野菜需給部 調査情報部
平成26年3月の野菜輸入量は、生育期の天候不順による国内産の減産により、24万9133トン(前年同月比112%)となった。類別に見ると、
・「生鮮野菜」9万6566トン(同107%)
・「冷凍野菜」7万2916トン(同120%)
・「塩蔵等野菜」8853トン(同105%)
・「乾燥野菜」4272トン(同141%)
・「酢調製野菜」3515トン(同129%)
・「トマト加工品」2万5736トン(同122%)
・「その他調製野菜」3万5549トン(同102%)
・「その他」1727トン(同80%)
であった。
「その他」を除く全ての類別で前年を上回ったことから、輸入量全体では前年を大幅に上回った(過去からの推移は、図1~4を参照)。
前年同月と比べて輸入量が増加した主な品目は、
・たまねぎ 3万2887トン(同152%)
・キャベツ 5047トン(同140%)
・ごぼう 3983トン(同137%)
・ねぎ 5234トン(同133%)
・ブロッコリー 2401トン(同119%)
・アスパラガス 2322トン(同115%)
・ジャンボピーマン 2623トン(同111%)
・にんにく 1442トン(同109%)
・さといも 736トン(同108%)
・にんじん及びかぶ 8547トン(同104%)
等となった。
ごぼうは、主産地の青森県産が前年の生育時の天候不順により肥大が進まなかったため、少なめの入荷量となったことに加え、茨城県産も2月の大雪の影響により少なめの入荷量となったことから、前年を大幅に上回る輸入量となった。輸入量の内訳は、第1位は中国の3682トン、第2位は台湾の301トンであった。なお、ごぼうの輸入単価は、中国産がは種時の降雨の影響で不作となったことから、前年同月の約2倍の単価となったものの、国産の卸売価格が高騰していたことから、加工・業務用向けを中心に、輸入が多かったと思われる。
ブロッコリーは、主産地の愛知県産が冷え込みの影響で少なめの出荷量となったことに加え、前年が米国産が寒波の影響で輸入量が少なかったこともあり、前年を上回る輸入量となった。輸入量の内訳は、第1位は米国の2268トン、第2位は中国の107トン、第3位はメキシコの26トンであった。なお、中国からの輸入量は大手量販店が中国産の取り扱いを中止したことから激減している。
一方、輸入量が減少した主な品目では、
・かぼちゃ 1万5123トン(同65%)
・しょうが 2471トン(同75%)
・ばれいしょ 3983トン(同88%)
・結球レタス 1498トン(同94%)
・メロン 3859トン(同97%)
であった。
かぼちゃは、ニュージーランド産が作付面積の減少と天候不順による不作に加え、1月に前倒しで輸出を行ったため残量が少なく、前年を下回る輸入量となった。輸入量の内訳は、第1位はニュージーランドの1万4845トン、第2位はメキシコの273トン、第3位は韓国の5トンであった。
生鮮野菜全体の輸入量は、国産野菜の品薄、価格高の影響を受け、加工・業務用向けを中心に需要が引き続き高かったことから、7カ月連続で前年を上回った。
輸入量が増加した品目は、
・ほうれんそう等 2934トン(同172%)
・ばれいしょ 2万6885トン(同131%)
・ブロッコリー 3043トン(同126%)
・えんどう 991トン(同116%)
・いちご 2165トン(同116%)
・えだまめ 5525トン(同112%)
・いんげん豆等 1774トン(同109%)
・ごぼう 665トン(同104%)
であった。
一方、輸入量が減少した品目は、
・さといも 2786トン(同98%)
であった。
冷凍野菜の輸入量は、その4割を占めるばれいしょが前年は少なかったことから、前年を大きく上回ったことに加え、多くの主要品目で前年同月を上回る輸入量となったことから、3カ月連続で前年を上回った。
その他の類別で増加した主な品目は、
・塩蔵等野菜のしょうが 2495トン(同104%)
・乾燥野菜のたまねぎ 719トン(同231%)
・酢調整野菜のしょうが 1705トン(同124%)
・トマト加工品のピューレ等関税割当以外1万190トン(同142%)
・その他調製野菜のたけのこ 7764トン
(同116%)
・その他のかんしょ(生鮮・乾燥)
984トン(同134%)
であった。
資料:ベジ探(原資料)財務省「貿易統計」
①たまねぎ
山東省では、平成25年の春節(2月10日)前後に、たまねぎ価格がピークとなった(図5)。その要因は、祝日による価格上昇と、24年産のたまねぎが、天候不順などの影響を受けて生産量が少なく、供給量が少なかったためである。一方、26年は、春節(1月31日)の直前に、価格のピークがあったが、25年ほど価格は高くならなかった。これは、生産者が25年産たまねぎの作付面積を拡大したことと同時に、気象災害に見舞われることもなく、生育が順調で供給量が十分だったからである。
江蘇省でも、25年は春節前後に価格のピークがあった。その要因は祝日による価格上昇と、春節に出稼ぎ労働者が故郷に帰ったため、労働力不足となりコストが上昇したからである。6~7月は現地産たまねぎが大量に販売されることから価格が低下し、低値となったが、その後は、比較的安定した価格で推移している。
中国から日本へ輸出するたまねぎの主産地は主に山東省に集中しており、25年の山東省の作付面積が約50万ムー(約3万3333ヘクタール)、生産量が約120万トンであるが、そのうち山東省から日本へ輸出されたたまねぎ(生鮮あるいは冷蔵のたまねぎ)は約14万3000トンである。山東省たまねぎの収穫期が毎年6~7月であるため、日本へ比較的多く輸入される時期でもある。
江蘇省は日本への輸出量が、2番目に多い産地である。
②ねぎ
山東省は、ねぎの主産地で中国全土へ販売している。ねぎの白い部分が長く、葉が短く甘味もあるため、中国で有名であり、価格が他の産地のねぎよりやや高めとなっている。
25年は、春節の前後に、ねぎの価格が上昇した(図6)。その要因は、春節前後に販売されるのは、冬季ねぎであり、冬季ねぎはすべて貯蔵物であることから、コストの上昇と、春節による需要の増加である。4~8月にかけて価格が比較的低いのは、その時期がわけぎなどのその他のねぎの旬であることから、ねぎの需要が分散することと、他の葉物類野菜の需要が増加することが影響している。26年も、春節前後にコスト上昇と需要の増加により、価格が上昇している。
江蘇省では、現地産ねぎが少なく、不足分は福建省より仕入れられることから、価格は福建省のねぎの価格に影響される。