(同157%)やトマトピューレ等関割2063トン(同132%)で前年を大幅に上回ったことによる。
中国産のたまねぎの収穫は、通常、12月から翌年の10月初めまでとなっており、雲南省に始まり、甘粛省で終了するリレー出荷が行われている(図5)。
直近では、甘粛省が今年の収穫を終えた。今年の同省におけるたまねぎの作付面積は、1万4700ヘクタールで、収穫量が120万トンであった。また、10アール当たりの平均収量が8.25トンで、夏の高温の影響により、前年に比べ0.75トン減少したという。
同省は、全国の総生産量の20%を占めており、主な産地は
同省のたまねぎの生育ステージは、2月下旬から3月上旬に育苗し、4月中旬から5月上旬に定植し、9月から10月初めに収穫する。代表的な品種は、牧童、金美、黄皮02、欧州豹1号などである。
甘粛省におけるたまねぎの生産および価格の動向を見ると、①価格高により作付面積が増加したことによる供給増からの価格下落、②価格安により作付面積が減少したことによる供給減からの価格上昇を繰り返している。
23年は、①のパターンであったことに加え、豊作だったことから収穫量がさらに増加し、庭先価格がトン当たり200元(3636円)以下の最安値になっても、売れ残りが多く発生した(図7)。24年は、②のパターンであった。その後の25年は、再び①のパターンになり、26年は、24年同様、前年の低価格の反動から②のパターンとなり、収穫量も前年に比べ25%減少の見込みで、収穫時期の価格も低価格であった前年を上回っている(図8)。
注:1元は18.18円(26年10月末日TTS相場)