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需給動向 1 (野菜情報 2014年4月号)


東京都・大阪市中央卸売市場の需給動向(平成26年2月)

~2度見舞われた記録的な大雪の影響等からほうれんそう、ねぎは中下旬の入荷量が大幅に減少~

野菜需給部 調査情報部


(1)気象概況

 2月上旬は、3日にかけて、日本付近に南から暖気が流れ込んだ影響から気温がかなり高くなったが、その後冬型の気圧配置が強まったことから寒気が日本の南まで南下し、7~8日にかけては、低気圧が日本の南岸を発達しながら通過したため、東・西日本の太平洋側では雪や雨となり、関東甲信地方では記録的な大雪となった地域があった。中旬は、低気圧が周期的に日本の南を通過したことから、北日本から西日本にかけての太平洋側を中心に、雪や雨の地域が多かった。中でも14~ 16日にかけては、低気圧が発達しながら日本の南岸をゆっくりと北東に進んだため、太平洋側の各地で大雪や大雨となった。特に関東甲信地方では、過去の最深積雪の記録を大幅に上回る記録的な大雪となった地域があった。下旬は、前半は北日本を中心に弱い冬型の気圧配置が続いたことから、北・東日本の日本海側では曇りや雨となり、その他の地方ではおおむね晴れとなったが、気温は全国的に低い日が続いた。後半は、移動性の高気圧に覆われたことから全国的に晴れの日が多く、気温も平年を上回った。

太平洋側では2度の大雪に見舞われ、関東甲信地方を中心に記録的な大雪となり、前橋(群馬県)、熊谷(埼玉県)、甲府(山梨県)など11地点で2月の月最深積雪の記録を更新した。

地域別の平均気温、降水量、日照時間は以下の通り。


(2)東京都中央卸売市場

 2月の東京都中央卸売市場における野菜の入荷量および価格は、入荷量が12万トン、前年同月比100.3パーセント、価格はキログラム当たり236円、同106.2パーセントとなった。

 野菜全体の入荷量は、北海道、関東、四国および九州ものを主体に出回るが、2月7~8日にかけてと14~ 16日にかけて関東甲信地方を中心に降雪となり、近年にない大雪で輸送の乱れや収穫作業が滞ったことにより、一時、入荷量が大幅に減少した。また、積もった雪の重さでビニールハウスなどの施設が倒壊した影響から、特にほうれんそうで入荷量が大幅に減少した。一方、価格は、大雪の影響により首都圏が主産地であるほうれんそう、ねぎ、にんじんなどを中心に、大幅に平年を上回った。

 類別にみると、葉茎菜類の入荷量は、はくさい、キャベツおよびレタスは、平年並みもしくは平年を上回ったものの、ほうれんそうおよびねぎは、月を通して平年を下回った。価格は、大雪の影響から、ねぎおよびほうれんそうは、中下旬に平年を大幅に上回った一方で、レタスは、月を通しておおむね平年並みの価格水準であった。はくさいは、上中旬は平年を上回ったものの、下旬は平年を下回った。なお、需要面について見ると、レタスはサラダ商材のため、厳しい寒さで消費意欲の減退が見受けられた。ねぎおよびほうれんそうは、家庭消費需要が大きな品目であるため、大雪の影響による入荷量の減少に対し、強めな価格となった。

 果菜類の入荷量は、トマトは月を通して平年を上回ったが、きゅうり、なす、ピーマンは、上旬は平年を上回ったものの、中下旬では平年並みもしくは平年をやや下回った。価格は、上旬は平年を下回るか平年並み、中下旬では平年並みもしくは平年を上回って推移した。なお、需要面について見ると、トマトは一定の需要があり、特に下旬では、ミニトマトやフルーツトマトを中心に、ひな祭り需要に合わせて活発な荷動きとなり、価格は強めに推移した。

 根菜類の入荷量は、だいこんは、上旬および下旬は平年を上回ったものの、中旬は平年を下回った。にんじんは、上中旬で平年を大きく下回ったものの、下旬は平年を上回った。価格は、にんじんは、月を通して平年を上回って推移したが、だいこんは、中旬で平年を上回ったものの、下旬は平年並みに推移した。需要面について見ると、厳しい寒さに加え、2週連続の週末での大雪により、客足が鈍かったことから、市場での荷動きも鈍かった。

 土物類の入荷量は、ばれいしょおよびたまねぎは、月を通して安定していたが、さといもは、月を通して平年を大きく下回った。価格は、ばれいしょは、月を通して平年並みに推移したが、さといもおよびたまねぎは、月を通して平年を大幅に上回って推移した。なお、需要面について見ると、ばれいしょおよびたまねぎは、給食における加熱料理需要により、学校給食等の集団給食から安定した引きが、前月に引き続き見受けられた。

(3)2月の値動きで注目される品目

 2月中旬は、降雪により、だいこん、にんじん、ほうれんそうおよびねぎの価格が、特に強めに推移した(図1~4)。ねぎは、降雪の影響が特に大きく、平均価格の2倍以上で推移した。一方、1月までの高値による高値疲れと、寒さにより需要の鈍かったレタスは、安値で推移した(図5)。

 なお、品目別の詳細については以下の通り。

東京都中央卸売市場の動向(2月速報)

指定野菜の卸売価格の推移(東京都中央卸売市場)

※クリックすると拡大します。

(単位:円/kg)

資料:

農林水産省「青果物卸売市場調査」

注  :

平年とは、過去5カ年(平成21~25年)の旬別価格の平均値である。

(4)大阪市中央卸売市場

 2月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格の動向は、入荷量が3万6309トン、前年同月比105.6パーセント、価格は、キログラム当たり230円、同116.2パーセントであった。

