野菜需給部 調査情報部
11月は、上旬は日本付近を低気圧と高気圧が交互に短い周期で通過したことから、全国的に変わりやすい天気となり、上旬後半には日本海側で低気圧が急速に発達したため、大雨や暴風となった。中旬前半は北・東日本を中心に冬型の気圧配置が強まり、強い寒気が流れ込んだため、特に北・東日本の日本海側の広い範囲で雪が降り、13日に富山では統計開始以来3番目に早く初雪が観測、14日では名古屋で初氷が観測され、11月の前半に観測されるのは29年ぶりの初氷となった。一方で、北日本から西日本の太平洋側では晴れの日が続いた。下旬は西日本を中心に冬型の気圧配置となったことから、日本海側で曇りや雨または雪の日が多かった一方で、太平洋側では晴れの日が多かった。
月の平均気温は、北日本では高かった一方で、東・西日本では低く、また、月の降水量をみると、北・東日本の日本海側ではかなり多く、北海道の留萌と新潟の観測地点では、それぞれ239.5ミリ(平年比166%)、416.0ミリ(同197%)とかなり多い降水量となった。
なお、産地においては、中下旬の冷え込みが強まってきたため、野菜の一部の品目で生育状況の遅れ等影響が見受けられている。
旬別の平均気温、降水量、日照時間は以下の通り。
11月の東京都中央卸売市場における野菜の入荷量及び価格は、入荷量が12万5000トン、前年同月比96.4パーセント、価格はキログラム当たり250円、同125.7パーセントとなった。
野菜全体の入荷量は、関東、北海道ものを主体にし、西南暖地の四国、九州産が出回り始めたものの、西南暖地産が天候不順などにより出荷が遅れ、東北および北海道産の切り上がりが早く、関東産は台風等の影響からの出荷量が少ないという中で、全般的に品薄の状態となり月全体では前年同月を下回って推移した。価格は、入荷量の減少に伴い、前年を大きく上回る品目が多く見られ、前年を大幅に上回って推移した。
類別にみると、葉茎菜類の入荷量は、上中旬はキャベツ、ねぎを中心に平年並み若しくは平年をやや上回ったが、下旬は、多くの品目で平年を大きく下回った。なお、ほうれんそうは、月を通して平年を大幅に下回る入荷量となった。価格は、上旬でねぎが平年をやや下回ったものの、その他の品目では月を通して大幅に平年を上回る価格で推移し、特にキャベツおよびレタスにおいては、下旬で大幅に値を上げた。
果菜類は、中旬できゅうり、なすおよびピーマンで平年並みの入荷量であったものの、月計では全品目において平年を大きく下回る入荷量であった。価格は、全品目で月を通して平年を大きく上回って推移し、特にピーマンは、大幅に上回った。
根菜類の入荷量は、上中旬はだいこんで平年を上回ったものの、にんじんは、月を通して平年を下回って推移した。価格は、月を通して平年を大幅に上回って推移し、特ににんじんは、下旬で高値推移となった。
土物類は、さといもが月を通して平年を上回る入荷量に対し、ばれいしょおよびたまねぎは、上旬では平年並み若しくはやや上回る入荷量であったが、中下旬では平年並み若しくはやや下回る入荷量となった。価格は、ばれいしょで月を通して平年を下回って推移した一方で、たまねぎは月を通して大きく上回って推移した。
なお、品目別の詳細については以下の通り。
東京都中央卸売市場の動向(11月速報)
注: 平年比は過去5ヵ年平均との比較
資料: 東京青果物情報センター「青果物流通年報・月報・旬報」
指定野菜の卸売価格の推移(東京都中央卸売市場)
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(単位:円/kg)
資料:
農林水産省「青果物卸売市場調査」 注 :
平年とは、過去5カ年(平成20~24年)の旬別価格の平均値である。
11月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格の動向は、入荷量が3万7105トン、前年同月比100.4パーセント、価格は、キログラム当たり238円、同127.3パーセントであった。
入荷量は、土物類のさといもおよびたまねぎが、不作傾向により入荷が伸びなかった中、他の品目も前年並みに近い入荷となり、特に、根菜類のだいこん、葉茎菜類のレタスなどの入荷が伸びて前年を上回ったことから、野菜全体では前年並みとなった。
価格は、果菜類のトマトが、10月までの安値に加え、順調な入荷となったことから前年を下回ったが、多くの品目で、前年が安値で推移したことに加え、入荷が伸びなかったさといもなどが、前年を大きく上回ったことから、野菜全体では前年を上回った。
類別に見ると、葉茎菜類の入荷量は、関東産が関西市場に出荷をシフトした、はくさいおよびねぎと、長崎産の面積増加および前進出荷のあったレタスについては、前年を上回ったが、その他の品目については、生育不良と生育遅れなどにより、入荷量は前年を下回った。価格は、前年が安値で推移したことから、葉茎菜類全般で前年を上回った。
果菜類の入荷量は、各品目で端境期や気温低下により減少する中、ピーマンは、西南暖地の生育回復および集約出荷が見られたことから、前年並みに推移し、トマトは、熊本産の入荷が順調であったことから、前年をかなり上回った。価格は、各品目が前年を上回った中、増加した入荷量に対して、気温低下から消費が伸びなかったトマトについては、前年をかなり下回った。
根菜類の入荷量は、北海道産の入荷が減少する中、だいこんは、新潟、青森県産等の増量により、前年を大きく上回ったが、にんじんは、鳥取産の生育停滞などにより、前年を下回った。価格は、前年が安値で推移したことから、各品目とも大きく上回った。
土物類の入荷量は、各品目で生育不良や小玉傾向となり、前年を下回る中、ばれいしょは、価格高による集約出荷から、前年を上回った。価格は、入荷量が伸びなかったことから、前年を大きく上回った。
なお、品目別の詳細については以下の通り。
(執筆者:東果大阪株式会社 福重 博美)
大阪市中央卸売市場の動向(11月速報)
資料:農林水産省青果物卸売市場調査
注:平年比は過去5カ年平均との比較
指定野菜の卸売価格の推移(大阪市中央卸売市場)
※クリックすると拡大します。
(単位:円/kg)
資料:
農林水産省青果物卸売市場調査
注:
平年とは、過去5カ年(平成20~24年)の旬別価格の平均値である。