野菜需給部 調査情報部
9月は、上旬において秋雨前線が本州付近に停滞したことから、全国的に曇雨天の日が多く、秋雨前線の北側に位置する西日本では、寒気が流れ込み気温の低い日が多かった。一方で、関東甲信地方では、1~3日に秋雨前線の南側であったことから晴れの日が続き、厳しい残暑となった。中旬では、15日から16日にかけて東海地方に上陸した台風18号と停滞していた秋雨前線の影響から、北日本から西日本の広い範囲で大雨と暴風となった。特に福井県、滋賀県、京都府などでは記録的な降水量となり、48時間降り続いたことから、大雨特別警報が発令されるなど河川の氾濫や土砂崩れなどによる、農作物への被害が大きかった。下旬になると、移動性の高気圧に覆われ晴れる日が続き、東日本の日本海側や西日本の太平洋側の旬の日照時間は、1961年の統計開始以来最も多い値を記録した。一方で、関東地方では、台風20号が南海上を通過した影響から、24~26日は曇雨天の日が続いた。
旬別の平均気温、降水量、日照時間は以下のとおり。
9月の東京都中央卸売市場における野菜の入荷量及び価格は、入荷量が13万1096トン、前年同月比99.4パーセント、価格はキログラム当たり253円、同130.2パーセントとなった。
野菜全体の入荷量は、関東、北海道および東北ものが主体に出回り、生育期の少雨と夏場の高温の影響で、果菜類の主産地の東北で早めの切上がりを迎えたこと、後続の関東産等は、夏場の高温等の影響で定植等が遅れたこと、台風18号の影響を受けたことから入荷量が減少した。価格は、ほとんどの品目において前年同月を大幅に上回って推移し、特に果菜類を中心に上げ、高値基調となった。
類別にみると、葉茎菜類のうちほうれんそうは、月を通して平年を下回る入荷量となった。キャベツは、上中旬にかけてわずかに平年を下回り、ねぎは、上旬は平年を下回ったが中下旬は上回り、レタスおよびはくさいでは、月を通して平年を上回る入荷量であった。価格は、上中旬はレタス以外の品目で平年を上回って推移し、下旬ははくさいおよびねぎでやや値を下げた。
果菜類の入荷量は、トマトで中旬のみ平年を上回ったものの、上旬、下旬においては、全ての品目において平年を下回って推移した。価格は、果菜類の各品目において、月を通して平年を大幅に上回って推移した。
根菜類のうちにんじんは、月を通して平年を上回る入荷量となった一方、だいこんは、上中旬で平年を下回った。価格は、だいこんは、月を通して平年を上回って推移した一方、にんじんは、ほぼ平年並みで推移した。
土物類の入荷量は、品目によって多少のばらつきはあるものの、おおむね平年を下回って推移し、価格は、月を通して平年を大幅に上回って推移した。
なお、品目別の詳細については以下のとおり。
東京都中央卸売市場の動向(9月速報)
注: 平年比は過去5ヵ年平均との比較
資料: 東京青果物情報センター「青果物流通年報・月報・旬報」
指定野菜の卸売価格の推移(東京都中央卸売市場)
※クリックすると拡大します。
(単位:円/kg)
注 :
平年とは、過去5カ年(20~24年)の旬別価格の平均値である。
資料:
農林水産省「青果物卸売市場調査」
9月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格の動向は、入荷量が3万8065トン、前年同月比101.7パーセント、価格は、キログラム当たり244円、同127.1パーセントであった。
入荷量は、多くの品目で前年を上回る中、輸入ものが減少したさといもと、天候不良の影響が大きかった、きゅうり、なすなどの果菜類を中心に、前年を下回った。
価格は、前年が安値で推移したことから、すべての品目で前年を上回った。
なお、品目別の詳細については次のとおり。
(執筆者:東果大阪株式会社 福重 博美)
大阪市中央卸売市場の動向(9月速報)
注: 平年比は過去5カ年平均との比較
資料:農林水産省「青果物卸売市場調査」
指定野菜の卸売価格の推移(大阪市中央卸売市場)
※クリックすると拡大します。
(単位:円/kg)
注 :
平年とは、過去5カ年(20~24年)の旬別価格の平均値である。
資料:
農林水産省「青果物卸売市場調査」