 入荷量は、土物類のさといもなどで前年を下回ったが、新ものが入荷された土物類のばれいしょを中心に、多くの品目で前年を上回ったことから、野菜全体では前年を上回った。

 価格は、葉茎菜類のレタスなどが、需要の鈍さから前年を下回ったが、1月に引き続き、入荷が伸びなかったさといもや、降雪等により入荷量が減少したねぎなどが、前年を大きく上回ったため、野菜全体では前年を大きく上回った。

 類別に見ると、葉茎菜類の入荷量は、出遅れていた長崎産の入荷量が伸びたレタスが、前年を上回るなど、多くの品目で入荷量は前年を上回った。価格は、入荷量の伸びに対して需要の鈍かったレタスが、前年をかなり下回ったものの、ねぎは、寒さにより需要が伸びたことなどから、前年を上回った。

 果菜類の入荷量は、トマトが順調な入荷となったものの、なすが気温低下と日照不足により入荷量が減少したため、前年をやや下回った。価格は、入荷量の減少により高値となったきゅうりを中心に、前年を上回った。

 根菜類の入荷量は、出遅れていた残量の順調な入荷により、すべての品目で前年を上回った。価格は、中旬以降の降雪により強含みとなったものの、上旬の安値が響き、前年を下回った。

 土物類の入荷量は、さといもの入荷が伸びなかった中、他の品目は新ものが入荷され始めたことなどから、前年を上回った。価格は、さといもの入荷量が伸びなかったことと、他の品目の新ものが出始めたことから、前年を大きく上回った。

 なお、品目別の詳細は次の通り。

(執筆者:東果大阪株式会社 福重 博美) 

大阪市中央卸売市場の動向(2月速報)

指定野菜の卸売価格の推移(大阪市中央卸売市場

※クリックすると拡大します。

(単位:円/kg)

資料:

農林水産省青果物卸売市場調査

 注:

平年とは、過去5カ年(平成21~25年)の旬別価格の平均値である。

(5)市場担当者から

①4月の市場開市および休市

 4月の市場開市日数は22日で、休市日数は8日となっている。

②需要を中心とした4月の見通し

 新入学シーズンを迎え、門出の祝の膳にたけのこを使った料理は欠かせないため、家庭消費が中心になってくる。上中旬までは、デパートや高級スーパーの取扱いが多くなる。産地は、3月に続き、福岡県、京都府および静岡県産が中心となる。昨年産は、大幅な不作で全く盛り上がることがなかったが、今年産は、活発な動きが予想される。たけのこは、業務の弁当に多く使用される等、実需者が良く使用する野菜でもあるため、価格が安いと飲食店等からの引き合いが強くなる。しかし、市況が安値で推移すると、農家の掘り採りの意欲が湧かないため、前年比ではやや安い程度の展開となるであろう。

 季節商材のなばなは、現在出回っている結束タイプから、福岡県産のおいしい菜等の袋詰めがピークになる。なばなの苦みは、冬の眠った体の組織を覚醒させてくれることで、季節感を味わうことができる。東京市場では、こまつなが積雪の影響で、4月も価格の変動が大きくなることが予想される中、なばなは当面西日本の産地中心で安定しており、実需者からの引き合いが強まると予想される。

 定番のキャベツは、神奈川県産の春玉系キャベツ「金系201」が、旬の味として4月から登場し、5月中旬まで入荷される。ここ数年、早春の天候の乱れから出荷時期が後ずれしていること等、入荷当初は高値となることが多く、今年も降雪の影響で、やや遅れると予想している。特に、関東では春のサラダ野菜として好まれることから、キャベツの引き合いは強い。春玉系だけでなく、葉厚で甘味の強い寒玉系にこだわる実需者もいる。品種は愛知県産の「冬のぼり」である。冬のぼりのは種時期が盆明け前後で、寒玉系品種でも、春まで収穫できる品種である。昨年の盛夏時期の高温および干ばつ、定植時期の台風通過などにより、作付面積は例年を下回ると予想されるため、入荷も少ないと予想している。そのため、4月のキャベツ価格は高めと予想している。キャベツ価格の高値が野菜全体へ波及して、3月に続き、野菜の価格は高めの水準を維持するであろう。

 レタスは、近在産地の茨城県産が入荷ピークとなるが、2度の降雪および積雪の後、産地では生育の挽回に努めているが、それでも例年よりもやや少ないと予想している。4月の終盤から本格化する、長野県および群馬県産の準高冷地物も、降雪の影響で遅れが予想され、3月の落ち着いた展開からやや高めに推移するであろう。春はくさいも、産地がレタスと同様であるため、やや高めを予想している。

 果菜類では、トマトの主産地である熊本産や、佐賀県および福岡県産のピークを迎える。関東産は、ハウス周辺の積雪が悪影響を及ぼし、生育および出荷が遅れる見込みである。そのため、全国産地の入荷がそろって急増し、価格が大幅に低落するといったことはないであろう。きゅうりは降雪の影響もあるが、農家が2月の設定温度低くしていることに加え、降雪の影響もあるため、少なくて高い相場展開が予想される。4月は、1月の市場価格の低迷が遠因となり、少なめと予想される。

 季節性の高い佐賀県産の新たまねぎは、前進気味で大玉傾向と予想されることから、やや安めでの入荷が予想される。鹿児島県等の新じゃがいも(ばれいしょ)は平年並みの作況で、価格も平年並みと予想される。野菜全般が高値の中で、新学期で学校給食が再開するこの時期は、ばれいしょおよびたまねぎへの需要は高まるが、納入業者は仕入れやすく、引きが活発になると思われる。

(執筆者:東京青果株式会社 加藤 宏一)


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