野菜需給部 調査情報部
7月は、関東以西が上旬までに梅雨明けとなったものの、東北地方や日本海側においては引き続き梅雨前線が停滞した。特に、夏野菜の産地が多い東北地方においては曇雨天の日が続き、降水量は平年比182%と、1946年以降最も多かった。日照時間はかなり少なく、特に下旬の日照時間は平年比32パーセントと、1961年以降最も少ない値を記録した。
一方で、東北地方と同様に夏野菜の産地をもつ北海道においては、東海上の高気圧に覆われて日照時間は多くなり、降水量は少なかった。
また、月末にかけては、島根県や山口県をはじめ、北日本から西日本の一部地域において記録的な豪雨となり、河川の氾濫や土砂崩れが観測された。
気温は、月前半は南からの暖かい空気や太平洋高気圧の影響で全国的に高温となり、各地で猛暑日となった。月後半になると、西日本では引き続き暑い日が続いたものの、北・東日本では前線や気圧の谷の影響で曇雨天となる日が多く、特に東北地方においては平年を下回った地域もあった。
旬別の平均気温、降水量および日照時間は以下のとおり。
資料:気象庁「7月の天候」
7月の東京都中央卸売市場における野菜の入荷量及び価格は、入荷量が13万トン、前年同月比103.0%、価格がキログラム当たり250円、同115.5%となった。
野菜全体の入荷量は、関東、北海道及び東北ものを主体に出回り、品目によっては6月上旬までの少雨や、6月下旬から7月にかけての曇雨天や高温等の影響を受けて生育停滞等が見られたものの、全体では前年同月及び平年をやや上回る入荷となった。
価格は、前月から急伸し、殆どの品目において高値をつけた上旬から、旬を追うごとに緩やかな下げ基調となったものの、相場安の前年同月及び平年を上回って堅調に推移し、過去5か年で見ると最高水準となった。
類別に見ると、葉茎菜類は、6月上旬までの少雨等の影響や6月下旬以降の曇雨天の影響を受けて生育が停滞し、上旬はキャベツ、ほうれんそうおよびレタスが少なめに推移し、月全体では概ね平年並みの入荷となったものの、価格は平年を上回る高値展開となり、特に上中旬のレタスは、平年を大幅に上回る高値となった。果菜類は、全般的に曇天や気温の低下に伴い着色遅れや肥大不足が見られ、月全体では平年を下回る不安定な入荷となった。このため価格は、月を通して平年を上回って推移した。根菜類は、6月上旬までの少雨等の影響により、多少品質の低下が見られたものの、順調な生育で比較的安定した入荷となり、価格は、月を通して平年並みに推移した。
なお、品目別の詳細については以下のとおり。
東京都中央卸売市場の動向(7月速報)
注: 平年比は過去5ヵ年平均との比較
資料: 東京青果物情報センター「青果物流通年報・月報・旬報」
指定野菜の卸売価格の推移(東京都中央卸売市場)
※クリックすると拡大します。
(単位:円/kg)
注 :
平年とは、過去5カ年(20~24年)の旬別価格の平均値である。
資料:
農林水産省「青果物卸売市場調査」
7月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量及び価格は、入荷量が3万7千トン、前年同月比105.2%、価格がキログラム当たり229円、同111.2%となった。
入荷量は、多くの品目で前年を上回る中、天候不良から生育が遅れたなすおよびばれいしょと、輸入ものが減少したさといもは前年を下回った。
価格は、ばれいしょが前年の2倍弱の高値になるなど、多くの品目で前年を上回ったが、入荷量の増加により、にんじん、なすおよびたまねぎが前年を下回った。
なお、品目別の詳細については次のとおり。
(執筆者:東果大阪株式会社 福重 博美)
大阪市中央卸売市場の動向(7月速報)
注: 平年比は過去5カ年平均との比較
資料:農林水産省「青果物卸売市場調査」
指定野菜の卸売価格の推移(大阪市中央卸売市場)
※クリックすると拡大します。
(単位:円/kg)
注 :
平年とは、過去5カ年(20~24年)の旬別価格の平均値である。
資料:
農林水産省「青果物卸売市場調査」