野菜需給部 調査情報部
6月は、全国的に梅雨の季節となったものの、月前半は5月に引き続き雨が少なく、梅雨前線や台風第3号の影響を受けた関東や九州の一部地域を除き、ほぼ全国的に降水量が平年を下回った。
月後半になると、日本の南に位置していた梅雨前線が接近したことに加え、台風第4号から変わった低気圧の影響を受けて、東日本以西では局地的に300ミリから400ミリの大雨を記録するなど、各地で雨の日が多くなり、降水量は平年を上回った。
夏野菜の産地が多い東北地方などにおいては、6月中旬に梅雨入りを迎えたものの、高気圧に覆われて晴れの日が多く、月降水量は平年を下回った。特に、北日本太平洋側の月降水量は、6月としては気象庁の統計開始以降、最も少ない値を更新した。
一方、月の日照時間は、北・東日本の日本海側ではかなり多く、反対に、梅雨前線や台風第3号、第4号の影響を受け、曇雨天の日が多かった東・西日本の太平洋側では少なかった。
月の平均気温は、高気圧や南から流れ込んだ暖気の影響を受けて、月を通して全国的に高くなり、特に月前半には各地で記録的な高温となる日があった。
旬別の平均気温、降水量、日照時間は以下のとおり。
資料:気象庁「6月の天候」
6月の東京都中央卸売市場における野菜の入荷量及び価格は、入荷量が13万トン、前年同月比96%、価格はキログラム当たり220円、同102.3%となった。
野菜全体の入荷量は、関東、四国及び九州ものを主体に出回り、5月上旬から6月の上旬にかけての少雨の影響が、中下旬にかけて葉茎菜類を中心に出始めたこと等により、特に下旬にかけては少なめの入荷量となった。価格は、潤沢な入荷により過去10年の同月比較で最も安値となった前月から一転、旬を追うごとに上げ基調となり、下旬にかけては多くの品目で平年を上回って推移した。
類別にみると、葉茎菜類は、キャベツ、ねぎ、ほうれんそうにおいて、少雨の影響を受けて生育が停滞し、月全体では平年を下回る入荷量となったことから、平均価格はおおむね平年を上回って推移した。
果菜類は、上旬までは比較的安定した入荷となっていたものの、下旬にかけては全般的に減少傾向となり、特にきゅうりとピーマンにおいては、関東産が、なり疲れ等の影響により減少傾向となったことから、下旬の価格が平年を大幅に上回った。
根菜類は、だいこん、にんじんともに主力産地が関東近在から北海道・東北へと切り替わりの時期を迎えたが、だいこんの価格は下旬で平年を上回ったものの、それ以外はおおむね平年並みに推移した。
土物類は、ばれいしょ、たまねぎともに少なめの入荷となる時期があったものの、価格は大幅安の前月に引き続き、平年を下回って推移した。
なお、品目別の詳細については以下のとおり。
東京都中央卸売市場の動向(6月速報)
注: 平年比は過去5ヵ年平均との比較
資料: 東京青果物情報センター「青果物流通年報・月報・旬報」
指定野菜の卸売価格の推移(東京都中央卸売市場)
※クリックすると拡大します。
(単位:円/kg)
注 :
平年とは、過去5カ年(20~24年)の旬別価格の平均値である。
資料:
農林水産省「青果物卸売市場調査」
5月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格の動向は、入荷量が4万1千トン、前年同月比101%、価格はキログラム当たり175円、同87%であった。
入荷量は、上旬は指定野菜の全ての品目で前年を上回り、中旬もさといも、ばれいしょおよびはくさいを除く多くの品目で前年を上回ったが、下旬はさといも、はくさい、にんじん、キャベツ、ばれいしょ、レタスおよびきゅうりで前年を下回った。
価格は、月を通して前年を下回って推移し、上旬ははくさい、レタス、にんじん、ほうれんそう、さといもおよびなすを除く品目で、中旬はさといも、ばれいしょ、にんじんおよびなすを除く品目で、下旬もさといもおよびばれいしょを除く多くの品目で前年を下回った。
なお、品目別の詳細については以下のとおり。
(執筆者:東果大阪株式会社 福重 博美)
大阪市中央卸売市場の動向(6月速報)
注: 平年比は過去5カ年平均との比較
資料:農林水産省「青果物卸売市場調査」
指定野菜の卸売価格の推移(大阪市中央卸売市場)
※クリックすると拡大します。
(単位:円/kg)
注 :
平年とは、過去5カ年(20~24年)の旬別価格の平均値である。
資料:
農林水産省「青果物卸売市場調査」